清澄な風景画で、とくに同業の水彩画家から熱い視線を浴びている札幌の若手画家、石垣さん(79年生まれ!)。
これまでも画廊喫茶などでは何度も個展をひらいてきましたが、都心のギャラリーでは初めてではないでしょうか。
筆者は土曜に行きましたが、ほとんどすべての作品のタイトルに、「売約済み」を示す赤いシールがついていました。版画並みの安さとはいえ、これはすごいことです。
自然の実相をこのようなリアルなタッチでとらえた水彩画は、道内にはこれまでなかったといえると思います。
「ハイパーリアル」という形容詞をもちいてもさしつかえないほどの高い描写力ですが、そのことばから連想されるような、「写真そっくり」であることに主眼を置いた絵とは、ちょっと違います。
その風景のもつ、なにか本質的なもの、精神的なものに迫ろうとしている絵ではないか。そう感じるのです。
とりあげられている風景の多くは、有名観光地ではなく、ほとんどの人が見逃してしまいそうなところです。だから、よけいにそう感じるのかもしれません。
冒頭の画像は、出品作でいちばん大きな「雪解けの川」です。
石垣さんは、画用紙の白を大事にしていると、話していました。
そのため、一般的な水彩用の紙よりも、黄色味のない、白っぽい紙を使っているそうです。
石垣さんの作品でとりわけ印象にのこるのは、雪景色ですが、紙の白をいちばん生かせる題材だからかもしれませんね。
また、いちばん表現したいのは、その場の空気感だともおっしゃっていました。
自家用車を持っていないので、レンタカーで札幌近郊を走り、気に入った風景があるとたくさん写真を撮ってくるとのことです。
現場にイーゼルを立てることはしません。これは、ドライヤーで絵の具を急速に乾かす-というのが石垣さんの技法のカギだからだそうです。
乾かすタイミング、というのがあるそうです。
筆者がいちばんびっくりしたのは、どの作品にも鉛筆などによる下書きのあとがまったくといっていいほど、ないことです。
この
「アタリの線が見えない」
というのは、石垣さんの絵のもつ透明感の、大きな理由のひとつだと思うのです。
作者にお聞きすると、マスキング液などを使っているとのこと。
しかし、なによりも、写真を参考にして、何日もかけて構図を考え抜くので、あれこれ下書きをしなくても大丈夫なことが多い-ということでした。
石垣さんの完成された構図の秘密を聞いた思いがしました。
筆者は石垣さんにお会いするのは初めてで
「こんな若い方だとは思いませんでした」
と言われてしまいました。いや、それは、こちらのせりふですって(笑)。
とにかく、心がしんとするような、美しいものを見せてもらい、うれしかったです。
連休明けの5月7-12日には、竹津昇さんと2人展を、さっしんギャラリーで開くという情報もあり。お見逃しなく!
出品作は次のとおり。
「雪解けの川」
「過ぎ去りし頃」
「小川の夜明け」
「優しい光に(メモ判読不能)れて」
「青の美しさ」
「桜の咲く頃」
「贈り物」
「冬の日の光」
「夕焼けと利尻富士」
「朝の大合唱」
「1列に並ぶ木々」
「さざなみ」
「春の匂い」
「優しい朝日」
「霧の中」
「天使の階段」
「ただ、ひっそりと…。」
「行き先は道にまかせて」
「風の跡」
「芝桜」
「光の柱」
3月13日(火)-18日(日)10:30-19:00、さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階
地図B)
□石垣さんのサイト「行雲流水」
■03年の個展(画像なし)
これまでも画廊喫茶などでは何度も個展をひらいてきましたが、都心のギャラリーでは初めてではないでしょうか。
筆者は土曜に行きましたが、ほとんどすべての作品のタイトルに、「売約済み」を示す赤いシールがついていました。版画並みの安さとはいえ、これはすごいことです。
自然の実相をこのようなリアルなタッチでとらえた水彩画は、道内にはこれまでなかったといえると思います。
「ハイパーリアル」という形容詞をもちいてもさしつかえないほどの高い描写力ですが、そのことばから連想されるような、「写真そっくり」であることに主眼を置いた絵とは、ちょっと違います。
その風景のもつ、なにか本質的なもの、精神的なものに迫ろうとしている絵ではないか。そう感じるのです。
とりあげられている風景の多くは、有名観光地ではなく、ほとんどの人が見逃してしまいそうなところです。だから、よけいにそう感じるのかもしれません。
冒頭の画像は、出品作でいちばん大きな「雪解けの川」です。
石垣さんは、画用紙の白を大事にしていると、話していました。
そのため、一般的な水彩用の紙よりも、黄色味のない、白っぽい紙を使っているそうです。
石垣さんの作品でとりわけ印象にのこるのは、雪景色ですが、紙の白をいちばん生かせる題材だからかもしれませんね。
また、いちばん表現したいのは、その場の空気感だともおっしゃっていました。
自家用車を持っていないので、レンタカーで札幌近郊を走り、気に入った風景があるとたくさん写真を撮ってくるとのことです。
現場にイーゼルを立てることはしません。これは、ドライヤーで絵の具を急速に乾かす-というのが石垣さんの技法のカギだからだそうです。
乾かすタイミング、というのがあるそうです。
筆者がいちばんびっくりしたのは、どの作品にも鉛筆などによる下書きのあとがまったくといっていいほど、ないことです。
この
「アタリの線が見えない」
というのは、石垣さんの絵のもつ透明感の、大きな理由のひとつだと思うのです。
作者にお聞きすると、マスキング液などを使っているとのこと。
しかし、なによりも、写真を参考にして、何日もかけて構図を考え抜くので、あれこれ下書きをしなくても大丈夫なことが多い-ということでした。
石垣さんの完成された構図の秘密を聞いた思いがしました。
筆者は石垣さんにお会いするのは初めてで
「こんな若い方だとは思いませんでした」
と言われてしまいました。いや、それは、こちらのせりふですって(笑)。
とにかく、心がしんとするような、美しいものを見せてもらい、うれしかったです。
連休明けの5月7-12日には、竹津昇さんと2人展を、さっしんギャラリーで開くという情報もあり。お見逃しなく!
出品作は次のとおり。
「雪解けの川」
「過ぎ去りし頃」
「小川の夜明け」
「優しい光に(メモ判読不能)れて」
「青の美しさ」
「桜の咲く頃」
「贈り物」
「冬の日の光」
「夕焼けと利尻富士」
「朝の大合唱」
「1列に並ぶ木々」
「さざなみ」
「春の匂い」
「優しい朝日」
「霧の中」
「天使の階段」
「ただ、ひっそりと…。」
「行き先は道にまかせて」
「風の跡」
「芝桜」
「光の柱」
3月13日(火)-18日(日)10:30-19:00、さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階
地図B)
□石垣さんのサイト「行雲流水」
■03年の個展(画像なし)
石垣さんは、人気作家という表現が出来ると思います。
さいとうギャラリーは個展を観たくてわざわざ訪れるひとがほとんどですが、たしか500人以上入ったということでした。これはすごい数字です。
絵の光の感じ方や表現に非凡のものがあるようです。
これまでも、彼の才能は周りのみんなが感じていましたが、作家として本格的なデビューを果たした石垣さんの堂々とした姿を見てみんな確信を持ったと思います。
その後の話として、『霧の中』という題名の小品だったと思いましたが、微妙な光と霧の表現がすばらしい作品がありました。そのまま大作にしても充分通用するという作品でした。
また、『やさしい光に包まれて』という作品は我が家の壁を飾ることになりました。
売れる作家はうらやましいです。本格的に歩み始めた石垣さんに素直に拍手を贈りたいと思います。
石垣さんは北海道ばかりでなく中央で活躍する作家のように思っております。
アップが遅れてしまいましたが、ほんとうに良い個展でした。
文中に書くのを忘れましたが、石垣さんが基本的に独学というのもすごいですよね。
もっとも、独学だから、これまでの北海道の水彩とは切れたかたちで、独自の表現を追求できているのだと思いました。