Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

COVID-19の臨床的特徴

2020年02月29日 | COVID-19
例えば、NEJMJAMALancetがそれぞれ専用ページを作っているし、世間には情報が溢れているので、僕の出る幕はないと思っているのですが。

今朝NEJMから送られてきたE-pubの文献は重要かなと思って、紹介しておきます。

Clinical Characteristics of Coronavirus Disease 2019 in China

中国の552病院、1099例の臨床的特徴をまとめたもの。
NEJMとしては異例ではないかと思える、全13ページ。その理由は、表がたくさんあるから。
いろいろ、思っていたこととは違うことが書いてあって、興味深い。
発熱しない人は結構多いとか、
咽喉発赤とか扁桃腺や頸部リンパ節の腫脹とか、風邪でありそうな身体所見はほぼないとか、
重症患者の数%でCTでも異常がないとか、
重症例でもAKIは3%とか。

ざっと見るだけなら数分です。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慈恵ICU勉強会 200218

2020年02月22日 | ICU勉強会
2月18日 挿管時の補液(JC-LancetRM)

これと同時に行われた研究。
正直に言って、どちらの研究も僕には価値がわからない。
でも、メジャー雑誌に掲載されているのだから、研究をやりたいと思う人も掲載したいと思う人もいるということなので、そこは尊重しないといけないのだろうとも思う。
でも、ねー。。。
時々、ビックリする。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SCCM2020

2020年02月21日 | 勝手に紹介
終わったみたいだ。
いつものように、まとめときました。

NEJM
Nonsedation or Light Sedation in Critically Ill, Mechanically Ventilated Patients

JAMA
Association of Physician Orders for Life-Sustaining Treatment With ICU Admission Among Patients Hospitalized Near the End of Life

Effect of Intravenous Interferon β-1a on Death and Days Free From Mechanical Ventilation Among Patients With Moderate to Severe Acute Respiratory Distress Syndrome

Effect of a Machine Learning–Derived Early Warning System for Intraoperative Hypotension vs Standard Care on Depth and Duration of Intraoperative Hypotension During Elective Noncardiac Surgery


さて、今年の集中治療医学会はどうなるんだろう。。。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JIPADの機能をまとめました。

2020年02月20日 | JIPAD
日本のICUレジストリであるJIPAD
単にデータを収集するだけでなく、どんどん機能が追加されているので、まとめてみましたよ。

基本収集項目
・重症度スコア、人工呼吸期間などICU患者の把握に必要な情報の収集
・データ収集に必要なファイルメーカーファイルを無償で提供(ファイルメーカーは別途購入が必要)
・各メーカーの部門システムと連携して自動収集が可能
・入力間違いを指摘してくれるアラート機能が充実
・情報収集をより正確、簡便にするノウハウの提供(クエリ制度、サイトビジット)
・収集データが出力可能(自施設の状況把握、多施設研究への参加時の負担軽減)
・年次レポートを作成、公表
・参加施設向けに施設レポートを発行(ベンチマーク情報)
・全施設のデータを研究などの目的で利用可能(審査あり)

ExJIPAD
・基本項目とは別に施設独自の収集項目を自由に設定(JIPADサーバには送信されない)
・収集データが出力可能(自施設の状況把握、多施設研究への参加時の負担軽減)
・入室患者リストの表示、印刷(申し送りなど日常診療での使用)
・テキスト入力などカンファレンスでの使用も可能

その他
・日本集中治療医学会専門研修施設、新規申請および更新における申請書自動作成機能
・今後は日本集中治療医学会専門医申請補助機能も追加予定

こんなにある。リスト化してみて、自分でびっくり。
参加しない理由、ある??
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AKIからの回復期間とCKDの発症

2020年02月19日 | 腎臓
Siew ED, Abdel-Kader K, Perkins AM, et al.
Timing of Recovery From Moderate to Severe AKI and the Risk for Future Loss of Kidney Function.
Am J Kidney Dis. 2020;75(2):204–213.


Stage2か3のAKIになり、その後に腎機能が回復した48000例。観察期間約3年半のうちにeGFRが40%以上低下した発生頻度は、AKIの期間が長いほど高かった。具体的には、AKIの期間が1-4日だった人に比べ、5-10日はオッズ比が1.33、11-30日は1.41、31-90日は1.58だった。

AKIになると、腎機能が見た目は元に戻っても、実際には何らかの傷害が残り、それがCKDの発生につながる可能性が示唆されていて、それを示した観察研究はここ数年で山ほどある。
今回の研究は、その発生頻度がAKIの罹患期間によって変化するかを検討し、予想通り、AKIの期間が長いと何らかの傷害は残りやすいのでは、という可能性を示している。

なんかさ。
気持ち悪いのよ、この話。
いや、疑ってるわけじゃないのよ。僕らが見ているのは血清クレアチニン値とかeGFRとかだけで、それは腎機能の指標であって腎傷害の指標じゃないから、見た目は良くても中身は悪いという可能性はあるわけで。
何が気持ち悪いかというと、AKIになるような人は、敗血症とかになりやすかったり、大きな手術が必要だったり、そういう何らかのバックグラウンドがあってAKIになるので、きっとそういう人はCKDにもなりやすいだろうから、AKIとその後のCKDの因果関係って、証明するのはほとんど不可能じゃんか。AKIの予防薬や治療薬を開発しました、長期にフォローしたらCKDの発生頻度は介入群で低かったです、という研究が行われない限りは証明されない。でもそんな薬は今のところない。

今回の研究はこれまでの研究とはちょっと視点が違って、AKIの罹患期間とCKDの関係を見ているのが面白い、ということなんだろうけど。
1-4日と31-90日って罹患期間は数十倍違うのに、オッズ比が1.58しかないって、なんか直感的に違和感がある。

どっちだろ。因果関係はあるのかないのか。
いつか証明される日が来ることを期待します。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

RCTにおける盲検の効果

2020年02月18日 | EBM関連
Moustgaard H, Clayton GL, Jones HE, et al.
Impact of blinding on estimated treatment effects in randomised clinical trials: meta-epidemiological study
BMJ. 2020;368:l6802. Published 2020 Jan 21.


Cochraneの142のメタ解析を使って、盲検されているかどうかで治療効果に違いがあるか検討。
統計手法はおいといて、とりあえず結論は、盲検化の効果って言われているより小さいんじゃないか、この研究の限界のせいかもしれないけど、というもの。

面白い。
教科書的には盲検化しないとこんなバイアスが、とか書いてあるけど、アウトカムが主観的か客観的か、判断する人は研究者か医療者か患者さんか、など、そういう違いによって盲検化の効果って当然違う。
なんか、腑に落ちた。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ECMO中の抗凝固モニタリング

2020年02月17日 | 消化器・血液
Chlebowski MM, Baltagi S, Carlson M, et al.
Clinical controversies in anticoagulation monitoring and antithrombin supplementation for ECMO.
Crit Care. 2020;24(1):19. Published 2020 Jan 20.


ヘパリンって今も昔もすっごくよく使われるけど、ちゃんと使おうとするとすっごく難しい。20年くらい前に、ちゃんと勉強しようと思って調べた時にそう思った。
先日、この文献がふと目に止まり、久しぶりに勉強しようかしら、20年前と比べてどれくらい進歩したかしら、と思って読んだ。

とりあえず、モニタリングの精度はTEG>APTT>ACTということでよさそうだ、ということは確認できた。
小規模ながら、以前は行われていなかった比較研究や介入研究もあるようだ。
でも、その程度。

TEGはもちろん完璧ではないけど、現状ではもっともモニタリングの方法としてよさそうだ。でも特殊な装置が必要なので、みんな使ってますというわけにはいかない。
そうするとAPTTでやろう、ということになるけど、ACTを使う人は今も多いみたいだし、APTTにも大きな問題がある(商品多すぎ、商品間の違い大きすぎ)。

すっごく古い薬なのに。
不思議。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

可溶性ウロキナーゼ受容体とAKI

2020年02月16日 | 腎臓
なんじゃこりゃ。。。

Hayek SS, Leaf DE, Samman Tahhan A, et al.
Soluble Urokinase Receptor and Acute Kidney Injury.
N Engl J Med. 2020;382(5):416–426.


血液中のある物質を数千人の患者で測定し、それがAKIの発症と関連があることを示し、動物実験とin-vtitroの研究でこの物質がAKIの原因となり得ること、介入し得ることを示した。

だからどーしたー!
そんなの、たくさんあるやろー!
なんでNEJMなんじゃー!

落ち着こう。
Editorialを書いた人は、冷静にこの研究を批判しているし。見習わないと。

ある医学雑誌に掲載される研究の質は正規分布する、と勝手に思っている。
どういう意味かというと、なんでこんなレベルの高い研究がこの雑誌に載っているんだろ、と思うこともあるし、なんでこの研究がこんなレベルの高い雑誌に載っているんだろ、と思うこともあるから。
評価する人って数人で、かつある程度ランダムに選ばれるので、こういう現象が観察されるのではないか。

いやー、でも今回はビビったわ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慈恵ICU勉強会 200204

2020年02月15日 | ICU勉強会
2月4日 院内緊急コールの質について考える

このプレゼンテーションの元になった研究があって、それは21ページにまとめらている。
院内心停止の予後が良い病院と悪い病院に実際に訪問して医療スタッフにインタビューした研究で、切り口の違いから3つに分けて発表されている。
たくさんある他の院内心停止の研究とは一線を画した、とても良い研究だと思う。

当院の専門看護師が、その研究を紹介しつつ、当院の問題点について考察しています。
読んでやってくださいな。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高感度トロポニンによる心筋梗塞の診断基準は有益か?

2020年02月14日 | 循環
診断基準つながりで。

Chapman AR, Adamson PD, Shah ASV, et al.
High-Sensitivity Cardiac Troponin and the Universal Definition of Myocardial Infarction.
Circulation. 2020;141(3):161–171.


トロポニンの上昇を、心筋梗塞タイプ1、心筋梗塞タイプ2、急性心筋傷害、慢性心筋傷害に分けるようにした新しい診断基準。導入してみたけど、どうも介入も予後も変わらないみたいだよ、という研究。

難しーねー、診断基準。
より正確な、もしくはより早期の介入が行われて、予後が改善する。
それが診断基準を作成したり更新したりする行為の最終目標なわけだけど。
難しーねー。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする