hiyamizu's blog

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香山リカ「女はみんな『うつ』になる」を読む

2009年08月16日 | 読書2
香山リカ著「女はみんな『うつ』になる」2009年4月、中央法規発行、を読んだ。

裏表紙にはこうある。

個性的な生き方をしていると誰もが認める女性が増えてきたが、彼女たち自身は「生きやすい」と満足しているわけではなさそうだ。旧態依然とした人間関係に苦しみながら、仕事や趣味に「生きがい」「自分らしさ」を見つけようと必死に努力する女性たち。彼女たちの間に、プチうつなど心に問題を抱える人が急増しているのである。そこで、恋愛、仕事、母娘関係などにスポットをあて、女性を悩ます「うつ」について考える。




いくつか抜き出す。(文は私が簡単化している)

女性の場合は、月経、妊娠、出産にともなうホルモンの変動や、恋愛や結婚に関係して感情の動揺などが加わり、「うつ」の一番の原因を突き止めるのは意外に難しい。さらに女性への社会からの要求は高くなる一方だ。「働きなさい」「結婚しなさい」「子供を生みなさい」「仕事に戻りなさい」「親を介護しなさい」「ミドル、シニアになっても女として輝きなさい」

仕事で自己実現を目指すことに疲れたとき、プラン変更できない女性が多い。それは、女性達が「いつも他者からほめられる人生」を送りたいと願っているからだ。

夫婦のコミュニケーションの量や質は結婚生活が長くなればなるほど低下する。
社会が変化しているにもかかわらず、男性のうつの最大原因が相変わらず「仕事のストレスであり続けるということの影には、女性の家庭での涙ぐましいほどの努力がある。男性はそれに気づかず「本当に仕事が忙しくてたいへんだよ」といい続けている。
参考:「離婚問題・熟年離婚・年金分割の基礎知識」 

あるときまでは自己確立のためにひたすら勉強や努力を続け、恋愛を避けてきた女性が、自分では何も決められず「彼次第」になってしまうことがある。彼女たちは、「こうやって自分で考えて決めて、はっきり意思表示できることで、女性としての価値はむしろ下がっているのではないか」という不安に襲われるためだ。

「私はきまじめすぎるほどなのですが、娘は要領がいいというかずるいというか・・・」と実の娘を好きになれないなんておかしいのではと思ってしまう母親もいる。「娘を見て、この欠点は自分に似てると思って嫌になるし、ここは私よりすぐれていると思うと嫉妬心をいだいてしまうこともある。息子はただ可愛い」



香山リカは、1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。学生時代から雑誌などに寄稿。その後も、臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

いつものように体系的な内容ではないが、環境や、身体の変化が著しい女性の事情、裏の心理をいくつか知ることができる。
自由に羽ばたいていると思える現代女性も、この本によれば、いまだ女性はこうあるべきという暗黙の縛りにとらわれている人が多いようだ。女性をとりまく環境はなかなか変わらないようだ。仕事を続けるかどうかという観点だけから言っても、夫の言いなりになる母(祖母)を見て育ち、仕事をしながら子育てし、娘の自立を促す頑張りものの母を見て、娘(孫)は「私はやっぱりと専業主婦になる」という人もいるだろうし、ごく自然に社会慣習が変わりきるには、3世代くらいはかかるのだろう。
男性の場合は、「男の子でしょ!泣かないの!」と叱る母親をいまだ耳にすると思うが、それでも、草食系男子が増えているという。男性はしょせん浮き草稼業だから変わり易いのだ。

それにしても、小学校で、女子が男子を名前で呼び捨てにするらしいが、年寄りには考えられない。男子も女子を呼び捨てにしているのだろうか。このあたりから、ようやく社会が変わっていくのかも。





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