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ねがうこと、ゆだねること

是枝裕和監督『そして父になる』

2013-10-28 | 映画
是枝裕和監督の『そして父になる』を観る。現代の小津安二郎監督、
といったら褒めすぎだろうか。殺人があるわけでもない、警察だっ
てヤクザも出てこない。

普通の家族に降りかかるくる「とりかえしのつかないこと」に2組の
家族がどう感じてどう行動するのか、静かに物語が進んでいくからだ。
以下、ネタバレ満載で。公開1ヶ月たったからいいでしょ。



子供が大きくなって6歳になったとき、病院で子供を取り違えられて
しまったことに、大人たち主導で、驚き悩み決断を下していく。そこ
には子供たちの意見や気持ちはそんなに顧みない、ある意味無視。

福山雅治さん演じるエリートサラリーマンが、ちょっと孤立していく
のがとてもいい。妻役の尾野真千子さんと3人家族なんだけど、彼女
が自分を責めてばかりいるのに手を差し伸べない。

もう一組の リリー・ フランキーさん& 真木よう子さんの大家族
(子供3人、父親同居)は貧しいんだけど、楽しい家族でちょっと
理想的な感じなのね。かっこなんてつけないし、ホンネ丸出し。

「(病院から)どのくらい貰えるんだろうな」



尾野さんも一人っ子の息子もだんだんあっちの家族に惹かれていくの
が、福山さんには面白く無いっていうのも、ほんと台本も演出も演技
もウマイ。その上リリー・ フランキーさんから、子育てが間違ってる
って指摘まで喰らう。シリアスなんだけど随所に笑えるw

「なんで電気屋にあんなこと言われなくちゃいけないんだ」

その上、交換された子どもたちの反撃だ。そういうもんだとか、そうし
ろとか、そういう大人の論理がだんだん崩れていく。ちょっと前まで子
供だったのに、子供の気持ちがわかんない。。



そのまま破綻してしまっては映画にはならないから、最後に揺り戻しも
あるんだけど、でもどうなったかはわかんない。どうなっても終わりが
ない、もう新しい物語が重なっていってるんだから。