食品のカラクリと暮らしの裏側

食品の安全・安心が総崩れ、また政治・社会の矛盾や理不尽さも増大
暮らしの裏側の酷さやまやかし、危険性・不健全さに迫る!

▽[リニア中央新幹線は要らない・交通網]少数派シリーズ/分野別リンク表紙

2024年01月18日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp
少数派シリーズ 分野別リンク表紙  ■リニア中央新幹線は要らない・交通網

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リニア新幹線のフリー素材がないので好きなドクターイエローを掲載しました

いつも少数派シリーズにお越し頂き、誠にありがとうございます。
「リニア中央新幹線は要らない・交通網」の内容を掲載しておりま
す。リンクインデックスから記事にリンクされるか、このカテゴリ
をページダウンするとご覧になれます。

Nindex

Sindm126134647 ■リニア中央新幹線は要らない (写真はドクターイエロー)
6・リニア新幹線工事費さらなる膨張・工期延長、無謀な巨大国家事業は今からでも中止を
5・リニア27年開業は延期に追い込まれつつある・JR東海がまともな環境対策を示せず
4・リニア新幹線は採算見通しなく環境破壊を解決せず突き進むことは禍根を残す
3・総事業費9兆円リニア中央新幹線工事をめぐり大手ゼネコン4社の大談合発覚
2・リニア新幹線より東海道新幹線基盤の老朽化対策と地震・津波対策が先決
1・高齢化・長期人口減が予想される中、9兆円も掛かるリニア新幹線は要らない

M5200404b120 ■交通網(鉄道・道路・空路・他)
「ライドシェア」岸田政権が促進、しかし米国では交通事故死・暴行死・性的暴行が多発
②やはり電動キックボード事故多発・死亡者も、規制緩和ではなく「規制強化」が必要
あなたは自転車用ヘルメットを被っていますか?着用率13.5%、23道府県で1ケタ
①電動キックボードの規制緩和を中止し取り締まり強化を!衝突や接触の事故が急増・危険すぎる
知床観光船沈没事故10・検証◇船倉内の隔壁設置の義務化・水難学会はドライスーツ着用を

知床観光船沈没事故9・検証◇沈没原因はハッチの不整備と隔壁に穴が開けられ海水が流れ込んだ
知床観光船沈没事故8・検証◇加藤登紀子さん「知床旅情」鎮魂の思いを込めて歌い続ける
知床観光船沈没事故7・検証◇船長や責任者が緊急避難港の存在を知っていれば全員助かったかも
知床観光船沈没事故6・検証◇国の「規制緩和」が旅客船業者の競争激化・安全の蔑ろ
知床観光船沈没事故5・検証◇船舶管理者の安全意識が緩むのは国交省の緩い検査

知床観光船沈没事故4・検証◇大惨事はコロナ禍の収益不足による船主側の焦りが強引な出航に
知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった
知床観光船沈没事故2・18日間も同じ波高の運行記録でも国交省「安全向上」したと結論
知床観光船沈没事故1・元を糾せば国交省のおざなり対応が発端・会社の言い分を鵜呑み
150キロ走行中の東海道新幹線の運転士が「トイレ離席」批判と擁護、あなたは?

あおり運転の厳罰を図るべく「免許取り消し」2020年法制化
あおり運転特約に入ればドラレコ通報によって警察が現場急行するサービスあり
投書欄|車内アナウンスは「ゆっくり、はっきり」と乗客に聞きやすくお願いしたい
免許返納が遅れていれば見知らぬ若い方や子供が死んでいた
電車運転士に忍び寄る運転中の熱中症「水が飲みづらい」~乗客クレームが原因

JR豪華寝台列車は格差の象徴、資金・労力をラッシュ・踏切・痴漢対策に注ぎ込め
東西 “恥鉄” 対決~西・大阪メトロ悪趣味デザイン駅vs東・ゲートウェイ駅名
「飲んだら飛ぶな」の標語?も虚しく日航副操縦士に続き女性CAの機内飲酒発覚
お盆・GWになるとTV各局が東名高速の渋滞ぶりを車上から中継する馬鹿馬鹿しさ
山手線新駅|ゲートウェイ? 四十七士が 困るじゃろ ⇒新駅名にはJRの思惑が

Komono_0202 誠に勝手ながらコメントのやりとりは致しておりません

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「ライドシェア」岸田政権が促進、しかし米国では交通事故死・暴行死・性的暴行が多発/少数派

2024年01月18日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
「ライドシェア」岸田政権が促進、しかし米国では交通事故死・暴行死・性的暴行が多発

M20231223
しんぶん赤旗

■半世紀に渡る不毛な交通行政のツケを改善せずにいきなり“白タク”の復活ですか?
投稿者の文章|「ライドシェア」とは、自家用車に有料でお客を乗せるシステム。タクシー運転手不足の対策として、導入が検討されている。半世紀昔は、悪名高い「白タク」と言った。白ナンバー車の無届タクシーのことで、事故・料金ぼったくり・脅迫が多発した。最近の国交省の答弁(2020年の統計)では、日本のタクシーと米国主要ライドシェア企業との比較(輸送回数:日本5.6億回、米国6.5億回)が報告されている。記事の表を参照願いたいが、交通事故による死者は2.3倍、暴行による死者は無限大、そして性的暴行が何と45.3倍に及ぶ。毎日新聞の世論調査でも、案の定、「利用したくない」が62%、「利用したい」が23%。「利用したい」は男性30%、女性14%と安全性の心配がある。特に女性が性的暴行の恐れから、利用を避ける傾向にある。にも関わらず、なぜか”神奈川組”の菅元首相、河野太郎大臣、小泉進次郎議員が、性急に「ライドシェア」を実現させようとしている。今さら、なぜこんなシステムをやるのか。そもそもタクシーやバス運転手が不足するなら、そこに手当や改善するのが政治だ。長年の交通行政は、車優先を行ってきた。そのため地方のバス路線が貧弱で、高齢化とともに自車の運転が不可となり高齢者は買い物・通院などに支障が出てきている。本来なら、国や地方自治体が税などでバス運転手・タクシー運転手への厚遇対策が必要である。こうした半世紀に渡る不毛な交通行政が続き、対処しなかったツケ払いをいきなり“白タク”の復活ですか?と言いたい。

Akahatatop

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②やはり電動キックボード事故多発・死亡者も、規制緩和ではなく「規制強化」が必要/少数派

2023年10月06日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
②やはり電動キックボード事故多発・死亡者も、規制緩和ではなく「規制強化」が必要

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単なるキックボード

■懸念された問題が現実に、大幅規制緩和したら人身事故・交通違反が昨年の倍増
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/電動キックボードの規制を大幅に緩和した改定道路交通法が今年23年7月から施行されました。従来の道交法では運転免許証が必要でしたが、最高時速20キロ以下などの車体を対象に免許不要にしました。低速時は歩道走行もできます。ヘルメット着用も努力義務へと緩和されました。電動キックボードの普及が進む中で事故や法令違反が増加しており、交通の安全を確保するためには、規制を強化する見直しが必要となっています。業界最大手ループは東京23区、横浜市、大阪市、京都市などに現在約3000ある電動キックボードの貸し出し拠点を2025年までに1万に増やす目標です。他の事業者も都市部での拠点整備を急いでいます。外国人旅行者を念頭に観光客の呼び込みを目的にした観光地でのシェアリング拠点設置の動きも広がっています。懸念されるのは交通違反や事故の増加です。道交法改定をめぐる政府の検討会や国会の審議で緩和の危険性は繰り返し指摘されていました。

20年から今年1月までに電動キックボードに関わる人身事故は76件起きています。20年は4件でしたが、22年は41件と約10倍にもなりました。同年9月、警察庁は徹底取り締まりを指示しましたが、歯止めはかかりません。同年9月には初の死亡事故も発生しています。警察庁は、規制緩和後の今年7月の1カ月間の電動キックボードについての事故・交通違反の件数を発表しました。人身事故7件、違反406件でした。双方とも年換算すると昨年の2倍を超すペースです。交通違反の46%は信号無視でした。歩道への進入など「通行区分違反」は37%です。酒気帯び運転もありました。規制緩和に対する不安の声に対し、事業者は ▽利用者に事前に走行ルールのテストで満点を取ることを条件とする ▽警察と連携し重大な違反をした利用者へのサービス提供停止などの措置をとるとしましたが、不十分さは否定できません。

■関係企業の儲けのために安全を置き去りにした規制緩和、交通政策の転換が必要
従来、運転免許を持っている人は自転車走行の時も安全で法規制を順守した運転傾向が高いことが指摘されてきました。免許試験合格のためルールやマナーの学習、免許更新時の講習などで交通安全教育が義務付けられているためと考えられています。電動キックボードでの違反増加は免許不要にしたことと無縁と言えません。警察庁は、事故・違反件数が増加傾向にある自転車の交通違反について確実にペナルティーを科すことを理由に反則金制度の対象にする検討を始めました。この対応については議論がありますが、交通違反が増えていた電動キックボードを免許不要としペナルティーを科す規制を弱めたことの是非が問われます。電動キックボードの普及が先行していた欧米では問題が深刻化しており、免許を必要としたり、ヘルメットの着用義務を拡大したりする動きが出ています。この教訓に日本は学ぶべきです。日本の電動キックボードの規制緩和は、財界が主導する「成長戦略」の一環です。関係企業のもうけのために安全を置き去りにする交通政策の転換が必要です。

投稿者によって一部割愛や接続文章等の修正・補足、投稿タイトルは
新聞の原題・原文に基づき、若干、付け加えております。


投稿者からのひと言/巷の言い方をすれば、「だから言わんこっちゃない」のひと言に尽きる。自転車を運転する方は、23年4月からヘルメットが義務付けされた。さらには、交通安全を守らない乱暴な自転車運転者から身を守るために、自転車独自の免許証や安全教育のシステム作りの声が高まっている。一方で、こんな出鱈目な電動キックボードの大幅規制緩和~言わば「野放し」は以(もっ)ての外だ。前号で申し上げたように、自民党を支援や献金する財界・業界の声を聞いたからだ。日頃、”暴走自転車”だけでも、ぶつけられないかとヒヤヒヤし私達の生活を脅かす。さらなる電動キックボードの暴走を許せば、歩行者、自転車運転者、自動車運転者が巻き添えなる。運が悪ければ亡くなる。キックボード者の突然の飛び出しや、車道を走るキックボード者をはねてしまえば、自動車運転者も責任を問われる。キックボード者自身の事故・怪我はともかく、運悪い第三者が気の毒だ。もっと言えば、こんな電動キックボードは不要で国民を不幸にすることばかりだ。※一部、前号と重複。

Sankoub
前号/①電動キックボードの規制緩和を中止し取り締まり強化を!衝突や接触の事故が急増・危険すぎる

Akahatatop

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あなたは自転車用ヘルメットを被っていますか?着用率13.5%、23道府県で1ケタ/少数派

2023年09月29日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/リニア中央新幹線は要らない ・交通網
あなたは自転車用ヘルメットを被っていますか?着用率13.5%、23道府県で1ケタ

M20230926

■義務化以前より着用率は3倍に、でも愛媛59.9%、新潟2.4%とバラツキが目立つ
毎日新聞を活用しました/警察庁は、全国の警察が7月に自転車利用者のヘルメットの着用状況を目視で調べたところ、着用率は全国平均で13.5%だったと発表した。自転車利用者のヘルメット着用は、23年4月から全ての年代で努力義務化されている。義務化前に一部の都府県で実施した同様の調査に比べると3倍超となったが、都道府県ごとの着用率にばらつきがあった。警察庁は全国交通安全運動で、自転車乗車時のヘルメット着用などを呼び掛ける。

警察庁によると、調査は商店街や駐輪場が整備された駅周辺などで、自転車の運転者と同乗者計5万2135人を対象に実施した。同様の調査は23年2~3月、降雪の影響が少ない13都府県で実施し、着用率は平均4%だった。7月調査の都道府県別の着用率は、▽愛媛59.9%▽大分46.34%▽群馬43.8%――の順に高かった。愛媛では利用者全員にヘルメット着用を求める条例が13年に作られ、普及が進んでいたとみられる。一方、▽秋田3.5%▽青森2.5%▽新潟2.4%などが低く、23道府県は10%を下回った。

■「認定外の安いヘルメット」や「工事用ヘルメット」は転倒時に役に立たない
投稿者の感想/義務化されてわずかだが、こんなに県別の開きがあると思わなかった。都市部はどうしても低くなるが、北海道・東北・日本海側が低い。TVニュースで観たのだが、早く秋がやってくる“北国”では、雪や寒さで自転車に乗らなく(乗れなく)なる。確かに1年間フルに乗れる地域・乗らざるを得ない場合と比べ、実質、半年、1年の半分以下か?だからと言って、短い期間でも自転車に乗れば衝突・出会いがしらの事故・転倒が考えられるので、やはりヘルメットは被ったほうが良いに決まっている。歳の妻には運動神経が年々鈍くなるからと着用させたが、子供は格好悪い・面倒と被っていない。江東区は特定の自転車販売店で買うと、区から補助金2000円出る(割引される)。多くの市区町村で、補助金制度がある。買った自転車さんから妻へ注意事項を“申し渡された”ので、その内容と取説の注意事項をそのまま皆様にお伝えする。

(1)必ず「SGマーク」(製品安全協会適合証)、「JCFマーク」(日本自転車競技連盟公認)が付いたヘルメットを購入する。
(2)「認定外の安いヘルメット」を販売しているが、構造や材質上、頭部が保護できるか疑問。
(3)基本的にはベルトで調整・固定できるのだが、できれば「通販」をやめて、手数でも自転車販売店などで実際に被って合うものを買う。
(4)「目深・水平」に被り、「ベルトはしっかり顎」(あご)に「固定」する。※①顎にベルトを掛けないと、転倒した際にヘルメットが飛んで道路に頭を打ち付ける。②バカ・アナのように、ヘルメットのツバを上に向けたり斜めに被らないこと。
(5)「工事現場用ヘルメット」は、目的が違うので転倒などには役に立たない。工事用は、上から鋭利な物が落ちてきた際の対策に設計されている。自転車の転倒の際にはヘルメットが割れないので、衝撃をまともに受けてしまう。※自転車用ヘルメットは、割れることで衝撃を和らげる。ただし日常で手が滑って落とすと、割れることがあるので丁寧に扱うこと。

確かに髪の乱れ、夏は猛烈に暑い、買い物・食事やレジャー時には置き場所に困る(買い物かごに入れっぱなしだと盗まれる)。しかし被っていれば、転倒時の致死率は半分になるのだから、横着せずに賢明に選択すべきだ。

Ntopkeiji

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知床観光船沈没事故10・検証◇船倉内の隔壁設置の義務化・水難学会はドライスーツ着用を/少数派

2023年04月17日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
知床観光船沈没事故10・検証◇船倉内の隔壁設置の義務化・水難学会はドライスーツ着用を

Shiretoko15(イラスト前出)

■ます投稿者の文章|沈没事故撲滅のポイントは早急なる国交省・船舶部署の体制変更に尽きる
22年4月23日、知床観光船が衝撃的な沈没事故を起こしてから、まもなく1年をむかえる。乗員乗客26人のうち死者20人、6人は未だ行方不明だ。この1年間の状況について前号では、まず国交省の報告から沈没原因を3つ上げた。原因1・船首部分の「ハッチ」を密閉する留具に不具合があったこと。原因2-A・船体隔壁に穴が開けられ大量の海水が浸水しエンジンを停止させた。原因2-B・知床半島沖に不向きな船体構造だった・バラスト(砂袋)の位置も不適切。原因3・運輸安全委員会は、日本小型船舶検査機構(JCI)の検査が不十分だったと指摘。投稿者はさらに専門家の見解を新聞などからまとめ、『大本の原因は国土交通省の無責任体制にある』とした。今回、国交省は船倉を隔壁で仕切る「水密構造の義務化」で終わらせることに憤りを感じる。ここまで10回に渡り申し上げてきたように、肝心なことは緩い法律・基準・検査体制を変えようとしてこなかった「国交省の無責任」を改めること。もちろん今回の措置や水難学会の提言は有効ではあるものの、事故撲滅のポイントは早急なる国交省・船舶部署の体制変更にある。

■国交省方針・25年以降の新造小型旅客船に水密構造(隔壁で区画の仕切り)を義務化
ここからは毎日新聞を活用しています/北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は4月4日、2025年度以降に新たに造られる小型旅客船について、甲板の下にある区画を仕切る隔壁を水を通さない「水密構造」とすることを義務付ける方針を決めた。波による浸水を防ぐため、甲板全体を水密構造とすることも義務化する。船舶安全法の省令、小型船舶安全規則を改正する。国の運輸安全委員会が22年12月に公表したカズワンの事故原因に関する経過報告によると、カズワンの甲板の下は二つの船倉のほか、エンジンのある「機関室」や「舵機(だき)室」の4区画に分かれる構造になっていた。それぞれ隔壁で仕切られていたが、いずれも穴の開いた場所があった。そのため、ふたに不具合のあった船首部分のハッチなどから流れ込んだ海水が船内に広がり、沈没につながったとされる。現行制度上、港から2時間以内で往復できる「限定沿海区域」を航行するカズワンのような小型旅客船は隔壁を設置する義務はない。事故の状況や経過報告を踏まえ、国交省は甲板下の区画に水密構造の隔壁を2枚以上設置し、一つの区画に水が入っても他の区画に浸水が広がらないようにすることが、リスク低減につながると判断したという。一方で既存船などは水密構造の隔壁の設置が困難な場合もあるとみられ、国交省は代替措置として浸水警報装置や排水設備の設置などを義務付ける方向で調整している。

■水難学会が事故検証と提言「ドライスーツ着用標準化を」、春先の知床ツアー「服装の再考を」
一般社団法人「水難学会」は低水温期の海難事故を想定した実験を行い、3月に結果を発表した。防水性が高くマリンスポーツなどで使われるドライスーツを防寒着の上に着て体温の変化を調べたところ、水温0.5度の水につかった状態でも3時間は生存できる可能性があることが分かったという。長岡技術科学大大学院教授の斎藤秀俊・水難学会会長は「スキー場で普段着が推奨されないように、知床の春先の海を体験するツアーで普段着がふさわしいのか考え直したほうがいいのでは」と指摘した。そのうえで、水温が17度を下回ってくると生存可能な時間が短くなるとして「(そうした海に出る船に乗る場合は)ドライスーツ着用を標準化すべきだ」と語った。カズワンの事故を巡る運輸安全委員会の経過報告によると、22年4月23日昼の事故当時、現場海域の海面水温は約4度。一般的に水温0~5度の場合、人は15~30分で体温が28度まで下がって意識不明となり、生存可能な時間は30~90分とされる。斎藤会長は事故で亡くなった乗客らについて、「短時間でも生命維持が極めて厳しかった」とみる。こうした状況を踏まえ、水難学会は性能が向上し、入手が容易となってきたドライスーツを用いた実験を計画し、2月下旬に実施した。

実験では、長袖シャツとジーンズの標準装備に、上着として ▽防寒ジャケット ▽フリース ▽トレーナーの3パターンを身に着ける服装を試した。これらの服装の上にレジャー用のドライスーツを着用し、0.5度の冷水に15分間ずつ入るという条件で体温の変化を確認した。それぞれ体の複数箇所に温度記録計を付けて調べたところ、フリースやトレーナーにドライスーツの場合は上半身の体温が緩やかに下がったが、防寒ジャケットとの組み合わせでは体温が維持されたという。斎藤会長は結果について「波の影響を考慮し、熱放出などを計算しても約3時間は生命を維持できる可能性がある」と述べた。さらに詳細なデータ分析や検証を続けるという。安倍淳副会長は「水の浸入を防ぐだけでなく、空気層が生まれて断熱効果で熱放出が抑えられる」と、ドライスーツの有効性を説明した。一方、国は海に入らずに避難できるスライダー付き救命いかだの搭載義務化などの対策を進めているが、安倍副会長は「国の認証を受けた小型船用のスライダー付き救命いかだは開発中で、いつ完成するか分からない。現状では、ドライスーツと救命浮輪などを組み合わせることが現実的な対策だ」としている。
ドライスーツ(投稿者補足)/全身一体のワンピース型で、生地の接合部は各種の方法で水密に仕上げる。特に潜水用のものではブーツ、時にはフードやグローブまでもが一体となっている。試験結果、及び特殊な分野での使用はこのドライスーツが最適なのだろうが、一般客への装着の強制には限界があると思われる。こうでもしなければ命が守れなければ、やむを得ない。

Sankoub
前号/知床観光船沈没事故9・検証◇沈没原因はハッチの不整備と隔壁に穴が開けられ海水が流れ込んだ

Ntopkeiji

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①電動キックボードの規制緩和を中止し取り締まり強化を!衝突や接触の事故が急増・危険すぎる/少数派

2023年03月04日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
①電動キックボードの規制緩和を中止し取り締まり強化を!衝突や接触の事故が急増・危険すぎる

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単なるキックボード

■歩道走行・逆走などによる衝突・接触などの事故が急増、海外では重大な事故も
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/警察庁が、電動キックボードの規制を大幅に緩和する改定道路交通法の7月施行を決めました。電動キックボードは従来の道交法では原付きバイクと位置付けられ、運転免許証が必要でした。改定道交法は、最高時速20キロ以下の車体を対象に免許不要にします(16歳未満は運転禁止)。歩道の走行も条件を一定満たせば解禁します。頭部保護のためのヘルメット着用は任意の努力義務にします。電動キックボードは普及に伴い、事故が急増しています。大幅な規制緩和は危険すぎます。電動キックボードは、スケートボードに自転車のようなハンドルを付け、立ち乗りして運転します。ハンドルにあるアクセルで加速します。コロナ禍で密を避ける手軽な移動手段として注目され、市街地などで利用が増加しました。禁じられていた歩道の走行、一方通行の逆走などによる衝突・接触などの事故が急増しています。2020年に10件だった交通事故は21年に110件に上りました。21年9月~22年11月の交通違反の摘発数は1600件を超えました。歩行者やベビーカー、車いすなどの通行を妨げる無秩序な違法駐車によるトラブルも問題になっています。

警察庁は21年、交通違反と事故の増加を懸念し、悪質で危険な違反の積極的な取り締まりを指示していました。公道走行にはヘッドライト、ブレーキ、ナンバープレートなどが必要です。ところがこれらの装備のないものがネットなどで広く販売されて事故を起こすケースが相次ぎ、国民生活センターは22年、電動キックボードが公道を走るには保安装置が必須だとする注意喚起を行いました。取り締まり強化などを打ち出しているさなかに、規制緩和の動きが加速しました。道交法改定案は昨年の通常国会に提出されました。普及を推進したい事業者の団体が自民党に過剰規制を緩めるように働きかけたことが背景にあると指摘されています。歩行者と接触リスクの高い歩道での走行などを合法化したり、違反を繰り返す人に運転をさせない仕組みである免許制度の対象外にしたりすることは、事故やトラブルの増加を助長することになります。日本共産党は道交法改定に反対しました。

電動キックボードの普及が先行して進む海外では事故が多発しています。脳損傷などの重大な事故も少なくありません。フランスは歩道を通行禁止にしました。イタリアはヘルメットの着用義務を拡大し、原付き免許を必要とする方向で議論が行われています。米国カリフォルニア州やシンガポール、韓国などでも同様の規制強化が進められようとしています。外国が導入しようとしている規制は、これまで日本で実施されてきたものがほとんどです。日本の動きは世界の流れと逆です。規制緩和を求める事業者も自民党の関係議連の会合で、改定道交法で「不適切な走行が減る見込みがありません」と認めています。7月からの規制緩和を中止し、不適切な電動キックボードの販売規制や違反行為の取り締まりを強化することこそ必要です。

投稿者によって一部割愛や接続文章等の修正・補足、投稿タイトルは
新聞の原題・原文に基づき、若干、付け加えております。


投稿者からのひと言/危険で無茶なこんな法律が施行される原因は、自民党を支援する業界の声を聞いたからだ。不明ながら、自民党あるいは自民党議員への企業献金があったと思われる。日頃、”暴走自転車”だけでも、ぶつけられないかとヒヤヒヤし私達の生活を脅かす。一方、自転車に乗る方は23年4月からヘルメット着帽が義務付けられた(罰則のない努力義務)。こうした安全強化が進む中、電動キックボードの緩和は逆行する。政府・自民党は、何を考えているんだ!と言いたくなる。これでは歩行者はもちろん、車の運転手にはより注意が求められ気の毒だ。日本のような人口過密、細い道や複雑な路地ばかり、メインの通りも車が多く、我が国のような道路事情には不向きだ。キックボードに乗った本人、巻き添えになった歩行者は、気の毒にも死ぬ。運転者も、突然の飛び出しや割り込みをしたキックボード者をはねてしまえば責任を問われる。こんな電動キックボードは不要で、国民を不幸にすることばかりだ。

Sankoub
次号/②やはり電動キックボード事故多発・死亡者も、規制緩和ではなく「規制強化」が必要

Akahatatop

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知床観光船沈没事故9・検証◇沈没原因はハッチの不整備と隔壁に穴が開けられ大量の海水が流れ込んだ/少数派

2023年02月18日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
知床観光船沈没事故9・検証◇沈没原因はハッチの不整備と隔壁に穴が開けられ大量の海水が流れ込んだ

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事故前のKAZUⅠの船首部分。右端の人物の足元に写っているのがハッチの蓋(運輸安全委員会提供)

■報告は全て船主と船舶検査機構に責任を負わせ根本的原因がある国交省は不問に
毎日新聞・しんぶん赤旗を活用しています/22年4月、北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、国の運輸安全委員会が中間報告を公表した。投稿者はWebで、PDF版報告書70ページを読んだ。専門用語が多く、難解な点はネットや新聞の要約を見て理解した。報告書は当然ながら、メディアや当投稿で散々指摘した点が記載されており、ここでは新たな問題点(沈没の原因)に絞って書く。結論から言えば、①ハッチの不整備 ②船体の隔壁に穴が開けられていた~これらの不備によって、船内に大量の海水が入り沈没した。さらに③日本小型船舶検査機構(JCI)の検査不十分と、中間報告は結論付けた。投稿者の印象としては、もちろん船主側の異常と思える安全に対する無責任さが直接的な原因だ。その一方で、国の代行機関である「JCIの検査が不十分」と責任を押しつけたことは問題だ。既号の通り、JCIが満足に点検を行えないほどの少ない人員配置・人員削減などが行われ、過酷な勤務を押し付けた国土国交省の責任が問われていない。次項以降、発表された原因の概要に投稿者の感想を付け加える。

Shiretoko15

▽原因1・船首部分の「ハッチ」を密閉する留具に不具合があったこと
補足/ハッチとは甲板から船員が船倉におりるための出入り口で、海水が流入しないよう密閉するための蓋が付けられ、蓋の四隅に「クリップ」と呼ばれる部品(留具)で固定する仕組み。報告書は、KAZUⅠ船首部分に約50cm四方のハッチがあったとする(画像参照)。しかし、事故発生の2日前に実施された救命訓練の参加者の証言から、クリップのうち2つが当時からしっかり固定できない状態になっていたことが判明した。また別の1つも摩耗が進んでいたと言う。事故当日に現場付近で海が荒れ始め、波が船首部分に打ち込んだことで蓋が開いたとしている。さらに船体の状況から、この蓋が完全に外れて客室の前面中央のガラス窓に当たり、破損させた可能性が高いとした。その結果、大量の海水が船内に入り込んだとされる。また船体の構造上、船長がいる操舵室からハッチは死角になっており、ハッチが外れ客室の窓ガラスを割り、海水がなだれ込んだことの認識が遅れたことも指摘されている。投稿者の感想=ハッチの留め金が甘く蓋が開き大量の海水が入り込むとは、船舶事業者や船主としてあってはならない極めて最低のレベル。普段から、全く安全のことなど考えていなかったのだろう。

▽原因2-A・船体隔壁に穴が開けられ大量の海水が浸水しエンジンを停止させた
甲板より下の部分は船首部分から、2つの船倉のほか、エンジンのある「機関室」や「舵機(だき)室」の4区画があり、それぞれ「隔壁」と呼ばれる仕切りが設けられている(イラスト図参照)。しかし全ての隔壁にやっと人が通れる程の穴が開けられており、ハッチや割れた窓を通じて流れ込んだ海水がそこから船底全体へ広がった。電子制御系の部品は海水に浸かってショートし、エンジンが停止したとみられる。機関室や他のスペースへ行き来しやすくする理由で、穴が開けられていた。報告書では事故の前年21年のJCIの点検で指摘され穴は塞がれたが、流入海水の勢いではがれたと推察している。一方、知床遊覧船の元従業員は、「隔壁に穴が開いていたのは知っている。21年の検査の際に指摘され、船長がコンパネ(合板)でふさいだ。その部分が取れて海水が入ったのか、運航当日時点で外されていた状態だったのかは分からない」と証言。別の元従業員も「穴は人がやっと通れるぐらいの大きさだった。機関室と舵機室を行き来するのに、穴があると楽だった」と話していた。投稿者感想=よくタンカーや大型の客船・貨物船は、火災や海難事故によって浸水が広がるのを防ぐために、いくつも隔壁を設けて隣の区画に移らないようにしていることを聞く。投稿者が調べたところ、KAZUⅠは元々、瀬戸内海で航行されていた。その時点で穴が開けられたのか、現船主になって開けられたかは不明も、現船主側に責任があるのは言うまでもない。

▽原因2-B・知床半島沖に不向きな船体構造だった・バラスト(砂袋)の位置も不適切
報告書では船体そのものの構造の不適合が事故の直接原因とまで言い切っていないが、欠陥は指摘はされている。KAZUⅠは比較的穏やかな水域を航行するための船(前項)として建造され、従って波が高いと海水が流入しやすい構造だったと指摘している。TV番組でも専門家は客室の位置が高く、波が高く風が強い知床半島沖で航行するには不向きと言っていた。さらに報告書は、船を安定させるためのバラスト(砂袋)の位置が船首側に置かれ、沈みやすい状況(前方に傾く)になっていたことも分かった。JCIが禁止していたにもかかわらず、バラストの一部を規定の場所から動かしていた可能性があるという。観光船に備えられていた救命胴衣や、しがみついて浮力を保つ救命浮器が低水温の海域に適していなかったことなども指摘した。※投稿者補足/KAZUⅠ特有の不備ではなく、専門家は以前から北海道のような寒冷水域に人間が浸れば、短時間で生命が失われ不向きとしていた。

▽原因3・運輸安全委員会は日本小型船舶検査機構(JCI)の検査が不十分だったと指摘
報告は、JCIの検査不十分と結論付けた。その裏付けとして、JCI札幌支部が事故3日前の22年4月20日に検査をしていた。その際、検査担当者はハッチの蓋の密閉状況を「問題なし」と判断したが、実際は開閉の確認までしていなかったとした。運輸安全委員会は、それが沈没の要因の1つになったとした。投稿者の感想=それは言う通りだが、問題はそこではない。担当者を庇う訳ではないが、背景を考慮しなければならない。既号の文章をそのまま転記すると、「検査員は業務用車で現場に赴き、1日平均3.2隻、154㎞を移動する強行軍。3分の2が春から夏に集中し、その時期は1日4.6隻の検査に膨れる。船体・機関・無線設備・救命設備などを確認するが、ある船の所有者は「検査は資料や法定備品が揃っているかを調べ、すぐ終わる」。投稿者としてはおそらく形式な検査、目視(見ただけ)など検査にも匹敵しないものだと思われる。短時間で数をこなさなければならず、検査体制が極めて脆弱だ」。いわゆるその程度に終わらせなければ、日程が消化し切れないJCIの人員体制が問題なのだ。しかし報告書の流れは、KAZUⅠの船主・船長とJCIに責任を負わせた形でまとめられていた。

【投稿者の結論】大本の原因は国土交通省の無責任体制にありメスを入れなければ同じ事故を繰り返す
大本の原因は、その背景にある30年前から続く国土交通省の無責任体制だ。同じく投稿者が過去の文章に述べたように、国土交通省のJCI人員削減方針、甘い船舶検査、緩い船舶免許の取得、安全を無視した規制緩和などが原因だ。責められるべきは大本の国土交通省であり、そこに全く触れていない運輸安全委員会の報告は、極めて意図的・政治的な臭いがする。船主、検査員など一部の人間に責任を負わせ、原因の根幹である組織の欠陥にメスを入れなければ、また同じ事故を繰り返すことは明白だ。

Sankoub
前号/知床観光船沈没事故8・検証◇加藤登紀子さん「知床旅情」鎮魂の思いを込めて歌い続ける

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知床観光船沈没事故8・検証◇加藤登紀子さん「知床旅情」鎮魂の思いを込めて歌い続ける/少数派

2022年12月14日 | リニア・交通網
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知床観光船沈没事故8・検証◇加藤登紀子さん「知床旅情」鎮魂の思いを込めて歌い続ける

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知床半島にある「知床旅情」の歌碑

■加藤氏・事故直後は「つらくて知床旅情が歌えなくなった」と心を痛める
毎日新聞を活用しています/北海道・知床半島沖で4月23日に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故に、今も心を痛める人たちがいる。「知床旅情」をヒットさせた歌手、加藤登紀子さん(78)もその一人。事故直後は、「つらくて知床旅情を歌えなくなった」という。しかし、作詞・作曲を手がけた名優、森繁久弥さん(1913~2009年)も過去に起きた事故への悲しみを作品で表現したことを思い、歌い続けようと決めた。鎮魂の思いを込めて。「つらい週末になってしまいました。水温は2度か3度、ほんとにどんなに冷たかったでしょう。知床の春は、強い風が吹くことが言われています」。土曜日の事故発生から2日後、加藤さんはブログに悲痛な思いをつづった。さらに事故による観光業への打撃を心配する思いを伝え、「知床の皆さん、頑張ってください。遠くから見守っています」と呼びかけた。

加藤さんは70年に知床旅情を発表し、レコードは約140万枚の大ヒットを記録した。翌71年に初めて現地を訪れてから、ずっと地元の人たちと交流を続けている。05年に知床半島が世界自然遺産に登録された際は、大きな喜びを感じたという。それだけに「今回の事故は、忠告を無視した無謀な出航が原因の一つとされ、たくさんの方々が犠牲になってしまいました。厳しい自然と向き合ってきた知床の人たちは船を出すことに慎重だと感じていただけに、残念でなりません」と話す。

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■知床旅情の曲の背景には羅臼の大きな海難事故、理不尽な悲劇に森繁さんは声を上げた
その知床旅情が生まれた背景にも、ある海難事故があったという。知床旅情の原曲「さらばラウスよ」は、「オホーツクの舟歌」というタイトルで映画「地の涯(はて)に生きるもの」(60年公開)の主題歌として使われた[ 下記・ユーチューブ]。映画は、作家の戸川幸夫さん(1912~2004年)の小説「オホーツク老人」が原作で、森繁さんの演じる老人が海難事故で犠牲になった息子を思い、泣き叫ぶシーンが盛り込まれた。このシーンのモデルとなったのは、59年4月に知床半島東側の羅臼(らうす)沖で悪天候の中、15隻の漁船が沈没・転覆し、89人が死亡した事故だった。事故を知った森繁さんは映画の製作を決意し、撮影ロケ地となった羅臼村(現羅臼町)を離れる際に「さらばラウスよ」を作り、現地で出会った人たちにささげたという。

加藤さんは、森繁さんから聞いた話を今でも覚えている。「『風が吹いた時は国後に逃げろ』と昔から言われていたのに、当時は(冷戦のさなかの)『鉄のカーテン』時代。国後に逃げてソ連に拿捕(だほ)されることを恐れた船が、羅臼港に戻ろうとして事故に遭ってしまいました」。この理不尽な悲劇に、森繁さんは声を上げたのです。カズワンの事故から2カ月(※補足下記)になろうとする今も心は痛むが、森繁さんの思いを共有して歌い続けていこうと考えている。加藤さんは力を込めて言った。「事故で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りします。事故の解明はもちろん大切ですが、事故の影響で打撃を受けている知床の漁業や観光が穏やかに回復することを願いつつ、鎮魂の思いを込めて、これからも知床旅情を歌っていきます」

投稿者の文章/半世紀以上、歌い込んだ知床旅情が歌えなくなる不安、事故後に歌うことの申し訳なさがあったと思う。今回の事故が、歌にまで影響しているのですね。同じことが阪神淡路大震災後の、前川清氏の「そして神戸」。氏はしばらく控えていたが、被災者のほうからぜひ歌ってくれとリクエストが多数寄せられ、それからは「応援歌」に変わった。加藤さんも、「知床応援歌」として歌って欲しい。森繫久彌作詞作曲・知床旅情の原曲「さらばラウスよ」は知っていたが、その背景にあったのが海難事故だことを初めて伺った。森繫氏は事故の痛ましさから、曲を書いた。知床旅情とオホーツクの舟歌とは曲調はほぼいっしょでも、詞はまるで違う。知床旅情は羅臼、オホーツクの舟歌は国後を主題にしている。どちらも半世紀前の詩ですが、後者は凍て付く北の大地を取り囲む海の厳しさを歌っている。昨今は温暖化で北海道も季節が緩みがちでも、春とは言え知床の海はまだまだ危険だ。繰り返すが、北海道の海を甘く見た人間による惨事だ。今後も国などの事故検証によって、責任者及び過去の国交省の怠慢が新たに見出せた場合や画期的な対策が講じられた際は投稿する。
補足/記事は6月に掲載されたが、投稿の順番から今回の投稿となった。

 オホーツクの舟歌 | 倍賞千恵子  ※曲前・曲後の音量にご注意下さい。(突如、削除される場合があります)

投稿者余談/事故の重大性は認識しつつも、知床の曲にも注目した。知床旅情について若干興覚めながら、ウィキペディアからの転載。『この曲については、高木東六から出だしが「早春賦」に類似していると指摘された。また歌詞にある「白夜(びゃくや)」についても、北海道では白夜は見られないことや、正しい読みは「はくや」であると指摘された。「白夜」についても、「知床旅情」以後全国では「びゃくや」の読みが一般化したとされ、NHKでも「びゃくや」を標準読みにしている。また、森繁は2番の歌詞にある「ピリカ」をアイヌメノコ=若い女性の意味のつもりで歌っていたが、羅臼地方で「ホッケの幼魚」の意味で使われることを知り、気にかかっていたという。』

Sankoub
前号/知床観光船沈没事故7・検証◇船長や責任者が緊急避難港の存在を知っていれば全員助かったかも

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知床観光船沈没事故7・検証◇船長や責任者が緊急避難港の存在を知っていれば全員助かったかも/少数派

2022年11月28日 | リニア・交通網
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知床観光船沈没事故7・検証◇船長や責任者が緊急避難港の存在を知っていれば全員助かったかも

Shiretoko12 Shiretoko11 避難港「文吉湾」

■過去大きな遭難事故が起き荒天時の緊急避難港として知床岬先端に文吉湾が作られたが
毎日新聞を活用しています/あの港に避難していれば――。北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、地元の漁業関係者らがそう口をそろえて語る場所がある。地元で「文吉(ぶんきち)湾」と呼ばれている避難港だ。半世紀以上前に同じ海域で起きた遭難事故を機に整備され、現在も半島の先端部付近にただ一つしかない避難用の港だという。新たな事故を重くみた斜里町は、漁業や観光船の事業者に対してその役割を改めて周知した。斜里町のウトロ地区の漁師、岩波元吉さん(70)はカズワンの事故後、ずっと心を痛めている。事故が発生した4月23日。一報を聞き、すぐに脳裏をよぎったのは1966年に同じ海で起きた遭難事故だ。低気圧による大シケで、ウトロ地区沖で操業中だったイカ釣り漁船2隻が遭難、計25人の死者、行方不明者が出た。2隻とも無理な航行で避難が遅れたとみられている。

国土交通省網走港湾事務所によると、1966年前後の知床岬周辺海域は、避難できずに遭難する漁船が相次いでおり、漁船2隻の事故を受けて斜里町は避難港の整備を国に要望した。当時、ウトロ漁港から知床岬を挟んで羅臼町の羅臼漁港まで約100キロの間に、荒天時に避難できる港はなかった。避難港は69年、ウトロ漁港の分港として着工し、77年に知床岬から約1.5キロの半島西岸に「文吉湾」が完成。断崖が続く海岸線の中で数少ない平地があり、シケの時に漁船が逃げ込める。ウトロの80代の漁師は「文吉湾ができてから大きな海難事故はなくなった」と振り返る。時代とともに知床半島周辺の状況は変わった。2005年の世界自然遺産登録後、小型観光船や個人のプレジャーボートなどが増加。一方、文吉湾は自然環境保護のため、観光やレジャーが目的の寄港が禁じられた。ある漁業関係者は「昔を知る地元の漁師は別としても、他の事業者からすれば避難用の港というより、『寄港が禁じられた場所』という印象が強かったのではないか」と打ち明ける。

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ウトロ漁港に近い海岸沿いに建つ1966年に起きた漁船遭難事故の慰霊碑=北海道斜里町

■北海道斜里町が沈没事故を受けて緊急時の避難先として把握するように呼びかけている
カズワンが事故当日に予定したのは、ウトロ漁港を出て約40キロ離れた知床岬まで行って戻る3時間のコースだった。救助を求める118番をしたのは知床半島西側の「カシュニの滝」付近。文吉湾から12キロの距離だった。当時、現場海域に強風・波浪注意報が出ており、岩波さんは「潮の流れも速く、高い波が立ち、小型船を扱うのは難しかったはずだ。文吉湾に逃げ込む選択ができなかったのか……」と指摘する。56年前の事故後には乗組員の遺族が慰霊碑を建立した。岩波さんは、その手入れをしてきた父親の役目を引き継いでいる。漁業関係者でかつての事故を知らない世代もいる。岩波さんは今回の事故を機に知床半島沖の海域の難しさを語り継ぐ気持ちを新たにした。カズワンの事故を受け、斜里町も漁港使用の注意事項の文面を変更した。文吉湾について「緊急時の避難先として把握」するように注意をうながし、漁業関係者をはじめ個人のプレジャーボート所有者や遊漁船事業者にも文書で通知した。斜里町の森高志水産林務課長は「海に出てしまった以上、船長の判断が大きくなる。万が一の時、命を守るためにも避難用の港としての役割を知ってほしい」と話す。

ここからは投稿者の文章/もしカズワンの船長や会社社長がこの避難港の存在を知っていれば、乗客と乗組員全員が助かったかもしれない。図のように、多分、知床岬の先端を折り返す地点でかなり危ない状態ではなかったかと推察する。数々の整備不良を重ね、経験が浅い会社だけに、文吉湾を知らなかったと思われる。過去の大事故が起きてせっかく作られた港なのに、その教訓が生かせなかった。海の怖さを舐めた会社は、何事もやることが駄目だ。事故後に分かったことは、出航のだいぶ前から船体にヒビが入っていた、アマチュア無線を使っていた、海域で電波が届かない携帯だった(事故時の連絡は客のドコモ携帯を借用)、航行中に社長(責任者・指示管理者)は事務所にいなかった、普段の日報の届け出も出鱈目だったなどいくつも不備がある。問題は業者の欠陥だけではなく、一方の国や国交省にも大きな責任がある。国の規制緩和により程度の悪い業者が乱入・野放し、国交省の定期点検の杜撰さ、緊急ボートの義務付けなし、そもそも船舶免許取得の甘さ、知床海域は緊急ヘリが1時間以内に現場へ到達できない体制などが相俟って重大事故が起きた。亡くなった方(行方不明者も含む)には気の毒だが、行政は大事故や死傷者が出ないと改善されない。これからは問題点が整備され、安全になるのか? いやいや1966年の戒めが生きずに、また今回の大事故が起きた。これから長い年月が経つと世代が代わり反省も風化し、また同じような事故が発生するのか何とも分からない。

Sankoub 前号/知床観光船沈没事故6・検証◇国の「規制緩和」が旅客船業者の競争激化・安全の蔑ろ

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知床観光船沈没事故6・検証◇国の「規制緩和」が旅客船業者の競争激化・安全の蔑ろ/少数派

2022年11月14日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
知床観光船沈没事故6・検証◇国の「規制緩和」が旅客船業者の競争激化・安全の蔑ろ

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■船舶免許の取得は普通自動車免許より遥かに容易、知床遊覧船の事故は必然?
前号では、国交省の検査・監査の甘さを指摘した。船舶の安全にはかなり問題が多く、専門家は船舶免許取得の“緩さ”を訴える。例えば、「二級小型船舶免許」の例だ。20トン未満の船舶、24m未満のプレジャーボート、沖合5海里(海岸から約9km)まで操縦できる。2020年度の受験者9941人のうち、合格者9680人、合格率97.4%。100人で3人も落ちない。外洋航行ができる一級免許にしても、合格率が92.5%。一定期間の技能経験がなくてOK。視力も0.5以上でいいのも気になる。呆れるほど短時間の実技と簡単な試験問題で取れる、“落ちない試験”と言われる。荒れる気象や海流などかなり難しい試験の印象があるが、バス・大型トラック向けの大型二種どころか普通自動車免許取得より遥かに容易なことが分かった。旅客船や遊漁船など人の運送をするにも関わらず、これでは不適格者が何万人もプロの船長をやっている可能性がある。女子アナやタレントが、よくプロフィールに「船舶免許」とか書かれているのが気になっていた。「努力の賜物」ではなく、単なる”履歴を飾る資格”に過ぎなかったのだ。前述の専門家は、「国の船長に対する資格、安全に対する意識が猛烈に低い」と語気を強める。その結果、知床遊覧船の事故は必然だったと言う。国の制度の欠陥、免許を乱発してきたツケが出てきていると断罪する。

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投稿者がもう1つ強く言いたいのは、「安全より利益優先の新規参入業者を許した、国による『規制緩和』がもたらした影響」を説明する。1990年代から政府は経済政策として、各分野で『規制緩和』が進められた。国交省は「市場原理と自己責任原理の下に競争を促進」として、1995年、遊覧船の自由参入が容易となった。結果、新規参入者が増え、上のグラフのように96年413社だった事業者が21年には560社と147社・36%増となった。知床遊覧船会社は、2001年、事業の許可を得た。参入基準を緩めれば競争激化になり、「安全より儲けを優先する事業者の参入」は当然だ。そもそも最も安全が求められる船舶まで何も自由化させる必要はなく、自由化させた国交省の責任=間違いは重い。さて沈没事故後に参院選が控えていたので、慌てた政府・国交省は、すぐさま世界有数の日本のサルベージ会社に沈んだKAZUⅠの引き上げを要請。10億円を掛けて、人道的な“演出”を企てた。当然、知床遊覧船側は支払いできず、事実上の肩代わりの税金使用だ。国交省は、検査等の不備・瑕疵が国民から追及されないように迅速な動きを見せた。繰り返すが、知床遊覧船側の無責任は許されないが、事故に至るまでの数十年に渡る政府・国交省の怠慢・法や機能の整備不足は重大だ。皆様にはぜひ事故の裏側や、真の責任がどこにあったのかを知って欲しい。

Sankoub
次号/知床観光船沈没事故7・検証◇船長や責任者が緊急避難港の存在を知っていれば全員助かったかも
前号/知床観光船沈没事故5・検証◇船舶管理者の安全意識が緩むのは国交省の緩い検査

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知床観光船沈没事故5・検証◇船舶管理者の安全意識が緩むのは国交省の緩い検査/少数派

2022年11月01日 | リニア・交通網
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知床観光船沈没事故5・検証◇船舶管理者の安全意識が緩むのは国交省の緩い検査

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■まともな船舶検査が行われないほどの検査体制・人員確保の脆弱さが事故の遠因に
事故後半年が経過したが、投稿者はさらに追及したい。沈没により多くの死者・行方不明の方が発生したことに対し、今までは知床遊覧船側・管理者(社長)の瑕疵を述べてきた。社長を擁護する気は全くないが、ここからは背景にある国交省の船舶全般の監査・検査体制の甘さを捉える。さらには安全より利益優先の新規参入業者を許した、国による「規制緩和」(次号説明)がもたらした影響を説明する。投稿者が、新聞やTVニュースなどをまとめた。まず国交省による旅客船や貨物船の運航事業者に対し、海上運送法(下表・左)によって3年に1回ペースで定期監査を行っている。しかし実態は、十分な監査がなぜ行われていない。表・右の通り2020年度に全国の定期、事故が起きた場合の特別監査を合わせて1919件実施され、行政指導15件・行政処分は2件だった。処分に至るケースは少なく、業者名公表を伴う安全確保命令に留まり、過去10年で事業停止0件、許可取り消しは2件に過ぎない。監査は、各地の運輸局職員が事前に事業者と日程調整して実施される。現に知床遊覧船の元従業員は、「突然、抜き打ちで来る訳ではないので、その時だけどうにかすればいいという、緩い雰囲気だった」と話す。これほど“緩く甘い” 監査なので、船舶管理者の安全意識は薄くなるのは当然だ。船舶管理者の安全意識が緩むのは、国交省の緩い検査が遠因になっている。

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他方、国交省は小型旅客船について船舶安全法(表・左)に基づいて、5年に1度の船舶検査も行う。国の代行機関として、小型船舶検査機構(JCI)が対応する。JCIは全国31か所・140人しかいない。しかも2020年度の対象船は約32万隻(検査は5年に1度)。検査員は業務用車で現場に赴き、1日平均3.2隻、154㎞を移動する強行軍。3分の2が春から夏に集中し、その時期は1日4.6隻の検査に膨れる。船体・機関・無線設備・救命設備などを確認するが、ある船の所有者は「検査は資料や法定備品が揃っているかを調べ、すぐ終わる」。投稿者としてはおそらく形式な検査、目視(見ただけ)など検査にも匹敵しないものだと思われる。短時間で数をこなさなければならず、消化できないはず。検査体制が、極めて脆弱だ。TVでお馴染みの東海大の山田吉彦教授は、「検査数に対しJCIの人員が追い付いていない」「監査も抜き打ちじゃないと意味をなさない」と指摘する。しかし国交省は19年に150人いた検査員を、今年度138人に削減しようとする逆行計画だ。海難事故の弁護士は、「忙しく、”まともに”検査をやっていられない」とも言う。こうした国交省の無責任かつ、まさしく”お役所仕事”な検査体制が、巡り巡って重大な海難事故を起こしたとも言える。

Sankoub 前号/知床観光船沈没事故4・検証◇大惨事はコロナ禍の収益不足による船主側の焦りが強引な出航に

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知床観光船沈没事故4・検証◇大惨事はコロナ禍の収益不足による船主側の焦りが強引な出航に/少数派

2022年09月26日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
知床観光船沈没事故4・検証◇大惨事はコロナ禍の収益不足による船主側の焦りが強引な出航に

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■桂田社長の儲け主義、船長へは満足に訓練・経験をさせない体質に元凶があった
投稿者が新聞や資料などを集め、ここからは僭越ながら個人として検証を行う。4月23日、観光客ら26人を乗せた知床観光船が沈没した事故で、当日の未明に、強風注意報・早朝に波浪注意報という荒天が予測されたにも関わらず出航した。実際には出航したウトロ魚港でさえ、風速10数m・波の高さ3mが計測された。知床の海や潮の恐ろしさを熟知している地元の漁師は、出掛けなかった。あるいは波が穏やかな朝早々に、漁を切り上げ戻ってきている。投稿者としては背景の遠因に「コロナ禍の影響」、つまり観光客が集まらないことから船主側の収益不足への焦り、旅行会社も中々始まらないGOTO再開への焦りなどから、強引な企画があったと考える。地元の観光船数社の話し合いでは、4/28からの一斉出航の段取りだった。しかし事故を起こした知床遊覧船社だけが、抜け駆け的な出航をした。

元々の船主側経営者が代わり、旅館経営者・桂田精一社長が買い取った。他の観光船業者や漁師は、だから運航管理の甘さや海に慣れていなかったのだろうと言う。さらにはその間に従業員は全員クビ、給料を安く設定させ新規に採用した船長や従業員に代わった。現船長はそれまでに船長の経験はなく、埼玉出身で地元の海の動きには未熟だった。船長2年目のいわゆる“名ばかり船長”で、事故当日が今年初めてだった。船長は従前、SNSで自分の会社はブラック企業だと投稿、桂田社長から酷使されていたそうだ。一方、海仲間からも、操舵の未熟さを指摘されていた。1年目の昨年は浅い場所で座礁したり、漂流物にぶつかる事故を2度起こしている。TVニュースでは、昨年、乗船の観光客が何度も岩にぶつかりそうで怖かったと証言している。桂田社長は”金にうるさく”、船の維持に金を掛けていなかったという証言がある。船長の技能以前に、満足に訓練・経験をさせない経営者側の体質に元凶があったと考える。

■16年に15人死亡の軽井沢スキーバス事故に酷似・経営者の安全操業の軽視
そこには海の怖さを知らない新経営者、コロナ禍で一人でも多くの観光客を取りたい心理が働き、フライングしたのではないかと推察する。もう1点極めて重要な点は、出航のだいぶ前から船首にひび割れを起こしていたことが、漁師か他社観光船の方かは不明も指摘されていたことだ。もし分かっていて経営者が修理せずに放置していたら論外だ。ここにも経費削減、儲け第一主義が蔓延っていたとも予想される。経営者が修理を見過ごした点、あるいは船長さえ物が言えない企業体質があったのか。また未熟な船長や乗船員で、出航せざる得ない体質。2016年1月、15人が亡くなった軽井沢スキーバス事故、冬道や夜行運転が未経験な運転手を強引に運転させたこの事故に酷似している。経営者の安全操業の軽視、きつい労働条件、儲け主義が根底にあったと推測する。確かに、コロナ禍の厳しい条件が加算される。しかしコロナだからこそ、慎重な対応が求められる。

最後は、コロナ禍が2年続き、斡旋した全国の旅行会社や運航会社に焦りがあったのではと考える。GOTOトラベルの前哨戦待ちの、旅行会社にも責任がある。北海道の観光関係者は、「今の時期、知床半島の先端は海が落ち着かない。通常は5月半ばなら行けるが、この時期は早過ぎる。」と指摘する。船主側の焦り、早期の運航をけしかける旅行会社の魂胆に見え隠れする。今回は業者側2者が悪いが、飽くまでも一般論としてこんな問題も潜在する。どこの観光地でも天候悪化から運航中止でもしたら、お客から「東京や大阪からわざわざやって来たのに中止とは、ふざけるな!金返せ!」と怒鳴られることが多いそうだ。客とのトラブルを避けたく、総じて業者側は無理な出航をせざるを得なくなる。

Sankoub
次号/知床観光船沈没事故5・検証◇船舶管理者の安全意識が緩むのは国交省の緩い検査
前号/知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった

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知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった/少数派

2022年06月10日 | リニア・交通網
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知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった

M20220526

■体制不備と悪条件で救難ヘリの現場到着が通報から3時間15分も要す現状
前号から続く/事故が起きた4月23日、カズワンから118番通報が入ったのは午後1時15分頃。直線距離で約160キロ離れた海上保安庁・釧路航空基地から飛び立ったヘリコプター「しまふくろう2号」が、現場上空へ到着したのは午後4時半頃で、この時点では海上にカズワンの姿は見当たらなかった。なぜこんなにも時間も要したのか?それは救難体制の不備と悪条件が重なり、通報から約3時間15分も掛かった。基地から直行していれば、現場上空へ1時間程度で到着できるはずだった。しかし事故発生時は別の海域をパトロール中で、やむなく救助活動に必要な燃料を補給するために一旦基地へ帰還。巡視船「えりも」の潜水士や資材を乗せ、午後3時半頃に基地を再び出発した。

基地にはヘリがもう1機配置されていたが、事故発生時は整備中で使用できなかった。一方、函館航空基地からもう1機、準備を整えたヘリ「くまたか2号」が機動救難士を乗せて飛び立ったのは午後3時頃。現場への直行は無理で、釧路航空基地で一旦燃料を補給し、現場付近に到着したのは午後6時半頃だった。海保は周辺管区から、順次、航空機5機、巡視船7隻を急行させたが、強風と高波で速度を落とさざるを得ず、現場到着が遅れた。この事故で投稿者が分かったことだが、貼付図のように知床半島沖を含めた道東の一部は、海難事故の際にヘリコプターから救助にあたる「機動救難士」が、約1時間以内に到着できる範囲から外れるエリアだった。事故頻度が少ないのか・北方領土の対ロシアとの海域問題かは不明だが、空白海域があってはならないことだ。海保は事故後になって、自衛隊や警察と連携改善、ヘリの増強を進めたいとコメントした。

■救難空白海域・観光船の連絡不備にも関わらず運航を許可した国交省の責任は重大
因みに海上保安庁によると、機動救難士は海上の船舶で発生した傷病者や、漂流する遭難者などをヘリから救助にあたる「エアレスキュー」を主な任務としている。全国9カ所の航空基地に、約80人が配置されている。海難救助のスペシャリストとされる特殊救難隊約40人は、羽田航空基地(東京)に配置されている。このように日本の沿岸海域の大部分へ、映画「海猿」で有名になった機動救難士らが約1時間で到着できる体制を構築している。ただ、機動救難士が配置されている最北の拠点は函館航空基地で、今回の事故現場を含めた道東エリアは「エアレスキューの空白地帯」(貼付図参照)とも言われていた。なお空白地帯はこの道東エリアと、稚内などの北海道北部、図では分かりにくいが鹿児島・奄美周辺の3エリアとなっている。

今回、道東エリアがカバー整備されていれば通報から1時間後、今のところカズワンの沈没時刻は不明ながら、あるいは沈没前に現場到着ができ乗客は救出されていたかもしれない。ただ当時、現場海域は強風と高波の荒天で、1時間後に到着できても果たして救助できたか結果は分からない。ここからが問題で、そもそも基本的なことだが、国交省は道東エリアが救難空白海域である事実を認識していたはずだ。であるならば繰り返すが、“救助が困難な海域”に加え、衛星電話不備、無線不備(不適格)、携帯電話不通エリアにも関わらず、国交省が行政指導を行った「欠陥運航会社」をそのまま認可していたことは重大な瑕疵だ。こうした意味においても、国土省は重大な過失責任がある。亡くなった方・行方不明者には気の毒だが、不適格な運航会社の体質と杜撰な体質の国交省が起こした「死のスパイラル」だ。<次号に続く>

追記9.24/海上保安庁は事故を契機に道東部の空白地域をカバーするとして、23年4月に釧路航空基地に機動救難士9人を配置、23年度中に中型ヘリコプター1機を追加配備する方針を示した。

Sankoub
前号/知床観光船沈没事故2・18日間も同じ波高の運行記録でも国交省「安全向上」したと結論

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知床観光船沈没事故2・18日間も同じ波高の運行記録でも国交省「安全向上」したと結論/少数派

2022年06月04日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
知床観光船沈没事故2・18日間も同じ波高の運行記録でも国交省「安全向上」したと結論

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■岸田首相や斎藤国交大臣の“素早い行動”は参院選へ向けて政府失態の隠蔽
前号から続く/過去、様々な鉄道や船舶などの事故が起きたが、これほどまで知床遊覧船・桂田精一社長の安全運航無視の杜撰さを見たことがない。しかし誤解なきよう申し上げれば、事故の発端となったのは国交省のそれまでの放置ぶりだ。事故直後の岸田首相と斉藤国交大臣の異常なほどの“素早い行動”に、投稿者はピンときた。岸田首相は遊説先から宿泊を取りやめ、急遽官邸へ戻った。斉藤大臣に至っては、即刻、現地に飛んだ。あまりにも異例の早い対応は、遭難者を気遣う行動ではないと思ったが不幸にも的中した。国交省や管轄組織、総務省の管理体制の杜撰さを覆い隠す行動だった。

現地組織が、過去から知床遊覧船会社の安全怠慢を見逃し・黙認してきたことだ。本省内部でも、即座に把握したのだろう。素早い行動は、繰り返すがやはり国交省の「怠慢の隠蔽工作」だった。明らかに、7月の参院選へ向けて政府の失態隠しに他ならない。しかし次から次へと、隠しきれないほど関係省庁の放置・黙認などの酷さが分かってしまった。そこで今度は、慌てて10億円単位の税金を使って特殊船舶を借り上げた。所詮、原因究明はポーズであり、選挙対策であることはミエミエだ。投稿者として遺族の方への哀悼、行方不明の方への配慮と、桂田社長への批判は然るべきことだが、一方で当視点で鑑み、政府・国交省のいい加減さを追及するのはしごく当然だ。

■同じ数値を羅列した運行記録簿に運輸局幹部11人が驚くべき承認の押印
貼付画像の運行記録簿(報告数値)をご覧頂きたい。風速0.5s/m?(m/s秒速)、波高0.5m、視程5000m~1日数回、分かっただけでも昨年21年の7月10日から27日まで18日間も同じ数値が続く。期間は発表された運行記録簿だけであって、飽くまで推測だがその後も同様だったと思われる。運行記録簿を見るだけでも、桂田社長の安全を舐め切った態度が分かる。さらに桂田社長の悪質・無神経さに驚くのは、このデータは昨年6月に事故を起こし行政指導を受けた直後の運行記録簿だ。よくこんなものが出せたと思う。それに対して、国交省北海道運輸局は何と言ったか?「以前より安全と法令遵守意識が向上したことを確認できた」と結論付けていたことだ。

いやま~、投稿者は驚きと呆れの入り混じった状態で頭がクラクラした。それも運輸局幹部11人が、この運行記録簿に対し承認の押印をしていることだ。後で分かったことだが、国交省は同社に行政指導したことさえ公表していなかった。次から次と、社長と国交省の怠慢が明らかになる。衛星電話の故障と言っているが、実際は無保守。無線アンテナが雪で欠損、その無線も業務用無線ではなく違法なアマチュア無線を使用していたこと。少なくとも国交省がこれらの違反を見逃さず(実際は黙認)、厳しく業者是正していれば、結果として大勢の尊い命を失くすことはなかった。こうした国の検査が機能しない国交省の無責任体制、安全への杜撰さは厳しく問い糾さなければならない。<次号に続く>

Sankoub
次号/知床観光船沈没事故3・道東エリアは海保機動救難士が1時間で到着できない空白海域だった
前号/知床観光船沈没事故1・元を糾せば国交省のおざなり対応が発端・会社の言い分を鵜呑み

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知床観光船沈没事故1・元を糾せば国交省のおざなり対応が発端・会社の言い分を鵜呑み/少数派

2022年05月23日 | リニア・交通網
Ns170minoritytp 少数派シリーズ/交通網
知床観光船沈没事故1・元を糾せば国交省のおざなり対応が発端・会社の言い分を鵜呑み

Shiretoko1

■まず投稿者の文章|当ブログでは知床遊覧船の安全怠慢を放置した国交省の責任を追及
知床観光船沈没事故について、4回に分けて投稿致します。まずは、しんぶん赤旗紙の活用です。事故は調度1か月前の4月23日に発生、投稿日現在・乗客乗員26人のうち死亡14人、未だに12人が行方不明だ。メディアは事故直後から、連日、運航会社の知床遊覧船、とりわけ桂田精一社長の安全運航の欠如、無責任な対応を報道している。投稿者は調べているうちに会社側の怠慢が明らかになるとともに、こうした会社を野放し黙認した事実が次から次と判明、国交省の責任が相当重いことを認識した。国交省の斉藤大臣は、隠蔽しようとした節さえある。当然、運航会社の怠慢は許されるものではないが、当ブログでは次回以降も視点を変えて国交省の無責任さに絞り掲載したい。次回予定・国交省の安全へ対する無責任体制、3回目・道東エリアは救難空白海域だった、4回目は観光船などの規制緩和の弊害をお伝えする。

■国の検査が極めて甘く安全置き去りの運航会社の姿勢を事実上放置してきた実態
投稿はしんぶん赤旗を活用しております/北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故は、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)のずさんな運航管理とともに、それを見抜けなかった国の姿勢も問われています。国土交通省が昨年21年、同社に行った改善指導は守られていなかったのに、同社の言い分をうのみにして運航許可を与えていました。なぜ、おざなりのチェックで済ませたのか。国の対応の徹底検証が不可欠です。カズワンは昨年5月、浮遊物と衝突して負傷者を出し、同6月には浅瀬に座礁しました。国交省北海道運輸局は2件の事故について知床遊覧船に特別監査を実施し、同7月に行政指導しています。同省は5月13日、行政指導の内容や経過を示す当時の報告書などを公表しました。一連の資料からは国の検査が極めて甘く、安全置き去りの運航会社の姿勢を事実上放置してきた実態が浮かびます。

北海道運輸局は、安全確保を最優先する意識の定着のため、「安全統括管理者(運航管理者)は、常に連絡を取れる状態を維持し、事故発生時等に際しては確実に報告を受け、必要な措置を講じられる体制」の確立などを求めました。同社は、営業所に運航管理者(社長)が不在でも「補助者」を配置し、海上の船長と連絡体制を構築するなどとする報告書を提出しました。しかし、今回の沈没事故では、事故時に桂田精一社長は不在で、書類上は補助者も空白になっていました。運輸局は昨年10月、改善状況の確認を無通告で行いました。その際、不在だった桂田社長が「安全があっての商売」「安全運航に努める」と電話で話したことなどを挙げて「以前より安全と法令遵守意識が向上したことを確認出来た」と結論づけました。これでは、検査の意味をなしていません。

■国検査を代行する日本小型船舶検査機構は乗客の命にかかわる問題との認識はなかったのか
知床遊覧船が昨年7月に提出した運航記録簿は、風速や波高の数字が全て同じでした。信ぴょう性が疑われます。ところが、昨年10月に運輸局は「記録簿関係は直近の日付のものまできちんと整理」されていたと評価しました。国交省は検査のあり方を反省するといいますが、数々の問題を見逃してきた責任は厳しく追及されなければなりません。国の検査を代行する「日本小型船舶検査機構(JCI)」の対応も重大です。同機構は沈没事故発生3日前、知床遊覧船に法律に基づく年1回の検査を行いました。この時、陸上との通信手段を衛星電話から携帯電話に変更することをカズワンの船長から申請され、認めました。実際は航路の大半が通信圏外でしたが、船長の「つながる」との証言を根拠にしました。

機構には、乗客の命にかかわる問題との認識はなかったのか。検査のあり方も含め解明が必要です。業者の参入の仕組みの検証も欠かせません。貸し切りバス事業では需給調整規制の撤廃が、不適格業者の参入を増加させ、安全軽視の重大事故を引き起こしたことが大問題になりました。海上運送分野でも1999年の法改定で需給調整が廃止されました。規制緩和の中で宿泊業など他業種からの参入も目立つといいます。海の安全を事業者任せにしていないか。再発防止に総点検が急務です。<次号に続く>

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Sankoub 次号/知床観光船沈没事故2・18日間も同じ波高の運行記録でも国交省「安全向上」したと結論

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