神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)

風吹くままに 流れるままに
(yottin blog)

夏目漱石「こころ」 文学と本のこと

2024年03月09日 08時41分04秒 | 読書
ドラマ「舟を編む」だったと思うが、夏目漱石の「こころ」のことが語られた
キーワードは「三角関係」それで興味を持って読み始めた、文字が細かくて難儀している
調べたら漱石の「それから」「行人」などいくつか三角関係の小説があるらしい、「行人」も収録されているから読んでみよう、きっと漱石さんは体験をもとに書いたんだろうな。
私も22歳ころに三角どころか四角関係を体験したことがあるから、その頃の心境になるのか?
「甲越戦記」訳もまだ始めたばかりだし、しかもまた別の長編を書きたくなって、これは忙しくなるぞ。

実は「新潮日本文学」全60何巻かのうち「石原慎太郎」「夏目漱石」「大江健三郎」「安倍公房」「北杜夫」「遠藤周作」「三島由紀夫」「川端康成」「井上靖」の9冊だけ買って未だに持っている
夏目漱石は昭和44年(1969年)に買った本で、9冊の中では最も厚くて重い
1050ページほどあって、本の厚さは6cmある、定価は1000円(消費税なし)
一番薄いのは石原慎太郎で厚さ3cm、450ページほどで700円だ。


これは昭和38年初版で。重版を42年に買ったもの、約680ページと厚い「石坂洋次郎」しっかりしたケース入り、これがびっくりの「サービス価格390円(消費税なし)」



値段と厚さとページ数ばかり書いて、肝心の内容を書いてない、それもそのはずで、この中で完読したのは北杜夫だけで、井上靖は半分くらい、あとは買っただけでほとんど読んでいない。
本棚の中で55年間ずっと立ち続けているだけだったのだ、読まないと申し訳ないと思うが視力が落ちてきて細かすぎる文字はキツイ、ルーペが必要だな。
でも集中できるのだろうか?


沢村貞子 「五黄の寅」

2023年12月12日 07時46分27秒 | 読書
 同級生友達のチコちゃんの旦那様が亡くなって、つーくんと通夜に言って来た。
旦那さまは病気がちで、彼女は20年以上もずっと面倒見やら看病やらを献身的に続けて来たのだった。
彼女も我々も昭和25年生まれの「五黄の寅」、36年に一度訪れる星だ。
五黄の寅と丙午(ひのえうま)の女は亭主を食い殺すと言われてきたが、周囲を見るに、たしかに気が強く前向きで活きが良く、辛抱強い女性が多いが、昔の女ながら、亭主の後ろで静かにしているようなタイプは少ない、バリバリと家庭の切り盛りをやっていく
けれども亭主を食い殺すどころか、とても大事にしている。

 沢村貞子さんの「私の浅草」を読んでいる、沢村さんは五黄の寅ではない
私の父よりも16歳も年上の明治41年生まれだから、このブログをご覧の皆さんの半分は知らないかもしれない。

私が子供の頃には、よくテレビに出ていた女優さんで、浅草生まれだから生きのいい江戸弁で話す人だった。
ネットによれば、父親の竹芝傳蔵(本名 加藤伝太郎)は歌舞伎作者、母は一般女性で、兄、國太郎は歌舞伎役者、弟は名俳優の加藤大介
俳優の長門裕之(妻は南田洋子)、津川雅彦(妻は朝丘雪路)は國太郎の息子で、貞子の甥になる。

父の伝太郎、兄の國太郎、甥の津川雅彦はいずれも花筋が通った美男子で女性にもてまくったそうだ。
そんな家系にあって、加藤大介さんは俗にいう小太りの「ずんぐりむっくり」で顔立ちはふっくらで目がパチリ、きれいな顔立ちだ
戦争中は南洋の島にいて部隊ごと孤立、日本軍は撤退、アメリカ軍は素通りしたから平和ではあったが、食糧不足、マラリアで命を落とす兵隊も少なくなかったと言う。
そんなみんなを元気づけるために、内地で役者だった加藤さんは軍隊劇団を作って毎日部隊内で公演したと言う
それが「南の島に雪が降る」という小説や映画になった
そういえば聞いたことがある、これを思い出したので、今度小説と映画を見てみたいと思うようになった。

沢村貞子さんは1996年に88歳で永眠されたが、俳優の他、随筆家でもあり、「私の浅草」はその中の一冊、少女時代の浅草生活の思い出が詰まっている。

私の父の叔母も明治生まれで、浅草に住んでいたので同年代かと思い興味を持った次第である。
そして知るにつれ、親しみを感じて来た、父の叔母さんは明治40年生まれ、沢村さんは41年生まれと1歳違い。
住まいは、叔母さんは浅草象潟町、沢村さんは浅草猿若町で距離にして400mあるかないかの近く、道すがら、あるいは浅草寺境内や仲見世で何度もすれちがったことくらいあるかもしれない。
叔母さんは浅草で昭和20年の大空襲で亡くなったが、沢村さん一家は京都に疎開していて助かった。
だが大正12年の関東大震災では、お互い酷い災難を被った。

沢村さんの姉は、幼いうちに伯母さん宅へ養女に出されたそうだが、名前はせい子さん、父の叔母もセイという名なので、ここにも意味のない共通を見つけて嬉しがっている。

本の中で「五黄の寅」という記事を見つけた、「父はそれは女性にモテモテで、そこらの役者より、よっぽど人気があった、浮気のお相手も粋筋の女性ばかりで競って父に熱を上げていた」と言う。
しかし齢を取って仕事が干上がってからは、金の切れ目が縁の切れ目で全くもてなくなった。
関東大震災では焼け出されて、すっかりしょげかえっていて気丈な母の世話になりっぱなしだったそうだ
「かあちゃんにゃあ敵わねぇよ、なにしろあいつは、五黄の寅だからな・・
俺は七赤の兎と来てやがる」
五黄の寅は相手を食い殺してしまうほどに強いのに、七赤の兎は、気が弱く優しい星だそうだ。(色男 金と力はなかりけり)を地で行っている。

なるほど、ここでも五黄の寅の女性の逞しさが描かれている
同じ五黄の寅でも、男どもは空威張りでからっきし意気地がない、七赤の兎とあまりかわらない、五黄の寅の特性は女性だけに当てはまるようだ。










青春小説

2023年01月11日 09時44分05秒 | 読書
年が明けても雪降りらしい「雪の日」はまだない
昨日は短い時間、忘れられない程度降って見せたが、それも地面を白くすることはなく。 午前は晴れ、午後は小雨のような日が続いている、もちろん町の中はどこも雪が無い。
今日は朝から関東並みの快晴で、青空が眩しい。 青春小説の書き出しに良いような気持のよい爽やかな朝。
この頃は戦争とか、社会問題とか殺伐とした本を読むことが多くなった、老後の生き方とか、時代資料、昭和戦争の背景とか、夢も希望もない本ばかり読んでいる。

 そうか「青春小説」とは、しばし忘れていたなあ、戦国時代にのめりこんだのは成人してからだから、高校生まではずっと青春小説にハマっていた。
石坂洋次郎の小説はテレビでもドラマ化されて、スグロホマレ、オオゾラマユミなんて俳優が出ていた記憶が。 「陽のあたる坂道」もあったたな、吉永小百合で映画化されたような気がする、裕次郎だったかな・・・忘れた。
あと石原慎太郎のラグビー小説「青春とはなんだ」なんて何回か読みかえしたなあ。 青春時代からはもう50年も過ぎたが、どこかにまだ青春は残っている。 そうだ高校生頃に買った本がまだあるはず、ようやく時間を好きなように使えるようになったんだから、もう一度読んでみようかな。
小説書いたり、日記の整理をしたり、小雪読んだり、散歩したり、DIY、あるようでない時間、こりゃ忙しくなるぞ。




暑い日 北杜夫のこと

2022年07月01日 08時01分36秒 | 読書
ときどきだけど妙にワクワクするときがあります。
誰にでも日によって躁鬱気分はあるようだ。 楽しくて楽しくて仕方ないとき、奮い立たせようとしてもマイナス思考から抜け出せないとき
高校生から20代にかけて読んだ「ドクトルマンボウ」シリーズ、北杜夫さんは、精神科の医師でもあり、自ら躁鬱症と公言していた。
父は歌人斎藤茂吉、兄は精神科医でエッセイストの斎藤茂太
マンボウシリーズの他にも好きなのがたくさんあるが
「牧神の午後」の間延びした怠い内容は今の私のままで
読み返して見たくなった。
数十冊あった彼の本も処分して今は、これと「木精」だけになった
繊細な心の内面をこれでもかとえぐり出し、なのに爽やかで、大草原のように空間が果てしなく広がっている
重いけれど軽快で読後感がスッキリする良書だ
私の青春時代を支えてくれたことは間違いない。



昨日は
「今日こそ富山市の美術館へ行くぞ」と電車の時刻表を調べて張り切っていたが、さすがに36度にはかなわず、テレビもコロナ同様の「不要な外出はしないように」というからくじけてしまった。
それでも大谷くんのリアル二刀流があったのでエアコンをかけたマイルームで退屈せずすごせた。
しかも無失点勝利7勝目、打撃ともども登り調子、気分よし!

夕方は餃子造りをして、食後少しは涼しくなった外を散歩した
わざと緩やかな高低差30mほどの登り道コースを30分歩いた。
帰ってすぐ、シャワーでさっぱり、やっぱり夏はいいなあ。
小さな庭でも借景の緑と青空をぼ~っと眺めている時間が幸せなひととき。
南と西が遠くまで開けているこの家が気に入っている、身分は居候だけど(笑)

片づけ前の写真で、お見苦しい
今は幼稚な花壇を造り、花の色が目に良い


時間つぶし

2022年06月11日 13時16分42秒 | 読書
無職になって(リタイア?)半年、暮らし方では日曜だけが「浜辺で一日」が定まった。
せっかく死ぬまで自由の身になったのだからライフワークを早く見つけなければ
でも基本はわかっている「旅」だ
月一でもいいから継続的にやり続ける事だ
それが、寺社巡り、ルーツ旅、城巡り、温泉、名物を食べ歩き、なのかはわからないが
インフルエンザ接種もそうだが、私は行動を起こすまでにかなり時間がかかる
いわゆる「愚図」なのだ
そのかわり一度やるとのめり込む
早く一回目をやることだ

浜辺で読書もパターン化した
「流転の海」宮本輝、全9巻を読み終えた
今は明治の政商たちの毒々しい生き様を書いた「明治の怪物経営者たち」を間もなく読み終える
企業メーカー渋沢栄一、三菱岩崎弥太郎、中上川彦次郎、大倉喜八郎などを描く
薩長新政府のトップと人脈を持ち、現代日本の大企業を築いた超人たち、なかなか面白い

これを読み終えたら7世紀の日、中、朝(三国時代)の戦争の歴史を読む「白村江の戦」異説である




久しぶりに書店で本を買った

2022年05月11日 09時03分31秒 | 読書
夕方思い立って「蔦や」へ行って本を4冊買ってきた。
通販の便利さを知ってからは本は送料無料のアマゾンで買っているが、地元でも買えるなら地元でいいわけだ。
買う本のジャンルは決めていたので、すんなりと見つけることが出来たがそれでも目移りして30分くらい居た。
小説とかの類いではなくてHow toばかり買った、生活が180度変わって仕事人間から家庭人間に変身したからには、とことんそれをつき詰めてみるよう。
「あした死んでもいい暮らしかた」寂しくなるようなタイトルだが、昨日、女房どのの友達が72歳で急死した、それを思うと命に保証はないと言うことが身に浸みた。 この本は覚悟を決めて生きる粮になるかも知れない。
それだからこそ逆に長生きするぞ!という気持ちも起きてくる
「腸日記」はまさに「ぴったしどん!」の本だと思った、なかなか面白そうだ。最近の体調は完璧と言えない、特に消化器系と目の症状は健康ではない
さらっと内容を見たら、けっこうその辺りに詳しい、それはコロナ渦の我慢とか、私のように人生転換期、セカンドライフの始まりのストレスから起こることがあるらしい・
この本の付録についている日記を書くことで改善すると書かれているから、まずは興味深いのだ。

「リフォーム本」は年季の入った我が家を徹底的にリフォームというより見た目きれいにしたいという気持ちだ。
とにかく71年の人生で家に力を入れるのは始めてのこと、最近家をかまうのが楽しくなってきた。
隅々のホコリをハンディ刷毛で書き出したり、フローリングのワックス掛け、汚れていたガラス磨きなどで、寝たきり老人世帯で出来なかった事をこの1ヶ月で、徐々に始めている。
昨日はアマゾンで「はじめての水彩色鉛筆」という本を買って、趣味の範囲も広げようと思っている、また小さな庭の整頓もこれからの楽しみだ。

今日は買ってから20年、ほとんど手つかずのクラシック全集からハイドンのセレナード、フェラーリのマドンナの宝石、など収録のアルバムを聴きながら本を読んでいた。
こんなゆとりある時間を過ごす贅沢は人生初である、このような生活をこれからも続けられるなら幸せである。



最近の読書

2019年07月15日 18時34分05秒 | 読書

小説を読んでいる、上下二冊組の単行本

舞踊の先生が届けてくれた「yottin、この小説はたぶんあなた向きと思うから

読んで見る」とか言ってくれたのだと思う

その時は大姉御3人に囲まれて、唯一人日本酒を飲んでいたので、はっきりとは

覚えていないのだ

舞踊の先生はただ者では無い、若い頃は保母さん~園長さんまでやっていたようで

幼い頃のわが女房殿もそこの園児だったとか、その頃から女房殿は物怖じしない

腕白娘だったと聞かせてくれた

その後生保のセールスレディを経て、高級着物などのチェーン店の店長として

最高のセールスを成し遂げた凄腕

高齢の部に入っても「あれは女親分だ」と友だちが陰口する程、未だにど迫力ある

その方が一回りも若い私を気に入って可愛がってくださる、同じ干支なので・・・か?

気も合うし、話しも合う、とにかく先生とよばれる方だけにお話好きで上手だ

携帯なんかをかけると油断すると30分は捕まってしまう

そんな方が届けてくださった小説は、作者に興味ない私は誰の小説か未だに知らない

タイトルもうろ覚えだが「森の中の海」ではなかったろうか

神戸地震に遭遇して家が破壊されたことで夫の浮気がわかり、二重のショックなのに

相手の資産家女性は既に妊娠していて夫は離婚再婚を決めていたところまで発展

二人は結婚前から交際があったらしく、姑も浮気相手との結婚に大乗り気だと知って

茫然自失

元気で明るい妹の家に子供と一緒に世話になり、少しずつ心の整理がついてくるのだった

思わぬ遺産が彼女に舞い込んでくる、舞台は奥飛騨へと移っていく・・・・

まあここまで読み終えたわけで、なかなか展開が早くて今後が期待出来るのです

私の読書は合間読書なので、一日10ページ程度、鈍牛のようです

まあ新聞小説を読んでいると思えば、それでも結構楽しめます

もっともこれだけでなく併読しています

「武士の起源」を徹底的に追求している研究書、多くの古文書を解読駆使して書かれている

大化の改新以前から調査は始まり、天皇、藤原氏、有力豪族、地方の豪族、国司、地頭

武士に変化していくのはどれなのか?どのように変化していくのかを詳しく書いていく

 

「川中島の戦い」、小説ではありません,どちらかと言えば歴史研究書

どういう時代背景があって川中島の決戦が5回にわたって行われたのかという疑問を

解剖している興味深い資料です、とにかく資料が多い

各地の有力武将の領土で起きた饑饉、天災、一揆など時系列で書き連ねてある

そしてどのタイミングで敵地へ攻め込んでいくのか、それらが併記されていて

(なるほど、こうして戦が起こるのか)と納得させてもらえる

 

「仏教入門」これは読み始めたばかりで、自分を磨くのに良いかもと思って読み始めました

「夢中問答集」夢窓国師の禅問答集、なかなか難解で停滞中

「足軽たちの戦場」華々しい活躍の戦国武将ではなく、それらの武将に従って戦場を渡り歩く

足軽達の活き活きとした生活が浮かびあがる

渡り中間(ちゅうげん)裏切りなんて感覚はない、条件が良ければすぐにトラバーユ

敵だ味方だなんて感覚は持ち合わせていないから、敵方の足軽の賭場にも平気で出入りする輩

命がけの戦争に駆り出されての役得は「人獲り」と「強奪」「女性に対する狼藉」

「これがなくちゃやってられっかい!」というセリフが聞こえてくるような気がする

これは「武士の起源」とも共通する部分が多々出てくるので面白い

 

若い頃は一日で一冊読むこともあったけど、老眼が入ってきてからはちょっと読書も

おっくうになった、でも読み出すと止まらないのは、やはり根本が読書好きだからですね

 

 

 

 

 


本の匂い

2019年02月16日 10時02分27秒 | 読書

いよいよ私の新年会も佳境に入って、この5日間に4日新年会参加

今夜が4連戦最終日で『地酒の新酒を味わう会」ということで、まさに酒のイベント

最後を飾るに相応しい、もっとも一週間後に新年会、そのあと別の地区の

新酒会に参加する、もうしばらくは日本酒浸りである。

 

先日、新刊書がアマゾンから届き、早速開いて読み出した、すると久しぶりに嗅ぐ

懐かしい香り・・・本の匂いだった

小学校4年生から本格的に読み出した本、小学校の図書館に毎日の様に通った

おどろおどろした「雨月物語」「太平記」、ここから始まった気がする

「のんちゃん雲に乗る」はなぜか懐かしい

やがて痛快な「太閤記」に夢中になり、そのあとは野口英世などの伝記にのめり込んだ

でも手垢の付いた古い図書館の本には本の匂いがない

6年生の時、学校前の本屋へ行ったらずらーっと「徳川家康」「豊臣秀吉」などと言った

漫画日本伝記みたいなシリーズ本が並んでいた、表紙は厚いボール紙で一冊100円が

今も印象に残っている。 漫画雑誌が40円から50円の頃だからそれほど高いとも思わないが

当時の小遣いは1日10円だから手が出るものではなかった

それでも欲しくて、とうとう一冊だけ買った、あのときの新刊の匂いは今も頭に焼き付いている

だけど本の匂いは、そのようなインクの良い匂いだけではない、本そのものの懐かしい想い

思いでの匂いもある

あの匂いがどんな匂いかと聞かれても表現出来ない、それは今でもたまにそよ風のように

一瞬だが頭の中をよぎっていくことがある、290円の新潮社文庫「川端康成」「石原慎太郎」

などの赤い箱に入った全集、あれを買っていた頃にも、その香りがある

同じ全集ながらそれより立派なランク上の全集では嗅げない懐かしい香り

 

もっと古い時代にもあった

小学校1年の時、引っ越して今の住所にやってきたのだが、30m位のところに同級生の女子

由美子の家があった

近くで同じクラスだったから一緒に帰ってくることが多かった、そんなことで彼女の家に遊びに

行くこともたまにあった

お互い最初の以西の友だちだったのだ。 当時は知らなかったけれど彼女の両親は県職

(地方公務員)で転勤族だったのだ、だから彼女はこの土地で生まれた子ではなかった

そんなことは知るよしもなくいつまでも友だちでいられる気でいたのだった

彼女の家は借家で質素だったが、彼女の部屋はあった、その部屋へ行くと本箱が有り

何冊かの本が置いてあった。

その中の「魔法の絨毯」が私のお気に入りで、貸してもらったこともある

でも2年生の時、突然彼女が転校する事になって先生がお別れを告げて、彼女はみんなの前で

挨拶をした、私はなんとも情けない気持ちになったが彼女に向かって「あかんべい」をした

虚勢を張って見せたのだった

あれ以来60年近く彼女に会ったことがない、お互い白髪の目立つ歳になった、会って話したい

気もあるが、彼女にしてみれば10回近く転校した中の2~3年、まして小学校1年ではほとんど

思い出に残っていないはずだ

でも「魔法の絨毯」のあの懐かしい本の香りは今でも私の心の中に僅かに残っている

 

 

 


小説を書く

2018年10月08日 08時30分36秒 | 読書

「書いてくれ書いてくれ」とせかされる

書き始めると、あなたの言葉は溢れるほどに次々と出てきて、ペンを推し進める

私はあなたの代筆者、ただペンを持って用紙にむかっていれば良い

そうか、ペンも用紙も無かった。 ぼくはキーボードに指を置いていただけ

あなたの言葉が僕の指に、キーボードを叩かせる

止めどなく、休ませもせず、ずっとたたき続ける

でも僕はちっとも疲れないよ、だって僕もこの時間を楽しんでいる

きみは僕の指を使って語る 生前に語ることが無かった言葉を・・・・・

どんどん語って良いんだよ、ぼくが代わりに伝えてあげるから


カフカの変身

2017年07月14日 13時21分56秒 | 読書

カフカという人の小説に「変身」というのがある

起きてみたら自分サイズの昆虫に変身していたお話

朝起きたら「**になっていた」というパターンは多い

私は夢の中で「木」に変身したことがある

なぜ木になってしまったんだろう

伏線はある、何の映画かは思い出せないが

自殺した人は「木になる」というのがあって、それが心の奥でとどまっている

私は夢の中で自殺したわけでは無い

人間だったのに、突然「おまえは人間だと思っていたのか」と天の声が

「僕は人間だ」と言いながら、気がつくと僕は木だった

木であるという事実、何が怖いかと言えば自力で動けないということ

それから顔も手も足も何も無い、ところが心はあるんだ

考えているんだ、何をって?(自分が木だってことを)不思議だろ

木なのに、考えているんだ、でも木も花も、いきものだって、それだったら心があったっていい

オズの魔法使いのブリキだって、かかしだって心や脳があったんだから

でも木は木で、人間じゃ無い  心はあっても動けない、恋愛も出来ない、食べることも出来ない

どうせ変身出来るなら、食べたいものをどれだけ食べても、満腹もせず、太りもせず、病気にもならない

そんな人に変身したい