Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

脳死の定義から50周年

2018年07月31日 | 神経
Truog RD, Pope TM, Jones DS.
The 50-Year Legacy of the Harvard Report on Brain Death.
JAMA. 2018 Jul 24;320(4):335-336. PMID: 29879281.


ハーバードからのレポートがJAMAに掲載されてから50周年だそうで。その後の経過について、さらには今後についての2ページのviewpoint。
再生医療が進めば治療制限・中止の議論と死の定義の議論とは切り離される、という話も出てくるけど、どうなんでしょうね。

Well settled, yet still unresolved.
まったくその通り。

ちなみに僕ももうすぐ50周年。
脳死の定義と同い年(しかも1ヶ月違い)とは知らなんだ。
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慈恵ICU勉強会 180724

2018年07月28日 | ICU勉強会
7月24日 ARDSの伏臥位について真剣に考える

お恥ずかしながら。
プローンというのは酸素化に困ったときの一つの方法という認識しかしていなかった。
時々ポジティブな結果を見かけても、はいはい、と流していた。
いつのまにやらどこのガイドラインでも比較的ちゃんと推奨されているようで、最近それに気がついた。
これはいかん、ということで、まずエビデンスレビューをしてもらい、それに基づいてプロトコル的なものも作っちゃおう、という二部構成の勉強会をすることにした。
これがその第1弾。

で、思ったのだけど。
いや、思ったことはプロトコルのときにします。
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心原性ショックとアドレナリン

2018年07月27日 | 循環
同じ話題の研究が二つ。

Léopold V, Gayat E, Pirracchio R, et al.
Epinephrine and short-term survival in cardiogenic shock: an individual data meta-analysis of 2583 patients.
Intensive Care Med. 2018 Jun;44(6):847-856. PMID: 29858926.

14研究のメタ解析。心原性ショックにアドレナリンを使うと死亡率が3倍。

Levy B, Clere-Jehl R, Legras A, et al.
Epinephrine Versus Norepinephrine for Cardiogenic Shock After Acute Myocardial Infarction.
J Am Coll Cardiol. 2018 Jul 10;72(2):173-182. PMID: 29976291.

心筋梗塞による心原性ショックに対してアドレナリンを使うかノルアドにするかでRCT。アドレナリン群で悪いことが多く起こったのでN=57で終了。ノルアドでも同様の昇圧効果と心拍出量維持効果があり、脈拍を一定に保ち、乳酸を上げなかった。

心停止に使っても有益じゃないという話もあるし、いよいよ使われない薬になっていくのか?
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敗血症とARDSのRRTのタイミング

2018年07月26日 | 腎臓
Gaudry S, Hajage D, Schortgen F, et al.
Timing of Renal Support and Outcome of Septic Shock and Acute Respiratory Distress Syndrome. A Post Hoc Analysis of the AKIKI Randomized Clinical Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Jul 1;198(1):58-66. PMID: 29351007.


AKIKIのpost hoc解析。
敗血症でもARDSでもRRTを早くした方がいいということはなく、遅くやると半数でRRTが不要になり、もしかしたら腎機能の回復が早いかも、という結果。

何事も、Less is More。
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慈恵ICU勉強会 180717

2018年07月25日 | ICU勉強会
7月17日 プロカルシトニンのRCTから分かること

プロカルシトニンのまとめ。
やはり、治療の中止の参考にはなりそう、ということで良いのでは。
でもそのためには治療開始時を含め比較的頻回に測定しないといけないけど。
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SOFAスコアのGCS

2018年07月24日 | JIPAD
復活です。

APACHEとかのGCSは、鎮静や麻酔が投与されていたら、そのままの値を使用するのではなく、薬剤が投与されていない状況を推測する、というのが正しい収集方法で、以前は知らない人も多かったけど、最近はそれなりに周知されてきたという印象がある。

JIPADでは、最近の世間の流行に乗り、SOFAを今年の4月から収集することになった。で、その時に、GCSはどうするのが正しいのかというのが話題になり、原文を含め調べたのだけど答えがなく、まあ常識的に重症度スコアと同様でいいのではないか、その方が収集の手間も減るし、ということになった。

しかーし。
つい先日、その根拠を発見。それがこれ。

Vincent JL, Takala J, Moreno RP, et al.
The Richmond Agitation-Sedation Scale Should Not Be Used to Evaluate Neurologic Function.
Crit Care Med. 2016 Jun;44(6):e450. PMID: 27182877.


Vincent先生がこの研究に対して文句を言っているletterなのだけど、その中に、

The SOFA score includes the assumed Glasgow Coma Scale (GCS) score, that is, the GCS that the patient would have in the absence of any sedation, to evaluate neurologic function.

としっかり書いてあるではないか。SOFAスコアを作った人が言うのだから、これで決定。

これからは堂々と説明できるぞ。
よかったよかった。
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4、5日、お休みしますので、

2018年07月20日 | ひとりごと
しばらくの間、マッターホルンの朝焼けをどうぞ。

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血圧についての四方山話

2018年07月19日 | 循環
ICMの血圧の話を続けて。

Morelli A, De Backer D.
The ten principles behind arterial pressure.
Intensive Care Med. 2018 Jun;44(6):911-914. PMID: 28721550.


とりあえず、血圧って複雑だよね、ということが分かるので、何も知らんという方は読んでみたらよいよ。

改めて思うのだけど、いまだに世の中には収縮期血圧で会話する人がいる。高い時は勝手にすればいいが、低い時はもうやめようよ。
重症患者の部門システムを作っている会社の人も、デフォルトで平均血圧をプロットしようよ。

過去ログはこちらから。

同じことを何度も言わなきゃいけなくて、僕は疲れたよ、パトラッシュ。。。
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敗血症の血圧と予後

2018年07月18日 | 循環
Maheshwari K, Nathanson BH, Munson SH, et al.
The relationship between ICU hypotension and in-hospital mortality and morbidity in septic patients.
Intensive Care Med. 2018 Jun 5. [Epub ahead of print] PMID: 29872882.


Cerner(つまりAPACHE関連)のデータベースを用いて、9000例弱の敗血症性ショック患者のICUでの血圧と予後、AKI、心筋虚血との関連について検討。MAPが55から85まで、上がれば上がるほど予後も臓器障害も改善。

図2が綺麗。

つまりは65って何?という疑問。最近はちょっと低くてもいいかもなんていう話もあったりするし、今回のように高ければ高いほどいいかもなんていう話もあったりするし。
個人で違うというなら、その決め方は何か。普段の血圧、臓器障害を指標、末梢循環を指標?

さてさて、どこで落ち着くか。
まだ数年は楽しめそうだ。
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EOLIAって意味あるの?

2018年07月16日 | 呼吸
Gattinoni L, Vasques F, Quintel M.
Use of ECMO in ARDS: does the EOLIA trial really help?
Crit Care. 2018 Jul 5;22(1):171. PMID: 29976250.


Gattinoni先生による、EOLIA studyにいてのコメント。
この研究結果が臨床を変えるとは思えないし、今後の更なる研究は不要だと思う、というご意見が書かれている。

大きな無作為比較試験は個別化医療よりも有用か

この3つの中で、当然のことながら僕は自分の師匠の意見に賛成なので、どうもこのコメントも全面的には賛成できなかった。
あなたはどう?
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