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■小鹿田(おんた)焼 国指定重要無形文化財 坂本工(たくみ)窯作陶展 (2015年5月15~28日、札幌)

2015年05月26日 23時07分29秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 小鹿田(おんた)焼は、大分県日田市の焼き物である。
 日田市の中心から北方へ約16キロの山間にあり、18世紀前半からずっと同じ製法で昔ながらの生活の器を作ってきた。

 昭和初期に「民藝」運動の指導者、柳宗悦が激賞し、知名度が上がった。それまでは、柳が調査しようとしても、文献がほとんど存在しなかったほどである。

「それほど手法が古く形がよく色が美しい。あるものは遠く唐宋の窯をさえ想起させた」
(日田の皿山」、岩波文庫「柳宗悦民藝紀行」より)
 

 無名の民衆による、民衆のための陶器。都市の流行を追わず、伝統を引き継ぐ素朴な陶器。そこに柳は、民藝の原点をみたのだろう。
 ただし、柳は「日田の皿山」で「おんだ」と書いているが、正しくは「おんた」という。
 戦後は、英国生まれながら民藝運動に功績のあった陶芸家バーナード・リーチが滞在し、名声は定着した。
 今も世襲制を守り、外部の弟子などはとらないというから、徹底している。
 名高い窯だが、それほど高価なわけでもない。

 川の流れを動力にした唐臼で、近くの山から採った陶土を砕くという。
 今回の窯元の坂本工(たくみ)さんは、今回の個展に際し、ギャラリー愛海詩(えみし)が発行している会報に、次のようにあいさつ文を寄せている。

 山から陶土を採り唐臼で一鉢十日間程度砕きます。その後人力で水ごしをし、乾燥するまで約一カ月かかります。
 ここから土を練り、轆轤で成形、削り、いろいろな文様を入れ、感想、釉掛け登窯焼成の行程を三カ月から四カ月かけ器が生まれます。


 会場には、皿、甕(お店の傘たてにぴったり!)、片口、珈琲カップ&ソーサーなどが並ぶ。

 皿には、小鹿田の特徴である櫛目やとびかんなの文様が刻まれている。
 日本の古い窯で、絵付けではなく、文様がここまで充実しているのは案外少ないかもしれない。

 偉い人々のものではなく、普通の民から出てきた芸術に、ふれてほしいと思う。


2015年5月15日(金)~28日(木)、月休み
ギャラリー愛海詩(札幌市中央区北1西28)

小鹿田焼作陶展 (2002年)



・地下鉄東西線円山公園駅から約460メートル、徒歩6分
・同西28丁目駅から約400メートル、徒歩5分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「円山第一鳥居」から約560メートル、徒歩7分(札幌駅、北1西4から手稲、小樽方面行きの全便が止まります)

(Gallery Retara から約130メートル、徒歩2分です)

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