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小樽鉄路写真展(9月10日まで)

2006年09月05日 21時40分00秒 | 展覧会の紹介-写真
 日本で3番目に鉄道が走った札幌-手宮(小樽市)間のうち、現在は廃線となっている旧手宮線の上で、写真を展示しようという催しで、毎年行われています。筆者は、ライジングサンが終わって、この写真展を見に行くと「ああ、夏も去ってしまったなあ」としみじみ思うのです。
 会期中は毎日24時間オープンしているので、作品が雨にぬれてもだいじょうぶなように、みなさん展示方法にもいろいろ工夫をこらしています。
 なかでも、おもしろいなあと思ったのが、大友亜希子さん。ラミネートで蔽った写真を水槽の中に沈めています。水槽には、水草や貝殻などが配され、夏らしい雰囲気がいっぱいです。 

       
 写真そのものについて言うと、デジタルが増えたなあというのが第一印象。もちろん、モノクロでがんばっている人も多いです。
 作風については、カラー、モノクロとも、だれもいない風景にレンズを向けた作品が目立ちました。これって、以前筆者が「Sスクール」と名づけた傾向に似ています。札幌の若手の傾向なんでしょうか。
 九嶋果林さん、湯山美里さん「色」、Nobutaka YAMAZOEさん「October」、中山豊さん、富樫浩美さんなどがそうです。中山さんは、6、7年ほど前の藤女子大写真部を思い出させる、静かな作風です。
 今回の展覧会実行委員代表の岡島貴衣さんは、無人の校舎内で傘立てやイーゼルをとらえたモノクロの「時間」、カラーとモノクロ混在の「Picture Eyes」の2組を出品しています。
 また、松本知子さんは、ポラロイドらしきカラーで32枚。ランプ、消火栓、猫、野菜、アジサイなどを気ままに写しています。
 岩波睦さんは、トーチカのようなコンクリートの塊をとらえて、すごさとさびしさを漂わせます。
 この傾向のなかで、もっとも切なさを感じさせたのが瓜生裕樹さんのモノクロ18枚からなる「つながっている」。
 広漠とした風景もそうですが、旗やキロポスト(鉄道線路の横にあって距離数を示す棒)などが、どうしてこんなにせつないんだろうと思います。

 ほかのタイプについても書いておきます。
 乾英男さんは、老朽化のため今年限りで撤去される小樽公園の遊具を、大伸ばしでとらえています。
 北側恵世さんは「えつようさぎの夏’06」と題し、うさぎのぬいぐるみを、森林公園や真駒内公園で撮った楽しい作品。
 福本昌史さんは、2色のセロファンがついためがねで見る、3D写真。なぜか、大通公園。
 宮下正寛さんは「ニューシネマ」という映画館を撮ったカラー1枚のみですが、強いインパクトがあります。成人映画のポスターが見えますが、何年前に撮ったんでしょうか。
 藤川弘毅さんは、線路際に打ち捨てられたコンクリート片の中に、雨の路面を撮ったモノクロ写真を入れていました。もうすこしで見落とすところでした。
 風景が多い中で、細谷京さん「うちのばあさん」は、台所やそば屋の前や車の運転席の老婦人を、とても楽しそうに撮っていて、印象にのこりました。  

8月28日(月)-9月10日(日)、24時間オープン(最終日-17:00)
旧手宮線跡地(小樽市色内2) マリンホール裏手

□公式blog

http://www.google.co.jp/maps?f=q&hl=ja&q=%E5%B0%8F%E6%A8%BD%E5%B8%82%E3%80%80%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB&ie=UTF8&z=15&ll=43.200671,140.998921&spn=0.012326,0.021329&om=1


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