hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

高水裕一『時間は後戻りするのか』を読む

2021年01月31日 | 読書2

 

高水裕一著『時間は後戻りするのか 宇宙から量子まで、可能性のすべて』(ブルーバックスB-2143、2020年7月20日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

「時を戻そう」は可能になるのか?

自然界の多くは対称性をもっているのに、
なぜ時間は一方向にしか流れないのか?
古来、物理学者たちを悩ませてきた究極の問いに、
ホーキング博士の晩年に師事し薫陶をうけた著者が、
理論物理学の最新知見を縦横に駆使して答える。
量子レベルで観測された時間の逆戻りとは?
時間が消えてしまう宇宙モデルとは?
読めば時間が逆戻りしそうに思えてくる!

 

第1章「時間」に目覚めた人類/第2章 時間のプロフィール/第3章 相対性理論と時間/第4章 量子力学と時間/第5章 「宿敵」エントロピー/第6章 時間は本当に1次元か/第7章 量子重力理論と時間/第8章 サイクリック宇宙/第9章 始まりなき時間を求めて/第10章 生命の時間 人間の時間/第11章 誰が宇宙を見たのか 

 

時間が逆転しないという物理法則の唯一は「熱力学第二法則」=「エントロピーは常に増大する」。しかし、素粒子一つ一つの動きを見る量子的スケールでは、時間が逆転することもありうる。量子コンピュータに関する実験結果からレソビク博士は「量子力学の世界では、失われた秩序さえも巻き戻せることが示された。熱力学第二法則に反する挙動は、量子の世界では達成される」と述べた。

 

超弦理論では主役が弦から「ブレーン」と呼ばれる膜へ移行するブレークスルーがあった。

一方、ロヴェッリが指導する対抗するループ量子重力理論では、時空を量子化して、時間にも素粒子サイズの「大きさ」があることを示し、ついに時間の存在そのものを消してしまった。

 

ホーキングは宇宙の始まりの計算できない特異点を解消するため「虚時間」を導入した。

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

時間が逆転可能かというテーマだけでなく、量子力学の最新理論についても最低限の知識を解説している。語り口は易しく軽快で、興味を引くたとえなどを引用しながら解説している。あえて言えば、へんてこなたとえ話が気になってしまうこともあったが。

 

私は、「ブレーン」と呼ばれる膜へ移行した超弦理論や、ループ量子重力理論は知らなかったので、分かりやすい、というか分かった気にさせる説明には感心した。

 

時間逆転は、それは理論的にはありうるだろうと想像していたので、不思議とは思わなかったが、逆転するとどうなるのかがはっきり書いてないのが不満だ。サイクリック宇宙モデルだと、過去から延々と歴史が繰り返されているとの話があったにだが、どうゆうこと?

 

 

高水裕一(たかみず・ゆういち)

京大学大学院理学系研究科ビッグバンセンター特任研究員。2012年、京都大学基礎物理学研究所PD学振特別研究員。2013年、英国ケンブリッジ大学応用数学・理論物理学科理論宇宙論センターに所属し、所長を務めるスティーヴン・ホーキング博士に師事。2016年より現職。
専門は宇宙論。近年は機械学習を用いた医学物理学の研究にも取り組んでいる。
著書に『知らなきゃよかった宇宙の話』(主婦の友社)、本書。

 

以下、メモ

 

何もない「無」から宇宙が誕生してから「10のマイナス34乗秒」後までのあいだに、クォークができた。3分ほどで水素とヘリウムができた。水素とヘリウムのガスが1カ所に集まって星(自ら輝く恒星)ができ、星自身の重さの圧力で周期律表にある26番目の鉄までが出来た。星がつぶれて爆発し(超新星爆発)、すさまじいエネルギーでコバルト以降の重元素が作られた。

 

周期律表にある元素でできる物質を「バリオン」という。宇宙全体からみればバリオンは超マイノリティーで5%にも満たない。宇宙の7割を占めるダークエネルギー、バリオンの5倍もあるダークマターと、人類にはいまだに分かっていないものが宇宙の大部分を占めているのだ。

 

S=klogW    S : エントロピー、k:ボルツマン定数、W:状態数

 

量子的スケールでは時間が逆転することもありうる。

 

宇宙の形状は、曲率=0の平坦、曲率>0の球体、曲率<0の鞍形のうち、実際の観測では現在のところどこまでも平坦。

一般相対性理論のアインシュタイン方程式

Rはリッチカラー、左辺は時空の曲がり具合で曲率、右辺はその時空に存在する物質やエネルギーの量の大きさ。

 

人間原理:宇宙の構造ができた原因を、それを観測した知的生命(一応人間とされている)に求めるという不可解な考え方

宇宙にはさまざまな自然定数があり、ある量とある量の比が、なぜかあり得ないほど絶妙にチュー二ングされている。だからこそ奇跡的に人類が誕生できた。
歴史が何回も繰り返されるというサイクリック宇宙モデルではこれらがある程度説明できる。

 

トリビア

  • 3月14日は、「ホワイトデー」、「πの日」、「アインシュタインが生れた日(1879年)」、「ホーキングが亡くなった日(2018年)」
  • 秒の定義:古くは「心臓の鼓動の長さ」、「腕の長さ程度(約1メートル)の棒の振り子が反対に触れるまでの時間」、現在では「セシウム利用原子時計での秒の定義」(3000万年に1秒)、次は「光格子時計」(誤差100億年に1秒)、遠い将来は「天体のパルサー」(誤差100億年で001秒)
  • フランスのカレンダーは月曜日から始まる。イスラム圏では土曜日から始まる。
  • アボガドロ数は10の23乗、人の細胞は37兆個=10の13乗、DNAの中の塩基は約60億個=10の23乗個
  • 宇宙誕生から約138億年。地球から宇宙の端まで465億光年。

 

 

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須賀敦子の略歴と既読本リスト

2021年01月30日 | 読書2

 

須賀敦子(すが・あつこ)
1929年兵庫県に生まれ。イタリア文学翻訳家、日本文学のイタリア語への翻訳家。随筆家。
1951年聖心女子大学文学部を卒業。慶応の大学院を中退し、フランス留学。
1958年イタリア留学。1961年、コルシア書店のペッピーノ・リッカと結婚。
1967年夫が急逝し、1971年日本に帰国。
慶応大学国際センターで事務嘱託となり、廃品回収業の純益を福祉事業に当てるという「エマウスの家」を設立し、週4日ほど寝泊まりして若いボランティアを指導した。
1981年(52才)慶應義塾大学文学博士号取得
1982年上智大学助教授、いくつか翻訳書刊行
1989年(60才)上智大学比較文化部教授
1990年『ミラノ 霧の風景』を刊行、翌1991年女流文学賞、講談社エッセイ賞受賞。
1992年『コルシア書店の仲間たち
その他、『トリエステの坂道』『ヴェネツィアの宿』『ユルスナールの靴』『遠い朝の本たち』『時のかけらたち』『須賀敦子の手紙』など
1998年69歳で死去。

その他、童話『こうちゃん』、川上弘美選『精選女性随筆集 第9巻 須賀敦子』、大竹昭子著『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』、湯川豊編『須賀敦子エッセンス 1 仲間たち、そして家族』『須賀敦子エッセンス2 本、そして美しいもの

 私のブログ「須賀敦子の世界展へ」見学記録

 

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ウィリアム・トレーヴァ―『ラスト・ストーリーズ』を読む

2021年01月29日 | 読書2

 

ウィリアム・トレーヴァ―著、栩木伸明訳『ラスト・ストーリーズ』(2020年8月7日国書刊行会発行)を読んだ。

 

国書刊行会の宣伝文句は以下。

2016年に惜しくも逝去した名匠トレヴァー、最後の短篇集がついに登場。妻の死を受け入れられない男と未亡人暮らしを楽しもうとする女、それぞれの人生が交錯する「ミセス・クラスソープ」、一人の男を愛した幼馴染の女二人が再会する「カフェ・ダライアで」、ストーカー話が被害者と加害者の立場から巧みに描かれる「世間話」、記憶障害をもった絵画修復士が町をさまよい一人の娼婦と出会って生まれる奇跡「ジョットの天使たち」など、ストーリーテリングの妙味と人間観察の精細さが頂点に達した全10篇収録。

「ピアノ教師の生徒」
50歳を超えたピアノ教師ミス・ナイチンゲールが初めて教える少年が最初の音を鳴らした時、天才だと思った。しかし、少年が帰ると毎回何かが無くなっていた。芸術の価値と人格は……。


「足の不自由な男」
50歳に手が届くマーティーナは遠い親戚にあたる足の不自由な男と農場で同居している。流れ者の二人組に塗装を依頼する。

「カフェ・ダライアで
アニタはかってTVにも出演するダンサーで、今は出版社の原稿審査を引き受けていた。いつものようにカフェ・ダライアで仕事をしていると、幼馴染のクレアが入ってきた。かってクレアはアニタの夫・ジャーヴァスを奪い去ったのだ。クレアは和解を望んでいるが、アニタは許す気にならない。そして今、アニタは彼が死んだと告げにきたのだ。

「ミスター・レーヴンズウッドを丸め込もうとする話」
シングルマザーのロザンヌは銀行員。口だけ達者な娘の父親・キースは、銀行の顧客で金持ちのレーヴンズウッドがロザンヌに言い寄ったと信じ込み、金を巻き上げようとロザンヌに持ち掛ける。

「ミセス・クラスソープ」
トレーヴァ―のおそらく最後の作品。55歳だが若く見え、45歳と自称するクラスソープは72歳の金持ちの夫が死去したので未亡人暮らしを楽しもうとしていた。一方、エサリッジは重い病気の妻・ジャネットを看病する。以下、二つの話が交互に進む。クラスソープは刑務所のデレクに面会する。クラスソープは妻が死んだ後のエサリッジに再会し、……。デレクはクラスソープの……。

「身元不明の娘

交通事故でエミリー・ヴァンスが死んだ。葬式の司会を依頼された牧師がハリエット・バルフォアの家を訪れ、彼女についても情報を訊ねた。彼女はわずかな期間家政婦として働いていて、息子スティーブンと目配せしていたのを目撃したが、牧師には何も言わなかった。エミリーは自殺だったとの噂もあった。

「世間話」
37歳の美しいオリヴィアは離婚して生活を楽しみ、男性と同居中だが結婚するつもりはない。石段で転んだ時、ヴィニクムに助けられた。以後彼はしつこくオリヴィアに付きまとう。ある日、妻が訪ねてきて、ヴィクニムは女をつくるような男じゃなく、家族思いの夫だった。それだけに始末がわるい、と嘆く。


「ジョットの天使たち
41歳の絵画修復士コンスタンタインは記憶障害で、あるはずない教会を探して町をさまよう。デニーズという娼婦を知り合い、……。

「冬の牧歌
ヨークシャーの荒野に建つ豪農屋敷に住む12歳のメアリー・ベラをひと夏だけ、22歳のアンソニーが家庭教師となる。地図製作者となったアンソニーは、二コラと出会い、結婚し、二人の娘の父となった。ヨークシャーを訪れたアンソニーはメアリー・ベラを訪ね、その後も何度も再訪した。

「女たち」
セシリアは父ノーマントンに育てられ、母は亡くなったと聞かされていた。彼女は寄宿学校に入り、まもなく学校生活を楽しむようになった。ミス・コ―テルとミス・キーブルは役所を早期退職した58歳だった。二人はセシリアに付きまとい、ついに、「ねえ、ミス・コ―テルはあなたのお母さんなのよ」を言う。実は二人は……。


「アイルランドが生んだウィリアム・トレーヴァ― ――かなり長めの訳者あとがき」 

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

しっかり説明しないので、つい読み飛ばしてしまう。肝心なことが意識的に省略されるので、推測しないといけない。読者をミスリードしようとしていて、まるでミステリー小説だ。

例えば、「ミセス・クラスソープ」で、デレクはクラスソープの愛人ではなく、息子なのだ。しかも、露出狂らしい。そんなことが、かすかに暗示されている。「女たち」の最後もひっくり返しになっている。

 

80歳を過ぎで、たくらみのある繊細な筆を駆使したトレーヴァ―はたいしたものだ。しかし、読みやすくはない。

 

ウィリアム・トレーヴァ― William Trevor

1928年~2016年。アイルランドのコーク州生まれ。トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師、彫刻家、コピーライターなどを経て、60年代より本格的な作家活動に入る。

1965年、第二作「同窓」がホーソンデン賞を受賞、数多くの賞を受賞している(ホイットブレッド賞は3回)。

短篇の評価はきわめて高く、初期からの短篇集7冊を合せた短篇全集(1992年)はベストセラー。現役の最高の短篇作家と称され、ノーベル文学賞候補にもたびたび名前が挙がった。


長篇作に『フールズ・オブ・フォーチュン』(論創社)『フェリシアの旅』(角川文庫)『恋と夏』(小社刊)、短篇集に『聖母の贈り物』『アイルランド・ストーリーズ』『異国の出来事』『ふたつの人生』(以上小社刊)『密会』(新潮社)『アフター・レイン』(彩流社)などがある。


栩木伸明(とちぎ・のぶあき)

1958年生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授。専攻は現代アイルランド文学・文化。
著書に『アイルランド紀行』(中公新書)『アイルランドモノ語り』(みすず書房、読売文学賞受賞)、訳書にキアラン・カーソン 『シャムロック・ティー』(東京創元社)コルム・トビーン『ブルックリン』(白水社)ブルース・チャトウィン『黒ケ丘の上で』(みすず書房)などがある。

 

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Chris Bakeryでランチ

2021年01月28日 | 食べ物

 

と言っても、東急吉祥寺店3F武蔵野マルシェの「Chris Bakery」でサンドイッチとミルク、ジュースを買って、前にあるベンチで食べた。

パンがあまりにも美味しく、食パンも買って、お持ち帰り。

一か月以上あいた不要不急(?)のお出かけで、さらに歩き回ってくたびれて、
コーヒーとケーキのカフェ Bo-peep(ボーピープ)で一休み。

ここは、半年で 5回目

 

本日は、苦みが強い銘柄とのことだったが、確かに! 


カップとソーサーはロイヤル・ドルトン

 

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岩井圭也『夏の陰』を読む

2021年01月27日 | 読書2

 

岩井圭也著『夏の陰』(2019年4月26日KADOKAWA発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

出会ってはならなかった二人の対決の行方は――。「罪」と「赦し」の物語。

運送会社のドライバーとして働く倉内岳は、卓越した剣道の実力を持ちながら、公式戦にはほとんど出場したことがなかった。岳の父である浅寄准吾は、15年前、別居中だった岳と母の住むアパートに立てこもり、実の息子である岳を人質にとった。警察との膠着状態が続いた末、浅寄は機動隊のひとりを拳銃で射殺し、その後自殺する。世間から隠れるように生きる岳だったが、自分を剣道の道に引き入れてくれた恩人の柴田の願いを聞き入れ、一度だけ全日本剣道選手権の京都予選に出場することを決意する。予選会の日、いかんなく実力を発揮し決勝に進出した岳の前に、一人の男が立ちはだかる。辰野和馬、彼こそが岳の父親が撃ち殺した機動隊員の一人息子だった。「死」を抱えて生きてきた者同士、宿命の戦いが始まる――。

 

倉内岳:亀岡剣正会の剣道四段。旧姓浅寄。サワノ運送の配達員。27歳。母親は香奈子
浅寄准吾(あさより・じゅんご):岳の父親。香奈子の元夫。
柴田:亀岡剣正会代表。
植木:亀岡剣正会副代表。植木武道具の店主。娘は高校生の優亜
辰野:京都府警。父は岳を助けて浅寄に撃たれた泰文。母は千冬(かえで)は幼馴染。

 

 

岩井圭也(いわい・けいや)

1987年生れ。大阪府出身。北海道大学大学院農学部終了。
2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞受賞。

他、本書『夏の陰』『文身』『プリズン・ドクター』

小学5年生から剣道を始め、十数年続けた。公式戦に出場したことはなく、いつも控え。

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:お勧め)(最大は五つ星)h

 

話がダラダラして長い。もっとキリリとコンパクトにまとめて欲しい。父が犯罪者であるひけ目による辛い出来事を何回も引っ張る。犯罪者の息子が差別される状況は理解できるが、本人は自分が悪いわけではないのでぐじゅぐじゅせずにちゃんとしてろ!と思う。
まあ、俺には剣道しかないという気持ちは理解できるが。

 

辰野の方も、なんで当時中学生の岳を恨むのかようわからん!

 

剣道の試合のシーンはオモロなかった。剣豪の果し合いシーンなら絵空事なので大げさな文でも乗っていけるが、実際の試合の描写では派手な部分は漫画チックだし、リアルだと地味だし、ぱっとしなかった。

 

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エスプレッソ・マシーンを5年使ってみて

2021年01月26日 | その他

 

エスプレッソメーカー

本格的なエスプレッソをいれられるネスプレッソ社のコーヒーメーカーを使ってちょうど5年になる。簡単にエスプレッソをいれることができて便利な機械だ。
なお、ドリップなどでいれるコーヒーと違って、コーヒー豆に圧力をかけながら抽出するのがエスプレッソで、その量も少なく、約25mlほどだ。ここでは110mlのルンゴを含めてエスプレッソと言っている。

 

以下、良い点、悪い点も含めて使い心地を述べる。ただし、私自身ではこの会社のこの製品しか使っていないので、他社、他機種との比較はできない。

 

私の持っているエスプレッソメーカーは、INISSIA(イニッシア)C40RE。幅12㎝、高さ23㎝、奥行32.1㎝と小型な家庭用で、手軽に高圧力(最大19気圧)をかけて本格的エスプレッソをいれられる。現在では、いくつかの新機種が販売されていて、約400mlと容量の大きいエスプレッソまで入れられるようだ。

 

エスプレッソをいれる

  • エスプレッソメーカーの水タンク(上の写真の奥にある)に水を入れ、電源を入れ、上部のボタンのいずれかを押して加熱を開始させる。



  • 約30秒余熱後、準備完了となりボタンが点滅から点灯に変わる。加熱時間が短い!

  • レバーを上に垂直まであげて、コーヒーカプセルを挿入口に入れる。



  • レバーを下に閉じて、コーヒー抽出口の下にカップ(写真は約150ccの小さなカップ)を置く。


側面のワッペンは無関係。「国境のない医師団」から送ってきたもので、剥がそうとしたが簡単にははがれなかった。何にでもワッペンをペタペタ張りたがる子供みたいな人がいて困る(それは私です)。

 

  • 下の写真の下側のエスプレッソボタン(約40ml)か、下の写真の上側のルンゴボタン(約110ml)を押せば、高温の湯が約19気圧の高圧でカプセルに注入され、カップにコーヒーが抽出される。 ( )は初期設定の場合。



  • カップを取り出して出来上がり。レバーを上にあげると、カプセルがコンテナに落ちて、レバーを戻せば操作はすべて完了する。

 

これだけの手順なら私でも覚えられるし、簡単にエスプレッソを淹れられるのは便利だ。コーヒーの粉を扱う必要もなく、後片付けもほとんど必要ない。

 

 

コーヒーカプセル

コーヒーのカプセル(グラン・クリュ)は、ネスプレッソ社が数限りなく多数種を取り揃えている。
好みの品種の、下に示した写真の3本の矢印の内の一番上のルンゴカップ(約110ml)や、真ん中の矢印の高濃度・少量のリストレットカップ(約25ml)や、一番下の矢印のエスプレッソカップ(約40ml)と量が異なるコーヒーを選択して、1本10個入りを何本か購入する。販売店がまだ少ないので、ネットでの購入が便利だ。

 

メンテナンス

メンテナンスは簡単だ。下の写真のように、水タンクは簡単に外せるのでときどき新しい水に取り換える。取説には、毎日水は取り換えて、一日の最後に湯通ししてくださいとあるが、私は気づいたときに適当に行っている。
また、数回飲んでコーヒーカプセルが左のカプセルコンテナに満杯になったら、上げたレバーが下へ戻らなくなるので、コンテナを引き出して、中の使用済みカプセルを捨てる。

コンテナは以下の写真のようにバラバラになり、気づくとコーヒーが隅にこびりついているので、たまに洗った方が良い。

また、しばらく使用しなかったときには、機械の中の湯通しをする。私はたまにカプセルを入れずに、台にカップを置いて、ルンゴボタンでお湯を機械に通してカップ入れ、濁らなくなるまで繰り返している。取説には3回とある。

さらに、取説には湯垢洗浄剤を使った複雑な手順の湯垢洗浄の方法が書いてあるが、私は面倒なのでたまに湯通ししているだけだ。日本の水は軟水なので厳密な湯垢洗浄は必要ないのではと勝手に解釈している。

 

 

私が思う欠点

  • 二つのボタンをいろいろな使い方しないといけないので操作方法がややこしい。省エネモードの設定・変更、抽出量の設定・初期設定への変更などを二つのボタンだけで行なうのは複雑で、取説を見ながらでないと困難だ。
    私は、抽出量が時々おかしくなるので(多分誤操作したのだろう)、初期設定への変更手順だけをクイックガイドに従って行っている。(電源ON(二つのボタンが点灯)状態で二つのボタンを同時に押して消灯してから、ルンゴボタンを5秒以上押すと、ボタンが3回点灯し、抽出量が初期設定に戻る)

  • INISSIAの取扱説明書(PDFでダウンロードできる)の出来が悪い。字は小さいし、絵と説明文が交互に示される形でなく、すべての絵に続いてすべての文章が書かれているので分かりにくい。

  • また、コーヒーのカプセル(グラン・クリュ)の種類が多すぎて、選択に迷う。最初の半年ぐらいはお気に入りのカプセルを探そうと、カタログに付箋を付けたりして頑張ったが、新製品がどんどん販売されて、名前がイタリア語(?)で覚えられず、選定は適当にいい加減に行うことにした。カプセルの種類の説明書を読んでも、「際立つ味わいの強さとシロップのような濃密さ」「花のような、木のような香り」などと言われては、理解できない。

 

 

ミルク加熱泡だて器

 

ネスプレッソ社のエアロチーノ3 ( Aeroccino3)を、これも5年使ってミルクを温め、泡立てている。

写真は電源を入れてボタンが赤く点灯している状態。

使い方は単純だ。

エアロチーノ(以下、機器)にミルクを入れる。

見にくいが、機械の筒の内側側面の左下の2つのマークの内、低い位置にあるのが、泡立てる場合のミルクの最大容量で、高い位置が泡立てないときの最大容量を示している。

蓋をしてボタンを押せば赤く点灯し、約2分で泡立てと温めが終り、ボタンが消灯する。あとはミルクをカップに注ぐだけ。

 

使用後の洗浄も簡単だ。

本体を電源部から持ち上げて外し、

蓋を取って、

本体の筒の中の底に磁石で吸い付いている泡立てスプリング付きのリングを外し、

これら、本体の筒、蓋、リングを洗えばよい。

 

 

ミルクを泡立てないで温めるだけの場合は、スプリングを外して、リングだけにして本体にセットして、電源ボタンを押せば、温めたミルクが出来上がる。

スプリングは蓋に止めて置くことができる。

冷たいミルクのまま泡立てる場合は、電源ボタンを約2秒押し続けると、青く光り、泡立てを開始する。
5年目で初めてはじめから取説を眺めて、この使い方を知った。そこで、改めて難解な取説を初めから読んでみて、そして挫折して、自分の頭の整理のためにこのブログを書いたのだ。

 

 

 

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角田光代『銀の夜』を読む

2021年01月25日 | 読書2

角田光代著『銀の夜』(2020年11月30日光文社発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

イラストレーター井出ちづる。夫は若い女と浮気をしている。嫉妬はまるで感じないがそんな自分に戸惑っている。早くに結婚して母となった岡野麻友美。自分ができなかったことを幼い娘に託し、人生を生き直そうとする。帰国子女で独身の草部伊都子。著名翻訳家の母のように非凡に生きたいと必死になるが、何ひとつうまくいかない。三人は女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした。人生のピークは十代だったと懐かしむ。三十代となったこれからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか……。
「これは、私たちにとってやり遂げなくてはならない何かなのだ」

 

中学が同じで、高校で一時華やかなバンド・ディズィの仲間となった3人の女性の友情物語。35歳になり、40歳になるまでに充実感、達成感を実感できるようになりたいと、自分探しをする

 

登場人物

井出ちづる:ちーちゃん。旧姓片山。それほどではないイラストレーター。夫・寿士(ひさし)は浮気。
岡野麻友美:旧姓井坂。早く結婚し、幼い娘・ルナに期待。
草部伊都子:イッちゃん。美人で冷静。母・芙巳子(ふみこ)のように非凡に生きたいと願う。

井出寿士ちづるの夫。技術翻訳の事務所を経営。若い進藤ほのかと浮気をしている。
草部芙巳子:有名な翻訳家。シングルマザーで伊都子を育てた。
宮本恭市伊都子の写真を評価するフリーの編集者。
岡野賢太郎:麻友美の夫。イベント企画会社を創業。
中村泰彦:ちづるの絵を展示しようとするカフェ兼ギャラリー経営者。

 

「あとがき」に角田さんが以下のようなことを書いている。

2017年暮れの大掃除で、覚えのない原稿が出てきた。しかし、登場する女性たちは幼稚でちょっと馬鹿みたいで、彼女たちよりずっと大人になった私が直すわけにはいかない。全部書き直すことになるだろう。彼女たちは彼女たちとして私と無関係のところで生きているように感じた。

 

初出:「VERY」2005年7月号~2007年6月号の「銀の夜の船」を改題。

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの? 最大は五つ星)

余裕ある暮らしの30代女性が自分探しするよくある話であり、自分をしっかり持っていないで、フラフラする。変な男に簡単に引っ掛かってしまい、馬鹿ぶりにイライラする。角田さんの意図がわからない。

 

角田光代の略歴と既読本リスト

 

 

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ハン・ガンの略歴と既読本

2021年01月24日 | 読書2

ハン・ガン(韓江)

1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。
1993年、季刊「文学と社会」に詩を発表
1994年、ソウル新聞新春文芸に短篇「赤い碇」が当選し作家デビュー。
2005年『菜食主義者』で李箱文学賞、2016年にマン・ブッカー賞国際賞を受賞

その他、長編『少年が来る』、短編集『回復する人間』、『ギリシャ語の時間』、『すべての、白いものたちの、エッセイ集『そっと 静かに

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ハン・ガン『少年が来る』を読む

2021年01月23日 | 読書2

 

ハン・ガン著、井出俊作訳『少年が来る』(新しい韓国の文学15、2016年10月31日クオン発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

『菜食主義者』でマン・ブッカー国際賞に輝いた、ハン・ガン渾身の物語
あの光州で起きた民主化運動の鎮魂曲

光州事件から約三十五年。あのとき、生を閉じた者の身に何が起きたのか。
生き残った者は、あれからどうやって生きてきたのか。
未来を奪われた者は何を思い、子どもを失った母親はどんな生を余儀なくされたのか。
三十年以上の月日を経て、初めて見えてくるものがあるーー。
丹念な取材のもと、死者と生き残った者の声にならない声を丁寧に掬いとった衝撃作。

 

韓国の全羅南道(チョルラナムド)の道庁所在地だった光州(クァンジュ)で1980年5月18日に光州事件(クァンジュ サコン)が起こる。全斗煥(チョン・ドゥファン)のクーデター、これに反対する学生デモ、戒厳軍の激しい暴行、反発する市民のデモへの参加。20万人にふくれあがり、武器庫を襲い銃撃戦になるが、27日に鎮圧された。


この小説は、民衆の蜂起、残虐な弾圧のルポルタージュともいうべき小説だ。光州に生れて9歳まで過ごし、事件の数カ月前にソウルに移り住んだ著者にとって、この作品は光州事件で亡くなった者、生きのびても深い傷を受けた者への鎮魂歌なのだ。エピローグにあるように、ハン・ガンは悪夢にうなされるほどこの事件の調査と現場取材に精魂を傾けながら、三十数年の時空を超えて亡くなった少年たちの魂を現代に招き寄せた。

 

 

トンホ:中学3年生。同居するチョンデを探す。下の兄さんは21歳で3浪中。上の兄さんはソウルで公務員。

チョンデ:背が小さい。16歳。トンホの家に間借りする。姉は紡績工場で働く20歳のチョンミ。

ウンスク姉さん:スピア女子高の3年生。小さな出版社で働き、指名手配中の著者の本の編集担当。

ソンジュ姉さん:裁縫師。事件後は録音とテープ起こしの仕事をする。ソンヒ姉さんは組合の指導者。

チンス兄さん:女の子みたいにきれいな顔のソウルの大学生。

人称代名詞のみで名前が書いてないことが多く、以上、少し間違っているかも。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

第一章、第二章の70頁の大半は虐殺された死体に白い蛆虫が湧くなどのの描写や、取調べで子宮の奥まで30cmの物差しで数十回もほじられるなど、申し訳ないがいくら何でも読むのもうんざり。

市民に対する弾圧が描かれる。表現の容赦のなさは、現実に人々に加えられた容赦のなさに対する想像力の延長にあるものといえる。戒厳軍の銃撃、拷問、死。読んでいてつらい。

 

なんかそんな事件があったなあ、でもあの韓国の話だし。 日本の戦中戦後の特高を思い出す。

 

ハン・ガン(韓江)の略歴と既読本リスト

 

井手俊作(いでしゅんさく)

1948年、福岡県生まれ。1974年、早稲田大学政治経済学部卒。
新聞社勤務を経て2009年に韓国文学作品の翻訳を始める。訳書に崔仁浩の小説集『他人の部屋』と小説『夢遊桃源図』。

 

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1月(1)の花

2021年01月22日 | リタイヤ生活

 

1月8日に届いた花

 

バラ5本、薄紫のデンドロビュームの親戚デンファレが3本、4輪の赤い球のセンニチコウ(千日紅)と、葉だけのポドカルパス。

 

角度を変えてパチリ。

 

2日経過してピンクのバラが大きく咲いた。
デンファレは水の吸い上げが悪く元気がないので、下の花を摘んで茎を切って短くした。

 

5日経過して赤いバラも咲いた。デンファレは先端の6個ほどが蕾のままだ。
赤い玉状のセンニチコウがぐったりして茎が曲がったら“湯上げ”をするとよいと書いてあった。茎の中に入り込んだ空気を追い出して水を良く吸い上げるための方法だが、ネットで調べると結構面倒だし、まだ不要として中止した。

15日経過して、デンファレは元の方の萎れかけた花をカットし、先端の蕾が黄色くなってしまったのでカットした。徐々に先の方の花が咲いてきて、下の写真で先端の一つ手前まで花が咲いた。なお、しぼんでしまった赤いバラ2本を整理した。

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白石玄『たてがみを捨てたライオンたち』を読む

2021年01月21日 | 読書2

 

白石玄著『たてがみを捨てたライオンたち』(2018年9月30日集英社発行)を読んだ。

 

吉田伸子氏の「小説すばる」の書評 (太字化と改行は私)が要領よく解説してくれているので、そのまま引用する。

 

物語を動かしていくのは、三人の男たちだ。
 出版社に勤める直樹は、身重の妻・可南子が激しい悪阻に悩まされており、積極的に家事を引き受けることで、妻の辛さに寄り添っている。そのことを可南子は評価してくれるものの、直樹自身は、仕事ではぱっとしない自分にどこか苛立ちを抱えている。
 大手の広告代理店に勤める慎一は、二年前に妻のと別れて以来、独身に戻ったタワマン暮らしを謳歌するどころか、自分でも原因が分からない空疎さを抱えている。唯一つるんでいる〝連れ〟は、数年前に飲み会で知り合って以来親しくしている弟分のようなフリーライターの須田ぐらい。
 市役所に勤務する幸太郎は、二年前に年上の彼女に手酷く失恋して以来、その傷を埋めるかのようにアイドルにハマっている。精神的にもハードな日々の業務からの逃避と、リアルではイケてない自分から束の間目をそらすための「オタ活」は、幸太郎にとっての〝避難場所〟でもある。

 25歳の幸太郎、30歳の直樹、そして35歳の慎一、と三人の年齢設定と、それぞれの背景が絶妙だ。典型的な非モテ系の幸太郎、とりたててイケてもいないけれど、イケてないわけでもない既婚者の直樹、そしてバツイチで地位もカネもあるモテ系の慎一。一見、共通項がなさそうに見えるこの三人だが、実は抱えている問題の根っこは同じで、それが本書のテーマにもなっている。

 彼らに共通しているのは、〝男性性に対する座りの悪さ〟のようなものだ。妻に対する気遣いはほぼ満点、母親からも「ホントに優しい子に育った」と言われる直樹だが、仕事の面では今ひとつ。花形の出版部から、社内では二軍扱いの雑誌部に配属替えになったこともあり、家庭を犠牲にしてもばりばりと仕事をこなす、いわゆる〝デキる男〟への憧れが、心の奥に巣くっている。

 幸太郎は、小学生時代から〝キモメン〟扱いされてきたことに加え、生まれて初めての恋が、手酷い失恋に終わったことから、女性に対して幻想=一方的な夢しか抱けない。それが大人になりきれないからだとわかってはいるものの、かといってそんな自分を変えることもできない。

 三人の中ではもっとも恵まれているように見える慎一でさえ、妻の本当の気持ちと、自分の愚かさ──男であることの優位性を信じて疑わなかった──に気づくことができたのは、離婚後二年経ってから、ようやくだった。
 本書は男子の自分探しの物語、ではない。そこが本当に素晴らしい。本書は「人間性探しの物語」なのだ。そこにあるのは、女性、男性問わず、自分と向き合って生きることへの、揺るぎない肯定である。

 

初出:「小説すばる」2017年9月号~2018年2月号、「ライオンのたてがみは必要か?」を改題。

 

白岩玄(しらいわ・げん)
1983年、京都府京都市生まれ。

2004年「野ブタ。をプロデュース」で第四一回文藝賞を受賞しデビュー。同作は第一三二回芥川賞候補作となり、テレビドラマ化される

他の著書に、『空に唄う』『愛について』『R30no欲望スイッチ――欲しがらない若者の、本当の欲望』『未婚30』『ヒーロー!』、本書『たてがみを捨てたライオンたち』。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

読みやすい文章、話でスイスイ読めるのは評価する。
しかし、男のプライド、沽券(古い?)にこだわるというテーマだけで最後まで押し通すのは無理がある。短編で十分だと思う。

 

非モテ系、普通、モテ系の3人の男性が登場するが、モテ系のモテモテの場面が少ないので、普通とゴチャゴチャになりそうになる。

 

 

 

 

 

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夫婦のあり方を自民党に決めさせるな!

2021年01月20日 | 世の動向

 

結婚するとき、女性が男性の姓に変えるか、男性が女性の姓に変えるか、あるいは別姓にするかは、当然、二人で話し合って決めるべき事柄だろう。それがどうして、法律で自民党保守派の古い家庭のあり方に強制されて、すべての人が同姓(実質男性の姓)としなければならないのか? 高い信念があるなら、法律で縛るのでなく自分たちの想いを説いて国民を説得してみろ!

夫の姓にしたい女性が実際には多いかもしれないが、法律で強制すべき問題ではないだろう。選択的夫婦別姓制度は世界の常識であり、時の流れを法律で留めようとするのは、いくらなんでももう無理なのだ。選択的別姓に反対する人は、なぜ他人の家庭のあり方を法律でしばろうとするのか。

 

マリさんが織田さんと結婚できるようにしよう!

マキさんが原さんと結婚できるようにしよう!

加奈子さんが大場さんと結婚できるようにしよう!

美枝子さんが清水さんと結婚できるようにしよう!
(シミーズとは女性用下着です。知らないの?)

 

 

くだらなついでに、ジョーク3題

姉の家に行き、夜クレンジングクリームですっかり化粧を落とした顔を見た姉の息子が「おばちゃん、そのクリームぬったらすごく変な顔になったね」

 

入社試験の面接で「家業は何ですか」との質問に、緊張のあまり「かきくけこ!」と答えてしまった。

 

ハワイ焼け 白い部分が 好きな彼

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田中慎弥『完全犯罪の恋』を読む

2021年01月19日 | 読書2

 

田中慎弥著『完全犯罪の恋』(2020年10月26日講談社発行)を読んだ。

宣伝文句は以下。

「私の顔、見覚えありませんか」
突然現れたのは、初めて恋仲になった女性の娘だった。

芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る四十男である「田中」。編集者と待ち合わせていた新宿で、女子大生とおぼしき若い女性から声を掛けられる。「教えてください。どうして母と別れたんですか」
下関の高校で、自分ほど読書をする人間はいないと思っていた。その自意識をあっさり打ち破った才女・真木山緑に、田中は恋をした。ドストエフスキー、川端康成、三島由紀夫……。本の話を重ねながら進んでいく関係に夢中になった田中だったが……。
芥川賞受賞後ますます飛躍する田中慎弥が、過去と現在、下関と東京を往還しながら描く、初の恋愛小説。

いい恋愛小説を一作は書きたい―『完全犯罪の恋』創作秘話」で著者・田中慎弥はこう語っている。」

……

懐かしいあの頃に戻ることが出来たなら、必ずあの人に思いを告げよう……これはもう人間として男として、下手をすると作家としてもおしまいである。
せっかくおしまいなのであれば、この情ないノスタルジーを、過去と現在の自分を対比させる形で小説に出来ないものか、と考えた。
……

ろくに恋愛も経験していない。どこかにモデルとなる美しい女性はいないものだろうか……

小松菜奈の顔を思い浮べていたのだと思う。……あの視線の先に何があるのかを確めたい。そこで起っていることを書き留めたい。

 

冒頭、これは主人公の作家の名前が田中だと言っても著者の体験談ではないとことわっている。

 

主人公の田中が東京に住む作家となっていて、何度か目が合った大学生らしい若い女性に声をかけると、「私じゃなくて、私の顔なんですけど、覚えていませんか?」と聞く。高校で付き合ったことのある真木山緑の娘で静だった。


静は、山口県下関で平成の最初の春に高校生だった田中と緑の間に起こった出来事を詳しく話して欲しいと強引に頼んでくる。
以下、静の質問に対する田中の答えと、20年程前の高校生の恋愛話が交互に展開される。高校時代、田中と緑、そして一学年上の森戸の間では恋愛もどきと、三島由紀夫、川端康成などの読書を巡るぶつかり合いがあったのだ。

初出:「群像」2020年4月号

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

3人の高校生の幼い恋愛もどきには面白味がない。三島由紀夫の死をめぐる議論も内容がない。なにせ高校生じゃあね。
あえて面白味を探すと、40歳半ばの田中が、かっての恋人の娘から追及を受けながら、20年前の高校時代を思い出すという構成だろう。ところどころに突然関係ない文を挿入して、跳んだ感じを出そうとしているのも芥川賞を意識しているようで微笑ましい。

 

大きめの字で、160頁足らずという薄さがいい。年取ると厚い本は、根気が続かないし、読み終わるまで寿命があるかどうか心配なので困る。

田中慎弥(たなか・しんや)
1972年山口県生まれ。山口県立下関中央工業高校卒。
2005年「冷たい水の羊」で新潮新人賞受賞
2008年「蛹」で川端康成文学賞受賞、「蛹」を収録した『切れた鎖』で三島由紀夫賞受賞
2012年「共食い」で芥川賞受賞
2019年『ひよこ太陽』で泉鏡花文学賞受賞
その他、『図書準備室』『神様のいない日本シリーズ』『犬と鴉』『実験』『燃える家』『宰相A』『地に這うものの記録』

 

 

 

 

 

 

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向田邦子の略歴と既読本リスト

2021年01月18日 | 読書2

 

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929(昭和4)年東京生れ。
実践女子専門学校国文科卒業。秘書、「映画ストーリー」編集者を経て、脚本・エッセイ・小説家。
1952年「映画ストーリーズ」編集部へ
1962年「森繁の重役読本」脚本
「七人の孫」(1964年)「時間ですよ」(1970年)「寺内貫太郎一家」(1974年)「阿修羅のごとく」(1979年)などTVドラマ脚本
1975年 乳がん
1980年 短編連作小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で直木賞受賞


その他、『寺内貫太郎一家』『父の詫び状』『眠る盃』『無名仮名人名簿』『思い出トランプ』『あ・うん』『霊長類ヒト科動物図鑑』『隣の女』『女の人差し指』『家族熱』『蛇蠍のごとく

1981年8月22日、台湾旅行中、飛行機事故で死去(享年51歳)。
向田邦子さんのお墓には森繁久彌さんの挽歌「花ひらき はな香る 花こぼれ なほ薫る」が刻まれている。

特集、『向田邦子ふたたび』『KAWADE夢ムック 文藝別冊 向田邦子』『少しぐらいの嘘は大目に 向田邦子の言葉

 

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向田邦子『父の詫び状』を読む

2021年01月17日 | 読書2

 

向田邦子著『父の詫び状』(1978年11月25日第一刷、2000年7月10日47刷 文藝春秋発行)を読んだ。

この初版本は現在絶版で、2005年文春文庫新装版が刊行されている。

 

私の既読本の『向田邦子ふたたび』『KAWADE夢ムック 文藝別冊 向田邦子』と同じエッセイがいくつもある。といっても本書が元本なのだが。まあ、死後も人気が長く続いているということなのだろう。
この作品は「銀座百点」に隔月で書いたものをまとめたもので、あとがきに、「文章という形でまとまったものを書いたのは初めての経験である。」と書いてある。

 

以下、既読本に関する我がブログとダブりもあるが、本書の引用(3字下げ)、省略紹介文と合わせて、⦅  ⦆で向田さんに引き出された私自身の想い出を記す。

 

父は身綺麗で几帳面な人であったが、靴の脱ぎ方だげは別人のように荒っぽかった。くつぬぎの石の上に、おっぽり出すように脱ぎ散らかした。
 客の多いうちだからと、家族の靴の脱ぎ方揃え方には、ひどくうるさいくせに自分はなによ、と父の居ない時に文句をいったところ、母がそのわけを教えてくれた。
 父は……父親の顔を知らず、……いつも親戚や知人の家の間借りだった。
 履物は揃えて、なるべく隅に脱ぐように母親に言われ言われして大きくなったので、早く出世して一軒の家に住み、玄関の真中に威張って靴を脱ぎたいものだと思っていたと、結婚した直後に母に言ったというのである。(父の詫び状)

⦅私も幼いころから結婚して家を出るまで親戚の家を借りて住んでいた。大様な親戚で特に嫌なことはなかったが、それでも肩身は狭く、物欲、所有欲は強くないのに、家だけは早く持ちたいと思っていた。一時、3軒もの家を持ったのは、そんなことに遠因があったのだろうか。まあ、そのおかげで何度も大損をこいたのだが。』

 

暗い不幸な生い立ち、ひがみっぽい性格。人の長所を見る前に欠点が目につく父にとって、時々、間の抜けた失敗をしでかして、自分を十二分に怒らせてくれる母は、何よりの緩和剤になっていたのではないだろうか。
「お母さんに当たれば、その分会社の人が叱られなくてすむからね」
と母はいっていた。(隣の神様)

⦅年取って生まれた一人っ子の私は両親から可愛がられて育った。父からぶたれたのは一回だけだった。

 

祖母の通夜の晩、社長がお見えになったという声を聞いた父は、玄関へ飛んでいった。お辞儀というより平伏だった。それにしても初めてみる暴君の父の姿だった。
高等小学校卒業の学力で給仕から財閥系の大きな会社に入って、誰の引き立てもなしに会社始まって以来といわれる昇進をした理由を見たように思った。
私達に見せないところで、父はこの姿で戦ってきたのだ。父だけ夜のおかずが一品多いことも、八つ当たりの感じで飛んできた拳固をも許そうと思った。私は今でもこの夜の父の姿を想うと、胸の中でうずくものがある。(お辞儀)

⦅私は見栄っ張りで、父の職業をいやだ、いやだと思っていた。思い出すたびに申し訳なかったと今更ながら思うのである。⦆

 

ハンドバッグを飲み屋のトイレに落として、皆に釣り上げてもらった話が書いてある。トイレと言っても汲み取り式の時代だ。(わが拾遺集)

⦅私はトイレに落としたのではなく、落ちたことがある。住んでいた家の大きく深い汲み取り式トイレで、あっと思った時は、するりと便座からトイレの中に落ちていた。3,4歳の時だろうか、変な声を聞いて駆け付けた母親がトイレの中に立っている私を発見し、手を伸ばして救いだしたと聞いた。少ししか溜まっていなかったのが幸いしたのだ。3,4日、足を洗っても洗っても臭かったと笑われた。⦆

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:お勧め)(最大は五つ星)

敬愛し、“好い女”だなと思う向田さんの作品には「五つ星」以外はつけられない。
エッセイの名手の向田さんも初めてのエッセイということで技術的には難点もあるが、内容が秀悦だ。家族のそれぞれのキャラが向田さんの筆で立ちあがっていて、楽しめる。さすが名脚本家。ご自身のドジぶりもわざとらしさも、嫌味もなく、素直に笑える。

 

私の中では、文章の達人の須賀敦子と並ぶ名エッセイストだ。

 

向田邦子の略歴と既読本リスト

 

目次

父の詫び状/ 、身体髪膚/ 、隣りの神様/ 、記念写真/ 、お辞儀/ 、子供たちの夜/ 、ストライキ/ 、細長い海/ 、ごはん/ 、お軽寛平/ 、あだ桜/ 、車中の皆様/ 、ねずみ花火/ 、チーコとグランデ/ 、海苔巻の端っこ/ 、学生アイス/ 、魚の目は泪/ 、隣りの匂い/ 、兎と亀/ 、お八つの時間/ 、わが拾遺集/ 、昔カレー/ 、鼻筋紳士録/ 、薩摩揚/ 、卵とわたし

 

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