五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 『蒼き鋼のアルペジオ』8巻・感想 “真の総旗艦”と「孤独」と「未来」と

2013年11月09日 | ◆マンガ 感想

『蒼き鋼のアルペジオ』8巻 (Ark Performance 先生)

 Arpeggio_of_blue_steel_08

 (7巻感想

 アニメも絶賛放映中の本作品。

 8巻では、ハルナと蒔絵のエピソードを中心に、“真の総旗艦”の話や、

 “霧”の海外艦の登場など、ますます盛り上がっておりますが、

 だいたいのことは連載時に感想を書いています(記事末にリンク有)ので、

 ここでは、“真の総旗艦”のことなどについて、つらつら考えてみたいと思います。

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

【“真の総旗艦”として登場したコトノとは?】

 Arpeggio_of_blue_steel_08_p036

 物語において重要な位置にいる人物・天羽琴乃。

 しかし彼女は、自らを「コトノ」と呼ばせており、「天羽琴乃」とは別人であると述べています。

 ヤマトのメンタルモデルの1人で、「ヤマト」と区別するために「コトノ」を名乗っているとか。

 あくまで「天羽琴乃」は、自分の姿のモデルにすぎないとのことですが・・・

 

 

 Arpeggio_of_blue_steel_04_p065_2

 2巻65ページより、慰霊塔を訪れる群像。

 多くの人々の命が失われた、第4施設焼失事故。

 天羽琴乃もその1人らしく、慰霊塔に名前が刻まれています。

 

 1巻では、群像の回想に登場している女性。

 4巻では、群像や僧とは幼なじみであると語られています。

 しかし、4巻の時点ですでにヤマトと会話している様子が描かれており、

 ここで「天羽琴乃は生きていたのか?」と考えさせられたのですが、

 8巻で「コトノ」というメンタルモデルであると、自身の口から語られたことにより、

 彼女が本当にメンタルモデルなのか、人間なのか、わからない状況になりました。

 

 

 Arpeggio_of_blue_steel_04_p061_4

 4巻61ページより、ヤマトと会話するコトノ。

 8巻でのコトノには、あやしい部分があります。

 それは、4巻のヤマトとの会話で、群像について知っているそぶりを見せていたこと。

 コトノは、「天羽琴乃」は容姿のモデルになっただけの存在と言っていますが、

 ただモデルにしただけで、なぜ群像のことを知っているのか、スジが通っていません。

 

 情報1 : 天羽琴乃は、群像とは幼なじみ。

 情報2 : 群像を押しのけて、学院トップの成績をとるほど超優秀。

 情報3 : 第4施設焼失事故で亡くなった・・・らしい。

 情報4 : コトノは、自分が天羽琴乃ではないと語る。

 情報5 : コトノは、群像のことを知っている。

 情報6 : ヤマトは十数年、姿を消していた。

 

 以上のことをふまえると、コトノ=天羽琴乃ではないか? と考えることも可能に。

 この場合、琴乃が人間かメンタルモデルかについては、どちらもありうることになります。

 人間である琴乃が、ヤマトのコアと出会い、何らかの協定を結んだ可能性。

 十数年前に姿を消したヤマトのコアが、人をかたどり新たに“生まれ”、琴乃となった可能性。

 

 そして、これはTwitterでフォロワーさんがおっしゃていたことなのですが、

 人間とメンタルモデルでは、瞳の描き方が異なっている・・・かもしれないとのことで、

 たしかに見てみると、メンタルモデルは輪っかが1つ多く描かれているように思えますし、

 コトノには、その特徴が見られないようにも感じますが、どうでしょうね?

 

 などなど、ハッキリとした答えは出ませんけれども、

 “霧”の総旗艦であるヤマト、そのメンタルモデルの1人と名乗るコトノが、

 重要な存在であることは間違いなく、彼女の動向には今後注目すべしであります。

 

 

 

【「孤独」と「未来」と】

 Arpeggio_of_blue_steel_08_p101_2

 「孤独」では、人は生きられない。

 本作では、この「孤独」がテーマの1つになっていると考えられます。

 コトノさんもそんなことを話していましたし、以前「艦長の孤独」なんて話も出ていましたし、

 スペシャルブックでも孤独がテーマになっている部分があって、注目せざるを得ません。

 

 そして、これはおそらく、個人の孤独はもちろんのこと、

 人類と“霧”という2つの種の関係にも、外せない問題になるかもしれませんね。

 単純にいえば、人類は孤独なのか? という問いかけ。

 他の知的生命体の存在があるのか、ないのか・・・

 それは人類にとって、大きなテーマになると言えるでしょう。

 

 

 Arpeggio_of_blue_steel_08_p126

 そして、「未来」。

 こちらも本作にとって、重要なテーマになっているようです。

 2巻では、北良寛と群像の会話の中で、「未来」について語られるシーンが出てきますし、

 この8巻でも、ハルナから「霧と人類の」という形で、

 またシメとなる場面でも、群像の口から「未来」という言葉が出てきています。

 コンゴウ艦隊との決戦、その向こうに待ち受ける「未来」とは・・・?

 そうしたことに注目しつつ、今後も楽しみです!

 

 

 

【加筆修正シーンなど】

 Arpeggio_of_blue_steel_08_p088_2 Young_king_ours_2013_07_p022

 左=8巻 右=連載時。

 「海域強襲制圧艦」であるズイカクの登場シーンですが、

 コミックス版では、連載時よりも可愛らしく修正された模様。

 花もとんでますし、ラブリーな雰囲気が増量してますね~。

 ズイカクは可愛いキャラクター、ということを印象付けたかったのでしょうか。

 

 

 Arpeggio_of_blue_steel_08_p131

 Young_king_ours_2013_08_p059

 上=8巻 下=連載時。

 タカオさんと知り合いのメイドさん。

 このあたりのことは、連載時に書きましたので割愛しますが、

 それにしても連載時とでは、だいぶ違ったイメージになっていますね。

 より若々しくなったという印象で、さらに活動的な人物に見えてくるようになりました。

 彼女の再登場にも期待しております!

 

 

 Arpeggio_of_blue_steel_08_p009

 そして、チビマヤさんだー!

 冒頭に登場したチビマヤさんは、追加シーン。

 にぎやかなバンドになっていたのが、場違いな楽しさでありました。

 うむ、可愛い。

 

 

 

・連載時の感想

 ヤングキングアワーズ 2013年 5月号

 ヤングキングアワーズ 2013年 6月号

 ヤングキングアワーズ 2013年 7月号

 ヤングキングアワーズ 2013年 8月号

 ヤングキングアワーズ 2013年 9月号