先に書いたとおり、この2団体が同時におなじ会場で展覧会をひらくのは、ここ何年かでは初めてだと思う。
いずれも、墨象の世界では、全国区の書家を擁する有力な団体であり、見ごたえも十分だ。
筆者は書壇の人間関係に疎いし、興味もまったくないから、このふたつの展覧会がどんなふうに対峙しているのかは知らないが、自分で勝手に、火花を散らしているんでないかと思ってみる。
今回も、書の情報では他の新聞を圧倒している毎日の北海道版(4月12日)から引用して、展覧会の概要をみてみよう。
上の記事にもあるとおり、墨人は1字書オンリーで、札幌墨象会のほうが大きさ、スタイルともにバラエティーに富んでいる。
どっちがいいとか悪いとかと言うことではないだろうと思う。
北海道墨人展の出品作は次のとおり。
みじかい感想もまじえて。
荒野洋子(後志管内倶知安町)「崖」180×120
池野恵美子(同余市町)「廻」90×140
石田光子(札幌)「石」90×70
伊藤廸子(余市)「奇」135×69
太田暁雲(江別)「織」100×150
太田俊勝(札幌)「山」140×180
重量感、安定感がある。
木村重夫(小樽)「實」140×90
久保昭(札幌)「愉」90×140
斜めの線にいきいきとした動感がある。
久保哲哉(同)「轉」280×180
最初に紙に落ちた墨痕が印象的。
齋藤有美子(旭川)「游」97×97
佐藤志珠(網走管内遠軽町)「祭」135×70
渋谷北象(旭川)「康」180×120
杉原和夫(後志管内岩内町)「動」90×140
助川有紀子(函館)「生」135×69
高橋節男(後志管内共和町)「轉生」180×140
立石芙美子(札幌)「考」180×140
近澤鷹齋(旭川)「窮」90×90
塚本宏美(札幌)「月」180×140
照井心磊(旭川)「遙」90×162
先が割れた筆でしんにょうを表現している。
中野隆司(札幌)「快」120×180
この会ではめずらしいタイプかも。明快さをおぼえる。
馬場怜(余市)「雪」140×120
なにかが瓦解していくような不安なものを感じた。
林哲枝(岩内)「磨」135×70
樋口雅山房(札幌)「華」「遊」いずれも35×70
福士佳子(余市)「尊」135×35
増子宏子(小樽)「阿」140×180
へんとつくりが、激しくぶつかり合っているような力とユーモアを感じる。
松倉土一鬼(旭川)「寂」180×120
墨があわ立っているように見えるのがおもしろい。
山崎貫二(登別)「鳳」180×280
ぱっと飛び立つような感じ。スピード感がある。
吉田公子(余市)「幻同」180×140
米道知之(岩内)「國」180×200
くにがまえに、どっしりとした安定感があると思う。
札幌墨象会展の出品は次のとおり。
雨宮百合子「一瞬」360×120
若々しさを感じる。まだ墨が乾ききっていないような生々しさがある。
安藤小芳「巡」90×180
石川時子「渉」140×70
上戸抱山「苦海浄土」70×270
「海」と「浄」でさんずいの向きがちがうのが興味深い。いまも終わらない水俣病に思いをいたさずにはおれない4文字だ。
内田永子「龍」135×70
川本和子「壁」180×120
菊地彰子「駈」180×240
菊地紀仁「攘」180×360
飛沫(ひまつ)が爆弾のようだ。
熊谷由加里「惹」240×180
でかい。迫力がある。
五條覚堯「断」180×120
近藤敏子「亮」135×70
坂口末子「灯」121×181
佐々木信象「野仏」360×120
佐藤放心「心」180×360
ふつうこの字では、右はらいの画が強調されることが多いと思うが、この作品は、のこりの3つの点が、縦棒として表現され、めずらしい。
佐藤美恵子「幼」120×80
島田青丘「崩壊」360×140
ほんとに何かが崩れ落ちているように、流れ落ちる墨がふしぎな模様をつくっている。それにしても、全体にみなぎる切迫感、焦燥感はなんだろう。
竹本克子「生」140×70
寺島春代「篤」120×180
土屋湖雁「雲無心」330×70
長嶋幸子「彗」180×120
林維子「七福神」120×360
原間井容子「群」120×180
東志青邨「○陀」360×120
牧蕗涛「毬」180×120
松田稲峯「凍天」272×69
三上雅倫「虚空」360×120
淡墨で、余白を生かした字の配置。「空」は、ぽたぽたとしたたりおちる墨痕から、終筆の省略が味わい深い。
三上聡子「撚」120×180
三上山骨「樹」240×360
三上禮子「影光」240×180
「影」のほうが断然大きいということに、考えさせられてしまう。
三澤萌心「刻」135×69
森本暁子「態」54×67
山本紀子「花」136×70
いずれも、07年4月11日(水)-15日(日) 10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
札幌墨象会
■04年
■第45回(03年)
■03年
■02年
■02年の12人展
■第40回(01年)
北海道墨人
■第20回
■第16回(8日の項)
(リンク先はいずれも画像なし)
いずれも、墨象の世界では、全国区の書家を擁する有力な団体であり、見ごたえも十分だ。
筆者は書壇の人間関係に疎いし、興味もまったくないから、このふたつの展覧会がどんなふうに対峙しているのかは知らないが、自分で勝手に、火花を散らしているんでないかと思ってみる。
今回も、書の情報では他の新聞を圧倒している毎日の北海道版(4月12日)から引用して、展覧会の概要をみてみよう。
(前略)「第21回北海道墨人(ぼくじん)展」=は、北方墨人会(札幌市、太田俊勝代表)と旭川墨人会(旭川市、照井心磊(しんらい)代表)の合同展。ともに、岐阜市に本部がある墨人会の地方組織で、両会以外の墨人会道内在住会員も参加している。
30人が各1点出品している作品は一辺180センチ前後の1字書。ボンドが主の濃墨やニカワを混ぜた淡墨作品は飛沫(ひまつ)や筆跡を強調して前衛性を打ち出しながら“命の躍動”を表現している。
旭川墨人会員で第47回北海道書道展大賞を受賞した太田暁雲(ぎょううん)さんは「織」を、北方墨人の会長で道文化賞受賞者の馬場怜さんは篆書(てんしょ)の「雪」を出品している。
札幌市や近郊の書家で構成する「札幌墨象会」(札幌市、島田青丘(せいきゅう)代表)の第52回展=も33人が各1点出品している。同会は年2回社中展を開いており春は大作展。
180×120センチを中心に長辺360センチの横作品もある。こちらも文字性を残した1字書が中心だが、2字や4字に前衛性の高い非文字作品もあり、目指す“根源の生命”を多様に表出している。青丘代表は2文字の「崩壊」を出品している。
上の記事にもあるとおり、墨人は1字書オンリーで、札幌墨象会のほうが大きさ、スタイルともにバラエティーに富んでいる。
どっちがいいとか悪いとかと言うことではないだろうと思う。
北海道墨人展の出品作は次のとおり。
みじかい感想もまじえて。
荒野洋子(後志管内倶知安町)「崖」180×120
池野恵美子(同余市町)「廻」90×140
石田光子(札幌)「石」90×70
伊藤廸子(余市)「奇」135×69
太田暁雲(江別)「織」100×150
太田俊勝(札幌)「山」140×180
重量感、安定感がある。
木村重夫(小樽)「實」140×90
久保昭(札幌)「愉」90×140
斜めの線にいきいきとした動感がある。
久保哲哉(同)「轉」280×180
最初に紙に落ちた墨痕が印象的。
齋藤有美子(旭川)「游」97×97
佐藤志珠(網走管内遠軽町)「祭」135×70
渋谷北象(旭川)「康」180×120
杉原和夫(後志管内岩内町)「動」90×140
助川有紀子(函館)「生」135×69
高橋節男(後志管内共和町)「轉生」180×140
立石芙美子(札幌)「考」180×140
近澤鷹齋(旭川)「窮」90×90
塚本宏美(札幌)「月」180×140
照井心磊(旭川)「遙」90×162
先が割れた筆でしんにょうを表現している。
中野隆司(札幌)「快」120×180
この会ではめずらしいタイプかも。明快さをおぼえる。
馬場怜(余市)「雪」140×120
なにかが瓦解していくような不安なものを感じた。
林哲枝(岩内)「磨」135×70
樋口雅山房(札幌)「華」「遊」いずれも35×70
福士佳子(余市)「尊」135×35
増子宏子(小樽)「阿」140×180
へんとつくりが、激しくぶつかり合っているような力とユーモアを感じる。
松倉土一鬼(旭川)「寂」180×120
墨があわ立っているように見えるのがおもしろい。
山崎貫二(登別)「鳳」180×280
ぱっと飛び立つような感じ。スピード感がある。
吉田公子(余市)「幻同」180×140
米道知之(岩内)「國」180×200
くにがまえに、どっしりとした安定感があると思う。
札幌墨象会展の出品は次のとおり。
雨宮百合子「一瞬」360×120
若々しさを感じる。まだ墨が乾ききっていないような生々しさがある。
安藤小芳「巡」90×180
石川時子「渉」140×70
上戸抱山「苦海浄土」70×270
「海」と「浄」でさんずいの向きがちがうのが興味深い。いまも終わらない水俣病に思いをいたさずにはおれない4文字だ。
内田永子「龍」135×70
川本和子「壁」180×120
菊地彰子「駈」180×240
菊地紀仁「攘」180×360
飛沫(ひまつ)が爆弾のようだ。
熊谷由加里「惹」240×180
でかい。迫力がある。
五條覚堯「断」180×120
近藤敏子「亮」135×70
坂口末子「灯」121×181
佐々木信象「野仏」360×120
佐藤放心「心」180×360
ふつうこの字では、右はらいの画が強調されることが多いと思うが、この作品は、のこりの3つの点が、縦棒として表現され、めずらしい。
佐藤美恵子「幼」120×80
島田青丘「崩壊」360×140
ほんとに何かが崩れ落ちているように、流れ落ちる墨がふしぎな模様をつくっている。それにしても、全体にみなぎる切迫感、焦燥感はなんだろう。
竹本克子「生」140×70
寺島春代「篤」120×180
土屋湖雁「雲無心」330×70
長嶋幸子「彗」180×120
林維子「七福神」120×360
原間井容子「群」120×180
東志青邨「○陀」360×120
牧蕗涛「毬」180×120
松田稲峯「凍天」272×69
三上雅倫「虚空」360×120
淡墨で、余白を生かした字の配置。「空」は、ぽたぽたとしたたりおちる墨痕から、終筆の省略が味わい深い。
三上聡子「撚」120×180
三上山骨「樹」240×360
三上禮子「影光」240×180
「影」のほうが断然大きいということに、考えさせられてしまう。
三澤萌心「刻」135×69
森本暁子「態」54×67
山本紀子「花」136×70
いずれも、07年4月11日(水)-15日(日) 10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
札幌墨象会
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