hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

島本理生『ファーストラブ』を読む

2019年02月28日 | 読書2

 

島本理生著『ファーストラブ』(2018年5月30日文藝春秋発行)を読んだ。

 

女子大生・聖山環菜は、アナウンサー試験の面接を受けていたが、途中で辞退し、父親・那雄人が講師を務める美術学校を訪ね、あらかじめ購入していた包丁を使い父を刺殺した。多摩川沿いを血まみれで歩いているところを逮捕された環菜は、犯行は認めるが「動機はそちらで見つけてください」と語る。「美人すぎる殺人者」と事件はマスコミで大きく取り上げられた。

臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。弁護を担当する義弟の迦葉と、なぜ環菜は「父親を殺さねばならなかったのか?」を明らかにしようとする。

第159回直木賞受賞作。

 

真壁由紀:主人公。臨床心理士で、テレビにも出演する。夫と小4の息子・正親と暮らす。父親が海外出張時に、たびたび少女買春していたことを知り、心に傷を持つ。自己中の母親ともしっくりいっていない。クリニックを開業している。スタッフは里沙。

真壁我聞(がもん)由紀の夫。写真家だが、家庭を支えている。おおらかで優しい。

庵野迦葉(あんの・かしょう)8歳の時、実母に捨てられて、叔母(我聞の母)に我聞の弟として育てられた。由紀と大学の同期で、親しく付き合っていた。弁護士。環菜の事件を国選で、北野とともに担当。

 

聖山環菜(ひじりやま・かんな):22歳。小さな頃から情緒不安定なところがあり、自傷を繰り返していた。美人だが、大人びた少女顔。美人の母は昭菜。

聖山那雄人(なおと):画家。環菜の父親だが、血は繋がっていない。

 

辻:出版社の編集者。由紀と一緒に環菜についての本を出版すべく取材する。

臼井香子:環奈の小学校からの親友。燃える花のような美女。

賀川洋一:環奈の元恋人?。  

 

初出:「別冊文藝春秋」2016年7月号~2018年1月号

 

島本理生の略歴と既読本リスト

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

事件の謎に迫るミステリーとしては展開が遅く、意外性も少なく、面白味が無い。

環菜が抱える心の闇を面会や取材で少しずつ暴いていく様子はよく書けているが、内容は想定の範囲。

環菜が、由紀や迦葉の協力により、徐々に過去の自分と向き合い、素直になっていく様子は、年寄にはほほえましく思えるが、こんなんで直木賞?と思ってしまう。

 

由紀と迦葉の過去もそれほどに傷になる話でもなく、思わせぶりなだけ。登場する女性がすべて極上の美人というのにはあきれる。美人でも何か特徴、癖があって欲しかった。

 

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手打ちそば雲龍でランチ

2019年02月26日 | 食べ物

 

西荻窪・北口から西へあるいて8分程度。東京女子大へ向かう道沿いにある。

前に一度入った記憶があるのだがと、ブログを検索すると、あった。このブログ、使える! 私にとっては。

西荻駅そばの「手打ちそば雲龍」」。 2014年のことだ。

 

 

 

見せに入ると、結構広い店内にゆったりと10足らずのテーブルが並ぶ。12時直前とはいえ、客は一人。ちょっと不安になる。値段が高めだからか?

 

私は、かけそば+ミニ海老天丼。蕎麦の味も良いし、海老は先っぽまで身が入っていて、けっこうでした。

 


相方は卵とじそば。卵の量半端ない!

 

合計で約2600円は蕎麦としては高いが、味も量もけっこうでした。

 

12時半ごろ店は数組の客が入って来て、それなりにはやっているようだ。

 

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桜木紫乃『ふたりぐらし』を読む

2019年02月25日 | 読書2

 

桜木紫乃著『ふたりぐらし』(2018年7月30日新潮社発行)を読んだ。

 

映画にこだわり、ほとんど出番のない映写技師をしながら、出版社に受け付けられない映画評論にこだわっている信好と、看護師として生活を支え、母親と確執がある妻の紗弓(さゆみ)。信好に対し義母は冷たく口調は厳しく、おだやかな義父には秘密があった。

一緒に暮らし始めたあの日から、一歩ずつ幸せに近づくと、信じながら夫婦になっていく。互いを思い合うあまり言いたいことを呑み込んでしまう、静かで、表面は穏やかな日々に、ささやかな喜び、小さなそして積み重なる嘘、嫉妬、沈黙、愛。ふたりぐらしの夫婦に徐々になっていく姿がじっくり描かれる。

 

「こおろぎ」

信好は月曜日には、膝や腰が痛いという古希になるの母・テルを病院に連れて行く。10年ぶりに昼に鰻を食べた。母はやりとりがおかしく、だいぶ呆けて来た。次の火曜日に電話が来て母の死を知らされた。

 

「家族旅行」

紗弓は実家の父母から定山渓旅行へ誘われ一泊した。信好には夜勤を偽り、父母には理由をはっきり告げてきたと嘘をついた。

かって信好のことを「それって、ヒモって言うんじゃないの」と言った母を紗弓は未だ許せない。「お母さんにことたぶん嫌いなの」という娘に、父は「いいんだよ、女の子はそれで。…彼女のことは、紗弓のぶんまで僕が好きでいればいい。…」と言った。

 

「映画のひと」

ピンク映画の女優だった甲田桃子がフェスティバルに来てくれる話。

 

「ごめん、好き」

紗弓はバイト先の診療所の看護師・大浦美鈴から3月31日の夜の交替を頼まれた。夫の退職日だというのだが……。女性名のメールに疑念を持った紗弓は……、「ごめん、好き」…「ごめん、どうしても好き」。

 

「つくろい」

差し引き百万円にしかならない実家を処分しようとする信好に、紗弓は住みたいという。

 

「男と女」

紗弓は検査入院の80歳の七重ハマ子を担当し、和田伸吾宛の手紙の代筆、投函を依頼される。

 

「ひみつ」

信好は義父の紹介で映画評論・研究家の岡田国男の助手をすることになる。岡田から義父の秘密を聞く。


「休日前夜」

信好の中学の同級生・森佳乃子が来宅し、紗弓は落ち着かない。


「理想のひと」

岡田が見合いした大村百合と信好・紗弓の4人で食事する。


「幸福論」

紗弓が勤めた内科を訪れた泉タキは紗弓達の隣家に住んでいて、行き来が始まる。泉家にはかって大荒れに荒れた中学生の一人娘がいたという。タキは懐かしの歌謡曲を歌う沢田リョウに入れ込んでいて、夫はやきもちを焼くという。タキいう「年を取れば、どんな諍いも娯楽になっちゃうんだから」。

 

 

 

初出:「小説新潮」2015年7月号~2017年10月号

新潮社のHPに作者の本作品に関するエッセイが載っている。

 

表紙には「Un homme et une femme」と書かれている。「男と女」という意味らしい。1996年の同名映画がある

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

紗弓は人との距離が離れていて、控えめで、やさしい。引っ込み思案で、消極的だが、おおらかな面もあり、感じが良い。信好は今どき映画だけで稼げればなどと甘すぎる。アルバイトして、主夫を引き受けて、できることはやるべきだと腹立たしい。

そうはいっても、この夫婦のように、あからさまにべったりでなく、距離感のあり、互いに思いやる夫婦愛も穏やかでいいものだと思う。さらに段階が進んで、親の介護が必要になったり、子どもができたりして、生々しい現実の大きな課題が生じたときに、この二人の関係はどうなるのだろうか。

 

桜木紫乃(さくらぎ・しの)の略歴と既読本リスト

 

 

 

岡田がひきあいにパトリス・ルコントの『髪結いの亭主』を出した。
―人間ってのは、幸福なだけじゃ生きてはいけない欲深いものなんだ。
自分もここから先は一ミリでも「髪結いの亭主」を脱出しなければならないのだ。
―ひとつお願いがあるの。愛しているふりだけはしないで。(P142・ひみつ)

愛しているふりをして、そう思い込んで、何年かの生活の積み重ねの中で、肉付きの仮面になって根づいた愛が生まれる、そんなこともあるだろうと思う冷水でした。

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宮部みゆき『希望荘』を読む

2019年02月22日 | 読書2

 

宮部みゆき著『希望荘』(2016年6月25日小学館発行)を読んだ。

 

「杉村三郎シリーズ」の第4弾。前作『ペテロの葬列』で、妻の不倫で離婚し、愛娘とも別れ、義父の会社からも退職した杉村三郎の「その後」を描く。

 

宣伝文句は以下。

家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年発生した女性殺害事件を解決するカギが隠されていた!?(表題作「希望荘」)。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」…私立探偵・杉村三郎が4つの難事件に挑む!!

 

「聖域」

杉村:杉村探偵事務所の主、兼調査会社<オフィス蛎殻>調査員。2階建て<パステル竹中>の十人。38歳。

竹中家:当主は竹中夫妻。長女夫婦一家、長男夫婦(嫁1号)一家、次男夫婦(嫁2号:彩子)一家、独身の三男と次女が住む。

諸井:不動産会社<もろもろホーム>社長

三雲勝枝:元<パステル竹中>の住人で亡くなった。娘は早苗。

水田太造:喫茶<侘助>のマスター。

ベルとブック:チャネリングするサンクチュアリ(聖域)に集まる女性。

 

「希望荘」

杉村:元妻は今多菜穂子で、娘は桃子。姉は喜代子、兄嫁は和美。兄の長女は麻美。

柿沼:<はなかご老人ホーム>の主事。

相沢幸司:父と小学生で別れて30年も会わなかった。

相沢幹生:幸司の次男。高校1年生。

武藤寛二:<はなかご老人ホーム>で死去。人を殺したことがあると告白。

茅野次郎:36年前の殺人犯。希望荘で武藤寛二と同室だった。

見山(女性):介護士。

羽崎新太郎:<はなかご老人ホーム>のクリーニングスタッフ

木田:<オフィス蛎殻>の非常勤社員。ネットのリサーチ担当。

 

「砂男」

中村康夫:直売店<なつめ市場>店長。59歳。

巻田広樹:旧姓香川。父親は香川直樹

<伊織>:手打ち蕎麦と甲州名物「ほうとう」の店。経営者は巻田広樹と典子の30代夫妻。

井上喬美:たかみ。典子の昔の友人で、巻田広樹を奪った女と言われる。

蛎殻昴:(かきがら・すばる)。<オフィス蛎殻>の経営者。左脚が不自由。24,5歳。

サンドマン:砂男。ヨーロッパのおとぎ話に出てくる魔物。

 

「二重身」

竹中夫人:70歳、142センチ。多くの不動産を持つ竹中家の夫人。3男は美大で何年も留年中の冬馬。

伊知明日菜:いち・あすな。高校2年生。

ナオトとカリナ:明日菜と同じ高校の2年生。

昭見豊:あきみ・ゆたか。<カジュアルアンティークAKIMI>を経営。

松永:<AKIMI>のアルバイト

ドッペルゲンガー:ドイツ語。二重身。自分にそっくりなもう一人の自分が現れると不吉なことが起こる。

 

 

初出 「聖域」・「希望荘」・「二重身」:『STORY BOX』2014年12月号~2016年5月号、

「砂男」:『オール読物』2015年6月号・8月号に掲載の「彼方の楽園」を改題

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

宮部みゆきというと、怖ろし気な妖怪物を思い出してしまうが、この本はミステリーだが、おどろおどろしくなく日常の中の謎にかかわる話で、楽しく読める。杉村という探偵もごく普通の人で、身近に感じる。

物足りなさはあるが、年寄は、気楽に楽しく読める本を歓迎だ。

 

宮部みゆき 概歴と既読本リスト

 

 

 

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中村文則『その先の道に消える』を読む

2019年02月19日 | 読書2

 

中村文則『その先の道に消える』(2018年10月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

僕は今、正常だろうか?僕が求めているものは、何だろう? アパートの一室で発見されたある“緊縛師”の死体。重要な参考人として名前があがる桐田麻衣子は、刑事・富樫が惹かれていた女性だった。疑惑を逸らすため、麻衣子の指紋を偽装する富樫。全てを見破ろうとする同僚の葉山。だが事態は、思わぬ方向へと突き落とされていく。犯人は誰か。事件の背後にあるものとは、一体何なのか。やがて、ある“存在告白”が綴られた驚愕の手記が見つかり―。

 

アパートの一室で市川一成の死体が見つかる。手帳に挟まれていた数少ない名刺の中に 桐田麻衣子のものがあった。刑事・富樫は麻衣子にクラブで出会い、惹かれていた。死体のあった部屋には麻衣子のくせを示す暮らしの痕跡が多く見られた。麻衣子の話を聞きにいった富樫は、市川が麻衣子を厳しく縛ったとい聞く。市川は緊縛師だった。

富樫は疑惑を逸らすために中国人女性の指紋と掌紋を麻衣子のものとして鑑識に提出する。部屋の契約者は麻衣子の前の同棲者・伊藤亜美だったが行方がわからない。同僚の葉山は富樫の行動に疑惑を持つ。

 

Y:事件の裏にいる謎の緊縛師。麻衣子との関係は?

山本真里:風俗店で「何をしてもよい女性」として紹介された。

神沼:先生とよばれる緊縛師。神社の宮司。 

 

表紙の写真は、垂れる縄の網の中で緊縛された女性の写真だ。作者あとがきによれば、世界的ロープ・アーティストで緊縛師であるHajime Kinoko による本書のためのオリジナルとのこと。

 

初出:「小説トリッパ―」2015年夏季号、……、2018年秋季号

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

中村さんの『掏摸』は面白かったのに、どんどん変な方向へずれて行ってしまうと私には感じられる。せっかく『掏摸』で外国で評判になったのに、これでは……。

 

美しいとは言えない性描写が多く出てきて、がっくり。逆に、緊縛を神道、日本の古代史と結び付けたり、神聖で、神的なものとしようとしたりするが、私には思わせぶりなだけと思えてしまう。

 

 

中村文則(なかむら・ふみのり)
1977年愛知県東海市生れ。福島大学行政社会学部卒。作家になるまでフリーター。
2002年『銃』で新潮新人賞、(芥川賞候補)
2004年『光』で野間文芸新人賞、
2005年『土の中の子供』で芥川賞、
2010年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。
その他、『最後の命』、『悪意の手記』、『何もかも憂鬱な夜に』、『世界の果て』、『去年の冬、君と別れ』、本書『その先の道』

 

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The City Bakery吉祥寺でランチ

2019年02月16日 | 食べ物

 

2018年11月吉祥寺パルコにNYの老舗ベーカリー「The City Bakery」がオープンした。東京で7軒目だそうだが、ユニクロの斜め向かいで大きなガラス張りがあり、店内が良く見えて目立っていた。

吉祥寺通りからは直接入れず、パルコに入ると、右側にパンが並んでいるが、ここからも入れない。

 

 奥に行くと、パン売り場の入口がある。

 

 

建て看板があって、ここでパンを選んで、隣のカフェで食べることができる。

 

 

隣で飲物を注文し、

 

さらに隣りで食べる。混んでいるときは、先に席を確保した方がよい。

 

二人で食べたのは、左からフレンチ・ベーコンエッグ・マフィン、チョコレート・クロワッサン、オリーブオイルケーキと、

アッサム紅茶、カモミールティー。

 

 

二人で約2千円。安くはないが、味はまあまあ。クロワッサンはやけに大きく、パンはすべて油ぽくて、べとべと。いかにも昔のアメリカっぽかった。それほどよく知らないけど。

 

駅前の平和通りで消防訓練と思ったら、テロ対策訓練が行われていた。

 

 

 

そういえば、ハーモニカ横丁は火事になったら大変だ。

 

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チョコレートを頂く

2019年02月14日 | 食べ物

東急吉祥寺8階の各種メーカが集まる「Kichijoji ショコラ・ストリート」でご購入のベルギーのチョコを頂いた。

昨年もここでご購入いただいた。

「d'IVOIRE」(ジボワール)は世界一のカカオ生産量のコートジボワールにちなむ名前だそうだ。



5つの詰め合わせなのだが、例によって、一つ摘んでしまってから、慌ててパチリ。

濃厚だが、大きすぎて、甘すぎる。2個続けては食べられない。


さらに、うら若き二人の女性からメッセージ付きでいただいた極上にチョコレート。

なんと、4段重状態。

かのピエール・ルドンのチョコレートなのだ!

若き女性の年齢をこんなところに書くのもはばかるが、

5歳と8歳なのだ。


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中山祐次郎『医者の本音』を読む

2019年02月12日 | 読書2

中山祐次郎『医者の本音』(SB新書444、2018年8月15日SBクリエイティブ㈱発行)を読んだ。

 

医局に所属せず、がんの執刀医を続ける著者が、「医療のブラックボックス」に切り込む。

「なぜ病院はこんなに待たされるの?」、「なぜ医者の態度はいつも冷たいのか?」、「薬を減らしたいとき、なんといえばいいか?」、「袖の下は渡したほうがいいのか?」、「製薬会社からの賄賂は本当にあるのか?」、「玉の輿に乗るならねらい目は?」など面と向かっては聞けなかった疑問に答える。

 

 

第1章 医者の本音 その一言に込められた真意

第2章 医者は言わない 薬・手術の本当のところ
充分な説明時間が取れないことが原因で、インフォームドコンセントが十分でない。説明用動画ビデオを作成することを考えている。
がん患者3100人のうち1382人(45%)が1種類以上の補完代替医療(民間療法)を利用して月57千円出費。


第3章 病院の本音 患者の都合 医者の都合

第4章 医者のお金と恋愛 その収支明細と私生活
病院勤務医は、月123万円、年収1479万円(平均43歳)
個人開業医は、月205万円、年収2458万円(平均59歳)
アルバイト ガッツリ救急系:時給1万円、寝当直系:一晩3~4万円、専門活かし系:時給1万円以下。

 

日本に医師は30万人以上いる。

第5章 タブーとしての「死」と「老い」 人のいのちは本当に平等か?

 

積極的安楽死として許容されるための要件(平成7年3月28日横浜地裁判決)

1. 患者に耐えがたい激しい苦痛があること

2. 死が避けられず、かつ死期が迫っていること

3. 患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くしほかに手段がないこと

4. 生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること

 

高額医療を保険で行うかどうかに関して、例えば「ある人が一年、元気な状態で生きるために使える額は、5万ドル」=それ以上なら治療をやめるとの考えがある(イギリスでは一部実施)。

 

「若い人のがんは進行が速い」と言われるが、正確には「若い人は進行した状態でがんが見つかることが多いため、進みが速く見える」ことが多い。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき)(最大は五つ星)

 

とかくきれいごとですまされてしまう医者の主張が、ほぼ本音で語られている。内容的には一般の人が思っている通りなことがほとんどだが、医師の口から語られることに意味がある。

 

勤務医は忙しすぎる。利権団体の医師会、厚生省を打ち破って医師枠増加を図るべきだ。そのためにも女性医師を増やそう! 

それにしても、多忙が唯一の原因ではないだろうが、「女性医師の生涯未婚率は35.9%、男性医師は2.8%、すべての職業の平均が15.1%」はひどすぎる。

 

 

「後医は名医」:後の方になって患者を診たら、経過もわかるのし症状が多く出て全体像がわかる。診断はつけやすいし治療もうまくいくだろう。だから名医のように見える」

 

 

中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)の略歴と既読本リスト

 

 

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関眞興『キリスト教からよむ世界史』を読む

2019年02月09日 | 読書2

 

関眞興著『キリスト教からよむ世界史』(日経ビジネス人文庫せ3-4、2018年2月1日日本経済新聞出版社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

古代ローマ時代から現在まで、2000年におよぶ歴史をもつキリスト教。地中海世界の「新興宗教」が、いかにして世界的な宗教になったのか? なぜ各派にわかれたのか?  世界史にどのような影響を与えたのか? 予備校の元世界史講師が「カノッサ事件」や「宗教戦争」など30のトピックでわかりやすく解説。

 

関眞興(せき・しんこう)

歴史研究家
1944年三重県生まれ。東京大学文学部卒業後、駿台予備校の世界史講師となる。
2001年に退職し、現在「漫画版 世界の歴史」シリーズ、「中国の歴史」シリーズ(以上、集英社文庫)の構成を手がけるなど、歴史関係の本の著作・監修を多く行っている。

主な著書・監修書に『読むだけ世界史』(学研)、『図解でスッキリ! 世界史「再」入門』『30の戦いからよむ世界史』(以上、日本経済新聞出版社)など。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

様々な機会に入ってきたキリスト教に関するバラバラの知識を、キリスト史全体を通して再確認するには良い。要領よく、パラパラ読んで、キリスト教史を通してユダヤの歴史、ヨーロッパ史を復習したい私には最適な本だった。

 

だだ、あまりにも多くの事柄が1件1行程度で羅列されていて、事典的なこの本は、教科書的だ。なにしろ著者は駿台の元教師だ。細かい事柄が多いので、歴史の大きな流れが一見できない欠点はある。

 

さらに、確かに名文ではないし、最初からしみじみ読む本ではない。しかし、短文で、内容が的確で、頭に入りやすく、この本を読む目的が、パラパラと歴史再確認なら、それはそれでいいのだ。

 

 

以下、私のためのメモ。

 

第1章         キリスト教誕生前夜

・紀元前1500年以上のユダヤ人の歴史の上にキリスト教が誕生し約2000年経過した。

・  前1500年頃、パレスチナ地方にユダヤ人の祖先にあたるヘブライ人が住み、唯一神ヤハウェを信仰していた。

・      飢饉などでヘブライ人の一部がエジプトに移り、奴隷同然に暮らした。これを「脱出(エクソダス)」させたのが予言者モーゼ。ヤハウェがシナイ山でモーゼに与えたのが「十戒」

・      パレスチナで前1000年頃、ダビデ王が国家を建設し、次のソロモン王のとき古代ヘブライ王国は繁栄しエルサレムに神殿が建設された。ソロモン王の死後、北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂した。

・      イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、ユダ王国の人々はバビロニアの連行された(バビロン捕囚 前597~538)が、アケメネス朝ペルシャ帝国によって解放された。

・      アレクサンドロス後の西アジアにできたセレウコス朝はユダヤ教を禁止したので、ハスモン家のマカベが武力抵抗しエルサレムを解放した。前140年、ハスモン朝が成立。

・      前63年、ローマの支配下に入り、ハスモン朝の大臣ヘロデはローマからガリラヤ知事に任命された。

・      ヘロデは将来の「ユダヤの王」が生まれることを恐れたヘロデはベツレヘムの2歳以下の赤子を皆殺しにする。

・      総督として赴任したポンティウス・ピラトゥス(在職26~36)以降、ユダヤ人の反ローマ感情が増大し、イエスの処刑もこの時代(27~30頃)に行われた。

第2章 イエスの死と復活

・      「イエス」は一般的な名前。「キリスト」は「メシア」のギリシャ語訳で「救世主」。「イエス・キリスト」とは「ナザレのイエスがキリストである」

・      原始キリスト教団は、反ユダヤ教的なギリシャ語を話すへニスタイと、ペテロなど12使徒を中心とするヘブライ語を話すヘブライオイが対立した。

第3章 教えは異邦人へ

・      イエスから指名を受けたペテロはエルサレム教会の中心となり、ネロ帝の下で処刑され、初代ローマ教皇とされた。4世紀、埋葬された場所にサン・ピエトロ(聖ペテロ)寺院が建設された。

・      パウロは目が見えなくなり、回心し(サウロの回心)、視界を遮っていたもの(鱗)が落ち目が見えるようになった(目から鱗の由来)。

・      パウロはユダヤ人以外にも積極的に布教し「異邦人の使徒」と呼ばれる。

第4章 帝国の軍神

・      313年、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世(西方正帝)とリキニウス(東方正帝)が連名で、全帝国市民の信教の自由を保障した勅令を発布した。

・      皇帝ユリアヌス(背教者)はキリスト教聖職者の裁判権を剥奪し、一般国民同様に税を徴収した。

・      テオドシウス帝(在位379~395)は381年キリスト教を国教化。長男アルカディウスが東ローマ帝国、次男ホノリウスが西ローマ帝国皇帝とした。

・      キリスト教会は国教化とともに侵入者に対する防衛のための戦争を「正戦」とした。

第5章 神なのか神の子なのか

・      325年、コンスタンティヌス大帝はニケ―アで公会議を開き、イエス・キリストは人性だけか、神性も持つのか議論され、神性を持つと結論づけられたが、その後も議論は続いた。381年コンスタンティノープル公会議後、431年エフェソス公会議で、「イエス・キリストは真に神であり、また真に人である。両性は一つの人格、一つの本質の中に併存する」ということになった。

第6章 立ち向かう教皇

・      476年傭兵隊長オドアケルが西ローマ皇帝オムルス・アウグストゥルスを廃位さけ、帝国は滅亡した。

第7章 帝国の分裂と教会の危機

・      726年東ローマ帝国皇帝のレオ3世が「偶像崇拝禁止令」を出し、ローマ教会は反対した。

第8章 教皇権と皇帝権

・      800年フランク王国のシャルル(カール)が教皇レオ3世によってローマ皇帝(西方の)を戴冠した。これが「ローマの伝統」「キリスト教」「ゲルマン民族」というヨーロッパの成立とされている。

9章 修道院と農業改革

第10章 カノッサ事件の勝者とは

・      1076年、皇帝ハインリッヒ4世は教皇グレゴリウス7世の廃位を宣言。反対に教皇も皇帝を破門した。神聖ローマ帝国内の反皇帝勢力が破門が解かれない限り新皇帝を選ぶと宣告。面会を拒否する教皇に皇帝は裸足でカノッサの城門の外に三日三晩立ちつくした。破門を解かれドイツに戻って反皇帝派を抑え、ローマに進軍し、教皇を憤死させた。

 

第11章 十字軍と東西の交流

第12章 失われた過去の発見

第13章 3人の教皇

第14章 長靴を巡る戦争

第15章 パンとワインの否定から始まる

第16章 祈?から宣教へ

第17章 新興国と新教徒

第18章 布教の新天地

第19章 宗教戦争

第20章 武器を売り福音を伝える

第21章 せめぎあう科学と宗教

第22章 自由の国を求めて

第23章 市民の戦い 英雄の戦い

第24章 教皇領が消えるとき

第25章 近代によみがえる叙任権闘争

・      ドイツでは、第二次大戦後、キリスト教民主同盟(CDU)が成立する。カトリックもプロテステントも区別せず、非キリスト教徒にも門戸は開放されている。「キリスト教」とはキリスト教精神を示すためのもので、宗教を強制してはいない。

第26章 世界大戦と教皇の苦悩

第27章 複雑化する中東

・      アメリカにおけるユダヤ人の人口は2%がが、大富豪の30%をユダヤ人が占めている。

第28章 東の王が求めるものとは/第29章 東欧革命と空飛ぶ教皇

第30章 現代の教会

・      現教皇のフランシスコは、名前が初めてで、アメリカ大陸出身、イエズス会士も初めて。初めての名には1世は付けない。後の教皇が同じ名を名乗ると、1世が付くようになる。

 

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映画「天才作家の妻 -40年目の真実ー」を見る

2019年02月06日 | 行楽

吉祥寺バルコのB2に昨年12月にできた「UPLINK吉祥寺」で、

映画「天才作家の妻 -40年目の真実ー」を見た。

「UPLINK吉祥寺」には5つのスクリーンがあるが、この映画は一番大きい、といっても98席の「SCREEN3 RED」で上映された。


天才作家の妻 -40年目の真実ー」はグレン・クローズの迫真の演技が評判で、完璧な妻が心無い夫に言動で、突然(?)キレて、晴れの舞台が大変なことになる話だ。


読めないとも思うが一応、文字部分を拡大してみる。


上映後、相方は、「良かったわね」と痛快そうだった。私は「あんなに一気にキレるなんて! だめでしょ」と思ったのだが、「まあ、いいか、私には晴れ舞台もないし」と自分を安心、納得させた。

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Soup Stockでランチ

2019年02月04日 | 食べ物

吉祥寺駅ビル キラリナ1階にある「Soup Stock」でランチした。

外観写真を撮り忘れたので、2014年9月18日の写真を流用した。


アトレ1FにあるSoup Stockの店で冷凍のスープを買って、家で飲んでなかなかだったり、プレゼントして喜ばれていた。

今日は体調がいまいちな相方のためにも、ここでランチにした。

私は、EAT-IN SSセットで、

フェルメール(なぜ?)スープSサイズ、ブラウンシチューSとフォッカチャ。

相方は、EAT-IN Rセットで、

生姜の和風スープRと、石釜パン。

粉末スープと違って、複雑な味で、ご満足だったが、さすがにこれだけでは足りなくて、帰宅途中で焼芋を買って、1/4ほどづつ食べた。


 

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滝沢秀一『このゴミは収集できません』を読む

2019年02月02日 | 読書2

 

滝沢秀一著『このゴミは収集できません』(2018年10月30日白夜書房発行)を読んだ。

 

お笑い芸人、マシンガンズ・滝沢が、36歳の時に子どもができた嫁さんから40万円必要だと言われた。定収入を得るために人を頼って、ゴミ清掃員の仕事を始めた。芸人との二足の草鞋だ。そして、ツイートが人気となり本になった。

 

第1章 ゴミ清掃員はつぶやく

イラストと4,5行のツイートが41頁。

 

●通学路を通ると「くせーから早く行けぇ」と悪態をつく小学生は珍しくないが、中には「とっても良い臭いだね~」と嫌味を覚えた小学生もいる。

 

●濡れた畳の重さを皆にも味わってほしい。

 

●不燃ゴミ回収中に、子どものおもちゃがよく誤動作で動くのだが、回転板に飲み込まれていく悲しい歌は聞いていられない。

 

第2章 ゴミ清掃員プロファイラー第3章 ゴミ清掃員、嘘に翻弄される第4章 事件です!!


第5章 ゴミ清掃員、格差を斬る
金持ちでない地域のゴミは、酒とタバコのゴミ、栄養ドリンクが大量に出される。


第6章 ゴミ清掃員のおすすめ物件
ゴミ集積所が汚い場所は治安が悪い。家、アパートを探すときはゴミ集積所を見てみること。


第7章 ゴミ清掃員の花鳥風月!?
ダンボールの上を這った毛虫の跡の粉/棘で皮膚がやられる。雪が降ると白いビニールのゴミ袋が見えず、取り残しになってしまう。春は引越しのダンボール、夏はペットボトル、秋は落ち葉、冬は年末や正月の食べ物ゴミが多量に出て、四季を味わえる。

 

第8章 ゴミ清掃員の一日
6時半の出勤時、アルコール検査がある。(パイロットより厳しいの??)

 

第9章 ゴミ清掃員とゆかいな仲間たち第10章 ゴミ清掃員、無法者を取り締まる

第11章 私、ゴミ清掃員が日本の未来に物申します
(日本人はきちんと分別するし、ゴミ減量化にも熱心だと思っていたが)、日本の一人一年に出すゴミの量は320㎏で世界一。

 

 

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)

1976年東京都生まれ。1998年に西堀亨とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。

2012年、定収入を得るため、お笑い芸人の仕事を続けながらゴミ収集会社に就職。

著書『かごめかごめ』、Twitter:@takizawa0914

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

ゴミ回収、ゴミ清掃員という、必須で身近でありながら全くの黒子で意識することがほとんどないことを取り上げているのが意外性がある。しかもゴミはまさに生活がむき出しになるおもろいテーマだ。

 

著者はお笑いだけあって、語り口がテンポよく、落としどころが明快で、メリハリがある。

 

日本人はマナーがいいと思っていたので、ごく例外はあっても、ゴミ回収のルールはおおよそでは守られていると思っていた。

オーストラリアのパースでは、回収する草木ゴミのまとめ方に実に細かいルールがあり、これは大変だと思って、地元に人に聞いたら、「誰も守りません」の一言だった。彼は日本に住んだことがあって、「日本人とは違います」と残念そうだった。

 

本書を読むと、うっかりミスや誤解ではなく平気でルールを破る輩が続々登場する。まあ、どの国でもそんな人はいるし、おおざっぱに言えば平均的人もほぼ同じということなのだろう。

 

上にも書いたが、日本が世界一ゴミを出しているのには驚いた。確かにプラスチックは多いとは思っていたのだが。もっとゴミ減量のキャンペーンをした方が良いと思う。一人ひとりができることをまずやらないと。例えば、生ゴミの80%は水分だそうだから、生ゴミの水を切るなど。

 

 

 

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