以前、寄宿舎をつくり登校拒否生徒を集めた私塾での講話を依頼された。
まさに、狂歌に出てくるような生徒を全国から募集した専門校だった。
冒頭に自己紹介を省き、「お母さん、子供さんのこと好きですか」と問うた。
誰からも声が上がらなかった。唐突な発言だったせいもあったが、事実、応えに戸惑っていた。全員30代後半から40代後半の全員女性だったが、集まった理由は「子供が登校拒否で困っている」理由だった。
拒否なのか、学校や教員または親に不満があって、学校に遊びに行くのは楽しいが、勉強にはついていけず、システムから除外、いや無視同然になった生徒の母もいた。着物姿、カラフルな洋装、化粧も今流、30人ほどだった。
『お母さんとて人生がある。自分は子供の犠牲と感じている人もいるだろう。自分が描いている自由と、家庭以外の人に認められたいと思っていることもあるだろう。
思春期とはいうが、春を思う年齢はいつでもある。人との比較でオシャレしたり、友達とカルチャーも楽しみたい、なかにはパチンコ、カラオケ、仲の良い男友達との出会いもある。
それと子供だ。
「子供が登校拒否なので私が困る」と云うなら、自分で考えなさい。子供のことを第三者の観察で知りたいというならお話もしますが、お母さんが困っていることには答えがない。
その答えは、子供が一番よく知っている。お母さんも社会に出て失敗したり,隠し事をしたり、そのために家庭がゴタゴタしたり、つまらなくなったり、帰りたくなくなったり、そのようになれば答えは自然に出てくる。
その逆に、一生懸命に家族のことを考えても、どこかに我欲があれば、結果は同じ事になる。
また、子供の教育期間が終わって社会に出れば、このようなことは一過性の想い出として忘れてしまう。そのくらいの心配事だ。
転べば痛い。疎外されればさみしい。歳にかかわらず人を想う心もある。それを家庭や親子の枠に入れば二つの心だ。それを心の中でやりくりして生活している。それをウソと言うのは簡単だが、昔の良妻賢母が成り立たない浮情の社会に、どこかオカシイと思う気持ちを持っていれば、登校拒否も違った見方ができるはずだ。
「困る」気持ちは子供も同様にもってもがいている。』
マニュアルもなければ処方もないような辛辣な講話だったが、思春期のうつろいや悩みは、我が身に置き換えても片腹痛い内容であったと記憶している
青森県黒石市 「よされ流し踊り」 毎年8月15日
以下、矢野壽男著「このままじゃ僕の将来知れたもの」より抜粋
≪母の印象≫
消えたいよ 母キンキラと 参観日 2男
見せるので なく観に来いよ 参観日 3男
美しい ママを自慢の 参観日 1女
友達に 母バカにされ 参観日 2男
もう少し センス磨けよ わが母は 2男
店先で 大声あげて みにくいな 母はペラペラ 得意だけれど 2女
歯ぐきまで 見せて母は 大笑い とても不潔だ セールスマンと 2女
わけ聞かず いきなりカッカ 醜いな 2女
母子でも 顔の不出来は 言わないで 2女
お前さえ 生まなきゃと母 殺したい 2男
女でも 堪らなくなり セロテープ 欲しくなります 母の愚痴には 2女
母だけど 女のズルサ 許せない 父を悪者 自分はいい子に 2男
元気よく 「ただいま」 言えど 家のなか 誰もこたえず いつか言わずに 2男
≪金 かね ≫
金有れば 高校大学 スイスイと 2男
世の中 金ほど強い ものはなし 2男
役員の 月給もらえ お母さん PTAに 勤めているんだ 2男
人間の 生活すべて お金だと 反省もなく 言い切る母 3女
働くは 金のためかね それではね 3女
≪共働き≫
学校を 追い帰えされても 子供には パチンコ屋もないし バーもない 2男
よしいいぞ グレてやろうか 子の俺が それで共稼ぎ やめてくれるか 2男
今はもう 慰め合いも 我が家には いたわり合いも 昔のことだよ 3女
服装も 話の仕方 その中身 働きに出て 母だらしなく 2男
母ひとり イキガッテいく パートだが つまり我が家を 放り出したんだ 2男
働きに 母でてから はじめだけ みんなニコニコ 今はゴタゴタ 2男
何となく どことなく 母だらく 2女
捨てられた ように父と子 母を待つ 2男
母親の 勉強しろが 消えちゃった 2女
返事だけ いいけど母は うわの空 パートに出ての 変わり方 1男
≪思春期の性≫
また見えた これじゃ成績 上がらない 若い美人の ミニの先生 1男
駆け出せは スカートひらり かがむ目に 今日のパンティー ピンクと判り 2男
恋人が できて学校 天国だ 2男
僕つくる その体位をば 考えた 2男
相談も できずに一人 本を読み ひたすら性の 道きわめん 3女
やつのママ セクシーだな スキあらば いつも狙って 遊びいくなり 2男
わざと聴き 先生困らす 性のこと 2女
夜の声 友達が教えた 通りなり 2男
のぞきたい 心は女も 持っている 俺は見つけた 女子の覗きを 2男
もう十年 若かったらいい 母はだか 2男
見たよパパ ママにヒップを なでてった 1男
いやらしい 目つきの父を にらみつけ 2女
父の客 酔って大声 エロ話 3男
押入れの 隅から出たよ エロ雑誌 2男
中年の いやらしさなら 母もまた 2女
メシベ オシベ 先生まじめに わざとらしい 2男
アノことに 関してだけは 親まじめ 2男
よくよく考えると、いくつになっても考えることは成長がない。老齢な社長も居酒屋のサラリーマンも、心と身体が健康なら心は青い
安岡正篤氏も、その鋭い観察に「おそるべし」と紹介している
恐るべし、いやその直観には畏るべき思春期でもある
一部イメージは他サイトより転載