湘南茅ヶ崎の松下政経塾の古典講義の姿である
外野から眺めると、騒がしくも感じられる若手議員の登竜門かと思いきや、なかなか真摯な光景である。政治、経済のアカデミックな教育と考えられがちだが、正座黙想から始まり古典の栄枯盛衰を鏡として現在を考察する場であった。
安岡正篤氏と親交があり、その奨励で松下幸之助氏の創設した塾であるが、安岡氏の説く「郷学」そのものの姿が具現されている。
競わず、騒がず、うろたえず、の「小学」とはかけ離れている政情ですが、ともあれ施設内は静寂である。
古山塾長は小会(郷学研修会)に参会していた縁での訪問であったが、座標を明確にした学風は郷学そのものである。
卜部侍従 郷学研修会
丁度、各々生徒が考察した「中庸」の講義を30分行っている光景だが、小生もその礼に順じて2時間の正座を行い最後に拙い考察を述べさせていただいた。
一学年8名の俊英だが、中央の女性は北海道庁を途中退職して参塾している。
その後、再訪するが茫洋とした雰囲気を漂わす奇人あり。しかしどこか見所ある若者である。そんな懐もある学び舎でもある。
昔は東大法学部や早稲田の雄弁会,いまは政経塾と衆の多数を恃む風潮は変わらないが、アカデミックな官製学舎にはない塾風の行く末は、ひとえに人間の所作に懸かっている。
慌てず、騒がず、むやみに競わず、怯まず、そして野にして粗にして卑しからず
くれぐれも衆を恃んで口舌の徒にならぬよう期待するのみだ