hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

香山リカ「弱い自分を好きになる本」を読んだ

2008年08月09日 | 読書2

香山リカ「弱い自分を好きになる本」2008年6月 朝日新聞出版発行を読んだ。

精神科医、立教大学教授でときどきTVにでる香山リカ氏が、前向き思考、競争や成長のすすめ、強い意思、そんな本ばかりあるのはおかしいと考え、「弱い自分」に悩んでいる人に語る。
「弱くてもいいんですよ。その弱さこそ、あなたの最大の魅力であるやさしさにつながっているんです。あなたの弱さを柔らかさと、そして、あなたの弱さをやさしさと感じ、ほっとしている人はまわりの多いはずです」

強さばかりが求められ、弱い人が生きにくい世の中になった。自分に自信がない・気分の浮き沈みが大きい・すぐに挫折してしまう……そんな「弱い自分」を好きになるための具体的な方法を提案している。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

元気で押しの強い人にはお勧めできる本ではないが、真面目でおとなしい人は一読の価値があると思う。ハウツーものでなく、高みから教える啓蒙書でもない。“弱い”人を強くする本でもない。
本当かな?とも思うが、著者の香山リカ氏は、自分を弱い人間と考えているようだ。そして、精神科医としては当然なのだろう、患者さんと同じ目線で十分話を聞いているようだ。そして、この本でも、「真面目でおとなしい自分を変えたい」と訴える人に、現状でも十分だということを自から納得できるようにと話を進めている。



いくつか、拾い出してみる。

自信のない人は、自分の長所や特技を思い出す自信がない状態になっているのだ。「私は大丈夫。ほらあのときだってちゃんと困難な局面をクリアして、まわりの人たちにも感謝されたじゃない」と定期的に思い出しておく必要がある。

過去の失敗をいつまでも悔やむ人は、「自分の弱さを見せることで親しみを感じさせたなどと、失敗に対する見方を変える」、「その後の小さな成功体験で上書きしていく」ことで傷は小さくできる。そしてなにより、皆に迷惑かけてしまったと悩む繊細さ、気配りを持てる人は、自信満々の人より、何十倍も人に愛され、社会に必要とされている。

自分が傷ついたり落ち込んだりしたときにそばにいてほしいのは、いつも前向きで明るく強気な人だろうか、それとも、弱いけどやさしく赦し、そばに寄り添ってくれる人だろうか。




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