指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

中北千枝子と佐田豊

2005年09月14日 | 映画
昔の日本映画を見る喜びの一つに脇役が充実していることがある。東宝の代表的な脇役と言えば、中北千枝子と佐田豊だろう。
中北は、黒澤明の『素晴らしき日曜日』では主演(恋人から体を求められるシーンは今見ても生々しい)なので、厳密には脇役と言えないかもしれないが、成瀬巳喜男の作品には良い脇役で出てくる。
佐田豊も戦後の東宝作品に数多く出ていて、成瀬の名作『流れる』では車屋だが、一番有名なのは黒澤明の『天国と地獄』の社長(三船敏郎)の運転手だろう。取り違えられる子供は、小津の『お早う』にも出た名子役・島津雅彦と江木・フォーリーブス・俊夫。
彼ら脇役は、当時は専属契約で会社に専属した、言ってみればサラーリーマン俳優だったようだ。こうし態勢が、各社の独自のカラーを決めていたのである。