劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

映画版の「妻と女の間に」

2018-01-11 15:15:48 | 映画
久しぶりにビデオで映画を観る。衛星放送で市川崑の特集があり、その中の一本として放映されたのだが、監督は市川崑だったかなあと思いながら観たら、豊田四郎と市川崑の共同監督になっていた。珍しいなと思って調べてみると、基本は豊田四郎の作品だが、体調がすぐれなかったために、市川崑が手伝ったらしい。豊田四郎の最後の作品となっている。ということで、市川崑ではなく、豊田四郎の作風を感じさせる映画。

原作は出家する前の瀬戸内晴美時代の小説で、京都の呉服問屋の四人姉妹の結婚生活とその悩みを描いたような作品。1976年の作品で、この時代ならば街の風俗を見ているだけでも面白いと思って見たいたのだが、殆んどがスタジオでのセット撮影で、町の風景は皆無だったので、時代風俗を楽しむという点では裏切られた。

四人姉妹は三田佳子、大空眞弓、酒井和歌子、仁科明子で、次女の夫の愛人役で梶芽衣子も出てくるので、女優陣が豪華で楽しめる。最近はこういう豪華女優陣競演という映画を見ていないと思いながら観る。

それにしても、美しいカラー映画なのだが、この時代にしては珍しくスタンダード・サイズの画面。豊田四郎はスタンダードが好きだったのかなあと考える。

それでも登場人物の女性たちは、今の基準で考えると結構古い道徳観で縛れれていて、夫の浮気や、自分の浮気に悩んだりする。今から考えると時代が変化したのだと思うが、たったの40年でかくも変化したのかと、改めて驚いた。