Kirkegaard H, Søreide E, de Haas I, et al.
Targeted Temperature Management for 48 vs 24 Hours and Neurologic Outcome After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Jul 25;318(4):341-350. PMID: 28742911.
院外心停止後の低体温を24時間するか48時間するかでRCT、10施設、355例、デンマーク。有意差なし。
Zhang Q, Li C, Shao F, Zhao L, et al.
Efficacy and Safety of Combination Therapy of Shenfu Injection and Postresuscitation Bundle in Patients With Return of Spontaneous Circulation After In-Hospital Cardiac Arrest: A Randomized, Assessor-Blinded, Controlled Trial.
Crit Care Med. 2017 Oct;45(10):1587-1595. PMID: 28661970.
Shenfuという漢方薬を院内心停止蘇生後症例に投与したRCT、50施設、978例、中国。28日生存率が有意に改善。
一つ目はJAMA、二つ目はCCM。
症例数が多くてpositiveな結果なのに、この差は不思議。
スタディデザインは確かにJAMAの方が厳密かもしれない(CCMの方はopen-labelなのにwithdrawalの方法が曖昧)。でもちょっと気になる。白人優先の可能性はないか?
30年も前の話。白血病にビタミンが効くよ、と中国から発表があり、しばらく無視されていたが、メジャー雑誌(Blood)に掲載され、他の国で追試が行われ、今では標準治療(APLのATRAね)。この漢方だって、どうなるか分からない。
もう一点。
中国の集中治療医はどんどんRCTをやっているようだ。
GDPも抜かれ、研究でも抜かれ。。。
それでいいのか?
Targeted Temperature Management for 48 vs 24 Hours and Neurologic Outcome After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Jul 25;318(4):341-350. PMID: 28742911.
院外心停止後の低体温を24時間するか48時間するかでRCT、10施設、355例、デンマーク。有意差なし。
Zhang Q, Li C, Shao F, Zhao L, et al.
Efficacy and Safety of Combination Therapy of Shenfu Injection and Postresuscitation Bundle in Patients With Return of Spontaneous Circulation After In-Hospital Cardiac Arrest: A Randomized, Assessor-Blinded, Controlled Trial.
Crit Care Med. 2017 Oct;45(10):1587-1595. PMID: 28661970.
Shenfuという漢方薬を院内心停止蘇生後症例に投与したRCT、50施設、978例、中国。28日生存率が有意に改善。
一つ目はJAMA、二つ目はCCM。
症例数が多くてpositiveな結果なのに、この差は不思議。
スタディデザインは確かにJAMAの方が厳密かもしれない(CCMの方はopen-labelなのにwithdrawalの方法が曖昧)。でもちょっと気になる。白人優先の可能性はないか?
30年も前の話。白血病にビタミンが効くよ、と中国から発表があり、しばらく無視されていたが、メジャー雑誌(Blood)に掲載され、他の国で追試が行われ、今では標準治療(APLのATRAね)。この漢方だって、どうなるか分からない。
もう一点。
中国の集中治療医はどんどんRCTをやっているようだ。
GDPも抜かれ、研究でも抜かれ。。。
それでいいのか?
集中治療とは全く関係ないですが。
個人的に、ちょー気になる話。
Diaz KM, Howard VJ, Hutto B, et al.
Patterns of Sedentary Behavior and Mortality in U.S. Middle-Aged and Older Adults: A National Cohort Study.
Ann Intern Med. 2017 Oct 3;167(7):465-475.
1日のうちで座っている時間の合計が長いほど、継続的に座っている時間が長いほど、死亡率が高くなる。しかも可愛らしいオッズ比ではなく、数倍になる。
うわー。これ、困る。
相当長い時間、座ってるぞ。。。
個人的に、ちょー気になる話。
Diaz KM, Howard VJ, Hutto B, et al.
Patterns of Sedentary Behavior and Mortality in U.S. Middle-Aged and Older Adults: A National Cohort Study.
Ann Intern Med. 2017 Oct 3;167(7):465-475.
1日のうちで座っている時間の合計が長いほど、継続的に座っている時間が長いほど、死亡率が高くなる。しかも可愛らしいオッズ比ではなく、数倍になる。
うわー。これ、困る。
相当長い時間、座ってるぞ。。。
Zheng CF, Liu WY, Zeng FF, et al.
Prognostic value of platelet-to-lymphocyte ratios among critically ill patients with acute kidney injury.
Crit Care. 2017 Sep 8;21(1):238. PMID: 28882170.
MIMIC-IIIのデータベースを用い、1万例以上のAKI患者の血小板/リンパ球比と予後の関係を調べたところ、U-shapeであった、と。
Nの暴力の典型だと思う。
血小板が少なくなる病態、多くなる病態、リンパ球が少なくなる病態、多くなる病態、いろいろあるし、どれも単独で予後と関係するはず。その比を計算したらU-shapeになったっておかしくない。それにどうしてAKI?敗血症だー、術後だー、肝不全だー、なんでもありじゃんか。
大きなデータベースを用いて、Xと予後の関係を多変量解析を用いて調べると、関係があったりなかったりする。そういう研究は、それなりの雑誌に掲載される。
でも、そこから新たな仮説が生まれる場合を除いて、医学の進歩にどう影響するのか疑問を感じる研究を見ることは少なくない。
もうやめよーよ、そういうの。。。
Nの暴力についての過去ログはこちら。
Prognostic value of platelet-to-lymphocyte ratios among critically ill patients with acute kidney injury.
Crit Care. 2017 Sep 8;21(1):238. PMID: 28882170.
MIMIC-IIIのデータベースを用い、1万例以上のAKI患者の血小板/リンパ球比と予後の関係を調べたところ、U-shapeであった、と。
Nの暴力の典型だと思う。
血小板が少なくなる病態、多くなる病態、リンパ球が少なくなる病態、多くなる病態、いろいろあるし、どれも単独で予後と関係するはず。その比を計算したらU-shapeになったっておかしくない。それにどうしてAKI?敗血症だー、術後だー、肝不全だー、なんでもありじゃんか。
大きなデータベースを用いて、Xと予後の関係を多変量解析を用いて調べると、関係があったりなかったりする。そういう研究は、それなりの雑誌に掲載される。
でも、そこから新たな仮説が生まれる場合を除いて、医学の進歩にどう影響するのか疑問を感じる研究を見ることは少なくない。
もうやめよーよ、そういうの。。。
Nの暴力についての過去ログはこちら。
Schoenberg NC, Barker AF, Bernardo J, et al.
A Comparative Analysis of Pulmonary and Critical Care Medicine Guideline Development Methodologies.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Sep 1;196(5):621-627. PMID: 28731387.
GRADEなどガイドラインの作成方法が言われているが、作るのに時間がかかったり、コストが高くなったりと、弊害もある。
せっかくエキスパートが集まっていて、その人たちは文献検索しなくてもだいたいの情報は持っているのだから、みんなの意見が一致したらsystematic reviewとかしないでいいんじゃないのか、という仮説の検証。結論として、70%の意見の一致があったらそれでいいんじゃねーの。
ちょっと納得できる話ではある。
結果のわかっているsystematic reviewやmeta-analysisって少なくないもんね。
ガイドラインについての過去ログはこちら。
A Comparative Analysis of Pulmonary and Critical Care Medicine Guideline Development Methodologies.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Sep 1;196(5):621-627. PMID: 28731387.
GRADEなどガイドラインの作成方法が言われているが、作るのに時間がかかったり、コストが高くなったりと、弊害もある。
せっかくエキスパートが集まっていて、その人たちは文献検索しなくてもだいたいの情報は持っているのだから、みんなの意見が一致したらsystematic reviewとかしないでいいんじゃないのか、という仮説の検証。結論として、70%の意見の一致があったらそれでいいんじゃねーの。
ちょっと納得できる話ではある。
結果のわかっているsystematic reviewやmeta-analysisって少なくないもんね。
ガイドラインについての過去ログはこちら。
いつもだいたい先週に出た文献を紹介しているけど、この辺から溜め込んでいたちょっと前の文献が混じってきます。
Cnossen MC, Huijben JA, van der Jagt M, et al.; CENTER-TBI investigators.
Variation in monitoring and treatment policies for intracranial hypertension in traumatic brain injury: a survey in 66 neurotrauma centers participating in the CENTER-TBI study.
Crit Care. 2017 Sep 6;21(1):233. PMID: 28874206.
ヨーロッパの66施設の治療選択の違い。当然と言えば当然だけど、ずいぶん違う。
ICP管理って、ずっと分からないままで、ずっとみんな違うことしている。やっとRCTが行われるようになって、NEJMとかにも載るようになって、だんだん収束してくるかと期待したいけど、まだ当分は無理そうだ。
ちなみに。
Figure 2の高浸透圧療法のところを見ると、選択肢がマンニトールと高張食塩水しかないことが分かる。
前にも書いたかもしれないけど、グリセロールを処方している人に、どうしてマンニトールじゃないのか聞いて、リバウンドがどうこうと答えたら、その人はアウトです。
知識に基づいて医療をしているかどうかの簡単なチェック方法の一つ。
Cnossen MC, Huijben JA, van der Jagt M, et al.; CENTER-TBI investigators.
Variation in monitoring and treatment policies for intracranial hypertension in traumatic brain injury: a survey in 66 neurotrauma centers participating in the CENTER-TBI study.
Crit Care. 2017 Sep 6;21(1):233. PMID: 28874206.
ヨーロッパの66施設の治療選択の違い。当然と言えば当然だけど、ずいぶん違う。
ICP管理って、ずっと分からないままで、ずっとみんな違うことしている。やっとRCTが行われるようになって、NEJMとかにも載るようになって、だんだん収束してくるかと期待したいけど、まだ当分は無理そうだ。
ちなみに。
Figure 2の高浸透圧療法のところを見ると、選択肢がマンニトールと高張食塩水しかないことが分かる。
前にも書いたかもしれないけど、グリセロールを処方している人に、どうしてマンニトールじゃないのか聞いて、リバウンドがどうこうと答えたら、その人はアウトです。
知識に基づいて医療をしているかどうかの簡単なチェック方法の一つ。
Wallis CJ, Ravi B, Coburn N, et al.
Comparison of postoperative outcomes among patients treated by male and female surgeons: a population based matched cohort study.
BMJ. 2017 Oct 10;359:j4366. PMID: 29018008.
カナダで25種類の手術を受けた約10万例。術後30日以内のcomposite outcome(死亡、再入院、合併症)の発生頻度は女性外科医の方が少なかった(オッズ比0.96)。ただし、死亡率のみが少なく、再入院や合併症の頻度は同程度だった。
医師の性別によって患者予後が変わりうるという研究はいろいろあるし、この前一つ紹介した。
今回のは女医の方が予後がいいという話の外科バージョン。
BMJだけれども、アブストラクト読んだだけで胡散臭い。差があるのは予定手術のみで、緊急手術では見られないというところもそう。
実際、この文献のeditorialも、
Nor are we convinced that the sex of the surgeon will emerge as an important determinant of a good outcome for patients having surgery.
で終わっている。
ちょっと面白いのは、このeditorialを書いているのが女性だということ。
Clare Marxという方なのだけど、ググってみるとwikiがあった。イングランドの外科学会の前理事長(女性初)だそうだ。ほー。
北アメリカの男たちが載せた研究をイギリスの有名な女医が斬る。BMJってそんな雑誌。
Comparison of postoperative outcomes among patients treated by male and female surgeons: a population based matched cohort study.
BMJ. 2017 Oct 10;359:j4366. PMID: 29018008.
カナダで25種類の手術を受けた約10万例。術後30日以内のcomposite outcome(死亡、再入院、合併症)の発生頻度は女性外科医の方が少なかった(オッズ比0.96)。ただし、死亡率のみが少なく、再入院や合併症の頻度は同程度だった。
医師の性別によって患者予後が変わりうるという研究はいろいろあるし、この前一つ紹介した。
今回のは女医の方が予後がいいという話の外科バージョン。
BMJだけれども、アブストラクト読んだだけで胡散臭い。差があるのは予定手術のみで、緊急手術では見られないというところもそう。
実際、この文献のeditorialも、
Nor are we convinced that the sex of the surgeon will emerge as an important determinant of a good outcome for patients having surgery.
で終わっている。
ちょっと面白いのは、このeditorialを書いているのが女性だということ。
Clare Marxという方なのだけど、ググってみるとwikiがあった。イングランドの外科学会の前理事長(女性初)だそうだ。ほー。
北アメリカの男たちが載せた研究をイギリスの有名な女医が斬る。BMJってそんな雑誌。
そんなにたくさんRCTが発表された号なら一つくらい紹介しろよ、と言われている気がするので。
Quintel M.
"I feel how you feel": reflections about empathy in the relationship between ICU physicians and relatives.
Intensive Care Med. 2017 Nov;43(11): 1723-1724.
RCTじゃないぞって言わないで。
だってこれが一番気になったんだもの。
sympathyじゃなくて、empathyなんだよね(違いはこちら)。
The truly good physician lives in balance between thoughtful unemotional actions and honest empathy; both require readiness for life-long learning.
ふーむ。
家族が重症になったり亡くなったりしていないと、本当に良い医者にはなれないのだろうか。
That is why “grey-haired” ICU physicians play such an important role in the ICU team as life-experienced mentors and contact partners for patients, relatives and team members.
とか書いてあるし。
僕はもう両親ともいないし、grey-hairedだけれども、若い同僚と比べてgood physicianかどうかは分からないなー(ちなみにgreyはスペスミスじゃなくてイギリス英語)。
研究ばっかり読んでいると疲れるのでついこういう文章が気になってしまう。いつもはふむふむと思うけど、今回のはちょっと違う感じがした。でもRCTばっかり載せることのできる、集中治療100%の雑誌の中ではimpact factorが一番高い雑誌に採用されたのも事実。
Quintel M.
"I feel how you feel": reflections about empathy in the relationship between ICU physicians and relatives.
Intensive Care Med. 2017 Nov;43(11): 1723-1724.
RCTじゃないぞって言わないで。
だってこれが一番気になったんだもの。
sympathyじゃなくて、empathyなんだよね(違いはこちら)。
The truly good physician lives in balance between thoughtful unemotional actions and honest empathy; both require readiness for life-long learning.
ふーむ。
家族が重症になったり亡くなったりしていないと、本当に良い医者にはなれないのだろうか。
That is why “grey-haired” ICU physicians play such an important role in the ICU team as life-experienced mentors and contact partners for patients, relatives and team members.
とか書いてあるし。
僕はもう両親ともいないし、grey-hairedだけれども、若い同僚と比べてgood physicianかどうかは分からないなー(ちなみにgreyはスペスミスじゃなくてイギリス英語)。
研究ばっかり読んでいると疲れるのでついこういう文章が気になってしまう。いつもはふむふむと思うけど、今回のはちょっと違う感じがした。でもRCTばっかり載せることのできる、集中治療100%の雑誌の中ではimpact factorが一番高い雑誌に採用されたのも事実。
Volume 43, Number 11 / November, 2017
おお。
見事にRCTしか載ってない。しかも12個もある。
それぞれの内容はみなさん読んでください。
それよりも、思ったことが二つ。
一つは、集中治療の中心がアメリカからヨーロッパにどんどん移動していっていることを改めて感じたこと。
Impact factorはもう2014年からICMがCCMを抜いているし、年次総会で発表されるRCTの数もESICMの方がSCCMよりも多いんじゃないかな。
大統領もあんなだし。まあそれは集中治療とは関係ないけれど。
もう一つは、RCTの数が増えたこと。
ESICMの年次総会で発表されたRCTを載せているとは言っても、今までoriginal articleがRCTしかないICMなんて見たことない。それはやっぱり、RCTの数が増えたということだろうし、RCTをICMが重要視しているということだろうし、その傾向は全ての医学雑誌に言えることだろうし。
裏を返すと、もうそれ以外の研究、特に一施設の後ろ向き研究なんてまともに相手にされなくなってきているということでしょ。実際、そういう研究をしても、以前なら比較的簡単にアクセプトされていそうなやつでもrejectの嵐に巻き込まれるようになった気がする。
学会の年次総会とかに行くと今でもそういう研究ばっかりで、もちろん裾野が広くないと頂上も高くならないからそれはそれでいいのだろうけど、ちょっと研究に対して姿勢を変えていかないと時代に取り残される感じがいよいよ強くなった。
プロ野球を良くしていくにはどうすればいいかという議論を聞きながら、週末に草野球している感じ。もちろん草野球をしてもいいけれど、大マジメにはやらないでしょう。
おお。
見事にRCTしか載ってない。しかも12個もある。
それぞれの内容はみなさん読んでください。
それよりも、思ったことが二つ。
一つは、集中治療の中心がアメリカからヨーロッパにどんどん移動していっていることを改めて感じたこと。
Impact factorはもう2014年からICMがCCMを抜いているし、年次総会で発表されるRCTの数もESICMの方がSCCMよりも多いんじゃないかな。
大統領もあんなだし。まあそれは集中治療とは関係ないけれど。
もう一つは、RCTの数が増えたこと。
ESICMの年次総会で発表されたRCTを載せているとは言っても、今までoriginal articleがRCTしかないICMなんて見たことない。それはやっぱり、RCTの数が増えたということだろうし、RCTをICMが重要視しているということだろうし、その傾向は全ての医学雑誌に言えることだろうし。
裏を返すと、もうそれ以外の研究、特に一施設の後ろ向き研究なんてまともに相手にされなくなってきているということでしょ。実際、そういう研究をしても、以前なら比較的簡単にアクセプトされていそうなやつでもrejectの嵐に巻き込まれるようになった気がする。
学会の年次総会とかに行くと今でもそういう研究ばっかりで、もちろん裾野が広くないと頂上も高くならないからそれはそれでいいのだろうけど、ちょっと研究に対して姿勢を変えていかないと時代に取り残される感じがいよいよ強くなった。
プロ野球を良くしていくにはどうすればいいかという議論を聞きながら、週末に草野球している感じ。もちろん草野球をしてもいいけれど、大マジメにはやらないでしょう。