北海道美術ネット別館

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■Film work EXHIBITION 写羅 (5月17日まで)

2008年05月16日 22時16分17秒 | 展覧会の紹介-写真
 最近「たぴお」へ行くと、作品そのものに感動するというよりも、作品に触発されていろいろな思いがわきあがってくるということが多い。

 高田稔さんの個展のときもそうだった。
 初期の絵がめずらしく展示されていて、それを見ると、有元利夫の絵にそっくりなのだ。
 もちろん、近年の画風は、単純な模倣を脱却して、高田さんならではのものになっているのだが、筆者は
「ああ、高田さんはそういう地点から出発したのだなあ」
と、なんだかしみじみしてしまったのだ。

 また、先週は、「たぴお」主宰の林教司さんから「美術ペン」最新号をいただいて、それに林さんが執筆した文章を読んだ。
 昨年亡くなった竹田博さんから「たぴお」を引き継いだことについての文章だが、ちょっとぶっきらぼうな筆致のなかに、竹田さんと美術とに対する愛情があふれていて、またもしみじみしてしまった。

 さて、「写羅」は写真のグループ展である。
 案内状にはローマ字表記で出品者の人名が記されてあったが、林教司さんによれば、つづりが何カ所かまちがっているらしい。
 会場の表記もローマ字であった。なんだか、読みにくい。
 したがって、ここでは「たぴお」のサイトから、出品者名を引用する。

渡辺英四郎/藤川弘毅/為岡進/大友洋子/YUKI/林教司

 林さんが写真を発表するのは、初めて見た。
 1978年に撮ったインドのカラー写真だった。
 どこにも「インド」とは書いてないけれど、写真にうつっている看板に「BOMBAY」とあったし、サリーをまとった女性とか牛車の列などが写っているので、まずまちがいないだろう。
 (だいたい、いまはボンベイとはいわない)

 裸足の少女がこちらをにらんでいる。
 貧しさが、胸に迫ってくる。
 高台から広い平野を見下ろしているお下げの少女の後ろ姿。彼女はなにを考えているのだろう。
 
 そのうちの1枚に、若き日の林さんがうつっていた。
 大勢の子どもたちといっしょに合掌していた。

 かつて椎名誠や藤原新也がそうしたように、若い人がインドを放浪すること自体は、それほど奇異なことではないと思う。芸術志望者なら、なおさらだ。
 林さんにも「自分さがし」の青春の日々があったということなのだろう。

 小生はインドに行ったことがない。
 30年前、林さんはなにを思って旅をしていたのだろうか。
 聞いてみたい気がする。


08年5月12-17日11:00-19:00
ギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館 地図A


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