Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

重症患者の挿管のためのチェックリスト

2018年04月30日 | 呼吸
Janz DR, Semler MW, Joffe AM, et al.; Check-UP Investigators Pragmatic Critical Care Research Group.
A Multicenter Randomized Trial of a Checklist for Endotracheal Intubation of Critically Ill Adults.
Chest. 2018 Apr;153(4):816-824. PMID: 28917549.


ICUで挿管するときに、「酸素化しよう」、「サクションの準備しよう」、「DAMセットはちゃんとあるね」などと言った内容のチェックリストを誰かが読むか、普通に挿管するかで、挿管中〜直後の低酸素や低血圧を予防できるかどうか比較した多施設のRCT。262例がランダマイズされ、結果は、有意差なし。

RCTを企画しようと思っている人は、是非読んでみたらいいのではないか。反面教師として。
研究者や参加者には申し訳ないけど、有意差が出ないのはデザインの段階で予想できるでしょう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いわゆる間質性肺炎の急性増悪

2018年04月29日 | 呼吸
Marchioni A, Tonelli R, Ball L, et al.
Acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis: lessons learned from acute respiratory distress syndrome?
Crit Care. 2018 Mar 23;22(1):80. PMID: 29566734.


ICU的には、ゴロゴロいるというほどではないけど、稀というほどでもない、比較的よく見る病態。なのに、驚くほど進歩の遅い分野。いまだに、ステロイドの有効性は不明って、僕が研修医の頃と同じ話をしている。
以前から日本では認識されている病態で、やっと最近になって国際的にも認められてきたところだから、今後、RCTが行われていくんだろうか。
日本以外のところで。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腹腔内感染症に対する抗菌薬投与期間を短くすると、

2018年04月28日 | 感染
いわば、この研究のICU版。

Montravers P, Tubach F, Lescot T, et al.; DURAPOP
Trial Group. Short-course antibiotic therapy for critically ill patients treated for postoperative intra-abdominal infection: the DURAPOP randomised clinical trial.
Intensive Care Med. 2018 Mar;44(3):300-310. PMID: 29484469.


Continuation of treatment until day 15 is not associated with any clinical benefit.
というのが結論なんだけど、抗菌薬の投与期間はそれほど短くなっていないし、再手術の頻度も増えるようなのだけど。
ちょっとこれはcritical appraisalが必要そうなので、ICMだけどジャーナルクラブに回そうと思う。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CABG後のAKI発症予防にシクロスポリンは有効か

2018年04月27日 | 腎臓
Ederoth P, Dardashti A, Grins E, et al.
Cyclosporine before Coronary Artery Bypass Grafting Does Not Prevent Postoperative Decreases in Renal Function: A Randomized Clinical Trial.
Anesthesiology. 2018 Apr;128(4):710-717. PMID: 29369890.


動物実験で腎臓の虚血再灌流をシクロスポリンが抑制することが示されたので、実際に人でやってみた。そしたら術後のCystatin Cが有意に高くなった。

おお。
動物実験で有効だったからと言って、Nephrotoxinを実際にRCTで検証しようとする、そのエネルギーにびっくり。
そして結果は常識から考えた通りとは。。。
感動もするが、モヤッともする。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心電図の波形の名前は誰がどうやって付けたのか

2018年04月26日 | 心電図
Hurst JW.
Naming of the waves in the ECG, with a brief account of their genesis.
Circulation. 1998 Nov 3;98(18):1937-42. PMID: 9799216.


20年も前の文献なのだけど、ちょっとしたきっかけがあって、見つけたので読んでみた。
どうしてPQRSTUなのか、知ってる?
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外科医によるエコーガイド下CV挿入

2018年04月25日 | その他
Gurien LA, Blakely ML, Crandall MC, et al.
Meta-analysis of surgeon-performed central line placement: Real-time ultrasound versus landmark technique.
J Trauma Acute Care Surg. 2018 Apr;84(4):655-663. PMID: 29300282.


CV穿刺時のエコーの有用性を示した研究はたくさんあるが、外科医によるCV穿刺についての研究は3つしかRCTがない。メタ解析の結果、CV挿入の成功率は高くなったが(オッズ比6.5)、合併症の発生頻度は有意差がなかった(オッズ比1.9)。有効性を検証するにはもっと大きな研究が必要だ。

意味わかる?
外科医は血管を目で見ているから、エコー使わなくてもちゃんと挿入できるんじゃないか、という仮説に基づいているらしい。
意味わかる?
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

PMXのメタ解析

2018年04月24日 | 感染
まだ溜まってしまった文献を読んでいる最中で、2月号を今更紹介。

Fujii T, Ganeko R, Kataoka Y, et al.
Polymyxin B-immobilized hemoperfusion and mortality in critically ill adult patients with sepsis/septic shock: a systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis.
Intensive Care Med. 2018 Feb;44(2):167-178. PMID: 29204670.


内容は読んでもらうとして、この文献のfirst authorの名前は覚えておいて損はないですよ。
日本の集中治療の臨床研究の未来を背負って立つ人だから。

それにしても、EUPHRATESの結果が早く読みたい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

IVC径と補液の反応性

2018年04月23日 | 循環
Vieillard-Baron A, Evrard B, Repessé X, et al.
Limited value of end-expiratory inferior vena cava diameter to predict fluid responsiveness impact of intra-abdominal pressure.
Intensive Care Med. 2018 Feb;44(2):197-203. PMID: 29356854.


日本人はどうもエコーでIVCを測定するのが好きすぎる気がするので、ネガティブなデータを見つけたら必ず紹介することにしている。
中には感度特異度が100%くらいあると思っている人がいるんじゃないか?
患者さんの体液量の評価なんて、ちょー難しいことで、エコーで正確に分かるわけない。

でもこの研究、足上げ試験による左室からの流速変化を、補液による心拍出量変化の代用として使っている。
足上げ試験は補液じゃないし、左室からの流速は心拍出量じゃないし、ちょっと代用しすぎじゃないだろうか。

でもIVCのネガティブデータだから紹介してしまうのさ。

過去ログのまとめ

下大静脈の呼吸性変動
IVC径の呼吸性変動とPPVの比較
IVC径の呼吸性変動の精度
下大静脈の呼吸性変動と補液の反応
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MRSAとトロイの木馬

2018年04月22日 | 感染
Krezalek MA, Hyoju S, Zaborin A, et al.
Can Methicillin-resistant Staphylococcus aureus Silently Travel From the Gut to the Wound and Cause Postoperative Infection? Modeling the "Trojan Horse Hypothesis".
Ann Surg. 2018 Apr;267(4):749-758. PMID: 28187042.


ネズミの実験なんですけどね。
腸内にMRSAをコロナイズさせると、白血球の中にMRSAが見つかった。
MRSAを静脈投与しても、創部に塗りたくっても、創感染は起こらなかった。

ほー。
MRSAの創感染はてっきり外科医が手指衛生をしないせいだと思っていたが、違うこともあるのかも?
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バイオマーカーによるRRTの必要性の予測

2018年04月21日 | 腎臓
Klein SJ, Brandtner AK, Lehner GF, et al.
Biomarkers for prediction of renal replacement therapy in acute kidney injury: a systematic review and meta-analysis.
Intensive Care Med. 2018 Mar;44(3):323-336. PMID: 29541790.


63研究、約16000例のメタ解析。AUROCはNGALで0.75くらい。

バイオマーカーのブームはもう終了だろうか。文献の数も一時期よりもずいぶん少なくなったし。
結論でも、
"the strength of evidence currently precludes their routine use to guide decision-making on when to initiate RRT."
と書かれてしまうくらいだし。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする