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■澁木智宏個展「線分」 (2017年1月5~31日、札幌)― 2017年1月22日は10カ所(うち2カ所再訪) その2

2017年01月23日 20時49分40秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(承前)

 澁木智宏さんは1986年、小樽生まれ。
 武蔵野美術大でテキスタイルを学び、デザインとアートにまたがって活動しているそうです。


 今回は、澁木さんが作りつづけている「ici(イシ)」シリーズが中心です。

 冒頭の画像は、個展のタイトルにもなっている「線分」。
 つぎの画像は、丸善という人の水盤を模した「遠く見ゆる」です。

 もう多くの方が知っていると思いますが、これらはすべてウールでできています。

 展示中の作品にはふれないのがマナーですが、実際に持ってみると、見た目は石でずっしりと重たいはずなのに、拍子抜けするほど軽いのです。
 このギャップが、澁木さんの作品の魅力だと思います。

 わたしたちは彫刻を見るとき、目で触れるという鑑賞法を、無意識のうちにとっています。
 実際に触れなくても、目で質感や量塊の感じを味わっているのです。
 澁木さんの作品は、目で触れる鑑賞法を、裏切るおもしろさをはらんでいます。


 小品には、文学的ともいえる題がついています。

 いわく
「とある美しいワイングラスを割った石」
「コンスタニチン三世が愛した石」
「一週間前、黄金に輝いた石」

 どう考えても虚構なのですが、物語性を感じさせます。


 5年前、札幌時計台ギャラリーでの「サッポロ未来展」で発表した「庭」と同系列のインスタレーション「niwa」を含め、澁木さんの作品には、意外性があります。 たしかにこれはおもしろい。
 しかし「石に見えるけれど実はウールなんだよ」というネタバレで終わってしまう作家ではありません。
 会場にあるポートフォリオを見ると、さまざまなアプローチで制作に取り組んでいることがわかります。

 いずれは、このシリーズ以外の作品やプロジェクトも見てみたいと思うのでした。




2017年1月5日(木)~31日(火)午前11:00~午後7:00(月曜日・第三火曜日休廊)
   ※1月9日は祝日のため営業、10日は休廊
クラークギャラリー+SHIFT(札幌市中央区南3条東2丁目6 MUSEUM 2階)

https://www.tomohiroshibuki.com/

□SHIFT のインタビュー記事 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2016/11/tomohiro-shibuki.html


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