Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

菌血症の文献2つ

2019年09月30日 | 感染
ICU的には一つだと弱い感じがしたので、二つまとめて紹介。

Yahav D, Franceschini E, Koppel F, et al.; Bacteremia Duration Study Group.
Seven Versus 14 Days of Antibiotic Therapy for Uncomplicated Gram-negative Bacteremia: A Noninferiority Randomized Controlled Trial.
Clin Infect Dis. 2019 Sep 13;69(7):1091-1098. PMID: 30535100.


GNRの菌血症で循環が安定していてフォーカスのコントロールがついている604例。Composite outcome(死亡、再発、合併症など)の発生頻度は7日投与群と14日投与群で差はなかった。軽症例では抗菌薬の投与期間を短くできるのでは。

Cheng MP, Stenstrom R, Paquette K, et al.; FABLED Investigators.
Blood Culture Results Before and After Antimicrobial Administration in Patients With Severe Manifestations of Sepsis: A Diagnostic Study.
Ann Intern Med. 2019 Sep 17. [Epub ahead of print] PMID: 31525774.


Severe sepsis 325例、抗菌薬投与前と投与後(中央値70分)の血培陽性率を比較。投与前で31.4%、投与後だと19.4%だった。血培を採取するために抗菌薬投与が遅れることと、血培の陽性率が下がることとのバランスをとることが重要では。

ふむ。ちょっと面白い。
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成人のフォンタン

2019年09月29日 | 循環
Rychik J, Atz AM, Celermajer DS, et al.; American Heart Association Council on Cardiovascular Disease in the Young and Council on Cardiovascular and Stroke Nursing.
Evaluation and Management of the Child and Adult With Fontan Circulation: A Scientific Statement From the American Heart Association.
Circulation. 2019 Jul 1 [Epub ahead of print] PMID: 31256636.


フォンタン手術が行われるようになって50年。
2018年時点で、フォンタン循環の30年生存率は85%、世界中に5万〜7万人いると推定され、その40%は18歳以上の成人だそうだ。

この文献はAHAによるフォンタン循環患者管理についてのステートメントで、生理から始まって、たくさんある合併症についてまとめてある。
10万人に1人いるわけだから、成人ICUでも確率は低いとはいえ出くわすし、とても勉強になりそうなのだが、問題は50ページあること。

気合がある方はどうぞ。
僕は困ったら読むことにします。
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集中治療におけるAI

2019年09月28日 | AI・機械学習
についての文章ってボチボチあるけれど。

Komorowski M.
Artificial intelligence in intensive care: are we there yet?
Intensive Care Med. 2019 Sep;45(9):1298-1300. PMID: 31236638.


これは読みやすい。なんかスッと入ってくる感じ。
「ICUでAIって、結局どうなのよ?」と思っている方にオススメ。
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最近のAKI関連の情報のまとめ

2019年09月27日 | 腎臓
Darmon M, Joannidis M, Schetz M.
Focus on critical care nephrology.
Intensive Care Med. 2019 Sep;45(9):1288-1291. PMID: 31297546.


さらっと復習したい方はどうぞ。
ちょうど良い図があったので、それを和訳(まとめの更にまとめ)。

・バイオマーカーは便利かもしれないけどまだまだ情報不足。
・腎エコーは残念だった。
・造影剤はそんなに悪くないかも。
・右心系とAKIには関連ありそう。
・慌ててRRTをする必要はない。
・重炭酸は有効かも。
・アルカリフォスファターゼはAKIを予防できるかも。
・ACEI/ARBはAKI後のCKDの発症を予防するかも。

”かも”が多いということは、まだまだ研究の余地があるということで、この文章でも"open the field for research rather than closing the debate"と言ってます。
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Tigrisに動きあり。

2019年09月26日 | 感染
前回から7ヶ月ぶりのSPECTRAL関連の情報。

Spectral Medical Launches the Tigris Trial

研究に参加する10施設に対する初めての説明会が開かれたそうだ。
Tigris、いよいよ始まるらしい。

そして今更気がついたのだけど、ClinicalTrials.govに4月に情報が登録されていた。
それによると、研究終了は2020年の年末だそうだ。結果発表は当分先の話。
待ち遠しいわー。
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溺れないよう助けてくれた。

2019年09月25日 | 終末期医療
Laurent A, Reignier J, Le Gouge A, et al.
"You helped me keep my head above water"-experience of bereavement research after loss of a loved one in the ICU: insights from the ARREVE study.
Intensive Care Med. 2019 Sep;45(9):1252-1261. PMID: 31407041.


これのpost-hoc的研究。
終末期の抜管についての研究で、患者さんが亡くなった3、6、12ヶ月後に心理学者が家族に電話で質問をしたのだけど、その時のopen-ended questionでの発言をまとめたところ、死亡当初は「忘れようとしていることを無理矢理思い出させた」的な反応もあったのだけど、時間が経つとともに、タイトルのように電話が助けになったという発言が増えた、と。

これは興味深い。
ICU退室後のフォローアップって、ましてや亡くなった患者家族に対してだと、なんか悪いことをする気がして研究としてやりにくい印象があるけど、そうでもないようだ。

P.S.
"keep head above water”のいい感じの和訳を探そうとしてググったらこればっかり出てきて、おじさん的には困ってしまったよ。
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夏休み終了。

2019年09月24日 | ひとりごと
こんなところに行っておりました。



東日本大震災とほぼ同じ時期の災害で、こちらも復興途中という感じでした。

文献紹介、ボチボチ再開します。
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ECMOカテの太さは脳出血の発症と関連

2019年09月18日 | 循環
Mazzeffi M, Kon Z, Menaker J, et al.
Large Dual-Lumen Extracorporeal Membrane Oxygenation Cannulas Are Associated with More Intracranial Hemorrhage.
ASAIO J. 2019 Sep/Oct;65(7):674-677. PMID: 30398981.


ELSO registryのデータ。VV-ECMO用の内頸静脈から入れるダブルルーメンのカテーテルの太さは27Fと31Fあるそうで、静脈還流が悪くなるためか、太いカテの方が脳出血の発生頻度が有意に高いのだそうな(4.3%, 1.6%)。

日本でも売り出せれるらしいし、知っていて損はないか?
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乳酸とScvO2

2019年09月17日 | 循環
についての文献を短期間で2つ見かけたので、読んで紹介しようと思ったのだけど。

Gattinoni L, Vasques F, Camporota L, et al.
Understanding Lactatemia in Human Sepsis. Potential Impact for Early Management.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Sep 1;200(5):582-589. PMID: 30985210.


Roshan Bisarya, Deena Shaath, Arman Pirzad, Lewis Satterwhite, Jianghua He & Steven Q. Simpson
Serum lactate poorly predicts central venous oxygen saturation in critically ill patients: a retrospective cohort study.
Journal of Intensive Carevolume 7, Article number: 47 (2019)


なんか、気分的に読めなかったので、リンクの紹介のみ。
乳酸を酸素需要とかの観点から見た研究って、苦手だからかな。

乳酸の文献はコレクションしているので、フォルダに入れておしまい。

あ、乳酸の文献をたくさん読みたい人は言ってください。
たくさんたくさん持ってます。
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再入院を減らすプログラムと平均回帰

2019年09月16日 | EBM関連
Joshi S, Nuckols T, Escarce J, et al.
Regression to the Mean in the Medicare Hospital Readmissions Reduction Program.
JAMA Intern Med. 2019 Jun 26. [Epub ahead of print] PMID: 31242277.


再入院が多い病院にMedicare Hospital Readmissions Reduction Program (HRRP)というのを導入したら再入院が減った。それってプログラムの効果なのか、単なる平均回帰なのか、どっち?
という疑問に答えることを目的とした研究。再入院が多くなかったのでプログラムが導入されなかった病院のその後の調査結果を加味したところ、プログラムの効果と思われた再入院の減少の約80%は平均回帰で説明できるという結果になった。

念のため、平均回帰をご存じない方はこちらを。

Before-after studyでは平均回帰の問題はどうしても避けられない。
そこまでは知っていたけど、実際に調べた研究を読んだのは初めてな気がするので、面白かった。

Before-after studyと聞いてどうしても思い出すのは、rapid response system。
なんたって、唯一の多施設RCTでは有効性なしだもの。
にも関わらず、世界中で流行している。もう当たり前の医療として受け入れられているところも少なくない。

RRSなんて無効でしょ、とは言わないけど、ね。
根拠の強さとのバランスがとれていないとは思う。
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