Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

アメリカの急性期病院の集中治療医

2019年03月31日 | ICU・システム
Halpern NA, Tan KS, DeWitt M, Pastores SM.
Intensivists in U.S. Acute Care Hospitals.
Crit Care Med. 2019 Apr;47(4):517-525. PMID: 30694817.


アメリカの2800の急性期病院での調査。
・52%の病院に集中治療医がいる。
・いる病院では、フルタイムの集中治療医が中央値で7名いる。
・いる病院は都市部が多く、ベッド数が多く、ICUベッド数も多く、ICUの数も多い。
・ICUベッドの78%は集中治療医がいる病院にある。

ほお。
以前はcritical care crisisと言って騒いでいたけど、その頃より増えたのかな?

Editorialも面白い。

"It is almost certain that many of the physicians identified as providing intensive care in this analysis were hospitalists. Recent work by the Society of Hospital Medicine indicates that 77% of hospitalists provide critical care services, with 66% serving as the primary ICU service provider."
ほお。

"The emergence of dual-trained emergency department ICU (ED-ICU) physicians itself has also had notable spillover effects, motivating some EDs to invest in ED-ICU hybrid care areas—where patients receive continued intensive care in the ED, rather than being admitted to the ICU.
救命センターやんか。

アメリカの集中治療はずっと独自の道を歩んできて、これからも歩みそう。
日本の集中治療もずっと独自の道(他にあまり例がなさそうな仕組み)を歩んできた。
さて、どこに行くんだろう?
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Vasoactive-inotropic score

2019年03月30日 | 循環
たしかそんなのあったよな、と先日思ったのだけど見つけられなかったやつ。

Koponen T, Karttunen J, Musialowicz T, et al.
Vasoactive-inotropic score and the prediction of morbidity and mortality after cardiac surgery.
Br J Anaesth. 2019 Apr;122(4):428-436. PMID: 30857599.


カテコラミンだけでなくPDEやバソプレシンも含められてるから、研究とかで使う時に便利そう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医者1年目から、

2019年03月29日 | ひとりごと
ずっと病院で使ってきた、
オーストラリアのICUにも一緒に行った、
マグカップが、
さっき、
壊れた。

金属製なので割れないから壊れないと思っていたが、壊れた。
初めて買った、Macのノートブック(PB5300)に付いてきた、虹色のアップルのロゴのシールをずっと貼っていた(こんなやつ)。



だからどうした、と思われるかもしれないが、自分的には結構な衝撃。
いろいろ考えさせられます。
ちょうど3月で、つい先日にICU送別会があって、とかさ。タイミングがさ。

春はお別れの、季節です、みんな旅立って、いくんです〜♫
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慈恵ICU勉強会 190326

2019年03月28日 | ICU勉強会
3月26日 心外術後の鎮痛鎮静と譫妄(JC-JAMA)

120例の1施設研究でJAMAか、Beth Israelだからじゃないのか、とはちょっと思うけれども。
CQとしては興味深いし、結果もpositiveなので、まあ許してあげよう(と上目線)。

アセトアミノフェンを使わないとオピオイドが増えて、疼痛コントロールの程度は同じ。にも関わらずせん妄が少ないということが本当だとすれば、痛みがせん妄を起こしているのではなくて、アセトアミノフェンにそういう薬理作用があるか、オピオイドにせん妄を起こす作用があるか、のどちらか。ただしオピオイドの量がそんなに違うかというとそれほどでもなく、アセトアミノフェンに鎮痛とは別にせん妄抑制があるかというとちょっと信じられず、つまりは1施設研究だったから、という気もしてしまう。

1施設で動くな、多施設を待て、の原則には従っていた方がよさそう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プロポフォール注入症候群のレビュー

2019年03月27日 | 神経
さすがに有名になって、世界中で発生頻度が減っているであろうと思われる病態。でもだからこそ忘れた頃にやってきて足元をすくわれかねない。

Hemphill S, McMenamin L, Bellamy MC, et al.
Propofol infusion syndrome: a structured literature review and analysis of published case reports.
Br J Anaesth. 2019 Apr;122(4):448-459. PMID: 30857601.


この文献は単なるレビューではなくて、ケースレポート168例をまとめて、症状とか死亡のリスク因子とかも示してくれている。
おやっと思ったら、これで確認するといいかも。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AKIへの介入を組織的に行ったRCT

2019年03月24日 | 腎臓
An Organizational-Level Program of Intervention for AKI: A Pragmatic Stepped Wedge Cluster Randomized Trial
Nicholas M. Selby, Anna Casula, Laura Lamming, et al.
JASN March 2019, 30 (3) 505-515.


イギリスの5施設のstepped-wedge cluster RCT(だんだん導入していき、導入前と導入後で比較)。AKI症例24000例。
・AKIのe-alert
・ケアバンドル
・教育プログラム
を導入した効果について検討、primary outcomeは30日死亡率。
結果は、死亡率に差はなく(オッズ日が1.04なので少し多いくらい)、診断された人数が増え、在院日数が短くなり、介入が多く行われた。

結論は、死亡率は減らなかったけどいろいろ良いことが起こった、という書き方なのだけど、それってちょっと違うんじゃなかろうか。
まずEBM的視点から言えば、primary outcomeに有意差がないのだから、それ以外の結果は仮説に過ぎないし。
それに、診断頻度が増えて在院日数が短くなるのは当然な気がする。逆に死亡率が減らないことが驚きなくらいで、つまりは介入に効果がなかった、ということではないのか。

ちょっと評価が難しい研究だ。
医療の質は改善したけど予後は改善しない。とても重要な話題ではある。
Rapid responseについての唯一の多施設RCTであるMERITで結果がネガティブだったのと、ちょっと似ているのかも。
多施設研究で質の改善をしようとしても実際は難しい、というのはあるね。そこだろうか。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

すぐに良くなるARDS

2019年03月23日 | 呼吸
Schenck EJ, Oromendia C, Torres LK, et al.
Rapidly Improving ARDS in Therapeutic Randomized Controlled Trials.
Chest. 2019 Mar;155(3):474-482. PMID: 30359616.


先日の文献と同じ感じで、ARDSネットのRCTをまとめたもの。研究に含まれてから1日以内に抜管されたかP/F比が300を超えた患者さんは全体の約10%いて、最近になるほど頻度が高くなった。その人たちは重症度が低くて死亡率も低かった。
こういう患者さんが研究に含まれると失敗につながっちゃうね、という結論(死亡率が低いと差を見つけにくくなるから)。

ある疾患の予後が改善したり、その疾患への人々の興味が増して診断される数が増えたり、研究ブループの評価が高くなってより多くの人が参加するようになると、研究対象となる患者さんのうち軽症の割合が増えてしまい、今後の研究の失敗に繋がる可能性が出てきてしまう。。

なんとまあ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

集中治療医による経食道エコー

2019年03月22日 | 循環
Lau V, Priestap F, Landry Y, et al.
Diagnostic Accuracy of Critical Care Transesophageal Echocardiography vs Cardiology-Led Echocardiography in ICU Patients.
Chest. 2019 Mar;155(3):491-501. PMID: 30543807.


カナダの2施設の後ろ向き研究。ICU医がTEEを行ない、その後3日以内に循環器内科医がTEEもしくは経胸エコーをした56例が対象。循環器内科医の検査結果をゴールドスタンダートとした時のICU医の検査結果の感度・特異度は共に100%だった。

うーむ。
こういう研究って、必要なんだろうか。
ちゃんとやれる人がやれば、ちゃんとした結果になるし、それって職業と関係ないんじゃないだろうか。
後ろ向きで2施設でNが50で、それでもCHESTに載るということは、必要だからなんだろうけど。

常識の違いというか、必要とされるものの違いというか。
ある意味、面白い。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

重症トリグリセリド血症に瀉血

2019年03月21日 | その他
集中治療とはあまり関係がないけど、へー、と思って。

Koehler P, Bröckelmann PJ, Hallek M, et al.
Bloodletting to Treat Severe Hypertriglyceridemia.
Ann Intern Med. 2019 Feb 26. PMID: 30802899.


トリグリが18000mg/dlもあると、血漿交換の膜すら詰まるらしい。そして瀉血するとうまくいくらしい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ICU患者の意思決定能力の評価

2019年03月18日 | その他
Bertrand PM, Pereira B, Adda M, et al.
Disagreement Between Clinicians and Score in Decision-Making Capacity of Critically Ill Patients.
Crit Care Med. 2019 Mar;47(3):337-344. PMID: 30418220.


医療従事者(ICU専門医、ICUナース、研修医)は、スコアと比べ、患者の意思決定能力を過大評価する。特にGCSが10-15の時に顕著。

ちょっと分かるね、これ。
挿管されていてフェンタくらいしか投与されていなくて、比較的良好にコミュニケーションが取れると医療者が思っている時でも、実際に患者さんに判断をしてもらおうとすると、うまく行かない。
結論にもあるように、
clinicians confused consciousness with decision-making capacity.
なんでしょうね。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする