まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

男子の至誠、それは不特定多数への貢献かと 08 06/26 再

2016-10-12 11:16:21 | Weblog


国会図書館蔵   横井小南


その吟詠は明治天皇の感涙をよび、ながく侍講を務めた元田永孚は天皇の諭しの言葉を「聖諭記」として綴り、教育勅語の端緒となっている。

また、幕末の思想家で多くの志士に影響を与えた横井小南の言葉を筆録している。

我、誠意を尽くし、道理を明らかにして言わんのみ。聞くと聞かざるとは人に在り。また何ぞ人の聞かざることを知らん。予め計って言わざれば、その人を失う。言う聞かざるを強く是を強うるは、我が言を失うなり


《小南は至誠と道理のあるところを、先ず示すことが自分の行為であり、相手が聞くか聞かないかを案じたり、あるいは結果を想定して言わないのは、その人を失ってしまう。強引に聞かせようとすると言う事が無駄になってしまう。相手がどのように聞こうと、先ずは言を発しなければならない》という事です。

また、何故このように強烈な意志を発するのか・・・こう言っています。

将来のことを考える場合に、成るか成らないか(可能性)は解らないが、自分は唯正直に生きて、世の中の惰性や流行ごと、あるいは力ある者に阿ず、信念を確立しておけば後世の子々孫々に残るものだ。その外に行なうことはない》

食い扶持や家族環境に誠心誠意尽くすことは大切なことだ。それを捨て去って、或いは儘成らぬ嫌気が差して、逃避行動のように国家だの大義だの、似非政治論議が蔓延っているが、小南の至誠は不特定多数への貢献に透徹した未来像がある。

彼の時代は迫り来る西欧植民地主義への危機感と、それを鏡として、かつ自国への考察として、怠惰に陥った武士役人世界の革新にあった。
これは、古い、新しい、問題ではない。

その機会に臨んだ人間の処し方の問題である。

果たして、゛自身はどうか゛と筆者も常に考えている。
至誠の在り処と、それを不特定に活かす突破力と、その行く末だ。
無名の庶民がこんなことを考えなくてはならないほど、現代の政治は国民にそれを強いている。たしか与謝野晶子もそんな憂いを記している。
総評論家もその因だろう。

                         

         本田さんの突破力と将来観は横井と同様な気概がある

 

古代理想にある尭舜の時代の様に、庶民が経済や政治を語らずとも社会は太平に治まったように、あの時も庶民は天下の主(あるじ)であり、自由があった。
そして、「上善、水の如く」にある、水のように生きることを最善とした。そして庶民は「水」、皇帝は「舟」に譬え、庶民は皇帝を支え、一端怒れば舟を転覆させる、そんな共助と剛直さ、かつ柔軟さを持っていた。

水は、雨、渓流となり、小川となって大河になり、万物を潤おし、清水も濁水を受け入れ混じり、一生そこに留まることもある。それは大海となり舟を浮かべ、天と一緒に暴となり転覆もさせる。

この生き方を最善の方法として生き、皇帝もそれに随った。そんな理想のような時代があったと伝えられている。中国人が抱いている民主とはそのような理想を残像に抱えているのだろう。ただ、「邪魔をしないでくれ」、色にも染まるし、言うことも聞く、と。それでこそ為政者は立場の、゛面子゛を守護するのだろう。

冒頭に戻るが、我国はその政体ではない。権力を宰相に委ね、徳威をもって「所有しない」ことを矩として、「無用の用」の意に類した「無限の有力」を継続していた。

その継続した「無限の有力」は、我国の歴史の残像にある改新、改革、維新の期に威力を発揮してきた。小南の時代は当にその期だった。

外因、内因の有ることも知らず、また武士官吏に成り下がった権力機構から忘れ去られた「無限の有力」の在処を問い、あるべき国の方向の基礎的条件を説いたのである。つまり、聞こうが聞くまいが確信とした国の姿を古代からの歴史的経過に必然として存在する「無限の有力」を活かすことを当然の言葉として発しているのである。

現在、権力を構成する政治、経済、教育、宗教、は其の力を変質させ糜爛させている。それはく社会の理想像をオボロゲニさせ、国民の寄り付くものを融解させ、呆然とした国民は怨嗟のあてどころもなく自失の状態である。

さて、聞くも聞かないも、気にも掛けない事柄を、歴史の残像に随って再度「無限の有力」の威を考えなくてはならないだろう。もちろん、無駄になろうと、人を失おうと、「お前は生煮えの飯のようだ」と言われないよう不特定多数に問いかけるつもりだ。

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