衛星放送の録画で2019年のアメリカ映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を見る。クエンティン・タランティーノ監督作品。この監督は「パルプ・フィクション」で有名になったが、その後はあまりピンとくる作品がないように思う。今回の作品はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの共演が話題となった作品。
長いカタカナ題名でうんざりするが、「ワンス・アポン・ア・タイム」というのは童話の書き出しの文言で「昔々・・・」という感じだろうから、直訳すると「昔々、ハリウッドで」という感じだろうか。こんな題名だから、なんとなく無声映画時代の1920年代を描いたのではないかという気がして見始めたら、1969年の女優シャロン・テート殺害事件をテーマにしていた。
1969年が、「昔々」に入るのかという気がしたが、考えてみると50年前で、今とは時代のムードも風俗も全く変わっている。1960年代といえば、ヒッピーなどが登場してきた時期であり、カリフォルニア名物の新興宗教もたくさん出てきて、シャロン・テートも、狂信的なカルト集団に殺された。ミニ・スカートに、ロング・ブーツという感じで、当時の流行だったが、今ではそうした風俗もすっかりなくなった。1969年といえば、世界的に大学紛争の真っただ中で、日本でも東大の安田講堂が占拠されて、東大入試のなくなった年だ。そうした時代だから、まあ、「昔々」かもしれない。
殺された女優シャロン・テートは、当時の新進の映画監督ロマン・ポランスキーの妻で、妊娠中だった。僕はポランスキーの映画「吸血鬼」で見た覚えがある。テートは自宅でナイフで刺し殺されたので、それを描くのかと思ったら、隣に住む落ち目の俳優(ディカプリオ)とそのスタントマン(ブラピ)の家に狂信的連中が押し入り、逆に殺されてしまうという、ちょっとひねった作品。
シャロン・テート殺害を題材にしたとはいえ、話としては、完全にディカプリオとブラピの話になっている。ディカプリオは演技がうまいとは思えず、なんで人気があるのだろうと、改めて思った。それでも、アメリカでは完全に落ち目の昔のスターに、イタリアのマカロニ・ウエスタン出演の話が来て、イタリアに稼ぎに行き、イタリア人と結婚して帰るというのも、いかにもという感じのエピソードだ。
アメリカでは、スタジオ・システムが60年代に崩壊して、ウエスタン、ミュージカルなどのジャンル映画がすべて消滅してしまった。ちょうどその時に、マカロニ・ウエスタンが台頭したのだ。日本だってこの時代に時代劇が失われた。
この映画で一番良いと思ったのは、よく時代の雰囲気を再現した点だ。シャロン・テートが映画館でディーン・マーティンの『電撃フリント』シリーズを観たりするだけでなく、当時の映画の看板が随所に出てくる。さらに、走っている車や、衣装がみな60年代風で妙に懐かしい。極め付きは、狂信者たちが集まって暮らす小さな村の模写で、いかにも当時の雰囲気が出ていた。
ほかにも、ポランスキー監督がいかにもそれらしい格好で出てきたりするのも面白い。結局、この映画は時代風俗を楽しむ作品だと思った。
長いカタカナ題名でうんざりするが、「ワンス・アポン・ア・タイム」というのは童話の書き出しの文言で「昔々・・・」という感じだろうから、直訳すると「昔々、ハリウッドで」という感じだろうか。こんな題名だから、なんとなく無声映画時代の1920年代を描いたのではないかという気がして見始めたら、1969年の女優シャロン・テート殺害事件をテーマにしていた。
1969年が、「昔々」に入るのかという気がしたが、考えてみると50年前で、今とは時代のムードも風俗も全く変わっている。1960年代といえば、ヒッピーなどが登場してきた時期であり、カリフォルニア名物の新興宗教もたくさん出てきて、シャロン・テートも、狂信的なカルト集団に殺された。ミニ・スカートに、ロング・ブーツという感じで、当時の流行だったが、今ではそうした風俗もすっかりなくなった。1969年といえば、世界的に大学紛争の真っただ中で、日本でも東大の安田講堂が占拠されて、東大入試のなくなった年だ。そうした時代だから、まあ、「昔々」かもしれない。
殺された女優シャロン・テートは、当時の新進の映画監督ロマン・ポランスキーの妻で、妊娠中だった。僕はポランスキーの映画「吸血鬼」で見た覚えがある。テートは自宅でナイフで刺し殺されたので、それを描くのかと思ったら、隣に住む落ち目の俳優(ディカプリオ)とそのスタントマン(ブラピ)の家に狂信的連中が押し入り、逆に殺されてしまうという、ちょっとひねった作品。
シャロン・テート殺害を題材にしたとはいえ、話としては、完全にディカプリオとブラピの話になっている。ディカプリオは演技がうまいとは思えず、なんで人気があるのだろうと、改めて思った。それでも、アメリカでは完全に落ち目の昔のスターに、イタリアのマカロニ・ウエスタン出演の話が来て、イタリアに稼ぎに行き、イタリア人と結婚して帰るというのも、いかにもという感じのエピソードだ。
アメリカでは、スタジオ・システムが60年代に崩壊して、ウエスタン、ミュージカルなどのジャンル映画がすべて消滅してしまった。ちょうどその時に、マカロニ・ウエスタンが台頭したのだ。日本だってこの時代に時代劇が失われた。
この映画で一番良いと思ったのは、よく時代の雰囲気を再現した点だ。シャロン・テートが映画館でディーン・マーティンの『電撃フリント』シリーズを観たりするだけでなく、当時の映画の看板が随所に出てくる。さらに、走っている車や、衣装がみな60年代風で妙に懐かしい。極め付きは、狂信者たちが集まって暮らす小さな村の模写で、いかにも当時の雰囲気が出ていた。
ほかにも、ポランスキー監督がいかにもそれらしい格好で出てきたりするのも面白い。結局、この映画は時代風俗を楽しむ作品だと思った。