hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

3月の散歩

2021年03月30日 | 散歩

 

まずは散歩の途中で見かけた桜たち

 

民家の塀際で咲いていた早咲きの桜?(3月10日)

 

途中から枝分かれしていて、右が濃いピンク、左が薄いピンク。挿し木かと思ったが、左にも濃いピンクが混じっている。(3月20日)

 

すべての枝は天を目指す(3月20日)

 

桜?と思ったが、若い桜は枝を伸ばしながら花を咲かせると聞いたので、やっぱり桜かな?(3月20日)

 

塀際の大きな桜(3月25日)

一輪を拡大すると、こちらは間違いなく桜。

 

吉祥寺の末広通りをふさぐようにそびえる桜(3月27日)。

下から見上げて撮ると、桜に覆われる。

 

 

桜シリーズは終わって、その他、3月の散歩。

 

コデマリ(3月9日)

 

ハナカイドウ(花海棠)(3月25日)

 

?(3月25日)

 

3月3日新開店の西荻サミットに5日にご挨拶。

隣りのマンション前に宅配ロッカー「Amazon Hubロッカーのはじぞめ」なるものを発見。設置場所毎に名前がついているようで、ネットを覗くと「はじぞめ(櫨染)」とは暖かみのある赤みの深い黄色とあった。

 

最後に、以前ボトルブラッシュと書きましたが、オーストラリアのワイルドフラワーの「バンクシャー」と訂正します。バンクシーではありません。

 

 

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瀬尾まいこ『その扉をたたく音』を読む

2021年03月29日 | 読書2

 

瀬尾まいこ著『その扉をたたく音』(2021年2月28日集英社発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』著者の新たな代表作!
音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。

29歳、無職。
ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。
音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。

人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。

 

宮路は29歳。ときどき「そよかぜ荘」などの老人ホームや病院にギターの弾き語りに行くが、音楽を仕事にしているわけではない。親が金持ちで毎月30万円の仕送りで暮らしているのだ。もはや自分でも何になりたいのか不明だ。30歳を区切りにと考えてはいるのだが。

 

利用者の水木静江は宮路を「おお、ぼんくらこっちこっち」と呼ぶ。「仕事もしてないみたいだし、名前もないのかと」

 

ギターもウクレレも区別がつかない80を過ぎた本庄というおじいさんが宮路にウクレレを教えてくれと頼みに来る。宮路もなぜかウクレレを買って本を読んで練習し始める。なにしろ時間はたっぷり余っている。真面目そのものの本庄さんは練習熱心で、意外と素質があった。ますます熱が入る二人だったが……。

 

宮路の好きな曲は、Green Day の “Wake me up when September ends”。

本庄さんが宮路と一緒に演奏会でやりたいと言っていたのは、坂本九の「心の瞳」だったのだが……。

「心の瞳」の歌詞はこう終る。

愛すること それがどんなことだか/ わかりかけてきた/ 愛のすべて 時の歩み/ いつもそばで わかち合える/ 心の瞳で 君を見つめれば

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

読みやすく、いい話ではあるが、想定の範囲内で、特別ではない。

 

水木さんの宮路に対するあけすけな言葉や、本庄さんの宮路に向けるまっすぐな熱意が、宮路の心の中の何かを起こしたのに、……辛すぎる。

 

瀬尾まいこの略歴と既読本リスト

 

 

 

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三遊亭鳳志独演会を聞く

2021年03月28日 | 行楽

 

1年半ぶりという図書館での無料寄席。

 

4年前にも参加し、楽しんだ。この時、聞いた話で思い出すのは、落語家が高座に上がる際にかかる音楽・出囃子(でばやし)は落語家ごとに曲目が異なる音楽だという話。そういえば、TVの人気番組「笑点」の出囃子は中村八大の作曲。

 

今回の噺のまくらは、400年前の初めての落語(小話)は、「お坊さんが通るよ」「そうかい」だと話や、「床屋さん、お金はどうするの?」「チョキン」というものや、捕まえたネズミが大きいか、小さいか、もめていると、ネズミが「チュー」と言ったというもの。(こんな風に書くと、面白くもなんともないが)

演目は珍しい話、3題。

 

「唖(おし)の釣り」

七兵衛は、夜になると、殺生禁断の上野寛永寺の池(不忍池のこと)へ鯉釣りに出掛けて、生計を立てていた。それを聞いた与太郎さん「おらぁも連れて行ってくれ。ダメなら、この話みんなにバラすからな」と脅して、その晩、二人で釣りに出掛けた。
与太郎は、役人に捕まったが、「病気のおかあに食べさせたくて…」と教わっていたように言い訳すると、「親孝行の為なら、今夜だけは見逃してやろう」と許してもらった。
続いて、七兵衛が見つかり、舌がもつれて声が出なくなり、役人が唖と思い込んだ。身振り手振りで親孝行のためだと説明する。「なんと、今晩は親孝行が流行るな。大目に見てやるぞ」。思わず七兵衛は「あ、ありがとうございます」。役人はビックリして 「あ、本当に器用な唖だ。口を利いた」。

(この噺、差別の問題で最近は演じられないのだろう)

 

「ちりとてちん」(上方での名で、江戸では酢豆腐)

旦那が碁の会を開いたが、たまたま人数が集まらず、料理が余った。近所に住むおべんちゃら(お世辞)男のかっちゃん(?)を呼んで、ご馳走する。灘の生一本の酒、タイの刺身、ウナギを、そのうち、出されたご飯までも、「あると言うのを聞いてはいたが、食べたことがない」などとお世辞を言い、旦那を喜ばせる。

不愛想で、失礼で、なんでも知ったかぶりをするてっちゃん(?)を懲らしめたいという話になる。台所で見つかった毛が生えて、やたらと臭い腐った豆腐を台湾の「 ちりとてちん」として食わせようとする。てっちゃんは、案の定、台湾へ行ったことがあり、「ちりとてちん」を知っていると言うので、なんとか逃れようとするのを、無理に食わせてしまう。一口で悶え苦しむてっちゃんに、旦那が「どんな味や?」と聞くと、「ちょうど豆腐の腐ったような味や」。

 

 

「鹿政談(しかせいだん)」 この噺は聞いたことがあった。

当時、鹿は手厚く保護されていて、叩いただけで罰金、殺したら死罪だった。朝、家の前で鹿が死んでいたら、隣へ移動させるため、奈良の人は早起きだった。

豆腐屋を営む与平が朝早くから働いていると、大きな犬が「キラズ」(おから)の桶に首を突っ込み食べていた。手近にあった薪を投げつけると、犬は倒れ、近づくと犬ではなく鹿だった。介抱の甲斐も無く鹿は死亡。正直者の与平は罪を認め、裁きを受けることになる。

お奉行様は何とか助けようと思い、与兵衛に「生れは奈良ではなく事情を知らなかったのであろう」など訊ねるが、与平は正直に答えてしまう。そこで奉行は、鹿の遺骸見て「これは鹿ではない、犬だ」と言い出す。一同は「確かに犬でございます」などと応える。しかし、鹿の守役が鹿に間違いないと異議を唱える。

そこで奉行、「毎年幕府から下されている鹿の餌料代は3千両あるのに、空腹に耐えかねて城下にさまよい出てしまったのは、着服している不届き者がいるからだろう。そちらの調べをいたとうか?」と守役に迫り、「犬でした」との言質を取る。これにて一件落着。

 

やっぱり落語は生に限る。

 

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姫野カオルコ『青春とは』を読む

2021年03月27日 | 読書2

 

姫野カオルコ著『青春とは』(2020年11月20日文藝春秋発行)を読んだ。

 

「文藝春秋BOOKS」での作品紹介

コロナ禍のさなか、家でひきこもっていた女性が棚のなかから見つけた古い名簿と本。
「今からすれば――」
記憶の扉が開き、昭和50年代に共学の公立高校で過ごした思い出が、まるで映画を見ているかのようによみがえる。
『ラブアタック!』、ミッシェル・ポルナレフ、旺文社のラジオ講座、そして夜の公衆電話からかけた電話……
胸キュンな恋も、打ち込んだ部活も、そのうえスマホもなかった。でも確かにあれは――
大人のための、フツウな青春小説。

 

主人公の乾明子(めいこ)は、マドンナと同年生まれの「年寄り」で、定年退職後、都下の南武線沿線の町にあるシェアハウスに3人で住んでいる。私の他は大人と若者だ。

 2020年3月、新型コロナウイルスの発生によって、インストラクターをしていたスポーツジムが休館になり、ステイホームを余儀なくされた。部屋の掃除を始めたところ、高校の1年先輩の犬井くんから借りたままになっていた1冊の本を発見した。これを切っ掛けに、次から次へと過去の記憶がよみがえる。

 

高校は滋賀県立虎水高校だった(ちなみに著者は滋賀県立虎姫高校出身)。彼女は明(めい)ちゃんとか、あかるい子でなく暗い子だからと、暗子(クラコ)呼ばれていた。家では特に父親が厳しく、明子宛の手紙はすべて開封されるし、必要性を訴えて認められた場合しかお金をもらえなかった。

 

犬井:1年先輩のサッカー部。クラコと命名した。乾の友人。保健室使いすぎ仲間。

田上公美子:2学年上。美人。

相沢:理系文系ともに成績はトップクラスでギターが上手い。体育ができないので女子に不人気。

中条秀樹:サッカー部のエース。ベビーフェイスでやんちゃ。女子に人気。保健室使いすぎ。立命館大学在学中にTVバラエティ番組『ラブアタック』に出演。ちなみに、あの百田尚樹は同志社大学在学中に『ラブアタック』に出演し6回も挑戦し「みじめアタッカー」の常連となり有名だったとこの本に書いてある。

乾の高2の担任:化学の先生。馬車の御者のようで小柄で白髪。72歳に見えるが37歳。マスクをしている。

大谷沙栄子:口紅と爪が真赤。保健室担当。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

高校時代の話がメインなので、世界が狭く、主人公はやたら劣等感が強く卑屈だし、人気者はあくまでただただ華やかで単純すぎる。確かにこんな高校時代はあったのだろうが、その後の広い世界で戸惑い、伸び伸びと発展していく若者を描かず、いきなり老人ではおもろない。

 

浅田美代子、小池百合子など同姓同名の仲間や、あだ名の東野昌大などが出てきて、ときに、百田尚樹のように本人そのものだったりするので混乱し、読みにくい。

 

 

姫野カオルコ(ひめの・かおるこ)

1958年滋賀県生れ。姫野嘉兵衛の別表記もある。

1990年スラブスティック・コメディ『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー

2014年『昭和の犬』で直木賞受賞

2019年『彼女は頭が悪いから』で柴田錬三郎賞受賞

その他、『受難』『ツ、イ、ラ、ク』『ハルカ・エイティ』『リアル・シンデレラ』『謎の毒親』など文体や雰囲気が異なる多くの著作がある。

文藝春秋編『直木賞受賞エッセイ集成』の中の姫野カオルコ「原稿用紙に書く前」にこう書いている。

高校生の頃、ぽうっとなる対象は柴田錬三郎と野坂昭如だった。カオルコさんは、野坂昭如について吉行淳之介に直接電話をかけて相談した。吉行淳之介は、ふむふみなるほど、と聞いてくれ、そのうち、定期的に電話で雑談するようになった。(そんなことあるの? あったのだ。)

 

メロンパンは関西ではサンライズという。

 

佇まい(たたずまい)、酒を銚釐(ちろり)に注ぐ、庭訓(ていきん)、

 

 

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満開の花だより(3月25日の井の頭公園)

2021年03月26日 | 散歩

3月25日、木曜日なのに人が一杯の井の頭の三角公園。学校が休みになって、とても家でじっとしていられない子どもたちが走り回る。

 

歩道の脇のシャガ。その向こうの白い花は不明。

 

真新しい切り株が並ぶ。何故?

 

ひょうたん池の定点観測地点からの満開の桜。3月9日はまったく花なしだったのに。

2019年3月28日の下の写真と区別がつかない。

 

池にはかって見たことがないほどボートが一杯。衝突も頻繁な中で食事する人も(右下のお二人)

 

溢れんばかりの花房。

 

七井橋ふもとの定点の桜観測地点2。2019年3月28日よりも咲き誇っている。

 

池の南側の文化園内の木々が枝を落とされていた。

 

七井橋からの定点観測地点3.いつもながら桜が暗く撮れてしまう。

 

ベンチはテープが張ってあって座れないし、宴会の人もいなかったが、散歩がてらの我々のような人や、柵に寄りかかって弁当を食べる人など、必死で、“なんとか花見”の井の頭公園から満開のお報せでした。

 

 

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小関悠一郎『上杉鷹山「富国安民」の政治』を読む

2021年03月25日 | 読書2

 

小関悠一郎著『上杉鷹山「富国安民」の政治』(岩波新書(新赤版)1865、2021年1月20日岩波書店発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

半世紀に及ぶ粘り強い取り組みによって、窮乏する米沢藩を立て直した上杉鷹山(一七五一~一八二二)。江戸時代屈指の「明君」として知られる彼が目指したのは、何のため、誰のための政治だったのか。改革を担った家臣たちの思想と行動、また鷹山明君像の形成を新たな角度から描き出し、その改革を日本の歴史に位置づける。

 

上杉家は、会津時代の120万石から、関ケ原後に米沢藩30万石となり、三代綱勝が跡取りを決めないまま急逝し15万石まで削減された。にもかかわらず、家臣を削減せず、四代綱憲が浪費して、財政は破綻した。権勢を誇る森平は農民から搾り取り農村は疲弊し、家臣も半知借上により生活が困難となった。さらに長年資金融通を受けてきた江戸本両替商の三谷家に不義理を重ね、借財をかたくなに断られる事態を招いた。

 

江戸家老だった竹俣当綱(たけのまた・まさつな)は森平を殺害し、奉行(家老)となり、藩主重定に隠居を迫って、改革を進め、民が豊かで安心できなかれば国も豊かになれないという「富国安民」を目指した。

開発・殖産政策や儒学者・細井平州の招聘、藩校・興譲館の設置など前半の改革(明和・安永の改革)は、鷹山はまだ幼く、奉行(家老)・竹俣当綱(たけのまた・まさつな)が中心となっていた。

 

鷹山は17歳で第9代米沢藩主となると、奉行竹俣を中核に、側近の莅戸(のぞき)善政とともに、下級武士を郷村出役として農村に派遣し、農村の実情把握、農作指導を行い、借財整理・藩政運営資金確保や、桑・漆・楮(こうぞ)百万本植立計画・藩営縮織工場設置などを行った。凶作・飢饉の際は藩の備米蔵を開き、他県から売米し、領民の糧食とした。

小藩から養子入りした上杉鷹山が隠居時に次代治広に与えた「伝国の辞」には「国家人民の為に立ちたる君にして、君の為に立たる国家人民には無之候」とある。

 

天明2年(1782)に竹俣が失脚すると鷹山も35歳で隠居した。天明7年、鷹山は徳川家斉から賞され、藩主後見となり、莅戸を中老、奉行として後半の改革(寛政改革)を開始した。
さらに、文化年間(1804~1818)には善政の子の莅戸政以(まさもち)による第三の改革が起こる。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

米沢藩での上杉鷹山の改革の中味がよくわかる。文章もわかりやすい。

江戸時代の藩政は「百姓は生かさぬよう殺さぬよう」のイメージがあったが、米沢藩のような例もあったのだ。経済の基盤がない武家政権は農民を富ますことが繁栄の唯一の道だったのだろう。同時に農業改革のための資金を都市の大商人から借財しなければならず、藩主自ら頭を下げても三谷家は断ったなどの記述も新鮮だった。

 

やむを得ない面はあるが、全体の記述が時代順ではなく、混乱しがちだった。

 

結果として繁栄した米沢藩も明治の時代への舵取りでは逆賊への道を選び、繁栄が続かなかったのは残念だ。

 

 

小関悠一郎(こせき ゆういちろう)
1977年、宮城県生まれ。2008年、一橋大学大学院社会学研究科修了。博士(社会学)。専攻は日本近世史。日本学術振興会特別研究員PDなどを経て、現在、千葉大学教育学部准教授。
著書、『〈明君〉の近世――学問・知識と藩政改革』(吉川弘文館)、『上杉鷹山と米沢』(吉川弘文館)、『藩地域の政策主体と藩政』(共編、岩田書院)、『よみがえる江戸時代の村田――山田家文書からのメッセージ』(共編、東北大学東北アジア研究センター)

 

目次

序 章 上杉鷹山は何を問いかけているか
第一章 江戸時代のなかの米沢藩
 1 開発・成長の時代
 2 一八世紀の経済変動
第二章 「富国安民」をめざして
 1 江戸時代の「富国」論
 2 竹俣当綱と上杉鷹山
 3 「富国安民」の理論
 4 三谷三九郎と馬場次郎兵衛
 5 殖産政策の展開――郷村出役と村々
第三章 明君像の形成と『翹楚篇』
 1 明君録とはなにか
 2 莅戸善政と上杉鷹山
 3 莅戸善政の思想と『翹楚篇』の鷹山像
 4 『翹楚篇』と寛政改革
第四章 「富国安民」の「風俗」改革
 1 藩財政と民のくらし
 2 莅戸政以の藩政構想
 3 文化初年の民政の展開――北村孫四郎の奔走
第五章 「天下の富強の国」米沢
 1 「富強」藩イメージの形成
 2 高まる名声とその広がり
 3 「富国強兵」を問い直す

参考文献
図表出典一覧
上杉鷹山略年表

 

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豆苗を食べて、見て、育てて、また食べる

2021年03月24日 | 食べ物

 

普通のスーパーでもよく見かけますが、「豆苗」(とうみょう)をご存じですか? エンドウ(グリーンピース)を水栽培で発芽させ、まだ幼い若芽の状態を、寝付きのまま透明なビニールにパックして売っているものです。約100円でした。

 

以下、「村上農園」の「豆苗研究会」を参照しました。

 

買ったら、開封せず、冷蔵庫に立てたまま保存します。

食べる時は「葉と茎」の部分をカットして食べて、「豆と根」の部分は捨てずに水栽培するのがお勧めです。1週間~10日ほどで再収穫できます。

 

食べ方は、生のままサラダにしたり、電子レンジで加熱しておひたしにしたり、炒め物、スープ、鍋物など加熱しても食べられます。

 

購入した状態の写真を撮るのを忘れました。下の写真は、購入当日に周りの若芽を十数本カットして食べたあと、容器に水を張った状態です。

 

再生させるには、脇芽を残してその上でカットし、毎日水を替えて、日当たりの良い所に置きます。私は、食べる分だけ、下の方からカットしたり、伸びた部分だけカットしたりしました。水を替えるだけで、何もしないのに、すぐに伸びてくるので、育っていくのを眺める楽しみもあります。

再生は、硬くなったり、不衛生になる心配などがあるため、2回までとした方が良いようです。

下の写真はほぼ2回カットした、2週間後の写真です。

 

パソコン内を探したら、2016年5月の写真が見つかりました。

 

まあ、要するにすっかり忘れていた私は、豆苗と違って、進歩どころかもはや退歩が進んでいるということのようです。

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垣谷美雨『夫の墓には入りません』を読む

2021年03月23日 | 読書2

 

垣谷美雨著『夫の墓には入りません』(中公文庫か86-2、2019年1月25日中央公論新社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

ある晩、夫が急死。これで嫁を卒業できると思いきや、舅姑や謎の女が思惑を抱えて次々押し寄せる。〝愛人〟への送金、墓問題、介護の重圧………がんじがらめな夏葉子(かよこ)の日々を変えたのは、意外な人物と姻族関係終了届!?  婚姻の枷に苦しむすべての人に贈る、人生逆転小説。『嫁をやめる日』を改題。   〈解説・角田龍平〉

 

疎遠であった夫が急死し、自由を謳歌しようとする夏葉子(かよこ)に、舅や、姑・美哉は、親切ではあるのだが、高瀬家の嫁に繋ぎとめようとあれやこれや制約をかけてくる。夏葉子は、様々な問題を振り切り、嫁をやめ、1人の女性として生きようと奮闘する。

 

東京から、夫・高瀬堅太郎の故郷である長崎に引越してきた夏葉子は、仕事で忙しくしていて疎遠であった夫が46歳で死んでしまっても特別悲しいとは思わなかった。家のローンは夫の死で返済したし、ミニコミ誌のアルバイトも楽しく、夫から解放され、久しぶりに自由を味わっていた。

 

そんな時、姑に買うのを任せた大きな仏壇が我が家に運ばれてきて、今後も夫の一族に束縛され続ける気がしてしまい、気持ちが暗くなってしまった。葬式後も様々な人が線香をあげに夏葉子の家を訪れるようになり、中でも、姑は留守のときも合い鍵を使って家に入っていたこともあった。

そんな時、夫の中学時代の同級生という女・サオリが、線香をあげに来て、夫との親密さを示唆する。出てきた夫の通帳からはサオリに何回もお金が振り込まれていた。夏葉子は浮気を疑う。

 

高瀬家に縛られることにうんざりした夏葉子は、東京の実家に帰り、相談すると、父は長崎に来て、話をつけてくれることになった。また、夏葉子は、母から、舅や姑との関係を切る、「姻族関係終了届」というものがあることを教えられる。

 

果たして、夏葉子は……。

 

 

本書は、単行本『嫁をやめる日』として2017年3月中央公論新社より刊行。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

想定の範囲で先の展開が想像できる。程度問題ではあるが、どこにでも“あるある”話なのだが、気楽にスイスイ読み進められる。

 

夏葉子は長女で小さな時からしっかりして、大人の言うことをよく聞くしっかり者との想定だが、その夏葉子がいきなり姻族関係終了届を出すのには違和感がある。高瀬家の人たちは少なくとも悪気はないのだから、夏葉子の気持ちをもっと説明してから最終手段に出るべきだと思った。

 

 

垣谷美雨の略歴と既読本リスト

 

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村山由佳『雪のなまえ』を読む

2021年03月21日 | 読書2

 

村山由佳著『雪のなまえ』

 

徳間書店のサイトにはこうある。

【著者からのコメント】
「自分探し」の記憶はあまりありませんが、「居場所探し」はつい最近までくり返してきた気がします。
 心安らげる居場所がないのは不安なことです。つい、間違ったものにしがみつきたくなってしまう。
 ここにいていいのだと信じられる場所、ほんとうの自分を受け容れてもらえる場所さえ見つかったなら、誰もがもっと生きやすくなるし、自信を持てるし、ひとに優しくなれるんじゃないか。そうした場所を見つけようとして今までいた場所に別れを告げるのは、決して〈逃げ〉ではないんじゃないか──。
 今作『雪のなまえ』は、そんな思いをこめてつづりました。
 時にすれ違っても、みんながお互いのことを思い合う物語です。
 若い人にも、かつて若かった人にも、ぜひ。

 

 

「夢の田舎暮らし」を求めて父(島谷航介)が突然会社を辞めた。いじめにあい登校できなくなった小学五年生の雪乃は、父とともに曾祖父母(茂三、ヨシ江)が住む長野で暮らしを始める。仕事を諦めたくない母(英里子)は東京に残ることになった。

胸いっぱいに苦しさを抱えていても、雪乃は思いを吐き出すことができない。そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、長野の大自然、地元の人々、同級生(竹原)大輝との出会いだった――。

ほんとうの自分を受け容れてくれる場所。そこを見つけるため、今いる場所に別れを告げるのは、決して逃げではない。

 

竹原広志:航介の高校以来の友人。息子が大輝。妻は病の優美。

 

初出:「日本農業新聞」2018年11月5日~2019年12月31日

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

主に中高生向けだと思う。理知的で有能な母が実は……、場当たり的で感情的な父が意外と……、など予想がつく展開で、安心して読める。

 

田舎に移住した都会居住者への地元の人の反応もよく聞く話の範疇で想定圏内に留まる。

 

曾祖父の農業に関する知恵も、航介ほど感嘆するものには感じられない(巻末に農業関係の書籍が2冊挙がっているが)。農業に関するノウハウは本当に深く豊かなものがあることは私も承知している。私にも、10年ほど野菜作りの経験がある(実益ねらいの趣味に終わったが)。

 

 

村山由佳(むらやま・ゆか)
1964年東京都生まれ。立教大学文学部卒後、不動産会社勤務、塾講師。

1993年「天使の卵~エンジェルス・エッグ」で第6回小説すばる新人賞受賞。

2003年『星々の舟』で第129回直木賞受賞。

2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、島清恋愛文学賞受賞
その他、『放蕩記』『花酔い』『天翔る』『天使の柩』『ありふれた愛じゃない』『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』『嘘 Love Lies』『風は西から

 アンソロジー『最後の恋』(TUNAMI)

 

 

ふだんから理解しあい、愛しあっている夫婦というものは難しい、なんでも話しているようでいて、むしろ逆だったりする。黙っていてもきっとわかってくれている、と思いこむせいばかりではない。相手がどいう場面でどんな反応を示すか前もって想像がつくだけに、かえって話さないことや、あらかじめ諦めることも増えてしまうのだ。(p18)

 

楽しいとは、また明日、の明日が早く来ればいいと思うこと――。(p323)

 

茂三「おれらみたいなロートルと比べちゃなんねいわ」。ロートルとは、老人を否定的意味合いでさす言葉。昭和40年代までは使われた俗語で、中国語からきている。

 

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藤原正彦・藤原美子『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩』を読む

2021年03月19日 | 読書2

 

藤原正彦・藤原美子『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩』(文春文庫ふ26-4、2014年9月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

街をゆっくり歩けば、いたるところで歴史の痕跡と出会う。隣り合う東郷平八郎と山本五十六の墓、パリで出会い日本でも隣組だった藤田嗣治と島崎藤村、今も残る引き出しのないマッカーサーの執務机……。藤原教授夫妻と多磨霊園、番町、本郷、皇居周辺、護国寺、鎌倉、諏訪を歩き、日本の歴史に出会うちょっと知的な散歩日和。

 

文藝春秋BOOKSの本書の「担当編集者より」にはこうある。

結婚して32年になる今でも、藤原正彦さんご夫妻は、夕食後に4キロの散歩を日課としています。そんなふたりの休日の遠足に密着した「文藝春秋スペシャル」人気連載『ふたりで歩く古典散歩』は多磨霊園、番町、本郷、皇居、護国寺周辺を歩き、ふたりの軽妙なやりとりで好評を博しました。単行本化に際し、ご両人の故郷である諏訪と鎌倉へと足をのばし、歴史の舞台を訪れ、偉人たちの生涯に思いをはせながら、ふたりは新たな発見を重ねます。(NM)

 

各訪問地での二人の散歩写真と、訪れたすべての場所を示す案内図が載っている。

 

鎌倉は、京都の壮麗や奈良の威厳はないけれど、住宅地や山間(やまあい)の細い道の先にひっそりと息づいている神社はどこか肌に暖かくなじむような気がし、訪れるたびに好きになる。(正彦)

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

長年東京に住んでいても都心の住宅地に行くことはめったにない。江戸、明治の歴史的地点を巡る散歩は、意外な所に意外な記念物などがあり、教養ある二人に歴史とともに、なるほどと教えられた。

 

戦前の知識人の恐るべき男女関係に改めてびっくり。週刊文春もかわいいものだ。

脱線ついでに、首相も閣僚など文春にお伺い立ててから指名すればよいのにと毎回思う。

 

二人のやりとり、というか負けてない美子さんの反撃が面白い。

正彦 そう。僕は褒められたことは全部覚えていて、けなされたことは全部忘れるの。

美子 美しい女性に「先生、意外に足が長いんですね」と褒められたとか、何度も聞かされたわ。謙虚な私なら、足くらいしか褒めようがなかったのかな、と思ってしまうんだけど。……

 

 

藤原正彦(ふじわら・まさひこ)
1943(昭和18)年、旧満州新京生れ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。1978年、『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞
その他、『遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス―』『父の威厳 数学者の意地』『心は孤独な数学者』『国家の品格』『この国のけじめ』『名著講義』『ヒコベエ』『日本人の誇り』新田次郎との共著『孤愁 サウダーデ』()。新田次郎と藤原ていの次男、藤原美子の夫。

 

藤原美子(ふじわら よしこ)
1955年、米国プリンストン生まれ。カウンセラー、翻訳家。ハリウッド大学院大学教授、筑波大学附属視覚特別支援学校講師。専攻は発達心理学。
お茶の水女子大学修士課程修了後、数学者の藤原正彦氏と結婚。3人の息子がいる。父は化学者の田丸謙二、双子の姉は立教大学教授の大山秀子。
著書、『子育てより面白いものが他にあるだろうか』、『我が家の流儀-藤原家の闘う子育て』、『家族の流儀-藤原家の褒める子育て』、『夫の悪夢』、『藤原家のたからもの

本書、藤原正彦との共著『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩

 

 

画家の藤田正嗣は50歳のときに25歳年下の夫人と5度目の結婚した。

 

北原白秋は隣家の夫人と関係ができて、その夫から姦通罪で告訴され、囚人馬車で市ヶ谷まで運ばれて、二週間獄舎に繋がれた。裁判のときには、編み笠をかぶせられ手錠をはめられた。

 

 

汚れちまった悲しみに    中原中也

 

汚れちまった悲しみに

今日も小雪の降りかかる

汚れちまった悲しみに

今日も風さへ吹きすぎる

 

汚れちまった悲しみは

なにのぞむなくねがふなく

汚れちまった悲しみは

倦怠(けだい)のうちに死を夢む

 

 

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藤原美子『藤原家のたからもの』を読む

2021年03月17日 | 読書2

 

藤原美子著『藤原家のたからもの』(文春文庫ふ34-2、2019年2月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

何の変哲もない品々が過去のゆたかな時間、忘れがたい人々を甦らせる。藤原正彦夫人が16の「もの」に託して家族の思い出を綴る珠玉のエッセイ集。 義父・新田次郎のリュックサックや亡き母のレシピ、結婚後に英国でもらったラブレター。「私の文章によく似ている(だから上手い)」(巻末エッセイ「危うし、夫の面子)

 

藤原家のたからものとは、昔使った料理本、インドで買った洋服、新田次郎のリュックサック、亡き母のレシピ、マヨルカ焼きの小物入れ、夏休みの日記帳、八ヶ岳の農作業帽子、息子が着ていた少年野球時代のユニフォームなどで、とくに高価なものではないが、家族などとの懐かしい思い出につながる品々だ。カラー写真が掲載されている。

 

「三冊の母子手帳」

ラマーズ法での長男の出産時、

 夫はさんざん悩んだ末に、覚悟を決めて立ち会うことになった。「怖気づいて付き添いを逃げた」と私が必ずやあちこちに吹聴するにちがいない、と正しい予測をしたといえよう。面目を失うことがなによりも怖かったのである。

次男のとき、夫は貧血で倒れ、分娩室隣の安静室で私と枕を並べて休むという失態を演じた。

 

「ニューヨークの銀食器」

夫がニューヨークからのお土産で銀食器のティー・コーヒーセットを買ってきた。

夫は

「セールス品を買えば、値引きされた分だけ儲けたことになる」…「買えば買うほど金持ちになる。今日はボロ儲けしたよ」と言って得意になる。

(「3割引きなのよ! 絶対に買わなければ損よ!」と息巻く妻に、かって私は、「買わないのが十割引きだ」と嫌な気分にさせたことがある。今はとてもそんなこと言えませんが)

 

「夏休みの日記帳」

著者が小学二年生の時の日記帳がある。4歳下の

妹とかくれんぼして遊ぶ様子も出てくる。隠れた妹を捜すのはいとも簡単。「玲ちゃん」と呼ぶと、小さい妹はいつもうっかり「あ~い」と返事をしてしまうからだ。

 妹は二十五歳の若さで亡くなった。再生不良性貧血という、ある日突然に血液が生成されなくなる、当時は原因不明の難病だった。

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

読みやすい文章で、幸せな家庭、家族の歴史が垣間見える。しかしながら、家族にとって大切な思い出の品であることは解るが、他人にとってはどうということないという感じだ。才能ある人ばかりの上流家族の幸せな話に、幾分鼻白んだ、嫉妬深い私がいやになる。なら読むなという話なのだが。

 

 

藤原美子(ふじわら よしこ)
1955年、米国プリンストン生まれ。カウンセラー、翻訳家。ハリウッド大学院大学教授、筑波大学附属視覚特別支援学校講師。専攻は発達心理学。
お茶の水女子大学修士課程修了後、数学者の藤原正彦氏と結婚。3人の息子がいる。父は化学者の田丸謙二、双子の姉は立教大学教授の大山秀子。
著書、『子育てより面白いものが他にあるだろうか』、『我が家の流儀-藤原家の闘う子育て』、『家族の流儀-藤原家の褒める子育て』、『夫の悪夢』、『藤原家のたからもの

藤原正彦との共著『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩

 

 

 

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3月(1)の花

2021年03月16日 | リタイヤ生活

 

 

3月12日に届いた花

 

7本のラナンキュラス、2本のイチゴのようなセンニチコウ、2本の扇のように広がるレースフラワー、右上に伸びるユキヤナギ

 

2日後にはラナンキュラスは満開。外側の花びらは黄色で中心部が緑。

 

TEA HOUSE」で頂いたチューリップも、ピンクが紫に変わったが、まだまだ元気だ。

 

 

 

 

 

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アンソニー・ホロヴィッツ『その裁きは死』を読む

2021年03月15日 | 読書2

 

アンソニー・ホロヴィッツ著、山田蘭訳『その裁きは死』(創元推理文庫Mほ15-4、2020年9月11日、東京創元社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

実直さが評判の弁護士が殺害された。裁判の相手方が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた謎の数字 “182” 。 被害者が殺される直前に残した奇妙な言葉。わたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査に引きずりこまれて──。絶賛を博した『メインテーマは殺人』に続く、驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。

 

原題は “THE SENTENCE IS DEATH”。

 

語り手は、著者自身で、小説家・脚本家のアンソニー・ホロヴィッツ。元刑事でロンドン警視庁顧問のダニエル・ホーソーンから、彼自身を主役に彼のかかわった事件のことを書いて欲しいと依頼される。この第一作が『メインテーマは殺人』。著者はこのシリーズは全10冊を予定していて、ホーソーン自身に関する謎解きに興味をもっているという(大矢博子氏の解説による(p455))。

 

今作は、離婚専門の有名弁護士リチャード・プライスがロンドン北部の高級住宅地ハムステッドの自宅で時価二千ポンドという高級ワインのボトルで頭を殴打され、殺された。この事件の前に、彼により離婚裁判が不満足な形で終ってしまった女性作家アキラ・アンノが、レストランで彼にグラスワインをぶちまけ、ボトルでぶん殴ってやると脅したという。

 

最初は非常に単純な事件に見えたが、次々と複雑な様相を重ねていく。

  • 事件現場の壁にペンキで「182」と書かれていた。
  • 事件直前の夜8時、たまたま通話中だったリチャード・プライスは、不意の来客に「いったい、どうして?」「もう遅いのに」と話しかけていた。
  • 過去に、同級生仲間の3人、プライス、チャールズ・リチャードスングレゴリー・テイラーが洞窟探検中に、リチャードスンが事故死していた
  • さらに、テイラーも、キングス・クロス駅で地下鉄に轢かれて変死し、探検に参加した3人全員が死亡した。

 

アキラ・アノンが作った第182句 「君が良き 耳にぞ告ぐる 裁きは死」

 

スティーブン・スペンサー:リチャードのパートナー。画廊経営者。

オリヴァー・メイスフィールド:リチャードの法律事務所の共同経営者

エイドリアン・ロックウッド:アキラの元夫。不動産開発者。

ダヴィーナ・リチャードスン:リチャードスン(故人)の妻。インテリア・デザイナー。息子はコリン。

スーザン・テイラー:グレゴリーの妻。

カーラ・グランショー:ロンドン警視庁警部。大柄で感じが悪い。部下はダレン・ミルズ。

ジル・グリーン:アンソニーの妻。映画プロデューサー。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

登場人物が多く、名前が覚えられず、筋も複雑だが、犯人推測が徐々に絞られてきて、かつ誤りが訂正されて、筋道がしだいにはっきりしてくるので、興味がついついひっぱられてしまう。

 

謎解き探偵と語り手の関係が、ホームズとワトソンのような単純な関係でなく、反発も、緊張もあるので面白い。ホーソーンの無礼、冷淡で、同性愛に差別的で、謎に満ちた性格が魅力的。

 

アンソニー・ホロヴィッツ Anthony Horowitz

イギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品〈女王陛下の少年スパイ! アレックス〉シリーズがベストセラーに。また、人気テレビドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認のシャーロック・ホームズ・シリーズの新作長編『シャーロック・ホームズ 絹の家』などを手掛ける。
アガサ・クリスティのオマージュ作品『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』など、史上初の7冠を達成。
ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第1弾『メインテーマは殺人』でも、年末ミステリランキングを完全制覇した。

他、『シャーロック・ホームズ 絹の家』『モリアーティ』『007 逆襲のトリガー』

 

山田蘭(やまだ・らん)

英米文学翻訳家。

訳書にギャリコ『トマシーナ』、ベイヤード『陸軍士官学校の死』、キップリング『ジャングル・ブック』

 

 

蒲:ガマ。水辺に生える草で、葉を編んでむしろや敷物を作った。別名で、ミズクサ。

 

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スムージー(追加版)

2021年03月14日 | 食べ物

 

2020年11月18日に「スムージーにハマる」で「グリーンスムージー」、「シャインマスカット」、果肉入りの「梨」をご紹介した。

 

さらに12月20日に「あまおうスムージーMix ラズベリー入り」、「Wベリー&ヨーグルトMix」、「豆乳バナナMix」の3種を紹介した。

 

ここまでで結局、もっともシンプルな「グリーンスムージー」が一番という結論だった。

その後、「川中島白桃&マンゴーMix」と、「オレンジざくろ&ヨーグルトMix」を見つけてご購入。

「川中島白桃&マンゴーMix」は確かに白桃の味は感じられるが、マンゴーは??

「オレンジざくろ&ヨーグルトMix」は、とろりとしながら爽やかで、なかなかだが、ほんの少しの甘味だが後味が残る。

 

カゴメのホームページを見ると、野菜果実ミックス「野菜生活」シリーズとして、30種以上が並び、しかも新商品、リニューアルが次々登場している。開発担当の方々、ご苦労様です。

でも、とても付き合いきれません! 

 

ということで結局、どこでも手に入りやすいこともあり「グリーンスムージー」が、私的には一番ということになった。おそまつでした。

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伊岡瞬『赤い砂』を読む

2021年03月13日 | 読書2

 

伊岡瞬著『赤い砂』(文春文庫い107-2、2020年11月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

男が電車に飛び込んだ。現場検証を担当した鑑識係・工藤は、同僚の拳銃を奪い自らを撃った。電車の運転士も自殺。そして、拳銃を奪われた警察官も飛び降りる。工藤の親友の刑事・永瀬遼が事件の真相を追う中、大手製薬会社に脅迫状が届く。「赤い砂を償え」――自殺はなぜ連鎖するのか? 現代(いま)を映し出した書き下ろし傑作!

 

本作品は、「2000年代初頭、発症すると、錯乱し破滅的行動の果てに自殺する恐るべきウイルスの感染症が、東京において発生した」という物語で、デビュー前に書いた作品を大幅手直ししたものだ。

コロナ禍だから「新型ウイルス」をテーマとした17~18年前のボツになった作品に、大幅に手を加えて、今頃出すとはという批判に答える理由を、著者がweb限定版「もう一つのあとがき」で公開している。

著者は以下の「しばり」を課して書いているという。

当時の知見、テクノロジーを越えて描かない。その後知り得たことは、どんなに入れたくても入れない――。…… たとえば、今日では小学生でも知っている『PCR検査』『パンデミック』『クラスター』さらには『サイトカインストーム』『集団免疫』などなどの文言は一切出てきません。

 

 

国立疾病管理センター職員の阿久津が電車に飛び込んだ。現場検証した警視庁戸山署の鑑識係・工藤は、その後、食堂で狂乱し、同署交通課の山崎の拳銃を奪い自らを撃って死亡した。JRの電車運転士・早山も妻・朋子の前で、突然狂ったように包丁で自分を刺し、外に飛び出してトラックにはねられて死んだ。

 

戸山署刑事・永瀬遼は普段はベテランの武井とペア―を組んでいたが、この捜査陣では本庁捜査一課の長谷川と組んで捜査に加わることになる。さらに、拳銃を奪われた山崎も飛び降り自殺する。しかし、警察幹部は、署員が拳銃を奪い銃撃するという事態に、外部にもれないように、事件でなく事故として扱い、他の自殺もそれぞれが単独の事故として穏便に処理してしまう。

 

一方で、大手の西寺製薬会社会長は西寺喜久雄で、息子の信毅はワンマン社長、孫の暢彦は大学生だった。信毅は秘書室長の佐脇を介した外部からの手紙には目を通すが、なかに「赤い砂を償え 遺族に二億ずつ、一週間以内に支払うこと 実行されない場合には鉄槌が下るだろう」との脅迫状があった。かって、佐脇は阿久津との橋渡しを探偵社の斉田に依頼していた。また、会社の顧問には、警視庁長官官房審議官だった園原を招いてあった。

 

永瀬は親友の工藤の家で、妻・一恵に手料理がふるまわれ、よちよち歩きの瑛太もいる平和な家庭を目にしており、自殺する動機がないと、処分覚悟で事件の真相を追い続ける。死んだ阿久津の妻の岩永多佳子や、阿久津の同僚だった有沢美由紀を探し出して、情報を得る。事件発生から3年経過し、探偵事務所の斉田が自殺した。

 

この作品は書き下ろし。

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

けっこうダイナミックな話で、話の筋の予想はつくが、どれどれと読み進めてしまう。連鎖する自殺が、ゾンビ物映画のようで、エグイ映像が目に浮かび、興奮しながら、次は何だともどかしい思い。

 

殺人者が明らかになる場面はバタバタだが、最後の最後で永瀬がどうなるのか明示されないで終るのがいいね。

 

 

伊岡瞬の略歴と既読本リスト

 

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