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知床観光船沈没事故10・検証◇船倉内の隔壁設置の義務化・水難学会はドライスーツ着用を/少数派

2023年04月17日 | リニア・交通網
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知床観光船沈没事故10・検証◇船倉内の隔壁設置の義務化・水難学会はドライスーツ着用を

Shiretoko15(イラスト前出)

■ます投稿者の文章|沈没事故撲滅のポイントは早急なる国交省・船舶部署の体制変更に尽きる
22年4月23日、知床観光船が衝撃的な沈没事故を起こしてから、まもなく1年をむかえる。乗員乗客26人のうち死者20人、6人は未だ行方不明だ。この1年間の状況について前号では、まず国交省の報告から沈没原因を3つ上げた。原因1・船首部分の「ハッチ」を密閉する留具に不具合があったこと。原因2-A・船体隔壁に穴が開けられ大量の海水が浸水しエンジンを停止させた。原因2-B・知床半島沖に不向きな船体構造だった・バラスト(砂袋)の位置も不適切。原因3・運輸安全委員会は、日本小型船舶検査機構(JCI)の検査が不十分だったと指摘。投稿者はさらに専門家の見解を新聞などからまとめ、『大本の原因は国土交通省の無責任体制にある』とした。今回、国交省は船倉を隔壁で仕切る「水密構造の義務化」で終わらせることに憤りを感じる。ここまで10回に渡り申し上げてきたように、肝心なことは緩い法律・基準・検査体制を変えようとしてこなかった「国交省の無責任」を改めること。もちろん今回の措置や水難学会の提言は有効ではあるものの、事故撲滅のポイントは早急なる国交省・船舶部署の体制変更にある。

■国交省方針・25年以降の新造小型旅客船に水密構造(隔壁で区画の仕切り)を義務化
ここからは毎日新聞を活用しています/北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は4月4日、2025年度以降に新たに造られる小型旅客船について、甲板の下にある区画を仕切る隔壁を水を通さない「水密構造」とすることを義務付ける方針を決めた。波による浸水を防ぐため、甲板全体を水密構造とすることも義務化する。船舶安全法の省令、小型船舶安全規則を改正する。国の運輸安全委員会が22年12月に公表したカズワンの事故原因に関する経過報告によると、カズワンの甲板の下は二つの船倉のほか、エンジンのある「機関室」や「舵機(だき)室」の4区画に分かれる構造になっていた。それぞれ隔壁で仕切られていたが、いずれも穴の開いた場所があった。そのため、ふたに不具合のあった船首部分のハッチなどから流れ込んだ海水が船内に広がり、沈没につながったとされる。現行制度上、港から2時間以内で往復できる「限定沿海区域」を航行するカズワンのような小型旅客船は隔壁を設置する義務はない。事故の状況や経過報告を踏まえ、国交省は甲板下の区画に水密構造の隔壁を2枚以上設置し、一つの区画に水が入っても他の区画に浸水が広がらないようにすることが、リスク低減につながると判断したという。一方で既存船などは水密構造の隔壁の設置が困難な場合もあるとみられ、国交省は代替措置として浸水警報装置や排水設備の設置などを義務付ける方向で調整している。

■水難学会が事故検証と提言「ドライスーツ着用標準化を」、春先の知床ツアー「服装の再考を」
一般社団法人「水難学会」は低水温期の海難事故を想定した実験を行い、3月に結果を発表した。防水性が高くマリンスポーツなどで使われるドライスーツを防寒着の上に着て体温の変化を調べたところ、水温0.5度の水につかった状態でも3時間は生存できる可能性があることが分かったという。長岡技術科学大大学院教授の斎藤秀俊・水難学会会長は「スキー場で普段着が推奨されないように、知床の春先の海を体験するツアーで普段着がふさわしいのか考え直したほうがいいのでは」と指摘した。そのうえで、水温が17度を下回ってくると生存可能な時間が短くなるとして「(そうした海に出る船に乗る場合は)ドライスーツ着用を標準化すべきだ」と語った。カズワンの事故を巡る運輸安全委員会の経過報告によると、22年4月23日昼の事故当時、現場海域の海面水温は約4度。一般的に水温0~5度の場合、人は15~30分で体温が28度まで下がって意識不明となり、生存可能な時間は30~90分とされる。斎藤会長は事故で亡くなった乗客らについて、「短時間でも生命維持が極めて厳しかった」とみる。こうした状況を踏まえ、水難学会は性能が向上し、入手が容易となってきたドライスーツを用いた実験を計画し、2月下旬に実施した。

実験では、長袖シャツとジーンズの標準装備に、上着として ▽防寒ジャケット ▽フリース ▽トレーナーの3パターンを身に着ける服装を試した。これらの服装の上にレジャー用のドライスーツを着用し、0.5度の冷水に15分間ずつ入るという条件で体温の変化を確認した。それぞれ体の複数箇所に温度記録計を付けて調べたところ、フリースやトレーナーにドライスーツの場合は上半身の体温が緩やかに下がったが、防寒ジャケットとの組み合わせでは体温が維持されたという。斎藤会長は結果について「波の影響を考慮し、熱放出などを計算しても約3時間は生命を維持できる可能性がある」と述べた。さらに詳細なデータ分析や検証を続けるという。安倍淳副会長は「水の浸入を防ぐだけでなく、空気層が生まれて断熱効果で熱放出が抑えられる」と、ドライスーツの有効性を説明した。一方、国は海に入らずに避難できるスライダー付き救命いかだの搭載義務化などの対策を進めているが、安倍副会長は「国の認証を受けた小型船用のスライダー付き救命いかだは開発中で、いつ完成するか分からない。現状では、ドライスーツと救命浮輪などを組み合わせることが現実的な対策だ」としている。
ドライスーツ(投稿者補足)/全身一体のワンピース型で、生地の接合部は各種の方法で水密に仕上げる。特に潜水用のものではブーツ、時にはフードやグローブまでもが一体となっている。試験結果、及び特殊な分野での使用はこのドライスーツが最適なのだろうが、一般客への装着の強制には限界があると思われる。こうでもしなければ命が守れなければ、やむを得ない。

Sankoub
前号/知床観光船沈没事故9・検証◇沈没原因はハッチの不整備と隔壁に穴が開けられ海水が流れ込んだ

Ntopkeiji

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