劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

読響のチャイコフスキーとブラームス

2021-02-26 10:59:52 | 音楽
2月25日(木)の夜に、サントリーホールで読響を聞く。午後7時開演で、15分間の休憩をはさみ、終演は午後9時ごろ。客席は50パーセント収容。

最初にウェバーの歌劇「オベロン」序曲があり、続いてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、休憩の後はブラームスの交響曲2番。ヴァイオリンはまだ20代前半の辻彩奈、指揮もまだ若い松本宗利音。

ヴァイオリンも指揮者もまだ若いので、全体に活力溢れる生き生きとした演奏で、まるで青春を駆け抜けるようなすがすがしさを感じた。当初の予定では外国から来日した独奏者と指揮者の予定だったが、コロナ禍で来日できなくなり、代打として若い二人が登場した。ヴァイオリンの辻は1997年生まれとなっていたので、まだ23歳ぐらいか。チャイコフスキーの難しそうな曲を力強く演奏して、オーケストラの音に負けずに立派に演奏した。このところヴァイオリンのヴェテランの演奏を何回か聞いていたが、こうした若い世代の演奏に触れると、改めて輝かしい青春の息吹を感じ、若い人を応援したくなった。

後半のブラームスは松本の指揮だが、結構難しそうな曲だが、読響は見事に松本を支えて美しい音を響かせた。曲の持つ深みを引き出すなどはこれからの課題だろうが、見事な演奏で、久しぶりに良い演奏を聴いたという気分になった。

帰りに地下鉄に乗ると、コロナ騒動を忘れるほど電車は混んでいて、みんな自粛には飽きている感じ。一体いつまでこんな状況が続くのだろうか。

家に戻って軽い食事。サラダ、ローストビーフ、ほうれん草のキッシュなど。飲み物はスペインの白。

新日本フィルのベートーヴェンとブラームス

2021-02-25 15:17:51 | 音楽
2月24日(水)の昼に東京芸術劇場で新日本フィルのコンサートを聴く。東京都芸術フェスティバルの一環。14時開演で15分間の休憩をはさみ、終演は15時55分頃。平日の昼間のコンサートなので、聴衆はほとんどが年金生活者という感じ。50パーセント以下の収容率を守っているので、全体としては4~5割の入りといった印象。

演目は前半がベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で大ヴェテランの徳永二男のヴァイオリン。指揮は若い女性で石﨑真弥奈。余裕の徳永氏に石崎が一生懸命合わせたムード。ベートーヴェンは好きだが、このヴァイオリン協奏曲は何となく繰り返しが多すぎるような気がして、途中でだれたような印象。しかし徳永氏の演奏はヴェテランらしい安定間に満ちており、独奏部分は見事に聞かせた。特に重音でそれぞれの音の旋律をきれいに聞かせるのは素晴らしいと思った。

後半はブラームスの交響曲第4番。オケの編成も前半よりも一段と大きくなってブラームスらしいムードの演奏だった。曲の途中で素晴らしい響きを感じさせる部分もあったが、全体としてはまとまりを欠く印象を受けた。

家に帰って食事。牛ブロックのローストを焼き、玉ねぎとマッシュルームのバルサミコ酢ソテーを付け合わせにした。前菜はマッシュルームのアヒージョとサラダ。飲み物はイタリアのスプマンテ。

日本オペラ協会「キジムナー時を翔ける」

2021-02-22 11:13:33 | オペラ
2月21日(日)の昼に新宿文化センターで日本オペラ協会の「キジムナー時を翔ける」を見る。2時開演で、20分間の休憩をはさみ、終演は16時40分ごろだった。日本オペラ協会は、藤原歌劇団の別動隊みたいなもので、日本のオペラを積極的に上演しているようだ。今回は作曲家中村透の3回忌を記念しての追悼公演とある。観客はほとんど仲間内みたいなムードでかなりの高齢者が中心。藤原歌劇団は結構高齢の観客が集まっているような気がする。若い世代が入らないと将来が心配だ。

沖縄の再開発をめぐり、環境破壊問題を取り上げて、古木を切るかどうか人々が悩む中、再開発派の男性が、300年前の世界や200年後の世界へ時空を超えた旅をして、環境の大事さを再認識する話。「キジムナー」とは古木に住む妖精のことらしい。沖縄を描いているので、沖縄方言がかなり使われているので、ちょっと聞き取りにくいが、そうしたところは標準語にした字幕が出るので親切。台本も中村透だが、全部が歌われるわけではなく、地の台詞の多いので、オペラよりも形式的にはオペレッタという印象。

それにしても、久しぶりにつまらない作品を見た。台本が全く面白くない上に、歌の入れ方がまずい。音楽的にはなかなか面白い部分もあるが、この作品が高い評価を受けて、再演される理由が理解できなかった。台本が詰まらない理由は簡単で、妙に教育的に環境問題を取り上げている割には、登場人物の性格、感情、気持ちの変化を描けていないためだ。沖縄出身の名演出家粟國淳をもってしてもこの台本では面白く料理できていない。

歌の入れ方も問題で、王道で考えれば個人の内面の感情の独白的なソロや、二人の感情の違いをデュエットで歌うような場面が望まれるが、単なるダイアローグを歌にしたような曲が多くがっかりした。客席も退屈しているような人が多かった。

オーケストラは東京フィルハーモニーで、星出豊指揮だが、演奏は低調に感じられた。かなりの忍耐力をもって最後まで見たが、結構つらい思いをした。

夕食は家に戻って、コールスローサラダやハンバーグを作る。ワインはフランス産のクレマン。

新国立劇場の「眠れる森の美女」

2021-02-21 10:30:20 | バレエ
2月20日(土)の昼に新国立劇場でバレエ「眠れる森の美女」を見る。午後2時開演で、25分間の休憩を2回はさみ、終演は5時30分ごろ。劇場全体で定員の50パーセント収容で、1階席は8割方埋まっていたようなので、2階以上は観客が少なかったのだろう。本来ならば芸術監督が吉田都に代わり新製作の作品が予定されていたが、コロナ騒ぎのために新製作はできずに、レパートリーに入っているイーリング版の「眠れる森の美女」の上演に代わった。豪華な舞台で見ごたえ十分なので、この作品を見ることができるのは何となくうれしい。

20日から23日までの4回公演で、オーロラ姫役は小野絢子が2回、米沢唯と木村優里が1回ずつ踊る。小野絢子の2回もリラの精やカラボス役は変わるので、お好きな方は4回とも見てねということだろうが、さすがに3日間に4回は見るのはつらい。劇場は空いているのだから、1週間に1度ぐらいずつ4週間に渡って公演すれば全部見に行くかもしれないという気がする。

初日を見たので、オーロラ姫の小野絢子に福岡雄大の王子。リラの精は木村優里で、カラボスは本島美和という現在の新国バレエ団の代表メンバーが踊る。この「眠れる森の美女」は先日衛星放送でロイヤル版を放映していたのでそれも見たが、今回の公演はそれに勝るとも劣らない水準の高さを見せた。

オペラは主役級は海外から呼ぶが、バレエはダンサーが充実しているので、最近は日本人だけで見事な公演を見せることができる。指揮者は海外のベテランが来ることが多いが、今回は日本人の富田実理が指揮をした。バレエの指揮はダンサーの踊りとタイミングを合わせる必要があり、音楽性だけでなく踊りを知っていることが必要になるが、富田はバレエの指揮に力を入れているので、ダンサーと息を合わせて見事に指揮をした。本来ならばまだこうした公演でのチャンスは少なかっただろうが、コロナ禍を転じて福となすような活躍ぶりだ。こうしたチャンスをものにして優秀な人たちがどんどん出てきてくれるとありがたい。指揮はよかったが、オーケストラの東京交響楽団は少し管が弱い印象。

小野絢子のオーロラ姫は安定しているだけでなく、情感もよく出ていて見事だと思った。リラの精の木村優里も何か踊りに魅力があって、これからの活躍が楽しみ。主役級はみな良いが、これからという人では、ゴールドを踊った速水渉悟、気品の精の横山柊子、赤ずきんの五月女遥などの踊りが魅力的だった。

今回も新国立劇場は熱帯のように暑く、多くの男性はシャツ1枚になり、袖まくりして見ていた。エネルギーの無駄にもなるし、暑いというだけで疲れてしまうので、是非とも改善すべきだ。特に冬場はみな着込んで外出するので、少し寒いぐらい程よいのではないだろうか。

今回も家に戻って食事。ほうれん草のクリームソテー、豚ひれ肉のソテーなど。ワインはフランスの白。

文楽「吉田屋」「寺子屋」

2021-02-17 09:47:51 | 文楽
2月16日の昼に国立小劇場で、文楽の「吉田屋」と「寺子屋」を見る。50パーセント収容なので、小劇場だが後方と両サイドは比較的空いていた。3部制で、午後8時まで終わらせるためか、1部の開始は10時30分、2部の開始は1時50分、3部の開始は5時30分と変則的。2部は途中で20分の休憩が入り、4時40分に終わった。3部の始まりまで1時間ぐらいあるので、続けて見るのは待ち時間が長くてちょっとしんどい感じ。

2部の演目は「吉田屋」と「寺子屋」で、両方やっても3時間はかからないのだから、歌舞伎よりもずいぶんとスピーディだ。それでもちょっと変な組み合わせだと思いながら見たが、見始めてその理由が分かった。吉田屋は咲太夫のほか織太夫、藤太豪華メンバーが並んだが、これは咲太夫を盛り上げる企画だろうと感じた。咲太夫は昨年体調を崩して休演した記憶があるが、回復したものの、ちょっと痩せたような印象で、語り口は見事だが、あまり体に負担がかからないように、この演目を選んだのではないかという気がする。三味線も燕三が支えたが、「吉田屋」は全体的に低調で、面白みが感じられなかった。歌舞伎でよく見る演目だが、歌舞伎の藤十郎や仁左衛門の印象が強く残っているので、文楽の良さが感じられなかった。

後半の「寺子屋」のほうは「寺入り」から始まったが、歌舞伎だと「寺入り」だけでもチャリ場が入り長いし、最後の野辺の送りもちょっと長すぎてくたびれるのだが、文楽だとすっきりと進んで気持ちがよい。「寺入り」の希太夫はまだ前座という感じで物足りないが、「寺子屋」は口が呂太夫で、後が藤太夫でキチンと聞かせた。藤太夫は大丈夫かなあとちょっと心配だったが、見事な語り口で、これならば立派に後と務まるという感じ。三味線の清友の見事な演奏にも支えられて、新境地を開いたような気がした。

8時に閉まると思うとレストランに行く気にもならずに、家に帰って食事。サラダとビーフストロガノフと作って食べる。飲み物はフランス産ペイ・ドックの赤で、グルナッシュとシラーを合わせた濃いもの。