『蒼き鋼のアルペジオ』8巻 (Ark Performance 先生)
(7巻感想)
アニメも絶賛放映中の本作品。
8巻では、ハルナと蒔絵のエピソードを中心に、“真の総旗艦”の話や、
“霧”の海外艦の登場など、ますます盛り上がっておりますが、
だいたいのことは連載時に感想を書いています(記事末にリンク有)ので、
ここでは、“真の総旗艦”のことなどについて、つらつら考えてみたいと思います。
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
【“真の総旗艦”として登場したコトノとは?】
物語において重要な位置にいる人物・天羽琴乃。
しかし彼女は、自らを「コトノ」と呼ばせており、「天羽琴乃」とは別人であると述べています。
ヤマトのメンタルモデルの1人で、「ヤマト」と区別するために「コトノ」を名乗っているとか。
あくまで「天羽琴乃」は、自分の姿のモデルにすぎないとのことですが・・・
2巻65ページより、慰霊塔を訪れる群像。
多くの人々の命が失われた、第4施設焼失事故。
天羽琴乃もその1人らしく、慰霊塔に名前が刻まれています。
1巻では、群像の回想に登場している女性。
4巻では、群像や僧とは幼なじみであると語られています。
しかし、4巻の時点ですでにヤマトと会話している様子が描かれており、
ここで「天羽琴乃は生きていたのか?」と考えさせられたのですが、
8巻で「コトノ」というメンタルモデルであると、自身の口から語られたことにより、
彼女が本当にメンタルモデルなのか、人間なのか、わからない状況になりました。
4巻61ページより、ヤマトと会話するコトノ。
8巻でのコトノには、あやしい部分があります。
それは、4巻のヤマトとの会話で、群像について知っているそぶりを見せていたこと。
コトノは、「天羽琴乃」は容姿のモデルになっただけの存在と言っていますが、
ただモデルにしただけで、なぜ群像のことを知っているのか、スジが通っていません。
情報1 : 天羽琴乃は、群像とは幼なじみ。
情報2 : 群像を押しのけて、学院トップの成績をとるほど超優秀。
情報3 : 第4施設焼失事故で亡くなった・・・らしい。
情報4 : コトノは、自分が天羽琴乃ではないと語る。
情報5 : コトノは、群像のことを知っている。
情報6 : ヤマトは十数年、姿を消していた。
以上のことをふまえると、コトノ=天羽琴乃ではないか? と考えることも可能に。
この場合、琴乃が人間かメンタルモデルかについては、どちらもありうることになります。
人間である琴乃が、ヤマトのコアと出会い、何らかの協定を結んだ可能性。
十数年前に姿を消したヤマトのコアが、人をかたどり新たに“生まれ”、琴乃となった可能性。
そして、これはTwitterでフォロワーさんがおっしゃていたことなのですが、
人間とメンタルモデルでは、瞳の描き方が異なっている・・・かもしれないとのことで、
たしかに見てみると、メンタルモデルは輪っかが1つ多く描かれているように思えますし、
コトノには、その特徴が見られないようにも感じますが、どうでしょうね?
などなど、ハッキリとした答えは出ませんけれども、
“霧”の総旗艦であるヤマト、そのメンタルモデルの1人と名乗るコトノが、
重要な存在であることは間違いなく、彼女の動向には今後注目すべしであります。
【「孤独」と「未来」と】
「孤独」では、人は生きられない。
本作では、この「孤独」がテーマの1つになっていると考えられます。
コトノさんもそんなことを話していましたし、以前「艦長の孤独」なんて話も出ていましたし、
スペシャルブックでも孤独がテーマになっている部分があって、注目せざるを得ません。
そして、これはおそらく、個人の孤独はもちろんのこと、
人類と“霧”という2つの種の関係にも、外せない問題になるかもしれませんね。
単純にいえば、人類は孤独なのか? という問いかけ。
他の知的生命体の存在があるのか、ないのか・・・
それは人類にとって、大きなテーマになると言えるでしょう。
そして、「未来」。
こちらも本作にとって、重要なテーマになっているようです。
2巻では、北良寛と群像の会話の中で、「未来」について語られるシーンが出てきますし、
この8巻でも、ハルナから「霧と人類の」という形で、
またシメとなる場面でも、群像の口から「未来」という言葉が出てきています。
コンゴウ艦隊との決戦、その向こうに待ち受ける「未来」とは・・・?
そうしたことに注目しつつ、今後も楽しみです!
【加筆修正シーンなど】
左=8巻 右=連載時。
「海域強襲制圧艦」であるズイカクの登場シーンですが、
コミックス版では、連載時よりも可愛らしく修正された模様。
花もとんでますし、ラブリーな雰囲気が増量してますね~。
ズイカクは可愛いキャラクター、ということを印象付けたかったのでしょうか。
上=8巻 下=連載時。
タカオさんと知り合いのメイドさん。
このあたりのことは、連載時に書きましたので割愛しますが、
それにしても連載時とでは、だいぶ違ったイメージになっていますね。
より若々しくなったという印象で、さらに活動的な人物に見えてくるようになりました。
彼女の再登場にも期待しております!
そして、チビマヤさんだー!
冒頭に登場したチビマヤさんは、追加シーン。
にぎやかなバンドになっていたのが、場違いな楽しさでありました。
うむ、可愛い。
・連載時の感想