『蒼き鋼のアルペジオ』9巻 (Ark Performance 先生)
(8巻感想)
いよいよ、コンゴウ艦隊との決戦に突入する401。
前衛艦隊を率いるヒエイ以下、ミョウコウ4姉妹、そしてアタゴといった、
とんでもない戦力を相手に、いかに立ち向かうのか?
そうした戦闘に関する内容はもちろん、“霧”の再起動や、イオナの謎など、
様々な事柄が気になる第9巻となっています。
表紙は、ヒエイさんですけど、衣装が生徒会長ではありませんね・・・ これが普段着?
(各話の感想は、連載時に書いていますので、記事末のリンクからご参照ください)
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
【コンゴウ艦隊との決戦!】
ヒエイ率いる前衛艦隊。
旗艦・コンゴウを護衛するのは、
ヒエイを筆頭に、ミョウコウ、ナチ、アシガラ、ハグロ(ミョウコウ4姉妹)、
そしてアタゴ(彼女だけ特別)、他に駆逐艦(第六駆逐隊)などが数隻という陣容。
大戦艦1隻、重巡5隻、駆逐艦数隻、これだけの戦力を相手に、401が挑みます。
面白いのは、前衛艦隊の指揮を執るヒエイの発案により、
ミョウコウ4姉妹のメンタルモデルは、制服を着用し、生徒会スタイルであるということ。
ヒエイさんなりの考えあってのことですが、ミョウコウやハグロには不評。
ハグロさんなどは「昔の格好に戻りたい」と言っていますけど、
そうなると、彼女たちの“普段着”も気になる所ですね。
また、アタゴだけは生徒会仕様になっておらず、ヒエイの指揮下にないことを示しています。
その理由については、ヤングキングアワーズ2014年7月号で明かされていましたね。
次巻の収録になるでしょうから、ここでは述べませんけども、彼女はちょっと別枠なのです。
緒戦は、重巡・アシガラと401の戦い!
武闘派で「粗忽者」なんて言われてしまうアシガラさん。
401を発見するや、しびれを切らして海中へ突っ込んでゆき、
そこで戦闘となるのですが、ここでの相手の動きを読み合った戦いぶりが面白かった!
401には、艦長の群像が不在であり、
メンタルモデルのイオナが指揮を執っているのですが、
イオナの実力も相当なもので、アシガラ相手はもちろん、
その後、ヒエイや他のミョウコウ姉妹たちを、翻弄する様子が痛快でした。
群像のあだ名=万年2位をプリントしたTシャツには笑いましたけど、
一応、グッズとしても販売予定だったりします(^^;
【様々な謎】
ヤマトの回想。
コトノではなく、ヤマトが思い出す過去の出来事。
そこでは、ムサシと争ったらしき描写があり、
ムサシの前に倒れている翔像と、ムサシがもつデルタ・コア、
さらにイオナの“誕生”など、重要と思われる事柄が色々と描かれていました。
なぜ、ヤマトとムサシが争っているのか?
想像にすぎませんが、ムサシ側にいる翔像がカギになりそうです。
彼がムサシを動かして、“霧”の総旗艦であるヤマトと戦わせた可能性。
もしくは、彼の存在そのものが、ヤマトとムサシの関係を破綻させた可能性。
とりあえず、そのあたりが考えられますけども、情報不足でわからないことが多いですね。
そして、ムサシのもつデルタ・コア。
ヤマトやナガトなど総旗艦の資格を有し、メンタルモデルを複数つくれる艦と同様に、
ムサシもまた、このコアを持っているはずなのですが、メンタルモデルは1人だけ。
このことから、もしかするとムサシは、ここで翔像を模したメンタルモデルを、
デルタ・コアを使って創造したのではないか? という疑惑が浮上するわけですね。
以前、群像がムサシの艦上にいる翔像を、本物なのかと疑う場面がありましたけど、
その可能性が現実味を帯びてくることになったわけです。
イオナの“誕生”については、正直よくわからないですね。
ムサシからヤマトをかばうように、401が動いているようにも見えますが、
なぜ、ここで“生まれた”のかは、まるで不明。
終盤描かれたイオナの秘密に、関係しているのかもしれません。
5月1日。
“霧”の再起動という話題。
「再」というからには、1度起動したことがあるわけで、
それがいつだったのかというと、1945年5月1日だと、ヒュウガの口から語られています。
では、この日付の意味は、何なのか?
考えられるのは「1945年」、すなわち第2次世界大戦が終わった年という点。
「5月1日」で思いつくのは、ドイツのベルリン陥落(5月2日)の前日であるということ。
そして、1914年~1945年までの年表を見てみると、
「ヨハネス・ガウス」「出雲薫」「グレーテル・ヘキセ・アンドヴァリ」という3名が、
アドミラリティ・コードに関与しているように思われ、中でも「ヨハネス・ガウス」が重要っぽい。
年表の記述を眺めると、ヨハネス・ガウスは、敗色濃厚だった祖国ドイツを救うべく、
アドミラリティ・コードの力を利用しようとしたのだと考えられます。
そこで、1度は起動したアドミラリティ・コードが、
何らかの理由で停止⇒行方をくらます、という流れであったのではないか、と。
また、1つ気になるのは、「ビスマルク姉妹」の名前が、1943年の時点で確認されること。
“霧”の大戦艦・ビスマルクのメンタルモデルと関係あるのでしょうか?
さらに、アドミラリティ・コードの「人類評定」とは? まだまだ、謎めいたことだらけです。
イオナという存在。
彼女が見る“夢”の中で、イオナ自身が特別な存在であることが示唆されていました。
連載時の感想でも書きましたけど、話している相手が「太陽」と「月」のシンボルマーク
であることが、ビスマルクを連想させます。
しかし、イオナの対話相手は、自身を「プログラム」であると述べています。
ここでの会話から想像されるのは、現在のイオナの記憶は不完全であるということ。
しかも、おそらくは自己(もしくは上位)の意思において、そうなっているということ。
このあたりから、イオナの存在が特別であることがうかがえるものの、
まだ、わからないことだらけで、謎が深まるばかりの第9巻でありました。
このほか、レパルスさんが可愛いとかも書きたかったんですけど、
ただでさえ駄文猛省なため、泣く泣く割愛いたしました(;;)
【加筆・修正シーン】
マツシマのデザイン。 (上:コミックス9巻 下:連載時)
連載時は、マンボウのようだったマツシマですが、
コミックスでは、シュモクザメのようなお姿に(^^;
なんでも、神(Ark Performance 先生)弐号様が、ダメ出しされたのだとか。
マンボウも愛らしかったのですけどね・・・・・・
コミックスでは、ことごとく描き直されていて、大変だったのだろうな~と思ったり。
群像とヒュウガの会話シーン。 (画像は連載時のもの)
ここが、大幅に描き直されていて驚きました。
連載時14ページ ⇒ コミックス18ページになって、ほぼ丸ごと異なっています。
台詞などは、一部省略・追加はありますけども、内容は同じ。
ページ数増により、台詞1つ1つに余裕があって、そのぶん会話に重みが感じられました。
また、ディスプレイも普通だったものが、空中に映像が映し出されるタイプになっており、
より未来感といいますか、SF感が出ていて、楽しませてくれました。
ただ、ヒュウガが群像にコーヒーを入れてあげるシーンが、なくなっているのですよね。
女性型“アンドロイド”が“お茶くみ”という構図が、遠慮されてしまったのかなんて、
ちょっと無粋なこと考えてしまいました・・・ 問題になってましたからね、色々。
・連載時の感想
ヤングキングアワーズ 2013年10月号 ヤマトの回想
ヤングキングアワーズ 2013年11月号 マツシマでの会話
ヤングキングアワーズ 2013年12月号 アシガラ、吠える
ヤングキングアワーズ 2014年 1月号 開かれる戦端
ヤングキングアワーズ 2014年 2月号 人類の困窮
ヤングキングアワーズ 2014年 3月号 イオナの謎