五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のナポレオン

2013年09月02日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2013年10月号より

 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら

 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

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 コミックス5巻、発売中! そんな今回、陛下が激怒!?

 ミュラ&ランヌが、クトゥーゾフ率いるロシア軍の捕捉に失敗。

 その結果、ロシア・オーストリア両皇帝との合流を許してしまい、油断のならない状況に。

 そこで、ロシアに対して和平を申し入れたナポレオンだったものの、

 使者であるドルゴルーキーは、とうてい受け入れられない条件を盾に、強気の姿勢。

 その態度に激怒したナポレオン、ということでしたが・・・?

 

 

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 そこへやって来たミュラ。

 義兄のご機嫌が最悪だと感じとった彼は、叱責されるだろうと覚悟を決めますが、

 予想に反して、なぜか笑顔で迎えてくれるナポレオンに、思わず安堵するものの・・・?

 

 ここでのナポレオンの“闇”の描き方、しびれましたね~。

 はじめ、ミュラをなごませるように語りかける陛下でしたが、

 まずミュラの失策を軽く責めるようにジャブをかまし、

 そこから、「お前の行動は筒抜けだぞ」と暗に匂わすボディブロー。

 そして、死の危険を感じさせる包囲網と、じわじわ迫る恐怖の演出が凄まじかった!

 

 なんとか虎口を脱したものの、さすがのミュラも心胆寒からしめられたようで、

 ナポレオンを評して、「まっくらな穴みたいな男だ」と言っていたのは印象深い。

 使者に対する激怒も演技なら、ミュラへの態度もまた演技。

 何が本当かわからない人間なんて、不気味以外の何ものでもありませんから。

 これが後々のミュラ背反に、説得力を持たせることになりそうですね。

 

 

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 そして、ロシア皇帝アレクサンドル1世!

 性格面や政策面で、奇妙に矛盾した印象を受ける人物ですが、

 本作では、「ヨーロッパの平和に貢献しよう」と考える理想主義的な君主さま。

 個性的なヘアスタイルとともに、なんとも憎めないキャラクターになっています(^^;

 プロシア后妃ルイーゼとのやりとりでも、髪型のことを「面白い」なんて挑発されますが、

 それに動じることなく応じていて、ふところの広さを感じさせるところが、イカしてました!

 

 

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 クトゥーゾフと、クロイセ。

 ナポレオンの激怒を「焦り」と受け取ったアレクサンドル1世ですが、

 クトゥーゾフ将軍は逆に、罠だと看破しているのはさすが。

 それでも、決定権は皇帝にあると述べている姿からは、

 彼の立場と忠誠心を感じられて、なんともやるせない気分に・・・

 

 一方、クロイセは、爆薬を分けてほしいとクトゥーゾフに頼んでいますけど、

 これが『ナポレオン~獅子の時代~』1巻の、あのシーンにつながるわけですね。

 「家族とも会えます」と言っているのは、「死を覚悟している」という意味なのかも。

 そう考えると、今後の展開を知るだけに、彼の悲哀がいっそう感じられてしまいます。

 

 

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 めぐりめぐって、ついに本作品は、ここへ“戻って”参りました。

 歴史に残る戦い=アウステルリッツ!

 その経過はすでに描かれているため、物語はここからどのように進行するのか?

 この戦場が1つのターニングポイントとなることは間違いなく、期待せざるを得ません。

 もちろん、今後も楽しみです!

 

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想