劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

都響のブラームス

2022-07-30 10:58:25 | 音楽
7月29日に東京文化会館で、都響のブラームスを聴く。7割程度の入り。入り口で手のアルコール消毒を強制されなくなったのは良い変化。世界的にエアゾル感染だとの共通認識があり、感染対策は換気などが中心だが、日本はなぜか初期に決めた接触感染対策を律義に続けているが、あまり意味がないからやめた方が良いという気がする。

曲目は前半がヴァイオリンとチェロのために二重協奏曲。後半は交響曲1番。前半のソリストは、ヴァイオリンが成田達樹、チェロが笹沼樹で、若々しい。指揮者は80歳を超えたと思われる秋山和慶。

ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲は初めて聞いたが、なかなか面白い曲。特に、笹沼のチェロが力強い音ながらとても柔らかい音色なので、なかなか良いなあという気がした。成田のヴァイオリンは、繊細でチェロと比べると、少し弱い気がした。それでも二人の重奏部分はとても美しく響いて、聞きほれた。

後半の交響曲は、大ヴェテランの秋山の指揮だが、少し生気を欠いた印象。もっと生き生きとした響きで聴きたかったが、軽く流れた印象。指揮ぶりでは元気そうに見えたが、演奏はやはり年を感じさせる印象だった。

帰りがけに、いつものスペインバルで軽い食事。トルティージャ、ハモン、生ハムのクリームコロッケ、焼き野菜のマリネ、イカのフリットスなど。

読響のアランフェス協奏曲とサンサーンス交響曲3番

2022-07-27 13:14:05 | 音楽
7月26日(火)の夜にサントリー・ホールで読響のコンサートを聴く。8~9割ぐらいの入り。アルゼンチン出身のアレホ・ペレスの指揮で、ロッシーニの「泥棒かささぎ序曲」、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」、サン=サーンスの交響曲3番「オルガン付き」。

最初のロッシーニの序曲は、軽快でコンサートの最初に聴くと、心も晴れやかになり、これから本格的に聴くぞという気分にさせてくれる。食事なら、うまい前菜といった感じ。ペレスは歌劇場での経験が長いようで、こうしたオペラの序曲を実に生き生きと指揮していた。

次の「アランフェス協奏曲」は村治佳織のギターという予定だったが、本人が出演できなくなり、代わって弟の村治奏一がギターを弾いた。佳織のギターは何度も聞いていたが、弟のギターは初めて。姉に勝るとも劣らない演奏ぶりで、良い演奏だった。オケと共演するとギターの音量とオケの音量のバランスがなかなか難しく、ギターが良く聞こえなくて困ることがあるが、今回の演奏は、そのバランスをうまくとっており、楽しめた。

後半は大編成で、サン=サーンスの交響曲。これは珍しく途中でパイプオルガンの迫力ある演奏が入るので、生で聞くと格別に面白い。オーケストラが入ってきた時に、コンマスの長原氏がいたので、当然コンマスかと思ったら、ゲストコンマスの日下さんがコンマスをやったので、ちょっと驚いた。そういう観点でよく見ると、3管編成なのでオーボエは3人だが、主席の席に東京交響楽団の首席オーボエ奏者の荒木さんがいたのでびっくりした。読響に移籍したのかと思って、プログラムのメンバー表を見たが載っていない。現在の読響の楽団員ではオーボエは二人しかいないので、東京交響楽団から借りたのかなと思った。借りてきて主席ということもあるのだなと、初めて知った。

サン=サーンスも演奏は充実していて、楽しめるコンサートだった。家にまっすぐ帰り、家にあるもので食事。マッシュルームとトマトのオムレツ、ペンネのカポナータ・ソースなどを作って食べる。飲み物は、カヴァ。

読響と諏訪内晶子

2022-07-23 11:21:58 | 音楽
7月22日(金)の夜に、サントリーホールで読響のコンサートを聴く。6割程度の入り。指揮はアルゼンチンのアレホ・ペレスで、若々しくて、エネルギッシュな指揮ぶり。

曲目は、最初にエトヴェッシュの2020年作「セイレーンの歌」。ホーメロスのオデッセイで出てくる「セイレーン」なので、美しい声かなとも思ったが、思いっきり現代音楽で、オデッセイに書いてある通り、耳を蝋でふさいだ方が良いかもしれないと思わせるような曲だった。どうも、現代曲は苦手だ。

続いて、諏訪内晶子のヴァイオリンとエフゲニ・ボジャノフ(ブルガリア出身だそうだ)のピアノによる、メンデルスゾーンの協奏曲。メンデルスゾーンなので安心して聴けるが、曲としてそれほど面白くもない。多々、ピアノとヴァイオリンの掛け合いはなかなか楽しめた。

休憩の後はショスタコーヴィチの大曲「交響曲12番」副題に1917年とあるので、ロシア革命の二月革命、十月革命を題材としている。スターリンが亡くなった後ではあるが、まだソ連時代で社会主義リアリズムが必要だとされていたので、何しろ革命の勇ましさを示すために、最初から最後まで100人編成の大オーケストラが、大音量で音を響かせる。打楽器だけでも10名ぐらいいそうな編成だ。つまらない曲ではないが、のべつ幕なし大音響なので、聞き終わると耳が付かれる感じだった。それでもっ最近のロックコンサートよりもましか。

終了が21時15分頃だったので、急いで出ていつものスペインバルで軽い食事。トルティージャ、ハモン、ポテトサラダ、イワシのエスカベッシュ、豚ヒレ肉のオレンジソースなど。

日伊声楽コンコルソ

2022-07-20 11:15:34 | 音楽
7月19日(火)の午後に、東京文化会館小ホールで日伊声楽コンコルソを聴く。今回は58回なので、伝統ある賞だ。応募者総数は125名で、その中の10名が本選で歌った。オペラ2曲と歌曲1曲を歌う。

今回は10人中8人が男性で、女性が2名。例年と比率が逆なので、驚いた。女性はソプラノとメゾソプラノ、男性はテノールが4人に、バリトン2人、バス2人。たくさん曲があるのだから、皆違う曲かと思うと、結構同じ曲が歌われたりする。コンクールに向いた曲というのがあるのかもしれない。一番人気はヴェルディで、、それに次ぐのがドニゼッティやロッシーニ。歌曲はトスティが多い。聴く側としては、ドニゼッティまでと、ヴェルディ以降を1曲づつ選んで歌ってほしい気がする。テクニックがだいぶ違うようにあ気がするからだ。
優勝はバスの人で、受賞者にそれほど違和感があるわけではないが、僕などはメゾソプラノが一番気に入ったのにも関わらず、入賞しなかったのはちょっと残念だ。前にも感じたが、オペラ向きを選ぶのか、歌曲向きを選ぶのかはっきりしていないし、これからの伸びしろも考えた素質でとるのか、その時の完成度でとるのかなどと、賞の選考基準が気になった。

5時ごろに終わったので、家に帰って食事。サラダ、ソーセージ、のほか、ピタパンに、バジル・ペースト、タプナード、ラムカレーなどを付けて食べる。飲み物はフランスの白。

新国立劇場オペラ研修所の「領事」

2022-07-18 11:07:54 | オペラ
7月17日(日)の昼に、新国立中劇場で、オペラ研修所の試演会「領事」を見る。2時開演で、20分間の休憩を挟み、終演は4時40分頃。観客は6~7割の入りで、多くは関係者といったムードだった。

メノッティの1950年のオペラで、当時はブロードウェイで上演され8か月も続演した記録があり、ピューリッツァー賞の音楽部門を受賞するなど高い評価を受けた作品だが、あまり上演の機会がないので楽しみに見に行った。出演は研修所の23~25期の研修生14人と賛助出演の3人がダブルキャスト。伴奏はピアノ2台で、指揮はメノッティに強い星出豊。演出は久恒秀典。

50年の初演だから、当時の世界を反映して、全体主義国家で反政府活動をしている運動家の悲劇を扱っている。冷戦時代の産物のようにも思えるが、今見ても今日性が強く感じられた。音楽は現代的な響きを持つが十分に旋律的で、1幕の3重唱や4重唱、2幕のソプラノのソロのアリアなど聴きごたえも十分で、出演者の歌や演技もなかなかよかった。特に、ジョン役のバリトン大久保とマグダ役のソプラノ内山は主役として存分に歌っていた。

セットや衣装にはお金をかけていないが、物語はよくわかり、演出も適切だった。見応えのある作品なので、もっと頻繁に上演されても良いと感じた。

気分を良くして、帰りがけにいつものスペインバルで食事。生ハム、トルティージャ、焼き野菜のマリネ、イワシのマリネ、ニジマスのソテーなど。