春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

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春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「2021年5月目次」

2021-05-30 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210530
ぽかぽか春庭2021年5月目次

0501 ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩早春~春(1)和宮展 in 江戸東京博物館

0502 ぽかぽか春庭ことばのやちまた>憲法記念日(1)戦争放棄憲法

0504 2021アート散歩早春~春(2)戦争画と戦争じゃない画 in 近代美術館
0506 2021アート散歩早春~春 (3)戦争画と戦争じゃない画 in 近代美術その2
0508 2021アート散歩早春~春(4)コレクション展 in 近代美術館

0509 ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2021二十一世紀日記薫風(1)みどりの日
0511 2021二十一世紀日記薫風(2)誕生日ランチ&母の日2021
0513   2021二十一世紀日記薫風(3)フレンズオブディズニーコンサート
0515 2021二十一世紀日記薫風(4)スターズ・オン・アイス ジャパンツアー0516 2021二十一世紀日記薫風(5)ワクチン開発の停滞は前内閣の失策である件
0518    2021二十一世紀日記薫風(6)クレアホーム&ガーデンでランチ

0520 ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2021シネマ夏(1)37セカンズ
0522 2021シネマ夏(2)スパイの妻
0523 2021シネマ夏(3)オーシャンズ8
0525    2021シネマ夏(4)アラジン実写版

0527 ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩早春~春(5)「鳥獣戯画甲乙丙丁全部出しその1甲巻」
0529 2021アート散歩春~早春(6)「鳥獣戯画甲乙丙丁全部出しその2乙丙丁巻」
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ぽかぽか春庭「鳥獣戯画甲乙丙丁全部だしその2乙丙丁巻」

2021-05-29 00:00:01 | エッセイ、コラム
20210520
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩春(14)「鳥獣戯画甲乙丙丁全部出しその2乙丙丁巻」
 
 東京国立博物館の「鳥獣戯画展」
 物知らずの春庭は、甲巻のみ図版や東博の展示で見てきて、乙丙丁巻があることすら知りませんでした。初めて乙巻丙巻丁巻を見ました。本来の絵巻から切り離されていた断簡、模写なども展示され、とても充実していました。
 
 乙巻は、さながら動物図鑑。当時日本には存在していなかった虎や象、想像上の動物である龍や麒麟が描かれています。
 
 リアルな馬と牛
 
 
 日本にはいなかった虎や山羊。
 羊が明治になってからの輸入とは知っていましたが、平安鎌倉の時代には山羊もいなかったなんて知りませんでした。
 
 
想像上の龍や麒麟
 
 丙巻には、首に描けひもひもを引き合うゲームや腰の紐を引き合う様子、にらめっこなど、人々の娯楽が描かれています。
 
 丁巻は、一番漫画チックな絵がつづきます。
 騎射のようすを描いた部分
 
 今まで甲巻しか目にしてこなかったのが、こうして一度に甲乙丙丁の巻全部と断簡まで含めて全体像を見る機会があり、ほんとうに眼福がんぷくと日本の宝のすばらしさを堪能できました。
 
 再びの緊急事態発出のため、都内の美術館博物館が軒並み臨時休館となってしまったため、目にできる人が少なくなってしまったかもしれません。博物館は次回次々回の展示まで決まっているので、会期を延期するのはむずかしいでしょうが、できるだけ多くの人に見てほしい展示でした。
 
<つづく>
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ぽかぽか春庭「鳥獣戯画甲乙丙丁全部だし」

2021-05-27 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210522

ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩早春~春(13)「鳥獣戯画甲乙丙丁全部出しその1甲巻」

 国宝中の国宝ともいえる『鳥獣戯画』。去年公開のはずが延期されました。

 ようやく2021年4月13日から東京国立博物館で展示をされました。会期後半は混むだろうからと、娘は4月21日午後5時からの入館予約を取ってくれました。私が一般申し込みから予約しようとしたら、すでに定員に達していて取れなかったのですが、娘がある会員ルートから申し込んだら、午後5-7時の時間でようやく予約できたのです。

 どの歴史教科書美術教科書の中にも必ず載っている「だれでも知っている国宝」ですが、実は皆が知っているのは、鳥獣戯画のなかの「甲の巻」。私も見たことのある鳥獣戯画といえば、ウサギとカエルが相撲をとっていたりする甲巻だけでした。今回の展示は、日本初の「甲乙丙丁全部見せます」。そして、断簡や模写まで取り揃えての文字通り「全部出し」。
 
 2020年の緊急事態宣言後、美術館博物館が閉館してしまった例もあるので、急いでみてきたのですが、、、、娘は「午後5時からしかとれなかったので、駆け足で回ることになって、ちょっと不満。次に入館予約があるときは絶対にもっと早い時間から見て回りたい」と言うのです。
 
 2時間あれば、展示室1展示室2を見て回れることは回れるのですが、閉館7時という時間制限に追い立てられる気持ちがいやなんだそうです。入館予約は、何時に入っても出る時間は自由。だったら、お昼ごろ入ってゆっくり見て、結局2時間で出ることになったとしても「ああ、閉館になっちゃう」と、追い立てられなくてすむ、という気分。しかし、4月25日緊急事態発出に伴い、国立東京博物館も臨時閉館してしまったので、「4月21日に見ておいてよかった」ということになりました。

 私は5時前に入館列に並んだので、5時5分には平成館の会場に入れたのですが、娘は東洋館のレストランで休憩していて、列に並ぶのが遅れ、入館できたのは5時20分すぎ。娘はひさしぶりに東洋館を全フロア周り、東博庭園をひとめぐりしたところで体力尽き、お茶休憩していたのです。 

 鳥獣戯画は、京都高山寺に伝来し、現在は甲乙は東京国立博物館に、丙丁は京都国立博物館に寄託されています。また、今回特別出品されている模写や断簡が全部そろって見られるのは、もう当分の間ないだろうというので、貴重な機会でした 

 東博の口上
 国宝「鳥獣戯画」は、誰もが一度は目にしたことのある、日本絵画史上もっとも有名な作品の一つです。本展では、擬人化した動物たちや人びとの営みを墨一色で躍動的に描いた甲・乙・丙・丁全4巻の全場面を、会期を通じて一挙公開! また、かつて4巻から分かれた断簡、さらに原本ではすでに失われた場面を留める模本の数々も集結します。あわせて本展では、秘仏として普段は拝観のかなわない重要文化財「明恵上人(みょうえしょうにん)坐像」をはじめとした至宝によって明恵上人の魅力に迫るとともに、高山寺(こうさんじ)選りすぐりの名宝をご紹介します。
 
 今回の鳥獣戯画展の新機軸。
 人気の「甲巻」は、動く歩道に立ち、歩道が絵巻の前を動いていきます。これまで人気作品は、観覧の列に向かって係員が「立ち止まらないでください。前の人との間隔を適切に開け、歩きながら鑑賞してください」と大声で叫び、それでも滞留する人が出たりしてたいへんな騒ぎになってきたのですが。なるほど、味気なくはあるけれど、「動く歩道に立って、自動で運ばれて絵巻鑑賞」というのも、それなりのメリットはある。いったん第一会場を出てもう一度入り口から入れば、何度でも繰り返して「鑑賞自動ライン」に乗ることができます。「甲巻絵巻鑑賞」の自動ライン、私は会場を3回ぐるぐる回って3度、娘は2度繰り返して乗りました。
 
 私は、娘が東洋館レストランで休憩している間に、本館で「鳥獣戯画模写」展示を見ておきました。こちらは撮影自由。どうせ私のコンパクトカメラだと、模写も本物も、たいした違いなく写る。模写には、絵巻の紙の継ぎ目に押されている「高山寺」の赤い落款がないので、真贋区別できない私の目にも、本物じゃないことは一目でわかります。本物は写真撮影禁止でしたけれどこの模写をUPしておきます。絵を見た私的メモなので、甲巻の一部模写です。
 
第3紙鹿に乗るうさぎ
 
第5紙 蓮の葉を的にした賭弓
 
第7紙 弓を射る準備
 
 
第9紙 銚子を運ぶ兔と荷物を頭にのせて運ぶ狐 
 
第12紙 鹿や猪を僧侶への供物として捧げる
 
第14紙 蛙がひっくりカエル
 
第17紙 兔と蛙の相撲
 
第18,19紙 蛙が兔を投げ飛ばす
 
第19紙 双六盤と双六石を運ぶ猿
第20紙 兔や狐も読経
 
第21紙 蛙の本尊を祀り読経する猿
 
第22紙 法会の供物 兔は貴重な虎皮を奉納
 
 研究者によると、第10紙までの画家と11-21までの画家は、別人だそうです。まだ、現在の順序とことなり、本来11-15紙は23紙の後ろについていた、ということが、紙の材質や動物の重心の描き方の違いなどで判明しているのだそうです。
 
 甲巻の次の部屋は、乙丙丁巻や断簡が展示されていました。次回ご紹介。
 
<つづく>
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ぽかぽか春庭「アラジン実写版」

2021-05-25 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210717

ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2021シネマ夏(4)アラジン実写版

 ステイホームで楽しむ映画。春庭はビデオショップの会員券など持っていないので、家での映画鑑賞はテレビ放映があったもの。すぐ見ることもあるし、録画してから3年くらいたって見ることも。たいていは、映画館で見たことがある映画なので後回しになる。
 
 アラジン実写版の放映が5月21日にあったので録画しました。娘は封切館シネコンで見ているので、後回しになるかと思ったら、「母見てないんだから、すぐ見よう。わたしも、もう一度見ようと思ってたから」と言うので、週末のお楽しみとしてアラジン実写版を見ました。

 
 実写版は、どうしてもアニメ版と比較されることになります。アニメ以上にキャラクターを演じている俳優が好きかどうかで映画の評価が変わるかも。
 
 アラジンの俳優(メナ・マスード 吹替中村倫也)は、気が弱そうで頼りなさそうで、ジャスミン(ナオミ・スコット木下晴香)は、気が強く、女性が国の統治者になれないという現在の国法に異議を唱えているのも、現代に合わせた改変だなあ、と思います。
 
 「改変に違和感あり」は、悪役ジャファーの容姿。アニメ版に比べると明らかにハンサムで若い。
 これは、眠りの森の美女のマリフィセント、101匹わんちゃんのクルエラなど、ディズニーヴィランズを主役としたスピンオフが成功を収めて、興行成績もいいので、こりゃ、ジャファーを主人公としたスピンオフの話が出ているのだろうと推測。ジャファーが実は貧民出身だ、という出自の吐露もあったので、きっとジャファーが国務大臣に上り詰めるまでどんな悪事を働き、さらに王位を狙うまでになったのか、という悪役物語ができあがると思います。
 
 日本語吹き替え版の声優について。ジャファーの山寺宏一はみな絶賛し、ジャスミンの木下晴香については「若いがさすがミュージカルの実力者」という扱いなのに、アラジンの中村倫也 には、「歌が下手」とか、酷評が多い。私は中村倫也好きだから、歌もけっして下手だとも思わなくて、おお、なかなか頑張って歌っているな、と思いました。イケメンに甘い春庭です。
 
 そのほか吹き替え版での酷評は「歌詞の訳がひどい」という評。「吹き替訳詩者はアラン・メンケンにあやまれ」というのまでありました。ディズニーコンサートを見に行った時、舞台に登場したアラン・メンケンは、とてもすてきなおじさまで、日本語訳詞について文句言うようには見えませんでしたけど。
 
 洋語の歌詞を日本語の歌にする難しさについては、訳詞の大家岩谷時子も、シャンソン訳詞から作詞家になったなかにし礼 も、縷々述べているところです。先日は「らららクラシックで、レミゼラブルの英語歌詞を日本語にのせるのに、どのような苦労があったか」について語られていました。
 
 英語やフランス語は、ひとつの音符に一語がつけられます。閉音節の言語は、一つの語が一音節であることが多いから。トントントンという3つの音に対して、「I am Aladdin .」でも「I love Jasmin.」も言える。しかし、開音節 の言語である日本語は、一音節はひらがなひとつ。トントントンに「ワ・タ・シ」と言ったら終わり。
 
 ふたつの音符「トントン」に英語なら2音節例えばStraight strike と言える。しかし日本語では「ストレート ストライク」となり、ひらがな10文字・10音節、♪は10こ必要になるのです。トントントントントン「ス・ト・ラ・イ・ク」。圧倒的に日本語の情報量は制限される。そこで超訳が生まれる。
 
 岩谷時子が訳した「愛の讃歌」。シャンソン原曲は、恋人を失って悲しみにくれ、泣いている曲なのに、日本語歌詞は、結婚式の定番として「愛を寿ぐ歌」になっていました。最近まで、結婚式の入場曲などに使われていたのではないかしら。ほんとは結婚式で歌うには悲惨な歌です。
 
 アラジンの訳詞が気に入らない人、どうぞ自分で訳詞をつけてみたらいい。
では「A whole new world」直訳版と比べてみましょう。
 ♪ ♪ ♪
♪Aladdin♪
I can show you the world 見せてあげるよ
Shining, shimmering splendid 輝ききらめくすばらしい世界を
Tell me, princess, now when did 言ってごらん姫さま、自分で
You last let your heart decide? 自分のこと決めたのはいったいいつのこと?

I can open your eyes 目をひらかせてあげるよ
Take you wonder by wonder 驚きのつづく世界へ君を連れて
Over, sideways and under 上へ下へわきをすりぬけ
On a magic carpet ride まほうのじゅうたんに乗って

A whole new world  新しい世界
A new fantastic point of view 夢を見るその場所へ
No one to tell us no だれにも言われたことのない
Or where to go  だれも行ったことのないその場所へ
Or say we're only dreaming ただ夢見さえすればいい
 
♪Jasmine♪
A whole new world   新しい世界
A dazzling place I never knew 見たこともないめくるめくところ
But when I'm way up here でも、ここへ上ったら
It's crystal clear  はっきりした
That now I'm in a whole new world with you 今、新しい世界にあなたといる
 
♪Aladdin♪
Now I'm in a whole new world with you 今、新しい世界に君といる
♪Jasmine♪
Unbelievable sights 信じられない眺め
Indescribable feeling ことばにならない気持ち
Soaring, tumbling, freewheeling 飛んで回って自由に駆け回る
Through an endless diamond sky 果てしなく続くダイヤモンドの空を
 
♪Aladdin & jasmine
A whole new world 新しい世界
♪Aladdin♪ Don't you dare close your eyes 目を閉じないで
♪Jasmine♪  A hundred thousand things to see なにもかも 見るわ
♪Aladdin♪ Hold your breath, it gets better 胸をひらけば すべてよし
♪Jasmine♪ I'm like a shooting star 流れ星になったみたい 
  I've come so far 遠くまで来た
  I can't go back to where I used to be もうもとに戻れない
♪Both♪ A whole new world 新しい世界
♪Aladdin♪ Every turn a surprise いつでも新しい出会い
  With new horizons to pursue 新しい地平へ どこまでも
  Every moment, red-letter すべての瞬間が特別なひととき
♪Both♪ I'll chase them anywhere  どこまでも おいかけていく
   There's time to spare 時間はたっぷり 
   Let me share 分け合おう
   This whole new world with you この新しい世界をふたりで
♪Aladdin♪ A whole new world 新世界世界
♪Aladdin♪ A whole new world
♪Aladdin♪ That's where we'll be ここは二人がいる場所
♪Jasmine♪ That's where we'll be
♪Jasmine♪ A thrilling chase わくわくとおいかけていく
♪Jasmine♪ A wondrous place 不思議な場所へ
♪Both♪  I'll chase them anywhere  どこまでも おいかけていく
     For you and me 君とぼくのために
 
<劇団四季のミュージカル訳詞>
見せてあげよう 本当の世界
連れてゆこう 不思議な旅へ
魔法のじゅうたんで 星空へ

自由さ 新しい世界
僕らはもう 誰にも 縛られはしない
自由よ 新しい世界
高く高く 飛べるの 今あなたと二人で
今君と二人で

ときめいてる 生まれて初めて
きらめく星くずとたわむれて
自由よ( 目を開いて) 流れ星みたい( よく見てごらん)
この大空 駆け抜け 後戻りはしないの
自由さ( なにを見ても) 地平線目指し( 心がおどる)
夢のようなこの時 いつまでも二人で

自由な( 自由な) 明日を( 明日を)
作ろう( 作ろう)  ふたりで
 
 ふたりの掛け合いの部分など、流れをかえずにとてもうまくメロディにのせているのを見ると、訳詞家のワザはほんとうにすごいなあと思います。

 春庭直訳の中、red-letterを「特別なメモリー」と訳してみたのですが、red-letterとは、カレンダーなどに赤い字で書き込む記念日のこと。ジャスミンにとって、アラジンとすごす一瞬一瞬が特別な時間であり、特別な思い出になることを言っています。
 しかし、どうしても日本語ではメロディにのりにくい。そのため、映画でも四季のミュージカルでも、red-letterは登場しません。

 そのような日本語詩ですが、原詩作者も怒ったりしないと思います。

<おわり>
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ぽかぽか春庭「オーシャンズ8」

2021-05-23 00:00:01 | エッセイ、コラム
 
20210523
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2021シネマ夏(3)オーシャンズ8
 
 「37セカンズ」で身障者問題、「スパイの妻」で国家による戦時犯罪について考えてしまった春庭。もうちょっと気軽に楽しく映画をみるべきだ、というのも私のホンネ。
 
 楽しく何も考えずにワハハと痛快に見終わりたいと選んだ映画は、「オーシャンズ8」
『オーシャンズ8』(オーシャンズ・エイト、Ocean's Eight)は、2018年のアメリカ合衆国の犯罪映画。『オーシャンズ11』に始まる『オーシャンズ』シリーズのスピンオフ作品で、時系列上は『オーシャンズ13』から続くストーリー。主人公のデビーは、前作「オーシャンズ13」の主人公ダニーの妹 という設定になっています。
 物語は「オーシャンズ13」との関連はなく、「オーシャンズ11」の女性版リメイク。
 シリーズ監督のソダーバーグはプロデュースを務め、のゲイリー・ロス(「ハンガー・ゲーム」など)がメガホンをとりました。  
 
 以下、ラストまでのネタバレ含みますので、未見のかたはご注意を。
  • デビー・オーシャン:サンドラ・ブロック(ダニ ーの妹。服役中に美術館からの宝石泥棒を計画する)
  • ルー・ミラー:ケイト・ブランシェット(デビーの親友にして相棒。沈着冷静)
  • ダフネ・クルーガー: アン・ハサウェイ(美術館でのファッション展示に招かれた女優)
  • アミータ: ミンディ・カリング(インド系の凄腕宝石加工職人)
  • タミー: サラ・ポールソン(息子の母としてまっとうな生活しているようにみえるが、元盗品ディーラーだった腕は鈍っていない)
  • コンスタンス: オークワフィナ(アジア系。表向きは手の器用さを生かした手品師だが、実はスリの達人)
  • ナインボール : リアーナ(アフリカ系。天才ハッカー。忍び込めないコンピュータはない)
  • ローズ:ヘレナ・ボナム=カーター(かっては人気デザイナーだったが、現在は借金がかさむ一方)
  • クロード・ベッカー : リチャード・アーミティッジ(ギャラリー経営。デビーの元カレ)
  • ジョン・フレイジャー:- ジェームズ・コーデン(保険会社の敏腕調査員)
  • ペネロペ・スターン: ダコタ・ファニング
  • ルーベン・ティシュコフ: エリオット・グールド
  • イエン : シャオボー・チン
  • ローレンス : リチャード・ロビショー
  • ユーリ : ジェームズ・ビベリー
  • イーディ: イーディ・キーナン
  • ヴェロニカ :ナターニャ・アレクサンダー
  • カイル:ギデオン・グリック
  • ギレルモ :ミグス・ゴベア
  • エイプリル:ミドリ・フランシス
  • レネ:マーロ・トーマス
 泥棒集団のカリスマ的リーダー、ダニー・オーシャンの妹デビーは、ある事件の犯人とされ、5年余りの刑に服役していました。5年8ヶ月と12日の服役中に練りに練った計画をもって仮出所。持って出た財産は12ドルですが、シャバに出てしまえば、暮らしに心配なし。万引きも置き引きもお手のもの。
 
 まずデビーが会ったのは、かつての相棒ルー。ニューヨークの美術館(MET)で開催される世界的なファッションの祭典メットガラで、宝石を盗み出すという壮大な計画です。宝石はトゥースという名を持つ1億5千万円(165億円)のダイヤモンドネックレス。
 
 デビーとルーは、この計画を実行に移すべく次々と仲間をスカウトしていきます。が、計画には宝石を盗み出すという目的のほか、ある目的があることは、相棒のルーにも秘密。
 秘密の目的のために、デビーは元カレのクロード に会います。相変わらず自信満々でギャラリーを経営しているクロードですが、デビーは彼を利用する計画を秘めているのです。
 
 デビーとルーは、一芸名人プロフェッショナルである6人の女性に声をかけ、ニューヨークの美術館METで開催されるファッションイベント「メットガラ」の会場で、大勢の観客の目の前で1億5000万ドルの宝石を盗み出すという不可能と思われる計画をすすめていきます。
 
 7人の仲間、それぞれの役割により、着々と計画が進行。女優ダフネに宝石を身につけさせるために選ばれたのは、高名だけれど実際には借金まみれのデザイナー、ローズ。
 カルティエの倉庫の奥深くにしまわれたまま、世に姿をみせることがなかったダイヤのネックレス「トゥース」を女優ダフネに貸し出すようカルティエと交渉し、成功します。トゥースは特殊な鍵で接続部を開け閉めするようになっており、その鍵がなければ首からはずすことができない仕組み。カルティエ側は、安全に貸し出せることに自信を持っています。
 
 天才ハッカー・ナインボールは、ホテルのセキュリティを完全に掌握。宝石加工の天才アミータは、ジルコニア製のイミテーションを作ったあと、本物のネックレスを解体して運び出すために待機します。
 
 完全な準備の末、メットガラ当日。トゥースを身につけたダフネをエスコートするのは、ギャラリー経営者クロード。7人はウエイトレスやシェフなどさまざまなホテル関係者として働きながら計画を実行していきます。
 
 トゥースを身につけたダフネ
 
 シェフに化けて会場に入り込んでいたルーは、ダフネの皿に下剤を仕込みます。ダフネはたちまちトイレに駆け込みます。デビーはトイレ前で、ほかの人がトイレに入らないよう邪魔をします。
 
 コンスタンスは、吐きもどすダフネを介抱しながら、特殊な鍵のイミテーションでネックレスをはずしてしまいます。
 
 トイレからもどったダフネの首にネックレスがないことから大騒ぎがはじまります。ファッションガラに来ていたゲストたちは、一カ所に集められます。宝石や王族衣装などを展示していた展示室は封鎖。
 大捜索のはて、プールの中から、ダフネの首からはずれて落ちたと思われるトゥースが見つかり、一件落着。
 
 特殊な鍵がなければ外すことができない仕組みのネックレスが、どうしてダフネの首からはずれて落ちたのか、というところに、だれも疑問を持たなかった、というのが唯一脚本の穴。カルティエ側の責任者が会場にいたかどうか、私の目にはわかりませんでした。あまりにたくさんの有名人が会場にいたので。
 
 テニスのシャラポワほか有名人が「自分自身の役」として集まっているパーティー会場
 
 イベントが終わり、トゥースはカルティエの倉庫に戻ることに。ところが、戻されたトゥースは、ジルコニアで作られたまっかな偽物。
 保険会社が調査に乗り出します。保険会社が怪しいと目をつけたのは、ダフネをエスコートし、ずっといっしょだったギャラリー経営者クロード。クロードのギャラリー経営不振も判明し、お金を必要としていた事情もわかりました。
 
 トゥース盗難の犯人として、警察がクロードを逮捕したという報を聞き、デビーは喝采します。デビーが5年余り服役したのは、クロードが仕組んだ絵画詐欺の主犯として逮捕されたからでした。クロードは自分は被害者だと主張し、デビーひとりの犯罪とされた、といういきさつがありました。トゥースを盗む計画は、クロードへの復讐計画でもありました。
 
 アジトに集まった7人の前に、8人目の仲間が現れます。トゥースを盗まれた側のダフネです。ダフネはこの計画のからくりに気づきましたが、警察に訴えても何の得もない。8人目の仲間として分け前にありつくほうを選んだのです。
 7人で分ける予定だった1億5千万ドル(165億円)。8人になったら分け前が減る?
 デビーは仲間に打ち明けます。トゥース捜索のために、宝石衣装の展示会場は閉鎖されました。防犯の赤外線が張り巡らされた会場をかいぐぐりながら展示品を次々に盗んでいったのは、イエン。
 おかげで、最終的な分け前は予定よりも大幅増。イエンはいくら分け前をもらったのだろうか。
 
 ここで疑問が。防犯赤外線を避けながら、会場の宝飾を盗み出すイエンの役を女性にしなかったのはなぜかな。このアクロバットみたいな盗みを行う身体能力を持った女優もハリウッドにはいただろうに。その場合は、「オーシャンズ9」というタイトルにすればいい。
 
 結局、保険会社が損をしただけ。保険会社は、顧客から高い保険料をうけとっているので、盗まれた金額を保証するのは当然のこと。
 で、カルティエも美術館もだれも損をしておらず、唯一損をしたクロードは、デビーを陥れた罰を受けることになった、という痛快な犯罪映画でした。
 
 映画のストーリーは、痛快無比、面白かったのですが、2018年の映画として不満な点がひとつ。2015年以後、ハリウッドにもMetoo運動が沸き起こり、映画の中でも、セクハラや女性差別の問題が起きました。せっかく8人の女優が出演したのに、もうちょっと差別やセクハラにもの申すというストーリーを入れ込めなかったかなあ、と思います。
 
 デビーの元カレへの復讐譚のほか、アミータは「親がきめてしまい、娘に決定権のない結婚」への反発をもっと描いてほしかったし、ナインボールが本名を名乗らない理由など、ナインボールの妹がちらっと出てきたけれど、家族が受ける差別や家族の事情などは語られませんでした。コンスタンスが受けるアジア系への差別など、それぞれの女性が抱える葛藤を、ワンシーンでもいいから出してくれたら、彼女たちがなぜ犯罪の仲間になったかが重層的に描けたのではないか、と思います。
 
 気軽な犯罪映画に、重い内容は詰め込みたくない、というプロデュース側の事情もわかりますが、復讐を望むデビー、親友と組みたいルー、借金まみれのローズのほか、なぜ「失敗すれば監獄行き」の犯罪に加担したのか、わからないところに不満が残りました。
 オークワフィナなど、そこにいるだけで「複雑な移民事情を抱えているのじゃないか」って雰囲気を持っているのに、どんな事情を抱えて生きてきたのかわかりませんでした。人間描写がもう少し深ければよかったのだけれど、残念。
 
 8人そろって地下鉄に乗る
 
<つづく>
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ぽかぽか春庭「スパイの妻」

2021-05-22 00:00:01 | エッセイ、コラム
20210520
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2021シネマ夏(2)スパイの妻

 『スパイの妻』は、黒沢清監督作品。2020年に劇場用映画として公開、ベネチア映画祭で監督賞(銀獅子賞)を受賞しました。
 劇場版のほか、2020年6月6日14:00 - 15:54放映のNHK BS8Kで放送されたテレビドラマがあり、画面に違いがあるというのですが、私が見たのは、2021年に放映された映画版。


<出演>
  • 福原聡子:蒼井優
  • 福原優作:高橋一生
  • 津森泰治:東出昌大
  • 竹下文雄:坂東龍汰
  • 駒子(福原家の女中):恒松祐里
  • 金村(福原家の執事):みのすけ
  • 草壁弘子:玄理
  • 野崎医師:笹野高史
  • 露店商:佐藤佐吉
    <スタッフ>
    脚本: 濱口 竜介、野原 位、黒沢 清
    音楽 : 長岡 亮介
    演出 : 黒沢 清
 NHKによるあらすじ
 1940年、太平洋戦争前夜の神戸。福原聡子(蒼井優)は、満州へ赴いていた夫・優作(高橋一生)の帰りを待ちわびていた。ところが帰国後、幼なじみの憲兵・津森泰治(東出昌大)から呼び出され、夫が満州から連れ帰った女の死を告げられる。嫉妬心に駆られた聡子は、夫の行動を疑うなかで、彼が持ち帰った重大な秘密を目にしてしまう。かの地で一体、何があったのか。真実を知ってしまった聡子は驚きの行動に出る。 

 春庭は、1994年の中国赴任時、ハルビンへ出かけました。ハルビン郊外の学校の中に「731部隊」の遺留品が展示してあることを知っていたからです。教室の中、やや雑に展示されていた遺留品や写真の数々。目を覆いたい、という証拠の品々ですが、目を覆うわけにはいかなかった。ただひたすら恐ろしかった。
 (現在は学校の建物とは別に博物館が建てられ、遺留品や記録などが展示されているらしい)

 1994年中国赴任当時、私は遠藤周作の『海と毒薬』は読んでいましたが、森村誠一の『悪魔の飽食』を読んだことはなく、731部隊については、断片的な知識をもっていただけでした。帰国後、常石敬一『七三一部隊 生物兵器犯罪の真実』( 講談社現代新書 1995年)を読んで、自分がハルビンの学校で見たことの全貌をようやく理解したのです。

 『七三一部隊 生物兵器犯罪の真実』の出版社解説
日本は大陸で何をしたのか? 軍医中将石井四郎と医学者達が研究の名で行った生体実験と細菌戦の、凄惨で拙劣な実態。残された資料を駆使して迫る、もう1つの戦争犯罪。戦争は終わらない。

 「スパイの妻」の背景にあるのは、この731部隊の戦争犯罪です。
 以下、ネタバレを含む紹介です。

 冒頭、外国人貿易商が憲兵に拘束されるところから始まります。1940年、大陸で続く戦争は、まだ人々には遠いできごとであり、戦争需要は「景気拡大」と受け取られていました。
 神戸に住む貿易商の妻聡子は、裕福な暮らしを続けており、戦争も遠い出来事にしか感じられませんでした。夫の貿易の仕事は順調で、ふたりは「国策」に反して洋服を着、洋楽を聴く西洋文化の生活を改めようとはしません。優作の趣味の「映画撮影」に、素人女優として参加する聡子もしそう。

 聡子のただひとつの心配は、夫優作が満州へ出かけていくこと。大陸では戦争が泥沼化してきたことを、国民がようやく知るところとなっていました。
 優作の留守中、憲兵となっている幼馴染みの津守が福原邸にやってきたとき、聡子は、夫の秘蔵洋酒をふるまいます。世間の目があるので、洋服姿をやめるよう諭す津守への抵抗でもあり、不在の夫への不満の表明でもあります。

 優作が満州から帰国した後、さまざまな変化がありました。ひとつは、夫の甥が会社をやめ、旅館にこもって「小説を書く」生活になったこと。もうひとつは、夫の周囲に「謎の女」がいるらしいこと。

 優作は満洲で、ある国家機密を知ってしまったのです。優作は自分自身を「コスモポリタン」だと規定しています。「国家の正義」よりも「人類の正義」に殉じるべきだと考えて、正義を貫く計画を立てていました。
 一方、津守は「国家の正義」のために、福原夫妻を追い詰めていきます。甥の竹下文雄は憲兵に拘留され、拷問を受けます。優作も憲兵に拘束されます。

 聡子が知ってしまった「夫の秘密」とは、夫が現地で手に入れた映像フィルムでした。フィルムを映写した聡子は、夫に「私も夫と運命を共にしたい」と申し出ます。夫がしようとしていることは、「国家の正義」にてらせば、国賊者でありスパイとみなされる行為です。しかし、聡子は「あなたがスパイなら、私はスパイの妻になります」と叫び、愛する夫と運命を共にする決意を固めます。

 夫妻はアメリカへ亡命する決意をするのですが、先に密航船に隠れていた聡子は、憲兵に拘束されてしまいます。
 聡子が保持していた「証拠のフィルム」を軍人達の前で上映すると、そこに写っていたのは、優作が聡子を女優として作成した趣味の映画作品でした。優作は、ひとりで亡命を実行し、聡子を日本に残し安全に過ごさせる方を選んだのです。

 夫妻の戦後の運命について、クレジットで示されるのみ。もし、優作がフィルムを保持していたのなら、アメリカ政府は亡命を認め、優作を保護したでしょう。
 なぜなら、731部隊に関わった幹部のほとんどは、戦犯訴追をまぬがれて、戦後日本社会で堂々と生き延びたからです。
 アメリカ政府が「ぜったいに自分たちでは実行できない人体実験の記録」をのどから手がでるようにほしがり、この実験データをアメリカに渡すことを条件に、731部隊関係者を戦犯としないことを決めたからです。

 人体実験を繰り返した731幹部たちの一部は、戦後「ミドリ十字」という血液製剤会社を設立。エイズ患者から摂取した血液を含む血液製剤を製造販売し、輸血が欠かせない血友病患者などに処方しました。患者はエイズに罹患し、長く苦しむ結果となりました。

 ミドリ十字は、1950(昭和25)年に創業された日本最初の民間血液銀行『株式会社日本ブラッド・バンク』を前身とします。
取締役会長には岡野清豪、代表取締役専務取締役に同社創業者の内藤良一、常務取締役に小山栄一が就任。
 このうち内藤は医師(元軍医・陸軍軍医中佐)であり、旧日本軍731部隊を取り仕切っていた石井四郎軍医中将の片腕の一人にあたる。また、顧問に就任した北野政次は一時期731部隊長を務めており、取締役の二木秀雄は元731部隊二木班班長であるとともに右翼系政界誌「政界ジープ」の発行者。

 このように、ミドリ十字は、731部隊の幹部が集まった会社であり、創業の731部隊関係者が死去したり引退したりしたあとは、厚生省幹部の天下り先となり、厚生省と関わり深い会社として存続しました。
 薬害エイズを引き起こしたのち、旧:田辺製薬株式会社(TANABE SEIYAKU CO., LTD.)を存続会社とし、「田辺三菱製薬株式会社」となって存続。

 結局、福原優作が告発しようとして命を賭してアメリカ亡命をはかったのは、アメリカに731部隊の人体実験記録を渡しただけで終わったのだと思います。人体実験に直接関わった医師たちは、ミドリ十字幹部となり、戦後をのうのうと生き続けました。

 

 満州の地に残されたのは、人体実験で恐ろしい処置を施された中国人、関東軍に置き去りにされた開拓農民、非国民として逮捕された日本人の、死屍累々。

 聡子の運命は曖昧なまま映画は終了しました。聡子が「スパイの妻」として生きる決意をして、戦後夫とともに暮らせたのかどうか、映画を見た人がそれぞれに推測するしかありません。

 一方、はっきりしているのは、私たちが現在幸福に暮らせているとしたら、それはある「不正義」の上に、戦後日本社会が成り立っていた、ということを自覚すべきだということでしょう。

 731部隊の幹部が設立したミドリ十字が薬害エイズを引き起こしたこと、感染症ワクチン開発費を出さず、研究を凍結してしまった内閣、みなひとつづきの「日本社会のありよう」です。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「37セカンズ」

2021-05-20 00:00:01 | エッセイ、コラム
 
20210520
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2021シネマ夏(1)37セカンズ
 
 「37セカンズ」: 37 Seconds)は、2020年2月7日に公開された日米合作映画。ようやく飯田橋ギンレイにかかったので、見てきました。
 監督のHIKARIの長編デビュー作で、第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門の観客賞及び国際アートシアター連盟賞受賞作 。ひとつの作品が2冠となるのは、はじめてのことだったそうです。
 
 「障碍者を主人公にしたファンタジー物語」として、とてもよい映画でした。ことに主演の佳山明は、けなげでいとおしい雰囲気がとてもよかったです。
 しかし、リアルな障碍者像、障碍者問題を扱うつもりだったとしたら、違和感が残る、という部分もあり、「障碍者を持つ人をオーディションで選んで障碍者の役を演じてもらったのは、リアルな障碍者像を出したかったから」と監督がインタビューで述べている「リアリティ」とはどんなことを意味していたのか不明。障碍のない大泉洋が障碍者を演じた「こんな夜更けにバナナかよ」のほうが、ドキュメンタリーをもとにしているという理由もありましょうが、ずっとリアリティを感じられる「障碍者もの」でした。
 では、どこがファンタジーだというのか、以下に理由を述べます。
 
 以下、ネタバレ含む紹介
キャスト
・貴田ユマ : 佳山明
・ユマの母貴田恭子 : 神野三鈴
・ヘルパー俊哉 : 大東駿介
・セクシャルワーカー舞 : 渡辺真起子
・漫画家&youtuberサヤカ : 萩原みのり
・漫画編集者池谷: 宇野祥平
・セクシャルワーカーヒデ: 奥野瑛太
・雑誌編集長藤本: 板谷由夏
・タイ在住現地教師ゆか:芋生悠 
・風俗店客引きの男: 渋川清彦 
・リハビリ療法士: 石橋静河
・千葉の海辺ペンション経営者古谷(実はユマの叔父): 尾美としのり
 
 あらすじ。
 ユマは、出生時に37秒間、呼吸がなく脳に酸素がいかなかったために脳性麻痺を負い、車いすで生活している。母は生活のために働きつつ、ひとりで介護を続けている。
 ユマは得意の絵を生かして、人気漫画家SAYAKAのアシスタントをしている。担当編集者は「障碍者をアシスタントにしていることを公表すれば好感度があがる」と勧めるが、SAYAKAは公表する気はない。なぜなら、ユマはアシスタントではなく、ゴーストライターだから。
 ユマが担当編集者に渡した「ユマのオリジナル作品」は、「SAYAKA先生の作風に似すぎていて、これじゃ使えない」と返されてしまう。似すぎているのも当然。SAYAKAの作品は全部ユマが書いているのだから。
 
 ユマは、一枚の絵ハガキを大事にしている。男の人が女の子をあやして高いたかいをしている絵。差出人に記憶はないけれど、たぶん顔を見たこともない父親が描いたのだと信じて大切に持ち続けている。ユマにとっては、絵ハガキの男の人が唯一父を感じさせるよすがなのだ。 
 物心つかないうちに母恭子は夫と離婚したことは知っているが、母は一度たりとも父の話をユマにしたことはなかった。
 恭子はユマに秘密にしていることがある。しかし「私だけがユマを愛しているのだ」という自負から秘密を打ち明けたことはなかった。
 
 ユマの母は、ユマの世話をほかの人にゆだねたことはない。母がいなければ、ユマは風呂さえひとりでは入れない。着替えもすべて母が手伝う。
 
 しかし、ユマは成人後、母から独立したい気持ちが強くなってきた。母の介護は「親の支配」でもあるからだ。母は、ユマの世話が生き甲斐であり、人生のすべて。ユマの独立など考えたこともない。
 
 エロ漫画雑誌編集長藤本に作品を見てもらったとき、「実際の恋愛経験もなしに想像だけで描いてもリアリティがない」と評され、ユマはある決心をする。
 ユマは風俗街に車椅子で入り、客引きから女性向けサービス業のヒデを紹介されてホテルへ。
 しかし、ヒデは最後まで仕事を完了することなく、「料金割引」で帰ってしまう。ユマはエレベータが故障したため1階出口に向かうことができず、エレベーター前にいた車椅子のクマさんと、クマを顧客としている舞と出会う。事情を話し、クマのヘルパー俊哉に下ろしてもらう。舞はセクシャルワーカーで、「クマさんは私の常連さん」と笑う。
 
 舞の助けも得て、ユマはこころを開放し、メイクをしてみたり母が決して着せてくれないかわいいワンピースを着たりする。
 母は「かわいいかっこうをして外出し、襲われたらどうする」という心配のため、地味な服装しか許さないのだ。ユマの母恭子は、自分が共依存者であることに気づいておらず、ユマの自立したいという気持ちを認めることができない。(共依存=他者を世話することに生きる意味を感じているため、世話している相手の自立を阻む例が多い。アル中患者を支える妻、障害者の親などが共依存になりやすい。子どもの自立後、空の巣症候群に陥る親もこの一種)
 
 ある日、ユマはリハビリ中にトイレに行くと言って、病院を抜け出し、ヘルパー俊哉の車で絵ハガキの住所に連れて行ってもらう。その住所のペンションにいたのは、父の弟だった。叔父はユマの父は5年前に病死しており、ユマには双子の姉妹がいたことを告げる。
 
 ユマの姉妹ユカは、タイで現地校の教師をしていることがわかり、ユマは俊哉のヘルプでタイに行き、ユカと会う。
 
 タイの列車でユカの学校へ

 
 
 ユマの母は姉妹の存在をユマに隠していたが、ユカは双子の姉妹の存在を父から聞いたことがあった。しかし、双子の片方が健常者であり、もう片方が出産時事故のために障害をもったことから、「会うのがこわい」と感じ、連絡できないでいたのだ。両親の離婚の原因を「母はユマだけを愛したかったのだ」と考えてきたせいもある。母は健常者のユカよりも、ユマを選んだのだ。
 
 ユマは、タイの宿で「もし生まれ順が逆だったら、私が健常者でユカが障碍者になったかもしれない。でも、私でよかった」と言う。ユマの自己肯定の表出で、映画中の白眉だ。ユマは「障碍をもつ私」であり、「障碍まるごと私」なのだとわかったのだから。
 
 帰国したユマは、もう一度編集長に会い、藤本の助言のおかげで今までとは異なる経験ができたことにお礼を言う。
 藤本はユマの作品を見て、「新しい作家さん」の誕生を確信する。
~~~~~~~~~~~~~
 
 賞もとっているし、何と言っても、脳性麻痺女性100人をオーディションして選ばれた主演の佳山明(かやまめい)がすごくいい。表情も小さな声で自信なさげにしゃべるところも、「守ってあげたい」感満載。
 しかし、いくつかの点で、脚本に違和感を感じたところがあります。
 
 ひとつめ。
 母親が共依存であることはいい。しばしば、アル中夫を持つ妻や障碍児を持つ母親は「私がこの人を支えている」という思いが強くなり、共依存となることは、多くの例が示しています。
 
 しかし、障碍者の母として、ユマの母はあまりに孤立しすぎています。春庭娘の保育園クラスメートのお姉ちゃんがダウン症だったので、5年間その母親ともおつきあいがありました。障碍児が学校教育をうけるようになると、養護学校の母親のネットワーク助け合いの輪は、とても強固であり、恭子のように孤立してひとりで子の世話を続けるなんて、したくてもできない。こういう「助け合いの輪」は、ありがたくもあるけれど、とてもおせっかいで、障碍者の母親を孤立させたりしない。福祉にも連絡するし、だれかしらが援助してくれるのだ。
 
 ユマは学校教育を受けたことがあると見えるから、学校仲間がいるはず。ユマが学校時代の友達の輪の中に入っていないとしたら、よほど特殊な学校生活をおくったのだろうと思う。
 ユマの脳性マヒの程度は軽度です。手を使って絵も描けるし、知的障害もない。ユマは学校生活の中で、障害者の自立生活についての教育(年金手続き、ヘルパー要請など)を受けているはずなのだ。監督は、日本の障害児教育における自立支援教育についても無視している。
 
 ユマの母親は特に資産家でもないように見える。人形つくりの内職や、パートでの仕事を持っていることは映画にも描かれているが、ユマのために障害年金受けとってはいなかったのか。もしもらっているなら、成人しているユマに年金分を渡していないことは、ユマへの経済的虐待です。
 
 シングルマザーがひとりで障碍者をかかえていれば、地域の民生委員なり福祉関係者が、障碍者年金を受け取る手続きを母親に教えないってことはない。監督は、日本の障碍者が年金を1年間にいくらもらうことになっているか、知っていただろうか。障害の程度によって金額は違いますが。知っているけれどあえて、そのお金のことにふれずにストーリーを作り上げたのか。
 
 ユマが自分名義の年金を自分で管理していれば、千葉へ向かうお金を舞に借金したりしない。ユマがSAYAKAから渡されるわずかなアシスタント料金しか手にしていないのは、明らかで、この母親は共依存者というだけでなく、我が子の自立を阻む鬼母となっています。
 
 現実では、障碍者の親が一番気にするのは「私が先に死んだら、だれがこの障害ある子の世話をするのか」ということ。行政にでも、養護学校仲間にも、あらゆるネットワークで、我が子の行く末が安心できるものになるようにするのが親の仕事であって、恭子のように介護を一人独占する親は、現実には存在しえない。HIKARI監督は「こんなよふけにバナナかよ」を見たことあったのかなあ。障碍者の生き方を描くとして、「バナナ」のほうがずっと自然(元がドキュメンタリーだからだけど)
 
 一般的な障碍者の親は、自分がいなくなったときの我が子の行く末のために、過酷なほど自立訓練を行っています。服の着替え方、お風呂の入り方その他。恭子がユマにそれをしてやらず、すべての世話をひとりでかかえているのは、逆に、ユマの自立を阻む虐待にあたります。
 
 5年前にユマの父親が死んだとき、父親の弟古谷は、住所がわかっている兄の元妻に連絡をとろうとしたはずです。ユマの将来を考えれば、母親はもうひとりの娘のユカに連絡をとることが可能だったと思う。それをしなかったのは、ユマのふたごの姉妹のひとりが健常者であることを知らせたくなかったのと、ユカを元夫に押し付けて顧みることがなかったことに後ろめたさを感じていたからでしょう。
 
 ユカが「ふたごのひとりが健常者でひとりが障碍者となってしまった」ことを気にすることについては、わかります。
 私の大切な友人「青い鳥」さんも双子の姉妹で、ひとりは健常者でひとりは脳性麻痺者だから。青い鳥さんは3人姉妹。一番下の妹さんは、献身的にお姉さんを支えていましたが、ヘルパーさんの助けを借り、けっして無理はしていなかった。青い鳥さんが結婚出産子育てをするにも、ご両親と妹さんの手助けが必要だったことはわかりますが、家族で抱え込んではいなかった。
 私が青い鳥双子の妹さんに会ったのは、1度だけですが、やはり青い鳥さんに対してちょっと遠慮が感じられたのです。自分だけが健常者で、障碍を負ってしまった青い鳥さんに遠慮があるのかなと思いました。
 
 ふたつめの違和感。
 ユマが病院を抜け出すシーン。リハビリをしていたユマは、担当者にトイレにいきたいと言います。ユマがトイレに入って「ここまででいいから、ひとりで大丈夫」と言い、療法士はトイレの前から立ち去ります。見張りがいなくなり、ユマは逃げ出すことができました。
 こんなことが現実に病院で起きたなら、病院をあげての大騒動になり、警察もくる。病院の責任問題になるので、大捜査網が敷かれます。
 病院の患者に対する体制を無視して作ったシーンだと思います。
 
 ユマの母親が、交番勤務に「じきに帰ってくるんじゃないの」なんて呑気に言われているってのは、現実にはありえねー。
 ちなみに、いくつかの映画紹介サイトでは石橋静河の役を看護師と書いてあったけど、リハビリをする理学療法士と看護師とは別の仕事です。
 担当者がリハビリ中の患者から目を離したりして、患者が行方不明になったら、始末書どころじゃない。たぶん首です。もし、石橋静河が「施療中の患者から目をはなしてはならない」という医療従事者の基本的なことがらを知らないのだとしたら、そんな病院は潰れて当然。監督は、医療従事者のプロ意識を無視している。
 
 ユマが逃げ出すシーンを作りたかったのなら、SAYAKAの仕事場から家に帰らない、というのが、いちばん自然な方法。なんでわざわざユマは病院から逃げ出す必要があったのかわかりません。
 障碍者ファンタジー映画なので、いいっちゃいいけれど。
 
 みっつめ。
 ユマはパソコンを使いこなして、メールに作品を添付して送ることもできます。検索だってできるでしょう。「障碍者 SEX フーゾク」とでも入力すれば、男性向け、女性向け、男性に世話してほしい男性向けその他、情報はどんどん出てきます。ユマがまったく情報を知らずに、風俗街へ出かけていくことに対して「そんな情報知らずで風俗街などに出向くな」と感じます。
 ネットの中の描写は、現実にフーゾクの男にしてもらうことなんぞは吹き飛ぶくらいさまざまな描写に出あうであろうに、ユマはいきなり風俗街へ。客引きは、ヒデを紹介します。
 
 女性向けフーゾク店のヒデ。ベッドサービス中、ユマが放尿してしまい、ヒデが体に受けてしまう。すると「おれ、こういうのダメなんだよね。もう、萎えたからできない」と言い、2万のサービス料を1万8千に値引きしただけで帰ってしまう。なんだよぅ。ヒデはプロ失格だよ。プロとして仕事するなら、放尿プレイも脱糞プレイもありでしょうが。その覚悟も無しにちょいと気軽に小遣い稼ぎと考えて、おしっこひっかかっただけで萎えるなんて、もう仕事引退しな。こういうプロ意識の低いセクシャルワーカーを出してほしくなかった。ヒデが途中で仕事を投げ出したのは、ユマが障害者ゆえにあなどった、と思えます。
 
 監督は、障害者を軽視する多くの人の代表としてヒデを造形したのかもしれませんが、ユマが「体験できないままホテルを出る」ってことにしたかったのかとも思います。ユマを処女のままにしたかったのか。ユマの処女性を残すことによってピュアであることを保つというのなら、それは違うと思うけれど。
 
 舞を世話好きの心優しい人柄に描いたのはいいけれど、ヒデがこれじゃ、プロのセクシャルワーカーをバカにしていることになると思う。
 私は、きちんと仕事をし人を癒す技術を持つワーカーをひとつの職業人として認めるべきだと思っています。自由意思で仕事をしている人(たとえば舞もそうだろうけれど)としてセクシャルワーカーをやっているなら、その仕事を認めようよ。(組織から抜け出すことができず、組織が搾取する労働は認めない)
 
 ヒデを演じた奥野瑛太は、朝ドラ「エール」では、ヒロイン音の姉の夫。戦前は厳格な軍人、戦後はふりきったラーメン屋を演じていました。うん、奥野瑛太なら、1回2万で途中で帰ってもいいんだけれどね。現実にはこんなイケメンフーゾクはいるのかどうか、利用したことないので、なんとも言えぬ。
 
 ユマが舞に手伝ってもらって、「大人のおもちゃ店」で電動ペニスを買うシーンもしかり。ユマは電動を見てスケッチしていたけれど、ネットのなかにはもっとさまざまな形態のものが満載。
 おもちゃ店では舞が「これ、前のダンナのに似ている」と喜んでいたから、このシーンがあるのも、まあいいけれど。渡辺真起子 、いいですね。
 
  HIKARI監督は、インタビューの中に「最初に企画を考えたのは、障碍者のセックス問題からだった。映画は、ひとりの女性の成長を描いています」と述べています。主人公を障碍者に設定するなら、セックス問題をもう少しきちんと描いてほしかった。おしっこ引っかかったから、萎えてできないって、、、ファンタジーだから、いいけどね。
 
 37セカンズは、4チャンネルの「24時間テレビの障碍者主人公ドラマ」に比べれば「感動ハラスメント」になっていないと思うけれど、外国で賞をとったために、外国で「これが日本の障碍者の生活」と思われたらいやだな、と感じます。障碍者の生活の厳しさは、現実もっといろいろあるのだけれど。
 ユマは知的障害もないみたいだし、足は不自由だけれど、手は絵が描けるほどには動かせる。障碍の程度から言うと、脳性麻痺の人のなかでも重くないほうです。
 
 佳山明は、「守ってあげたい」感満載の母性本能をくすぐる容姿で、とてもかわいらしい。この映画にとって、彼女の主演が不可欠でした。
 セクシャルワーカー問題にしろ病院体制問題にしろ、わかってあえてストーリーを作り上げたならそれでもいいけれど、監督は病院やフーゾク業界をどれくらいリサーチしたのか、わからない。「ファンタジー障碍者もの」として、とてもよくできた映画で、少々の穴がある脚本は、目をつぶってもいいと思うけれど、監督が「障碍者のセックス問題から脚本を書いた」などと語ってしまうと、「どんだけ障碍者のセックスについて理解したのやら」と思う。
 
 多くの人に見てほしいけれど、多くの人が「感動してそれで終わり」になる24時間テレビの障碍者ドラマになるかもしれない心配をしてしまう老婆心。
 この老婆も「ふたりの子供を残しては死ねない親」だからです。
 
<つづく>
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ぽかぽか春庭「クレアホーム&ガーデンでランチ」

2021-05-18 00:00:01 | エッセイ、コラム

 クレアホーム&ガーデン

202100516
ぽかぽか春庭日常茶飯辞典>2021二十一世紀日記春(6)クレアホーム&ガーデンでランチ

 いつも仕事先でのランチは、ワンコイン500円の定食です。夜はカラオケ居酒屋ですが、近所に食べ物屋がないので、昼ランチはそこそこ人気の店です。「お刺身定食」「唐揚げ定食」「焼き魚定食」などのメインにミニ小鉢がふたつと漬物味噌汁がついています。
 このところ夜営業は「お酒ダメ、カラオケダメ」の自粛中ですが、ランチは営業してくれるのでありがたい。

 でも「たまにはもうちょっと気分が変わるランチを」と、上司が車で案内してくれた店に出かけてきました。
 クレアホーム&ガーデンというレストランです。イギリスの農家レストランに倣った、農園付きレストラン、というか、レストランの周囲の広い敷地が花壇やハーブ園、蔬菜畑になっています。


 レストランの建物について「イギリス風ですね」なんて尋ねると、オーナーは「イギリス<風>じゃありません。イギリスから建築資材を輸入してイギリスと同じ工法で建てた、イギリスの家なんです」と訂正します。


 このクレアホーム&ガーデンは、野菜やハーブを農園で自作してレストランで利用しているほか、ウーフという組織の会員となっており、ウーファーと呼ばれる世界中の旅行者を受け入れています。


 ウーフとは、WWOOF:World-Wide Opportunities on Organic Farms「 有機農場で働きたい人に世界的な規模で機会を与える」という意味で、農業体験と交流のNGOとして、1971年にロンドンで設立されました。その後多くの国に広まり、日本にもWWOOF・Japanの組織ができています。

 ウーフの会員は、旅行者に宿泊場所を提供します。ウーファーWWOOFerと呼ばれる旅行者は、無料で宿泊するかわりに、農園、牧場などの仕事を手伝います。(有機農業・牧畜の農場牧場)

 クレアホーム&ガーデンのオーナーは、ウーフ会員としてウーファーを受け入れています。オーナーの自宅に旅行者を泊め、そのかわりにウーファーに農園の草取り・薪割りなどの作業や、レストランの皿洗いや調理などのボランティア活動をしてもらうのです。

 春庭は、ワーキングホリディ(ワーホリ)は知っていましたが、ウーフについてはまったく知りませんでした。よいことを教わりました。
 私もウーファーになって、農家に宿泊しながら旅行してみたい。ボランティア活動、薪割りでも牛の世話でも草取りでも、何でもします。薪割りは得意中の得意です。皿洗いはときどき皿を割るので向かないと思うけれど。

 木陰のテーブルでゆったりと。

 
 実は、ランチに訪れた日は、3回目の緊急事態宣言が出たあとで、クレアホーム&ガーデンは4月25日から5月11日まで休業中だったのです。ママさんは、農作業の手を止めて、「コーヒーだけなら」とコーヒーを出してくれました。
 おいしいコーヒーを飲みながら木陰のテーブルで話し込んでいると、「遠くからきていただいたみたいで。せっかくですから、かんたんなランチならお出しします」と言ってくれました。



 上司の車は他県ナンバーだったのです。私も電車で片道100分かけて毎日通勤していますが、乗り換え2回の都内移動。上司も毎週1回往復、2時間かけて他県から来ています。「他県への移動はするな」というお達しは出ていますが、私のように電車で都内を移動する100分と、ひとりで車に乗り他者との接触はない車の120分、どちらが感染可能性が高いのか。
 ともあれ、他県ナンバーのおかげで、ランチが食べられることになりました。

 パン、やさいと白身魚のパイつつみ焼き、コーンポタージュ、コーヒー&ケーキで1,500円でした。


 クレアホーム&ガーデン、ランチの店として、ときどき利用したいです。



<つづく>
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ぽかぽか春庭「ワクチン開発の停滞は前内閣の失策である件」

2021-05-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
20210518
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2021二十一世紀日記薫風(5)ワクチン開発の停滞は前内閣の失策である件

 コロナワクチン接種は、地域によって進捗にずいぶん差があります。春庭の住民票がある区は、高齢化率が都内でも高い地域のひとつだそうで、まず5月中は75歳以上の予約を受付ける。74歳以下は75歳接種が接種が完了する6月以後から。
 5月半ば、ワクチン接種券が郵送されてきました。予約は5月25日からです。電話もメール申し込みも殺到するでしょうから、予約が可能になるのはいつになることか。7月中には高齢者接種を完了させるという国の皮算用だそうなので、そのころまでに春庭も第1回目の接種が終わっているといいのですが。

 ワクチン接種が進んできた世界の国・地域では劇的に感染が終息していき、ことに重症化や死去の例が激減しているとニュースで見ました。
 それにしても、いち早く国民のほとんどに接種が完了したというイスラエルや自国産のワクチンを十分に各地域に行き渡らせているという中国にくらべて、なぜ、日本はこれほど接種が遅れたのか。



 昨年来、アメリカ製ワクチンイギリス製ワクチンの輸入がもたもたしていました。ワクチンの話が出始めた頃、これだけ製薬技術が進んでいる薬剤先進国であったはずの日本で、なぜ国産ワクチンが作られてこなかったのかと、疑問に思いました。

 実は、感染症ワクチン開発は、東大などの大学医学部薬学部で研究が進められていました。しかし、サーズやマーズが大流行したさい、日本にはウイルスが上陸せず、ワクチンへの需要は低かったのです。
 そこで政治家は言いました。「日本は衛生的で安全な国だから、すぐに役にたたない研究など無駄,無駄。感染症ワクチン開発研究費など必要ない」
 研究費は断たれ、研究は断念されました。
 
 石井健教授(東京大学医科学研究所)の談話(東京大学新聞2021年4月13日記事取材・友清雄太) )
 2015年に、政府へ新興感染症に対するモックアップワクチン開発を提言。同時に、大量生産、合成が容易なmRNAをワクチン抗原に用いることも提案していた。MERSウイルスやジカ熱というウイルスのmRNAワクチンを作成し、動物実験において免疫の反応性が認められた。しかし、臨床試験の多額の予算は国からカットされ、18年にプロジェクトは凍結。「後悔先に立たずとはこのことです。起きるとされていたことが現実になったときに、すぐに対応できる体制を作っておくことの重要性を実感しました」

 石井健研究室のHP(下記のURLの最後に jp をつけて検索してください)
 https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.
 
 いつ使うかもわからない薬などの開発費は無駄遣いだ」と評価してワクチン開発プロジェクトの研究費を削り、ワクチン開発を断念させた政権とは、安倍内閣です。
 現在までのもたもたしたコロナ対策を続けてきた現首相の対応は誉められたものではないですが、そもそも、ワクチン開発をやめさせた張本人は前内閣なのです。そんなことはひとことも語られていませんが。

 この内閣を支持した国民は、76年前と同じように「そんなつもりで内閣を支持したんじゃない、ワクチン開発を停止させていたなんて、知らなかったんだ」と言うのでしょう。
 私は、投票行動ではこの政党を支持したことはありませんが、マーズやサーズが大陸で流行したとき「ああ、海があるからへんなウイルスが日本に入り込まないでよかった」と思ってしまったのも事実。ワクチン開発研究費が削られてしまったこと、コロナワクチンの話が出るまで知りませんでした。
 この政権を支持してきた国民たち。
 ワクチン接種がおくれたのも、国民が選んだ内閣の政策のひとつだったということ、また「知らなかったのだから、国民の命が奪われたのもしかたがない」という社会の再現です。
 
 前首相は、現首相について「彼もいっしょうけんめいやっている」とかなんとか持ち上げていましたが、そもそもこの事態を引き起こしたのは、前内閣がワクチン開発プロジェクトを打ち切りにさせたからです。開発を続けていれば、国産ワクチンをすばやく接種する体制ができたのではないかと思います。今回のワクチン接種おくれは、前内閣の失策です。

 まだ接種予約ができていない71歳の内部疾患を持つ高齢者として、前内閣を告発したいです。コロナで死んだ人の命を返せ!

 しかも、現首相は「五輪開催と国民の命とどちらが大事」という質問に対して「え~、予防対策もしっかりして、安全安心なオリンピックが~」云々のとんちかんな官僚作文朗読を繰り返すのみ。国民の命など問題にしていないことが国民にもじゅうじゅうわかりました。
 こんなそんなで、来年にはコロナ増税になるでしょう。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2021」

2021-05-15 00:00:01 | エッセイ、コラム


20210515

ぽかぽか春庭日常茶飯辞典>2021二十一世紀日記薫風(4)スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2021 

 1年間、延期延期だった「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー」が、4月22日~25日に横浜アリーナで開催されました。。
 4月25日日曜日は、東京に緊急事態宣言が発令されましたが、神奈川はまだだったので、ぎり開催ができて、よかったよかった。

 神奈川も4月29日からは様々な制限がなされたということですが,、クラスターが発生したこともない劇場や映画館、博物館美術館、庭園などの施設が、なんの科学的根拠もなしにやみくも閉館になりました。これでどのくらい感染が防げたというのか、きちんと数字をだしてほしいです。「とにかく人流を減らしたい」というなら、なんだかんだ言っていないで、東京都は8月末までロックダウンたらいう都市封鎖して、外国人の入国いっさい禁止し、会社も出勤停止、人流をいっさいなくしたらどうでしょう。

 中途半端に制限して、緩和。また感染が増えると制限。これではいつまでも同じ事のくりかえし。少なくとも、私が入場した施設では、入り口の検温やアルコール消毒徹底し、場内の椅子は一つおきになっており、場内では歓声やおしゃべりは禁止、応援は拍手のみというルールを観客はしっかり守っていて、ここからクラスター発生するとは思えませんでした。

 中止要請の署名集めも行われているオリンピック。香港政府は電通から五輪のテレビ放映権を買ったとか。五輪中止になれば、電通は放映権料金の返金はじめ、その他の利権リケンもろもろをなんとかせねばならなくなる。国はいくら損失するのか、損失補填はいったい、いくらになるのか、これも国民には知らされていません。やるにせよやめるにせよ、国民の税金が投入されるのです。

 1年も延期されていたアイスショウ。外国人スケーターが来日できず、日本人だけの出演という、いつもとは異なるスターズ・オン・アイス ジャパンツアーですが、ともあれ実施されてよかったです。なにより、去年から1年間ほとんど日本のアイスリンクではすべっていなかった羽生結弦が出演するというので、全国のゆづくんファンは沸き立っていました。

 娘は、アイスショウの延期再延期と続く中、キャンセル払い戻しという連絡を受けて、一度はこのアイスショウをキャンセルしたのです。キャンセルした2日後に、羽生結弦出演決定というので、悔しがりましたが、気を落とさず、もう一度チケット抽選に応募して、「やったね、前と同じSS席がとれた」と、大喜び。

 娘はグッズを買うために早起きしました。12時開場13時開演ですが、アイススケートファンクラブトゥインクルメンバーは12時15分前に入場できる。「早めに買っておかないと、好きなグッズが売り切れちゃうから」と、ファンクラブ登録をしておいたのです。

 開場45分前に横浜アリーナに到着したのですが、すでにファンクラブ会員入場口も長蛇の列。フィギュアスケートファンの半分は羽生結弦ファンというのですが、娘は「もちろんユヅ君も大好きだけれど、私はフィギュアスケート全部が好き」というファンです。私はどちらかというとイケメン順のファンですから、前は高橋大輔、今は羽生結弦が見られればそれで満足という邪道ファンです。 

 入場できて、娘がグッズ購入の列に並んでいる間、ロビーベンチに座ってまっていました。優先入場できても、12時の開場までは客席に入れないのです。密を避けるため、ベンチに腰掛けられる人数も制限されており、ようよう座れる椅子を見つけました。

 ようやく開場。リンク前のプレミアム席が4列。その次がSS席。私と娘の席はSS席Aの9列。ほぼ正面の見やすい席でした。

 私の後ろの席のおばさま軍団は、手に手に羽生結弦フラッグを持ち、応援ウチワも持ってユヅ君応援体制をとっています。

 小母様いわく「私、ユズ君出演情報がないので、何度目かのショウ延期キャンセル払い戻しの連絡があったとき、いったんプレミアム席をキャンセルしちゃったのよ。そしたらユヅ君出るっていうから、再応募したけれど、プレミアはもうとれなくて、SS席しかとれなくて。もう、コロナを一生恨むから」と、ユヅファン仲間にぼやくころしきり。娘はSS席キャンセルのあと再応募でふたたびSS席がとれたので、それほどの変わりはない。しかし、プレミア席で応援しようと思っていたオバ様方は、おさまらない。どうぞ、一生コロナを恨んでください。

 羽生結弦と刺繍してあるフラッグ。ひとりは手作りで、かけたお金は3000円ほどですが、時間はたっぷりかけたと。よほど時間が有り余っているご身分なのだろうなあ。生活の情熱のすべてをユヅ君にかけているんだろうなあと思えます。もうひとりは「業者に頼んだので3万円かかった」という、ユヅ君衣裳に負けないキンキラのラメ入りフラッグです。「見た目はちょっと派手だけど、ユヅ君派手な衣装が好きだからいいの」と、言う。ふぅ、聞いてはいたけれど、ユヅファンの情熱ハンパない。これまでユヅ君が出演するアイスショウをSS席で見たことがなかったので、「おっかけさん」たちの情熱に直接ふれることがなかった。

 娘は前に買った「ショーマタオル」を振るのだと。「ユヅ君タオル買えたらよかったのに」と聞くと、「高橋大輔タオルだって、引退してからようやく買えたんだから、ユヅ君タオルなんかすぐ売り切れちゃうからなかなか買えないよ。今日のグッズだって、私はようよう買えたけれど、一般入場の人は15分の違いで、売り切れ続出。買えなかった人もいたんだよ」というのです。フィギュアスケートファンのすごさを実感しました。私、スケートを見るのは好きだけれど、グッズを買いあさるほどは入れ込んでいない。

 「押し」の気持ちの強さは、アイドルファンもロックファンもプロレスファンもさることながら、フィギュアファンも相当です。い

 スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2021には、日本の第一線で活躍するスタースケーターが出演。プロスケーターは、無良崇人ひとりで、あとは現役トップ選手でした。無良崇人は「浅田真央サンクスツアー」にも出演していました。真央ちゃんからファンへの感謝のアイスショウ、前から4列目というリンクに近い席でしたが、ひとり5000円でした。スターズ~はSS席9列目でしたが、その5倍弱のチケット代23000円でした。私には贅沢すぎるチケットですが、今フィギュアスケートに入れ込んでいる娘にとっては、「生ユヅ君をこんな間近に見られたんだから、高くないっ」と言います。

  1.  たしかに、羽生結弦の演技は、他の出演者全員をまとめて見るのよりも、ユヅ君ひとりを見ていたい、と思える圧倒的な力と華やかさがありました。私は、生ユヅ君を見るのは、2013年の全日本アイススケート選手権以来です。埼玉アリーナで妹といっしょに見たとき、私は最高点を出した羽生結弦より、まもなく現役引退する高橋大輔を応援していました。高橋はその後シングルに復活したのちアイスダンスに転身。

 2014年シーズンからはユヅ君一筋で、7年間応援を続けています。テレビ放映などがあると必ず録画して見てきましたが、アイスショウなどはチケットが手に入らないからと諦めていました。今回SS席がとれたのは、娘がチケット購入のためのアイススケートトゥインクルメンバーズに入ったおかげもありますが、何度も延期されたため延期の日には都合がつかなくなり、キャンセルした人もいたためです。

出演者は。
羽生結弦 2018平昌オリンピック 金メダスト
宇野昌磨 2018平昌オリンピック 銀メダリスト
鍵山優真 2021世界選手権 銀メダリスト
無良崇人 2014四大陸選手権 金メダリスト
田中刑事 2019スケートカナダ 銅メダリスト
佐藤 駿 2019ジュニアグランプリファイナル 金メダリスト
友野一希 2020NHK杯 銀メダリスト
山本草太 2019チャレンジ杯 金メダリスト
三浦佳生 2020全日本ジュニア選手権 銀メダリスト
三宅星南 2020全日本ジュニア選手権 銅メダリスト
樋口新葉 2017世界選手権 銀メダリスト
紀平梨花 2020四大陸選手権 金メダリスト
坂本花織 2018四大陸選手権 金メダリスト
三原舞依 2017四大陸選手権 金メダリスト
松生理乃 2020NHK杯 銅メダリスト
横井ゆは菜 2019フィンランディア杯 銅メダリスト
山下真瑚 2018スケートカナダ 銀メダリスト
新田谷凜 2019全日本選手権 7位
小松原美里&小松原 尊 2020NHK杯 金メダリスト

 おそろいの赤いパンツでアイスダンスをすべった小松原夫妻も次期シーズンのためのランビエール振り付け新ナンバー「ボレロ」を披露した宇野昌磨もよかった。昌磨君ジャンプでころんだのですが、きっと北京までに仕上げてくるでしょう。
 グループナンバーもよかったし、宇野昌磨がテレながら女性スケーターのお相手をするのもかわいかったですが、なにがなんでも輝くユヅ君。

 選手権などではどの選手も、自分自身のスポーツマンとしての誇りをかけて全力で演技をしますが、アイスショウでは、適度に手を抜きながら(足を抜くのかも)演技する場合もあります。しかし、ユヅ君は全身全霊、観客を楽しませるために全力をかけてくれるのです。

 オープニングの黒い衣装


 オープニングの黒いロック衣装も決まっていたし、プリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」(2016―17年シーズンのSP)では、この曲では1度しか披露していなかったという白い衣装とベストもかっこよく決まっていましたこの白い衣装はこれまでに着用したのは1度だけ、というのは、うしろ席のおばさま達がしゃべっていた情報です。ユヅ君に関しては、衣装から振り付けからなんでも調査が行き届いているみたいです。

 いとしのゆず君画像をネットから集めました。これから次のシーズンまで、うっとりながめてすごします。


 フィナーレでリンクを周回したとき、観客に手を振るユヅ君、観客は全員が「私に手を振ってくれた」と感激して観覧を終えることができました。男性スケーター全員おそろいのシャツ衣装でしたが、やはりユヅ君は光り輝いていました。
 「僕が滑ることで、誰かの光になれたら、誰か元気になれたら」と、インタビューで語っていた羽生結弦。はい、元気もらえました。あなたは私の光です。



 娘に叱られたこと。「母はね。松生理乃ちゃんとか若手のスケーターの演技を見ていなかったでしょ。目つぶって居眠りしていたの、ちゃんとわかったからね。スケーターは一生懸命演技してのに、失礼でしょ」えへへ、ごめんなさい。年寄りは朝4時に目がさめちゃったので、眠くなった。でも、輝くユヅ君をしっかり見ることができたので、ほかのスケーターたちの演技はオマケのようなもの。(それこそ失礼ですよね)

 会場のようす。開演前に1枚だけとらせてもらいました。9列目からリンクを見るとこんな感じだったと覚えておくために。

 
 TBSで放映があった「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2021」を録画し、娘ともう一度見ました。アップで見るユヅ君もすてきでした。
 「アイドル押し生活」をする人たちのように、私もユヅ君押しで元気になってコロナ時代に耐えていきます。
 
<つづく>
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ぽかぽか春庭「フレンズオブディズニーコンサート2021」

2021-05-13 00:00:01 | エッセイ、コラム


20210527
ぽかぽか春庭日常茶飯事展>2021二十一世紀日記薫風(3)フレンズオブディズニーコンサート2021

 コロナ対策のため、去年から延期が続いていたイベント。3月21日に2回目の緊急事態宣言が解除になったあと、いくつかの延期イベントが復活しました。
 4月25日に3度目の緊急事態宣言発出の間に、かけこみで実施されたイベント。2020年開催の予定から1年間延期延期で日延べなっていた「フレンズオブディズニーコンサート」
 ディズニー大好きっ子娘のお供で、さまざまなディズニー音楽のコンサートに出かけてきましたが、2020年にはほとんどのコンサートが延期や中止になっていましたから、コンサートに出かけるのは私も1年ぶりです。

 東京フォーラムAホールは、入場者を制限し、入り口での検温やアルコール消毒を実施してのコンサート開催でした。これまで、大規模コンサートやイベントからクラスターなどは発生していないことを考えると、この先も緊急事態宣言がでるたびにさまざまなイベントや演劇音楽が中止になってしまうこと、残念でなりません。音楽や演劇に関わる人々の生活、どうなっていくでしょうか。飲食業者には手当が出るそうですが、日頃アルバイトでかつかつの生活をささえ、演劇出演コンサート出演にがんばってきた歌手や俳優の生活、たいへんだろうなあと思います。

 フレンズオブディズニーコンサート2021(2020の延期開催)
司会 パパイヤ鈴木&中川翔子 
第1部
・コンパスオブユア 東京ディズニーシー「シンドバッドストーリーブックヴォヤッジ」
・時は永遠に 実写版「美女と野獣」
・ユールビーインマイハート 「ターザン」
・リフレクション 実写版「ムーラン」
・歌の力 東京ディズニーシー「キングトリトンのコンサート」
・おとなになったら 「アナと雪の女王」
・恋してるなんて言えない 「ヘラクレス」
・フレンドライクミー 「アラジン」
朗読 中川翔子「アナと雪の女王」
・生まれてはじめて
・とびらを開けて
・レットイットゴーありのままで

第2部
ディズニーヴィランズメドレー
・あばよ王子様 「アラジン
。罪の炎 「ノートルダムの鐘」
・哀れな人々 「リトルマーメイド」
・強いぞガストン 「美女と野獣」
名曲メドレー
・トプシーターヴィー 「ノートルダムの鐘」
・自由への扉  「塔の上のラプンツェル」
・ホールニューワールド 「アラジン」
・愛を感じて 劇 団四季「ライオンキング」
・美女と野獣 実写版「美女と野獣」
・ずっと変わらない者「アナと雪の女王2」
・アンダーザシー 「リトルマーメイド」
・ゼロトゥーヒーロー「ヘラクレス」
。みんなスター! 「ハイスクールミュージカル」

 娘は、アニメも実写版もディズニーの映画を全部見ているし、CDでも配信でもディズニー音楽をよくきいているので、すべての曲を知っているのですが、私はメインの主題歌のほかはあまり耳になじみがありません。1度アニメを見ただけの「ヘラクレス」の歌など、こんな歌聞いたっけなあ、というレベル。
 娘が見ていなかったディズニー作品は、最後の「ハイスクールミュージック」だけでした。

 それで、さっそく録画しておいた「ハイスクールミュージック」を見ました。無料放送されたときに私が録画しておいたもので、娘は気づいていなかったので「母、ぐっじょぶ」と言いつつ、ふたりで楽しんで見ました。
 物語は「よくある、どこにでもある青春モノ」でしたが、この映画に高校生役で出た俳優は、「グレイテストショーマン」フィリップ・カーライル役が記憶に新しい ザック・エフロンほか、みな一流の俳優として活躍してきました。
 高校生の成長を見続ける教師の気持ちになって歌を楽しみました。

 フレンズオブディズニーコンサート1年ぶりの開催だけでなく、皆が心置きなく音楽も演劇も楽しめる日が一日も早く来ますように。

 コンサート前の会場で

<つづく>
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ぽかぽか春庭「誕生日ランチ&母の日2021」

2021-05-11 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210525

ぽかぽか春庭日常茶飯辞典>2021二十一世紀日記薫風(2)誕生日ランチ&母の日2021 

 久しぶりに上野ブラスリーレカンで昼ご飯。娘の誕生日ランチです。
 毎年の誕生日プレゼント、品物を渡すのは25歳まで。それ以後は「好きな店でランチ」がプレゼント代わりです。

 レストランレカンに先に入って待っていたのは娘。私は30分も待ち合わせ時間におくれてしまったので、言い訳。
 「お待たせ。電車で本読んでいたら、つい下車駅乗り過ごしちゃった」と、いつもの失敗を謝りました。どの本?と問われて。「これ、ようやく第7巻が110円になっていたから、この前買っておいたんだ」と、電車で読んでいたビブリオ古書堂7巻を見せると、娘は複雑な顔をする。よほど長く待たせちゃったのかなと思いました。

 娘の打ち明け話。「あのさ、これ5月第2日曜日まで秘密にしておこうと思って、重たいのに持ってきたんだけど」と、包みを出します。
 「ビブリオ古書堂の話、第1シリーズが7巻で完結したので、新刊書をまとめ買いしたんだ。母は古本屋が好きだし、古書の話もすきだから面白がると思ったのに、、、、なあんだ、もう買っちゃったのか」と、がっかりしています。

 私は、ビブリオ古書堂シリーズ、とても面白く読み、第1巻から6巻まで、100円本半額本新刷と、とりそろえて買ってきました。私が読み終わった本は、息子に回していたから、娘も、私がこのシリーズのファンであることを知っているとばかり思っていたのです。しかし、息子は自分が読み終わったあとはそこらに本をころがしておくだけで、姉に回そうとは思っていなかったらしい。家の中のどこかにころがっているはず。

 一応ミステリー仕立てだから、読んだ本については、情報を出さないのが鉄則と思って、黙っていたのが悪かった。娘はまだ見ていない映画情報などを封印してから見るし、本もそうなので、娘に本や映画の情報は言わないようにしていたのです。
 娘が新刊で第1巻から7巻までそろえてくれた本、ありがたく受け取りましたが、第1シリーズの最終第7巻を読んだばかりなので、再読は先になりそう。
 
 ブラッスリーレカンの誕生日ランチ。一人前4200円。私にしてみれば、奮発のプレゼントです。
 
 前菜のパテとサワラスープ煮
  

 ステーキとデザート
  

 

 ビブリオ古書堂はびっくりプレゼントにならなかったけれど、プレゼント第2弾は、娘手作りの花の額。第3プレゼントは、私が通勤に使うリュックサック。「本が残念だったから、リュックはそのかわり」と。

 手作りの花の額。ビニール袋をはずせば、香水が部屋にひろがるというのですが、もったいながりの老母は汚れたらたいへんと、ビニール袋にいれたまま玄関の棚に飾りました。

 花額とリュック


 私が必要としていたのに、なかなか買えないでいたリュックも手作りの花の額も嬉しいプレゼントですが、娘が私が楽しんで読むだろうと取りそろえてくれた古書堂の本、いつか再読します。第1巻で出会ったふたり、7巻で主人公たちはようやくプロポーズ成立。第2シリーズも刊行が始まりました。

 母の日プレゼント第3弾は、カステラ。手作りチーズケーキもあったのですが、写真撮る前に、食べてしまった。


 母の日プレゼント第4弾は手編み毛糸ベスト。(着るのは次の冬シーズンになるでしょうが、暖かそうです。

 いろいろな楽しみを待ちながら、母の年月は重なっていきます。これまで過ごしたすべての年月に感謝。これからお世話になるであろう人々にも感謝ささげつつ、よい日々を過ごしていきたいです。世間はまだまだ厳しい歳月が続くでしょうけれど、せめて心は元気に健康に。
<つづく>
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ぽかぽか春庭「みどりの日2021」

2021-05-09 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210509
ぽかぽか春庭アート散歩>2021二十一世紀日記薫風(1)みどりの日2021

 都内に建つ近代建築・洋風邸宅のうち、公開されているのに、これまで訪れてこなかったのが鳩山会館です。
 現館長の鳩山由起夫の母・安子は、ブリジストン創始者の長女。安子の資産、石橋家からと鳩山家からの相続で200億円以上という、貧乏人には想像もできない大金持ち。保有するブリヂストン株1200万株(170億円相当)の年間配当だけで3億円を超えるというお金持ちなのだから、鳩山会館公開にあたって、無料公開してもいいんじゃない?と常々思っていた貧乏人のヒガミからこれまで訪問してこなかったのです。安子ママは、息子ふたりに「おこずかい」として1億2億をポンと渡してやっていたゴッドママでしたから、600円の一般入館料に対して、せめて高齢者料金は「半額の300円にして」なんて思っている庶民のことなど一顧だにしなかったろうなあ。修復後、1996年6月1日に鳩山会館としてオープン。一郎、威一郎らの記念室が設けられています。 安子ママ死去のあと、鳩山由紀夫が会館の館長となっています。

 毎年みどりの日に都立施設は無料公開してきたので、自転車で3つ4つの公演をはしごして緑をたのしんできたのですが、ことしのみどりの日、都立区立の施設はコロナ禍でみな臨時閉鎖。
 やむなく、たったひとつ開いていた鳩山会館を訪問することにしました。

 こちらは、補助金その他の国や東京都の補助を当てにしなくてもやっていける金持ち施設ですから、ほとんどの施設が身を縮めて臨時閉鎖した中、「オラッちは、国や都の施策とは無関係」という堂々のオープン。
 娘の一般入館料600円は、ネット購入の特典ポストカードつき。私は当日購入のシルバー500円。邸宅はのちほど紹介します。

 これまでみどりの日の楽しみのひとつは、旧古河庭園の薔薇でした。旧古河庭園は、シルバー券70円で入園できます。(邸宅に入るには別途見学料)
 しかし、ことしは閉園ですから、バラを見るにはどうしようかと思案しての鳩山会館訪問だったのです。鳩山会館庭園は、桜や紅葉もいいけれど、一番の 見所はバラだというので、出かけました。例年だと満開はゴールデンウイークが終わったころだというのですが、今年は桜も早かったけれどバラもちょうどゴールデンウイークど真ん中に満開。

 鳩山会館のバラたち

 ↓の奥にピンと直立の方が会館支配人さん

 バラに囲まれて


 鳩山会館見学、バラ満開の時期でちょうどいいときに行けてよかったです。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「コレクション展 in 近代美術館」

2021-05-08 00:00:01 | エッセイ、コラム

20210508

ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩早春~春(4)コレクション展 in 近代美術館

  東京近代美術館通常展は、毎日65歳以上無料です。

 近代美術館の常設展は、季節ごとの作品入れ替えがあるので、「今度はどんな作品がお初かな」という楽しみもあり、ずっと変わりなく展示されている作品に「また見に来ましたよ」と挨拶するのもまた楽し。これが無料で楽しめるのだから、中学生から絵を見るのが趣味になって、ほんとよかった。もし私の趣味が「宝石で身を飾ること」とかだったら、我が身の貧しさを嘆くだけの人生になってしまうところでした。

 今回訪れた近代美術館、メインの展示は「眠り展」。館所蔵品の中から、眠りをテーマにした絵などを集めて展示。館所蔵作品を集めて並べただけなのに、一般1200円もとるので、パス。展示されているルーベンスの「眠るふたりの子ども」も、ルドンの「目をつぶる女」も、これまでに常設展で見てきたからいいや。 

 膨大な所蔵品のなかから、季節ごとにさまざまなテーマのコレクションを公開する近代美術館。

 今回も「お初です」という作品が展示されていました。「花」をテーマにしたコーナー。

 セザンヌの「大きな花束」は何度も見てきましたが、ほかの花もきれいでした。

 セザンヌ「大きな花束」1892-95

 

 向井潤吉「ダリア」1919

 

 藤島武二「アルチショー(朝鮮薊)」1917

 

 須田国太郎「書斎」

 書斎に積まれた本の中に、白い花が盛られた壺。どんな花なのか、私にはわかりませんが、書斎の光を受けて存在感を示しています。


 「信仰の悲しみ」など、好きな作品が多かった関根正二の「お初です」作品もありました。

  関根正二「婦人像」1917

 日本に印象派やゴッホなど後期印象派の絵が知られるようになっても、日本にもたらされたのは、白黒写真図版のみ。図版が載った美術雑誌によるしか見る方法がありませんでした。ゴッホに刺激を受けて、万鉄五郎が制作した「麦畑」。ゴッホ風の太陽描写が印象的です。

 万鉄五郎「麦畑」1918

 

 アメリカで活躍した日本人画家の絵も、私にはお初のものが多かったです。

 石垣榮太郎「リンチ」1931

 石垣榮太郎「腕」1929

野田英夫「帰路」1936

 

野田英夫「都会」1934

 

 ジャクソン・ポロック「無題」1938-1941

 今回の常設コレクション展も見所が多かったと思います。早春~春のアート散歩、5月後半につづきます。

 <つづく>

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ぽかぽか春庭「戦争画と戦争じゃない画 in 近代美術館その2」 

2021-05-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
20210506
かぽか春庭アート散歩>2021アート散歩早春~春(3)戦争画と戦争じゃない画 in 近代美術館その2

 戦争画を描いた画家達の戦後の画業について。
 藤田嗣治、向井潤吉につづき、小磯良平を取り上げます。

 小磯良平は、赤坂離宮迎賓館の玄関から階段を上がったホールで最初に目に入る音楽家の絵の作者で、文化勲章受章画家です。裕福な家に育ち、フランス留学し、フランスから帰国後は戦争画で名をはせる。敗戦後は、戦意高揚絵画を描いたことを後悔する、とってもフツーな感覚の持ち主なんですけれど、私の趣味嗜好からいくと、「幸せな画家人生でよござんしたねぇ」という、いつものひがみねたみそねみ。

 小磯良平「練習場の踊り子たち」1938

 おそらく、小磯良平の述懐がもっとも多かった画家作家の身のこなし方だったろうと思います。戦中は粛々と軍の要請に従って戦意高揚画を描き、戦後は一転して「ああするより仕方なかった。戦争協力を後悔している」と述べる。反省さえすれば、間違った行動も帳消しにされる「告解」の制度、カトリックだけじゃなく、有効だったのですね。

 戦後民主主義者に育てられた私は、「ごめんなさいで済むならケーサツいらない」と叱られて生い立ちましたので、自分の行動には責任が伴う、ということをたたみ込まれました。告解の制度、うらやまし。10歳頃、近所の小間物屋で販促用の化粧品の小瓶ほしくて「だまって借りた」ことなんぞも、死ぬときは免罪にして欲しい。

 戦争画を描いた3人を取り上げました。
 戦争責任を負わされ、日本を追われた藤田嗣治。戦争画制作を後悔していると述べた小磯良平。インパールで死ぬところだったのに「戦争中に描いた絵で技術が向上した」と語る向井潤吉。
 それぞれの戦時中の絵と戦前戦後の絵。並べて見ることで「絵を描くこととは」「国家に協力するとは、協力を拒むこととは」と、思いつつ歩いた近代美術館常設展でした。 

 戦意高揚の絵を描けと求められれば、画家達は勇んであるいはいやいや戦争を表す絵を描きました。私の母などは、大本営発表以外になんの情報もなく、敗戦を意識したのはソ連参戦が伝えられたときだったと述べていました。それまでは勝利を信じていたと。
 今でも政府発表を信じてはいけない、という事例はあとはたちません。

 敗戦はつらいことでしたが、残った人々は復興に取り組みました。
 戦後、画家達はさまざまに画業を進めて行きました。
 戦後めざましい活躍を果たした画家のうち、岡本太郎の戦中戦後を見てみましょう。

 1911年生まれ、パリに留学し、ヨーロッパ戦線激化ドイツのパリ侵攻により1940年に帰国。1942年、31歳という新兵としては高齢で招集されます。補充兵役召集陸軍二等兵として中国戦線へ出征。
 厳しい兵役生活の間、師団長の肖像画を描かされたほかは、絵を描くことはなかった、というのは、戦後の岡本にとっては、むしろ幸運でした。戦後の活躍は、太陽の塔と「芸術は爆発だ!」のことばとともに、絵画に興味のない人にも知らない人がない芸術家になりました。 

 岡本太郎「夜明け」1948


 北脇昇「抛物線」1949


 戦争で傷つき松葉杖を脇に抱える兵士が洞窟の中に座っています。七輪は割れていて火が兵士を温めているとは思えませんが、洞窟の外には薄く日が見えます。
 薄い日であっても、夜明けは来ると信じて夜を耐えましょう。  
  
 靉光が「わたしには戦争画は描けない」とつぶやき戦場へおくられたように、どんな時代が来ようと「戦争はいやだ」と言い続ける老婆がいてもよい。どうせ老い先短い身、、、とは言っても、「美人薄命」が正しければ、あと30年老いながらえることになっている。

 五輪開催の巨大利権が大手建設業や広告代理店にもたらされるか、全部おじゃんになるかの瀬戸際。利権配分によって政権維持している政府は、五輪開幕7月までに全国民のワクチン接種をすませようと、なりふりかまわぬ情勢。休業要請への補償費など莫大な費用は、こののち、増税となってすべての国民の負担になりますからご覚悟めされぃ。
 言ってもせんないが「政府の無策によって、国民が税負担させられるのは、いやだ」
 と、力なくつぶやいてみる。

<つづく>
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