hiyamizu's blog

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香山リカ「雅子さまと新型うつ」を読む

2009年11月15日 | 読書2
香山リカ著「雅子さまと新型うつ」朝日新書166、2009年3月朝日新聞出版発行を読んだ。

表紙裏にはこうある。
なぜ、雅子さまの療養生活は
これほどまでに長期化したのか。
仕事中はうつ、私生活では活動的――。
働き盛りの男女に増えている「新型うつ」。
従来型うつの常識が通用しない新たな国民病に、
医師も患者も周囲もとまどっている。
「皇室」という日本社会の映し鏡を通して、
現代人の「心」の病の深層に迫る。


雅子さまについては、公務を避けているのに私的な外出が多すぎるとか、いったいいつまで療養が続くのかなどマスコミなどが小姑状態になっている。雅子さまに限らず、プライベートな時間では回復しつつあるのに仕事となるとまた不調に陥るという「新型うつ」の人が増えている。まじめで努力家、キャリア志向の女性たちにとっても、雅子さまの問題は他人事ではない。

雅子さまのストレスの原因は、当初発表のように「育児と公務の両立によるもの」ではなく、(自分が貢献できる分野で)働きたいのに働けないことにある。

治療の一環としての私的外出も、その期間が長く続くにつれ、診断への疑問を呼び、批判の対象になっていった。私的外出先も、三ツ星レストラン、イルミネーション見物、妹一家とのディズニーランド訪問、スキー旅行、オランダ静養とあってはトレーニングやリハビリとは受け取れない。公務は不調で出来なくて、私的外出時には元気な姿が見られることで、批判も厳しくなる。しかし、このように、職場ではうつ、プライベートでは元気という新型うつが一般の人でも増えてきている。

皇太子は、「最後になりますけれども公務については、雅子についても体調が回復したならば何か今までの経験をいかした形で取り組めるようなテーマが見つかって、かかわっていけるようになると良いと思っています」「公務の在り方については、私は以前にもお話したように、新しい時代にふさわしい皇室像を考えつつ見直していくべきだと考えます」と言っている。
これに対し、秋篠宮は、この考え方に反対し、「私は公務というものはかなり受け身的なものではないかと、・・・」と述べている。
皇太子は、国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁就任など水の問題をライフワークと考え、関わろうとしている。雅子さまも、国連大学を聴講したりしながら、自分の実力に見合った新しい仕事の形を模索しているかにみえるのだが。



香山リカは、1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。
私が読んで、感想を書いた著書は、「女はみんな『うつ』になる」、「精神科医ですがわりと人間が苦手です」「親子という病」、「弱い自分を好きになる本」「いまどきの常識」だ。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

皇室もの、雅子さん関連に興味のある人には、ある方向からのきちんとした見方が分かりやすく提示されているこの本は読むべきだ。また、「適応障害」「うつ」「新型うつ」の診断基準も示されているので、そのあたりに興味のある人には、そう多くないと思うが、お勧めだ。

私は、週刊誌は読まないことにしているし、皇室情報に興味がないが、反論できない皇室の人に一方的にあること無いことで非難するマスコミには従来から反感を持っていた。雅子さまはともかく病気なのだから、治るまでじっと待つべきだと思っていた。

著者に言うように新型うつなるものが学界で認められているのか、私には不明だ。もし雅子さんが新型うつなるものだとすると、プライベートで自由度を増すことが治療として有効ではないように感じる。
著者は、新型うつの一般の患者の身勝手な考え方に、精神科医としては禁断のお説教をしたくなると書いているが、ましてや、私などは、休職中にスキーで生き生き遊び、職場には自分の好きな仕事に付かせろと要求する人に、病気とはいえ身勝手だと思ってしまう。そして、このようなことを書いている著者が、陰に雅子さまが身勝手と暗示しているのではないと良いのだが。




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