hiyamizu's blog

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香山リカ『リベラルですが、何か?』を読む

2016年03月24日 | 読書2

 

 

香山リカ著『リベラルですが、何か?』(イースト新書064、2016年2月15日イースト・プレス発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

安保法制をめぐって日本中に論議が巻き起こった、二〇一五年夏。それはまさにリベラルの存在意義が問われた季節でもあった。いまリベラルは何を考えればよいのか。右傾化する社会状況の源流を、八〇年代“ニューアカ"“ポストモダン"まで辿り、リベラル派知識人にも責任があると、著者は喝破する。近年、アイヌ民族差別や在日韓国人へのヘイトスピーチ、そして安保法制に対する社会運動において、自らもデモなどに積極的に参加し関わってきた著者が、リベラルのゆくえを考察する一冊。

 

 

「第一章 私の「闘い方」が変わった理由」

おそらくミドルクラスよりさらに富裕層に近い、外資系ネトウヨ、開業医ネトウヨなども基本的にはこの「ナショナリズムー新自由主義」スペクトラムに位置づけられるのだろう。・・・しかし、彼らがより“新しい”のは、彼らは愛国心の持ち主というレベルを超えた先鋭的な人種差別主義者や国粋主義者であり、それと同時に「お金儲けってそんなに悪いことですか?」的な徹底的な拝金主義者であるということだ。

(香山さん! 言い過ぎで、決めつけ過ぎです。ネトウヨがうつってしまってます。)

 

「第二章 リベラル派としての私の<自戒>」

「リベラル派知識人は何をしてきかた。私は自分の歩んできた30年あまりを振り返らざるをえなかった」として第二章は始まるが、やたら思想家、精神病理学などの難しい話がずらずら出てきて、そこは読み飛ばした。そのあと、香山さんがかかわった「アイヌヘイト」との戦いに触れる。

章の最後の方で、リベラル派がすっかり油断し、沈黙している間に、新しい保守派が着々と勢力を拡げ、社会のリベラル色が薄まってしまった、と分析する。

 

香山さんは今後について、奥田愛基(あき)等のSEALDsに期待する。(しかし、彼らは自分たちを「リベラル」とは思ってないのではないだろうか)

 

第三章 リベラルのゆくえ 特別対談1 野間易通×香山リカ

第四章 リベラルのゆくえ 特別対談2 湯浅誠×香山リカ

香山:私なんか自分自身が左傾化しているとは全然思っていなくて、「まあ平和大事だよね」「人権大事だよね」とか普通に言ってきて、みんな共有していると思っていたら、いつの間にか後ろに誰もいないみたいになっていたという実感しかない。

湯浅:やっぱり民主党の政権交代の失望が大きいんじゃないですかね。もっと大きな流れで言えば、もちろんグローバリゼーションが広がってきているから、それに自分たちの生活が脅かされるんじゃないかという文脈でナショナリズムがたかまっている。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

確かに時代は右傾化しつつあると、戦後民主主義の洗礼を受けた私には思える。なんとかすべきだとも思う。

 

しかし、この本を読むと、香山さんの意向とは逆に、良く使われるいわゆる「リベラル」が時代に置いて行かれようとしていると感じられる。文化人が、時に冷笑し、時に大衆を導こうとする昔のやり方は時代とずれてきていると感じられる。

 

でも、香山さんって、面白い。あまりにおっちょこちょい。なんにでもすぐカァーとして反応するので、ネトウヨを楽しませている。デモに参加して興奮して叫ぶ映像を何かで見たが、本人も「おわりに」に書いている。

「あーカヤマリカだ、バーカ、バカ女!」などとののしられることもしばしばだ。


そう言いたくなる映像だが、50代半ばで、一生懸命で、むきになっちゃって、カワユイ!

 

 

香山リカ(かやま・りか)

1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学科教授。専門は精神病理学。
学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。

おとなの男の心理学』『<雅子さま>はあなたと一緒に泣いている』『雅子さまと新型うつ』『女はみんな『うつ』になる』『精神科医ですがわりと人間が苦手です』『親子という病』『弱い自分を好きになる本』『いまどきの常識』『しがみつかない生き方』『だましだまし生きるのも悪くない』『人生の法則』『できることを少しずつ』『若者のホンネ』『新型出生前診断と「命の選択」』『がちナショナリズム半知性主義でいこう 戦争ができる国の新しい生き方

 

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