劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

NHKの「ニューイヤーオペラコンサート」

2018-01-06 14:36:49 | オペラ
普段からテレビの番組は面白いものがないが、年末始にはニュースもほとんどやらないので、見るべき番組は全くない。それでも、ウィーン・フィルのコンサートや、新春歌舞伎、そして「ニューイヤーオペラコンサート」は毎年観ているような気がする。

現在はNHKホールで開催されていて、今年で61回となっていたが、50年ぐらい前に生で観ていた時には確か新宿の厚生年金会館で開催されていたように気がする。

それはさておき、テレビ中継では本当の声が直接聞こえるわけではないので、実際のところよく分からないのだが、近年はオペラ歌手の層が随分と厚くなってきたような気がしてうれしい。

今回のコンサートでは、最初と最後がワーグナーの曲で、第一部がモーツアルト、第二部がロッシーニ、第三部がヴェルディとプッチーニという、大変ポピュラーな選曲。モーツアルトはいろいろな作品の曲を組み合わせてなんとなく芝居仕立てにしているが、中途半端な印象。衣装もちょっと変な衣装だと思った。

ロッシーニはオペラからというよりも、ピアノ伴奏の歌曲が2曲と藤木氏のカウンターテナーで聴く「タンクレディ」。毎年カウンター・テナーを歌わせるのならば、もっとバロックの選曲のほうが良いのではないかと思う。

ヴェルディとプッチーニは、大好きなアリアだが、沼尻竜典指揮による東フィルの演奏がちょっともたついていたような印象がある。特に「イル・トラヴァトーレ」の「見よ、恐ろしい火よ」などはもっとブンチャカと乗った伴奏にしてほしかった。一番良かったと思うのは中村恵理の歌った「椿姫」の「さようなら、過ぎ去りし日々」で、声のハリもノビもさすがに良いと感じさせた。今度独唱会があったら、逃さずに聴きに行こうと思わせるものだった。

最後のワーグナーは「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の最後の部分で、福井、妻屋が見事に歌い立派に締めくくった。オペラではこの後にオケの演奏も延々とあったような気がするが、コンサートではそれは省略。でも盛り上がる音楽なのでちょっと聞きたかった。

オケピットに入っているのは、東フィルで、N饗ではないんだなあと、改めて思う。確か大晦日にテレビ中継していたオーチャード・ホールの「ジルベスター・コンサート」も東フィルだったので、年末、年始とオケも大変だと分かる。N饗のほうは年末に第九をさんざんやった後、正月はどうしているのかなあと、いろいろと考えた。