指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

妻の敵・高峰秀子と普通の主婦・中北千枝子

2005年09月16日 | 映画
9月11日「飯田蝶子と高峰秀子」と9月14日「中北千枝子と佐田豊」で書いた中北千枝子さんがなくなられた。79歳。高峰秀子より2歳若い。

高峰と中北は、いつも対立する役で『浮雲』では、愛人と本妻、『妻として女として』では、同じく愛人と本妻(淡島千景)の妹。

『浮雲』では、嫌味を出すため成瀬巳喜男から金歯されてしまったそうだ。
『流れる』でも、山田五十鈴の妹で、いつもぐうたらしていて、賀原夏子に嫌味を言われる。『流れる』では、高峰も芸者にも普通人にもなれない駄目な女として描かれているが。賀原は、昭和30年にすでにお婆さん役だった。

高峰秀子は、美しく同情を買うヒロインだが、実際に考えれば普通の家庭を破壊するとんでもない女である。

中北は何故か戦争未亡人役が多く、原節子に助演した『めし』でも友人の一人の未亡人で、確か保険の外交員だった。後に、日生のCFをやったのはここからかもしれない。