北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■新道展企画 第52回展受賞者展 (12月4日で終了)

2007年12月17日 23時06分03秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道内の三大公募展の一角「新道展」は2003年から毎年この時期に大同ギャラリーで「受賞者展」をひらいています(道展にはこのような展覧会はありません)。
 全道展とことなり、一般の受賞者のほか、会友・会員へ推挙された人も出品しています。

 もうひとつ、全道展の受賞者展との違いは、ほとんどが新作であること。新道展の展覧会が終わってから3カ月たっていないことを考えると、これはみなさんがんばったなあと、素直に感心します。
 ただ、正直なところ、水準にはやや差があるようです。
 脇坂淳さんが木彫を出している以外は、全員が絵画です。

 上のフロア。
 モノクロの宮崎亨さんの絵が目立ちます。髪の毛の先が人の頭部のようになっており、おどろおどろしさがあります。

 その左側にあるのは、協会賞を受けた櫻井亮さんの絵。
 筆者は一般的に、輪郭線を、非自覚的にひいている絵というのはあまり好きではないのですが、櫻井さんの絵には、なんともいえない郷愁のようなものがただよっています。今回は、大きな施設の、廃墟を思わせる天井が印象的。その上の空に飛んでいるのは、B29でしょうか。

 中埜渡美栄加さんの作品は、びっしりと白い点が打たれていますが、以前よりはかなり構図にメリハリがついてきているように感じます。素朴な描写がむしろ持ち味になっています。

 大林雅朗さんは、画面に数人を登場させ、そのうち何人かはかならず楽器を奏でています。
 今回は、海を望む高台の畑が舞台で、ヤギやフキなども描かれ、大林さんの絵の中でもこれまでにない解放感がひろがります。

 下の階。

           

 2006年に協会賞を受けた若手のホープ藤本絵里子さんは、円や四角の木片をたくさんならべる独特の技法で注目されていますが、今回は、その手法を、魚(シーラカンス?)の一部分に用いるにとどめています。むしろ、背景の青が、複雑な濃淡の組み合わせでつくられていることに驚かされました(画像右)。
 
 そのとなりは、山形弘枝さん。新道展ではひろがりのある場面を描いていましたが、今回の作品は、そこに登場していた巨大で奇妙な鳥に焦点をしぼっています。

 甲斐野弘幸さんは、新道展や水彩連盟展とはやや異なる画風。重厚さから変化の兆しがうかがえ、意欲的だと思います。

 ほかに、久保田年子さんの独特の渋い色調に感服しました。新道展の際とちがって、女性像を入れたひろがりのある画面です。陰影に乏しいのもかえっておもしろい。


 出品作は次のとおり。
和田仁智義 「彷徨の地」
佐々木三枝子「つくえ・いす」
平原 郁子 「野-花の記憶」
脇坂  淳 「現(うつつ)」
久保田年子 「Spirit」
大浜 久与 「どこへ」
藤本絵里子 「漂泊」
澤田 和子 「時のひずみ(北の祭り)」
山形 弘枝 「鳴々III」
すとうえみ 「紫音」
萩野不二男 「存在」
甲斐野弘幸 「跫音(あしおと)晩秋2007」
澤谷 玲子 「作品2007(コラージュ)」
能登 智子 「響」

古木 真澄 「沈黙」
市川 正勝 「潮風光彩」
磯尾 法秀 「風の刻印」
辻  和子 「すだれ干し」
野崎カズエ 「晩秋(赤トンボはもういない)」
園部 信二 「懐古(メンコ)」
市川 雅朗 「音色に誘われて」
中埜渡美栄加「北の大地」
浜地  彩 「幻夢曲」
櫻井  亮 「残光」
宮崎  亨 「マイナスの力に頼る者はいつか必ずマイナスの力に引きずり込まれる。その覚悟はあるのか」
田中 朝子 「心の断片」
玉置  亘 「崩れゆく古代」
大澤 誠睦 「オタモイ風景」
瀧場 民子 「アネモネ」
山本 俊湖 「想」
上原 裕子 「川は流れる」




07年11月29日(木)-12月4日(火)10:00-18:00(最終日-17:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

第51回受賞者展
第48回受賞者展
INCREASE 紙によるインスタレーション(02年)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。