劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

新宿文化センターのトワイライト・コンサート

2020-09-29 10:37:45 | 音楽
9月28日(月)の夜に新宿文化センターでピアノ・トリオの演奏会を聴く。ワンコインのコンサートで1時間というもの。まだコロナが続いているので、検温、手のアルコール消毒、連絡先の記入をさせられた。座席は千鳥格子だが、もともとあまり観客は多くないので、あまり埋まっていない。

曲目はドビッシーのピアノ三重奏曲がメインで、その前後にフランスの作曲家の曲をちりばめている。最初はエリック・サティ、ドビッシーの後はサン・サーンス、グノーといった具合。最後はサービスでエンニオ・モリコーネのメドレーと、ピアソラの曲。最後は盛り上がる「リベルタンゴ」で締めくくられた。ピアソラは何を聞いてもピアソラ節という感じ。

3~6月はコンサートがなかったので、7月の末からまた聞き始めたが、まだ飢餓感というか、生演奏をとにかく聞きたいというモードになっている。

ドビッシーのピアノ三重奏曲は若い時に書かれた作品だというが、なかなか面白く退屈しなかった。うまい下手は考えずに楽しむ。

コンサートが終わった後は、近くのネパール料理屋で食事。天井からビニール・シートが下りてきていて、感染対策とは言え、なんとなく落ち着かない。おまけに検温までされた。ビールとカシューナッツ、鳥の炒め物などを食べるが、やはりワインが飲みたくなってスペイン産の赤を注文、モモ、ネパール風の米粉ピザ、鳥と香味野菜のカレー炒めなどを食べる。

メトロポリタン歌劇場はもう一年開かないようだ

2020-09-24 13:44:18 | オペラ
9月23日の発表によると、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場は、この秋から始まる新シーズンの予定を全部キャンセルするとのこと。今年の3月にコロナ禍のために昨シーズンの残りをキャンセルしたが、今シーズンも全部なくなれば、1年間以上にわたりオペラが見られないことになる。

正式発表はないが、メトロポリタンがキャンセルということは、ブロードウェイの劇場も開かない可能性が高いのではないかという気がする。

全米の感染者数は減っていないが、ニューヨーク州はかなり落ち着いてきていたので、再開を期待していたのだが、ワクチンが普及するまでは難しそうな感じ。

音楽家にしても、舞台のスタッフにしても仕事がない状態なので、どこまで持ちこたえられるのか心配になる。オペラの伝統は欧州にもあるが、ブロードウェイのスタッフたちの仕事がなくなると、ミュージカルも滅びるのではないかと心配になる。

日本では、新国立劇場は千鳥格子の1席置きではなく、フルフルに観客を入れる方針になったようだが、すでに1席置きで2人分買った間に、追加発売でほかの人が入るのだろうか。また、外国から出演者が来ないので主演級も日本人キャストに変わった。ある意味日本人にはチャンスかもしれないが、チャンスを生かせるだけの声を持った歌手がどれだけいるのか少し心配だ。

10月の国立劇場も1席置きで買ったが、二人の間にほかの人が入るのか、ちょっと心配している。

文京シビックセンターのベートーヴェン

2020-09-19 10:58:08 | 音楽
9月18日(金)の夜に、文京シビックセンターの夜クラシックを聴く。19時30分開演で15分間の休憩を挟み、終演は21時30分頃。座席配置は千鳥格子なので、全部入っても定員の50パーセントだが、1階席はかなり空席が目立った。予定数の7割ぐらいという感じ。2階席は売っていないか売れ残った感じ。

午後7時30分の開演で、少し遅いので会社勤めの人も来やすいように考え、あまり終演が遅いといけないので、9時30分頃には終演するというコンセプトだろうが、観客を見る限りほとんどは年金生活者のように感じられる。このコンサートはシリーズなので、年間予約の会員でかなり席が埋まっているのだが、今回はコロナ騒動で販売済みのチケットを全部払い戻しして、千鳥格子の座席で再販売したので、観客の入りも悪かったように思えた。

出演はベテランのピアニスト仲道育代に加えて、若手のチェリスト上野通明、同じく若手ヴァイオリニストの成田達輝の3人。プログラムはベートーヴェン・イヤーといいうことで、すべてベートーヴェン。チェロ・ソナタ4番、ヴァイオリン・ソナタ8番の後、休憩を挟み、後半はピアノ三重奏曲7番「大公」。アンコールはベートーヴェンではなく、バッハだった。

どの曲も丁寧というか、端正な演奏で好感が持てる。特に上野のチェロは表情があり気に入った。まだ、ドイツに留学中で、現在は夏休みで日本に戻ってきたが、もうすぐ新学期なのでドイツへまた向かうとのこと。こうした若い世代が次々に出てきているのは頼もしい。

飲食店の営業が10時以降も可能となったので、帰りにいつものスペインバルで軽い食事。タパスをいろいろとつまみながらワインを飲む。コロナに奪われた日常が、少しだけ戻ってきた。

二期会新進声楽家の夕べ2020

2020-09-16 13:43:47 | 音楽
9月15日(火)の夜に、東京文化会館小ホールで二期会の新進声楽家の発表会を聴く。18時30分に始まり、20分間の休憩を挟み、終演は21時頃だった。コロナ禍のため座席配置は千鳥格子。入り口のサーモカメラで検温、消毒液での手の消毒を経て、入り口のところで連絡先と座席番号を紙に記入させられた。先日、新国立劇場で記入させられたのと同じ紙の様式。入り口付近の机で皆に書かせているので、そこだけ妙に密集空間となっており、入場もなかなか進まない。こうしたところが「紙」の好きな日本の現状を表している感じ。もうちょっとスマートにデジタル化できないものだろうか。

この発表会は、パンフレットによると二期会のオペラ研修所のマスタークラス成績優秀者20名の発表会となっていたが、詳しい話は載っていなかったので、ネットで調べてみた。二期会のオペラ研修所は1955年に発足したと書いてあるので、今回の修了生は63期ということらしい。伝統的な研修所なのだ。

予科、本科、マスタークラスが各1年間あり、週に2日各3時間の研修を受けるようで、年間費用は約55万円程度。各年次の研修生は40名程度の様子なので、成績優秀者20名の発表会というのは上位半数ということになる。本科を終了して研修所の推薦を受けると、二期会の準会員になれ、マスタークラスを終了して推薦を受けると、本会員になれるようだ。

今回の発表会はそうした発表会だったが、人数の内訳はソプラノが11人(一人休んだので実質10人)、メゾソプラノが4人、テノールが4人、バリトンが1人という比率。日本の声楽の現状はやはりこうした比率なのだろうか。

オペラ研修所の発表会だから、当然イタリア物が多いかと思ったら、驚いたことにフランス語の曲が10曲と半数を占める。イタリア語は6曲あるが、そのうち2曲は、サービスで入った重唱曲。ドイツ語が2曲、ロシア語1曲、英語1曲という割合だった。マスタークラスの先生はフランス語のオペラが好きでこうした選曲になったのだろうか。

各自が歌った曲はきちんと練習してきたのか、結構皆うまく歌っていた。声もよく出ていたが、女性で一人迫力のある声で歌った人がいて、個人的にはああいう声が好きだなあと思った。

これだけどんどんと新しい人が出てくるが、どれだけの人が実際の舞台で活躍できるのだろうかと心配になった。日本ではまだまだ公演数が少ないので、実際の舞台で成長することができないのではないかと心配になった。

それでもコロナのために、しばらく生の声を聴いていなかったので、久々に歌を堪能した。ピアノの伴奏の平塚洋子は、バリバリと弾く感じで、素晴らしい伴奏。

公演が終わると、店屋がもう閉まってしまうので、仕方なく家に帰って食事。作っておいた。サラダと鶏肉のヴィネガー煮込みを食べる。ワインは南仏の白。


新国立研修所のオペラ&バレエ・ガラ

2020-09-13 10:32:54 | バレエ
9月12日(土)の昼に、新国立のオペラパレスで、研修所の「ヤング・アーティスト・オペラ&バレエ・ガラ」を観る。コロナ禍で新国立劇場はほとんど休演だったが、復活後の初めての公演。入り口で名前や電話番号と席番号を紙に書かされた。そのあと体温測定、手のアルコール消毒、切符を見せて自分で切り取って箱に入れるという形。客席は千鳥格子で、ほぼ満席。男性用トイレの小便器も一つおきに使用禁止。売店や飲み物販売もなかったが、どういうわけかペットボトルを売る屋台が出ていた。

チケットを売った時に連絡先や名前は確認しているはずだから、どうしてまた連絡先を書かせるのか理解できない。買った人と別の人が来た時だけ書いてもらえばよいのではないかという気がする。こうしたところが、保健所のファックスと同じで、日本のデジタル化が遅れているところ。いっそチケットに触れるのを避けたいというならば、PDFでQRコード付きのチケットをメール送信して、自宅で印刷するかスマホに入れてきてもらい、入り口でQRコードリーダで読むような形に、この際変更したらどうだろうか。

新国立劇場のバレエとオペラは、それぞれ別々に発表会などをやっていたが、合同でやるというのは珍しい。今回は千鳥格子の客席ということもあり、普段は中劇場でやっている発表会をオペラパレスでやり、しかも東京フィルが伴奏をするというのだから、なんとなくい観たくなる。指揮はバレエは井田勝大で、オペラは柴田真郁。バレエとオペラで指揮者が変わったが、カーテンコールであいさつするときに。バレエはプリマが迎えに来てくれるが、オペラでは迎えがないということに初めて気が付いた。

前半はバレエ研修所の発表で、後半はオペラ研修所という形で、それぞれの研修所の所長が最初に挨拶をした。話によると、毎年夏に「バレエアステラス」という公演があり、海外で活躍する日本人若手バレエダンサーを呼んで公演していたが、それが今年はできなかったので、それに代わる企画として、バレエとオペラの合同の発表会をやろうということになったらしい。

面白かったのは客層で、ロビーなどで見ているとバレエの観客はすらっとした体形で、オペラ関係はふっくらしている人が多いという感じだが、合同でやると両者が入り混じっている。

前半のバレエの発表は、14時から1時間15分で、芥川也寸志の音楽に牧阿佐美が振り付けた『トリプティーク』、『海賊』のパドドゥ、『眠れる森の美女』のパドドゥ、最後が『パキータ』の「グラン・パ・クラシック」。最初の『トリプティーク』は初めて見たが、なかなか面白い。これまではこうした時には『シンフォニエッタ』が踊られることが多かったが、今回の作品のほうがおもしろかった。芥川らしい音楽で、なんとなくテレビの大河ドラマ「赤穂浪士」のテーマを思い出した。牧阿佐美の振り付けもオーソドックスで飽きさせなかった。

『海賊』は牧阿佐美バレエ団の若手ソリストで研修所出身の阿部裕恵と研修所の石山連が組んで踊り、その次の『眠れる森の美女』は小野綾子と福岡雄大が踊ったが、これは模範演技を見せるようで素晴らしい踊り。しばらく休んでいたのを感じさせない小野綾子はやっぱり新国立劇場の堂々たるプリマだと思った。福岡雄大も踊りはよいが、なんとなく見ているとコロナ太りみたいな感じで、心なしかジャンプも低いような気がした。これは気のせいかも知れないが。最後は研修生たちが踊るが、小野綾子の後ではちょっとかわいそうかなという印象。

20分の休憩をはさみ、後半はオペラ研修所。オペラのほうは50分程度だが、最初と真ん中、最後にオーケストラの演奏があり、実質時間は35分程度か。研修生たちは14人いて、デュエットも二組あるので、全部で12曲が歌われるが、12日(土)と13日(日)に分けられているので、各公演では半分の6曲しかない。これはちょっともったいない気がする。研修所の発表会なのだから、オケの演奏を減らして、毎日全員が歌っても良いのではないか。

選曲は全体的にモーツァルトが多いが、それ以外にもいろいろとあった。これまで、研修所の公演は中劇場や小劇場で行うことが多かったが、大劇場で聞くと声の響きはかなり違った印象となる。やはり、大きな声量が求められるのだ。小劇場や中劇場ではなんとなく歌っているように聞こえるが、大劇場で歌いどのように発声すべきかというのをもっと経験させたほうが良いのではないかというきがした。これからもオケ付きとは言わぬが、大劇場での発表会を望みたい。

終演は4時30分ごろで、まだ早かったので家に帰って食事。サラダ、玉ねぎとベーコンのキッシュを作り、ボローニャ・ソーセージなどと一緒に食べる。ワインはブルゴーニュのシャルドネ。