Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

COVIDのAKIのsystematic review

2020年09月25日 | COVID-19
Fu EL, Janse RJ, de Jong Y, et al.
Acute kidney injury and kidney replacement therapy in COVID-19: a systematic review and meta-analysis.
Clin Kidney J. 2020 Sep 2;13(4):550-563. PMID: 32897278.


142研究、49000例、言語は英語のみ。
AKIの頻度は欧米で28.6%、中国は5.5%、RRTの必要度はそれぞれ7.7%と2.2%。
ICU患者の20.6%がRRTを必要とした。
AKIの死亡のリスク比は4.6。

とかの数字じゃなく。
この半年でCOVIDのAKI研究が142もあるんかい。
どんだけインフレなんじゃい。
と思った。
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東京都の発症年齢の分布:38週

2020年09月21日 | COVID-19


・平均年齢の増加がずっと止まらない。
・普通に考えて、ICU患者数は増えそうだ。
・これでシルバーウィーク+GoToとは。。。
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COVIDのサイトカインと血栓症

2020年09月20日 | COVID-19
Kox M, Waalders NJB, Kooistra EJ, Gerretsen J, Pickkers P.
Cytokine Levels in Critically Ill Patients With COVID-19 and Other Conditions.
[published online ahead of print, 2020 Sep 3]. JAMA.

COVIDによるARDS、ARDSを合併した/していない敗血症性ショック、院外心停止蘇生後、外傷。これらの疾患群のTNF、IL-6およびIL-8濃度を測定。全てのサイトカインにおいて、COVID+ARDSは敗血症より明らかに低かった。特にIL-6は一桁違う。

Bilaloglu S, Aphinyanaphongs Y, Jones S, Iturrate E, Hochman J, Berger JS.
Thrombosis in Hospitalized Patients With COVID-19 in a New York City Health System.
JAMA. 2020;324(8):799-801.

ICU患者の血栓症の発生頻度は29.4%、その死亡率は59.8%。
ただし血栓症なしの群でも死亡率は52.1%と高い。

どちらも繰り返しだけど、COVIDは、
・サイトカインストームではない
・血栓症が多い

そこまではいいのだけど、サイトカインストームによる多臓器不全で死亡するんじゃなくて血栓症が問題だ、とは言いにくくなった。だって血栓なくても死亡率が高いんだもの。
さらに、どうもステロイドが効くらしいとなると、病態がよく分からなくなった気がしなくもない。
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バスの乗客の感染

2020年09月19日 | COVID-19
Shen Y, Li C, Dong H, et al.
Community Outbreak Investigation of SARS-CoV-2 Transmission Among Bus Riders in Eastern China.
[published online ahead of print, 2020 Sep 1]. JAMA Intern Med.


同じ集会に参加するため128名が二台のバスに分かれて往復100分間乗車。2台目のバスにCOVIDの無症候患者が乗車していた(帰宅後に症状出現)。その後、バス1からは患者の発生はなかったが、バス2は68名中24名(35.3%)がCOVIDと診断された。

おお。なんと綺麗な。コントロール群まである。
ウイルス量の個人差はあるだろうけど、窓が閉まったバスに100分乗っただけでこんなに感染しうるとは。。。

通勤電車、どうなんだろ?

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チョーよくある言い間違い

2020年09月17日 | ひとりごと
マジで多い言い間違い3つ。
今月から2つの病院のICUのカンファに参加するようになったのと、
それプラス、JIPADの仕事で数十か所の病院のICUカンファや回診に参加した経験から。

・スパスム:英語でspasm、発音はスパズム。
・ドロージー:英語でdrowsy、発音はドラウジー。
・痰がネンチョウ:漢字で粘稠、読み方はネンチュウ、粘調ではない。

(論外)ゼプティックショック:セプティックじゃい!

やだわー、こんな年寄り臭いこと言うの。
でもさー、気になっちゃうんだもん。
あ、そう感じちゃうのが年寄り臭いのか。
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ステロイドの思い出

2020年09月11日 | ひとりごと
内科研修医1年目。
白血病の患者さんがARDSになって、病棟で挿管して人工呼吸を開始。ショックにもなって、ドーパミンも開始。(大学病院でICUもあるけど、この患者さんをICUに入れようなんて、誰も考えなかった。)

オーベンが、「ソルメドのパルスだ!」と言った。
「ARDSにパルスって効くんですか?」と聞いたら、「効くかどうかはわからないけど、使うのが当たり前でしょ」と言われた。
なんとなくモヤッとしたが、当時はEBMなんて言葉が西洋で生まれたばかりで、もちろん極東にいる研修医の耳には伝わっていなくて、そういうものかと思った。
病棟のナースステーションのシャーカステンの前。映像で記憶している数少ない思い出の一つ。

ちなみにこの薬、もしかしたら若者の中には知らない人もいるんじゃないかと思うのだけど、ショックに適応が通っている。なので当時は敗血症性ショックに1g投与なんて普通にやっていた(あと免疫グロブリンも。まあ懐かしい)。

これが30年近く前の話。
そこからずーーーーーっと、敗血症性ショックとARDSにステロイドは有効か、という議論が続いた。
ここ10年くらいで、やっとICUの世界にも多施設RCTというのが入ってきて、なんとなく、
「ステロイドはたくさん使うものじゃない」
「少量ステロイドはちょっと効果はありそうだけど、命を救うほどじゃない」
という方向に落ち着こうとしていたのに。
のにのに。

これが「わお」の理由です。
説明したくなったので、しました。
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東京都の発症年齢の分布:36週

2020年09月07日 | COVID-19


・高齢者の割合の増加が止まった。
・なので人数も明らかに減少傾向が見えてきた。
・なのでICU症例数もこのまま減っていきそう。
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低酸素脳症の剖検による評価

2020年09月05日 | 神経
Endisch C, Westhall E, Kenda M, et al.
Hypoxic-Ischemic Encephalopathy Evaluated by Brain Autopsy and Neuroprognostication After Cardiac Arrest.
[published online ahead of print, 2020 Jul 20]. JAMA Neurol.


self-fulfilling prophecyについて、一度だけ過去に書いた
今回の研究は、これを正面から攻めている。
結論は、SSPEが無反応、白質灰白質の差がない、脳波がほぼフラット、NSEが高値だと低酸素が重症であるという普通の結果だけど、研究の方向性というか姿勢が素晴らしいと思う。
でもさすがにこの研究手法でNを増やすのは難しそう。3施設で12年で187例だし。
あらゆるデータがデータベース化されてオープンに利用できる時代が来たら、変わるのかなー。

低酸素脳症の予後予測に限らず、〇〇の所見は□□を予測する、という話の時にはself-fulfilling prophecyの可能性について注意が必要です。
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COVID-19にステロイド

2020年09月04日 | COVID-19
わお。
わお。
マジか。
わお。

昨日、JAMAに3つのRCTと1つのメタ解析と1つのeditorialがまとめて発表された。
その中で1つ読むならeditorial。
ARDSに対するステロイドの話から、RECOVERYの影響から、いろいろ書いてある。

Prescott HC, Rice TW.
Corticosteroids in COVID-19 ARDS: Evidence and Hope During the Pandemic.
[published online ahead of print, 2020 Sep 2]. JAMA. 2020


メタ解析もおすすめ。
Forrest plotが綺麗。ショックのところはちょっと変だけど、他が綺麗なので文句は言えない。

さらに、WHOがガイドラインを発表。
The panel made two recommendations: a strong recommendation for systemic (i.e. intravenous or oral) corticosteroid therapy (e.g. 6 mg of dexamethasone orally or intravenously daily or 50 mg of hydrocortisone intravenously every 8 hours) for 7 to 10 days in patients with severe and critical COVID-19, and a conditional recommendation not to use corticosteroid therapy in patients with non- severe COVID-19.

どうしても直感が理解の邪魔をするが、もしこれで全てのステロイド研究がearly terminationしたのなら、もう結論が出たのと同じだ。こんなこと書いてしまったが、賭けがあったら負けていたようだ。

わお。
マジか。。。
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肩書きが一つ増えました。

2020年09月03日 | ひとりごと
7月から
東京慈恵会医科大学附属病院 集中治療部 非常勤講師
になりましたが、
今月から、
自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部 非常勤講師
にもなりました。
(どちらもアカデミックタイトルと臨床タイトルがあるので、上記の表現は不正確なんですけどね。講師はアカデミック、集中治療部は臨床だから。でもこっちの方がわかりやすい気がするからさ。)

慈恵で何をやっているのか、自治さいたまで何をやるのか、想像がつかない方へ。
正解です。僕もよく分からない。
とりあえず、誰かの役に立てればいいなー、と思っております。
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