北海道美術ネット別館

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■第39回北海道教職員美術展・続き (2009年1月13日まで)

2009年01月11日 22時38分15秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
承前)

 工芸も、招待作品が5点、一般入賞・入選が7点と、過去最少の寂しさ。教員で、趣味として陶芸に取り組みながら腕を磨いていた人たちが次々と定年を迎えていることが要因のひとつにあるでしょう。

 招待作品のうち、渡邊聡さん(苫小牧工業高校)「耳を澄ませば」がおもしろい。
 金工の平面作品なのですが、大きな三日月の上に、巨大なケルン(岩山)を擁する小惑星が乗っかっているような、どこかSF的な構図です。左下に、宇宙飛行士が後ろ姿で小さく描写されているのも、効果をあげています。
 おなじく苫小牧工業高校の佐藤康幸さん「月映」は、鍛金でしょうか。ひし形の金色がシンプルな美しさです。


           

 彫刻はもともと出品数が少ないのですが、ことしは招待作品が3点、入賞・入選各1点で、やはり過去最少。
 もし、丸山恭子さん(札幌市立新川中)の、首の無い全身像「澱」がなければ、ほんとうにさびしい会場になっていたと思います。

 写真は招待15点、入賞・入選44点。
 趣味として気軽に始めやすいためか、他部門ほどは減少が目立っていません。
 ネイチャー、人物、風景、天文、スポーツなど、題材も多彩です。
 やはり時代の趨勢なのか、フィルムのモノクロは皆無。入選はほとんどすべてがデジタルのようでした。
 特選は3点で、このうち藤井薫さん(根室管内別海町上西春別小)「小雪に舞う」が、展覧会のポスターに採用されています。厳しい環境のなかで、けなげに飛ぶくれない色の小鳥が良いですねー。


 書部門は、招待59点、入賞・入選81点で、部門別にみると最も隆盛を誇っていますが、これでも全盛期に比べると半数ほどに減っているとのことです。
 ただ、力作が余裕をもって陳列されているので、見ごたえは十分です。
 毎年書いていることですが、雅号が記されていないので、誰の作品なのかはっきりしないことがあります。

 全体的な傾向でいうと、かなが少なめ。とくに招待作品は、漢字の少字数書と近代詩文がかなりの割合を占めています。

           

 そんななかで、土井一剛さん(札幌市立藤野南小)「西行の歌」は、全体の構成に意を用いた美しいかな書で、特選になりました(上の画像中央)。
 土井さんの作には、読売書法展でも感服させられました。

 その左は、おなじく特選で、草野智大さん(恵庭小)「雲壌」。
 潤渇のうまく調和した作。
 右側は、東方郁夫さん(名寄市立風連日進小中)「白瀧」と、関井博さん(札幌市立石山中)「赤錆びた鉄屑」です。
 この4人がことしの特選です。

           

 奨励賞は8人。
 おもしろいのは、このうち2人がミスター・チルドレン、1人がゆずの詩を書いていること。
 これほど「ミスチル率」の高い書展はめずらしいのではないでしょうか(笑)。
 オーソドックスな漢字は1人だけで、あとは墨象1人、近代詩文が計6人という、なかなか見られない組み合わせです。

 上の画像にはないのですが、田口宗一さん(胆振管内洞爺湖町立虻田中)「くちぶえ」が好みです。「ここからのぼくは 口笛をふいて」という、朴訥な運筆は、しかしなかなかのテクニシャンだなあと感じました。


2009年1月9日(金)-13日(火)10:00-17:00(最終日-15:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)



・地下鉄東西線「バスセンター」駅10番出口から徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス、夕鉄バス「サッポロファクトリー」から徒歩7分(ジェイアールバスと中央バスは、札幌駅から現金のみ100円)
・中央バス「豊平橋」から徒歩9分(月寒、清田、平岡方面から来る人は、これもひとつの手)



★地方移動展
2009年2月14日(土)-19日(木)9:00-17:00
標津町生涯学習センター「アスパル」(根室管内標津町標津1330-77)

※ワークショップなどを予定しているそうです


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