春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「ナイブズアウト」

2020-09-17 00:00:01 | エッセイ、コラム


20200917
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2020コロナに負けずの映画(5)ナイブズアウト

 飯田橋ギンレイで見た「ナイブズアウト名探偵と刃の館の秘密」。古い大邸宅で起こる遺産を巡る殺人事件。アガサクリスティへのオマージュという正統派探偵物です。

 タイトルの『Knives out』が「Knives are out.」の省略だとすると、「used to refer to a situation when people are being unpleasant about someone, or trying to harm someone」ということらしく「だれかに不愉快であったりだれかを傷つけようとする状況について述べるとき使われる」すなわち「だれかに矛先を向ける、刃を向ける」ということ。
 犯人が刀によって殺人を起こすのか、探偵が証拠を突き付けて犯人にとどめをさすのか。

 探偵役は007ジェームズボンド役で有名なダニエル・クレイグ。大きなお屋敷で起きた当主の死。遺産狙いの殺人なのか本当に自殺なのか。匿名の雇い主の依頼を受けた探偵が調査を開始。
 一家の持て余し者で遺産分与から外してあると告げられていたのが、キャプテンアメリカ役で有名だというクリス・エヴァンス。関係者の中、遺産とは無縁に見えたのが当主の看護師だったアナ・デ・アルマス。一家一族は、全員動機と殺害チャンスを持ち、だれが犯人でもおかしくない。ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン、ドン・ジョンソン、トニ・コレット、ラキース・スタンフィールド、キャサリン・ラングフォード、ジェイデン・マーテル と出演者居並ぶのはすごい豪華キャストらしいが、私が出演作をそらで言えたのは、当主の大作家役のクリストファー・プラマーだけ。サウンドオブミュージックの太佐役。

 探偵と警察官に尋問を受ける背景に、ギラギラしたドーナツ状の飾りがあり、私にはそれがナイフを並べたコレクションだとわかっていませんでした。「刃の館」というのは、このナイフのコレクションに由来するのだと、あとで気づきました。ナイフの複数形ナイブズ。どうして「矛先を向ける」という成句がThe kife is out.でなくて,The knives are out.であるのか、英語に弱いので、さっぱりわからなかったですが、矛先を向けられたのがひとりではなく、屋敷にいる全員(複数)だからだったかなあ、と、今は思います。だったら、オリエント急行みたいに、全員が犯人だったらわかるのだけれど。犯人は単数です。

 探偵によるマルタへの尋問。後ろにドーナツ状に並べられたナイフの数々。このナイフはマルタを刺すのか、救うのか。



 お屋敷の人々は、「あなたを家族同様に思っているのよ」と、移民の看護師マルタに親切そうな顔を向けるのですが、マルタは、当主ハーラン以外に彼女と不法移民であるマルタの母を気遣っている者がいないことを知っています。マルタの母が不法入国であることがばれて国外追放ということになったら、ハーラン以外に助けてくれそうな人はいないのです。マルタには不法入国の母を抱えているという弱みのほかに、「嘘をつくと吐いてしまう」という弱点もあるのです。ところが一番頼りにできるはずの当主ハーランは死んでしまう。

 金持ちの一族と移民の娘の対比。マルタの側に立ってはらはらどきどきしないと、せっかくの「アガサ・クリスティ流ミステリー」も楽しめないようですが、わたしはいつでも貧乏人の側で見ていますから、大団円ですっきりしました。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする