Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

慈恵ICU勉強会 191224

2019年12月31日 | ICU勉強会
今年の最後は勉強会の紹介。

12月24日 集中治療の多施設RCT(JC-CCM)

いろいろ突っ込みどころのある文献。Vincent先生はRCTがお嫌いそうなので、それも関係していそう。
まあ内容はどうあれ、positiveなRCTが少ないことは事実で、問題はそれをどう考えるか、今後どうしていくか。

勉強会の最中に、誰かがadaptive designの話をしていた。そういう時代が来るのかも。
Open accessで2ページちょっとなのですぐ読めるよ。興味のある方はどうぞ。

さて、来年はどんな年かな。
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中国の集中治療研究は新しい時代に、

2019年12月29日 | EBM関連
入ったらしい。

Liu J, Zhang L, Ma P.
A new era of critical care research in China.
J Crit Care. 2019 Dec;54:20-21. PMID: 31325814.


1982年に最初のICUができ、
1997年に集中治療医学会ができ、
2009年に集中治療が専門分野として正式に認められ、
2015年時点で5000のICUに50000のベッドがあり、26000人の集中治療医が働いているそうだ。

その数に比べると研究はまだまだだけど、これから増やしていくぞ、という決意表明。

指をくわえて見ているしかない?
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急性腎代替療法の質の定義

2019年12月28日 | 腎臓
についてのADQIのステートメント。
ちなみにADQIを知らない人でも、RIFLE criteriaなら知ってるはず。それを作ったグループ。

Rewa OG, Tolwani A, Mottes T, et al.; ADQI Consensus Meeting Members on behalf of ADQI XXII.
Quality of care and safety measures of acute renal replacement therapy: Workgroup statements from the 22nd acute disease quality initiative (ADQI) consensus
conference.
J Crit Care. 2019 Dec;54:52-57. PMID: 31349160.


表2に具体的な目標値が書いてある。
カテ感染はゼロにしようとか、ダウンタイム(24時間のうちCRRTが回っていない時間の割合)は10%以下にしようとか。
ちょっと驚いたのは、膜寿命が60時間以上続く割合を60%以上にしよう、というもの。
マジか。

クエン酸でやっていると、これくらい続くことも珍しくないけれど。
世界はやはりクエン酸、ということか?
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慈恵ICU勉強会 191217

2019年12月26日 | ICU勉強会
12月17日 集中治療、急性期医療における医事法

難しい話である。
良かれと思ってやったことが過失として問われるのか。
問われるなら、どのような形で、どの程度に?

難しいので、過失と問われないように、一つ一つのことを注意してやっていきたいと思います。
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SOFAスコアのお勉強

2019年12月21日 | ICU・システム
Lambden S, Laterre PF, Levy MM, Francois B.
The SOFA score-development, utility and challenges of accurate assessment in clinical trials.
Crit Care. 2019 Nov 27;23(1):374. PMID: 31775846.


歴史から始まって具体的な使い方まで、網羅的に書いてある。
ちょっと納得いかないところもなくはないけれど、現状ではSOFAスコアはICUにおいて必須なので、これは必読のレベルかも。
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挿管時の補液は循環虚脱を予防するか

2019年12月20日 | 呼吸
Janz DR, Casey JD, Semler MW, et al.; PrePARE Investigators; Pragmatic Critical Care Research Group.
Effect of a fluid bolus on cardiovascular collapse among critically ill adults undergoing tracheal intubation (PrePARE): a randomised controlled trial.
Lancet Respir Med. 2019 Dec;7(12):1039-1047. PMID: 31585796.


この研究と同時に行われたRCT。ICUにおける気道確保時に補液をしたらショックになるのを防げるか、について検討。結果は、基本的には予想通り無効なのだけど、サブ解析を見ると少し複雑。

内因性のカテコラミンをバンバン出してなんとか命を保っている人が鎮静されてショックになるのを、補液が防げるわけないじゃんか、くらいの安直な予想はちょっと裏切られた。
ふーむ。。。
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脳梗塞の血管内治療後の血圧ターゲット

2019年12月19日 | 神経
Mistry EA, Sucharew H, Mistry AM, et al.
Blood Pressure after Endovascular Therapy for Ischemic Stroke (BEST): A Multicenter Prospective Cohort Study.
Stroke. 2019 Dec;50(12):3449-3455. PMID: 31587660.


術後24時間の収縮期血圧が158mmHgを超えると、90日後の神経予後が悪くなるが(オッズ比2.24)、多変量解析では有意差はなくなる(同1.29)。

結果はどうあれ、”血圧って結局どうすればいいの?”問題についての情報であることは確かで、こういう研究がどんどん進むことを期待したい。

そうそう、
Strokeの同じ号に、脳梗塞の初期診療のガイドラインのアップデートが載ってたね。ICU的に目新しいものはないように思うけれど、
At present, pharmacological or nonpharmacological treatments with putative neuroprotective actions are not recommended.
と書いてあったことは強調しておいて損はないかと。
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敗血症に対する抗菌薬投与のタイミング

2019年12月18日 | 感染
Abe T, Kushimoto S, Tokuda Y, et al.; JAAM FORECAST group.
Implementation of earlier antibiotic administration in patients with severe sepsis and septic shock in Japan: a descriptive analysis of a prospective observational study.
Crit Care. 2019 Nov 19;23(1):360. PMID: 31744549.


日本の59のICU、敗血症1184例。抗菌薬のタイミングと予後の間に関連はなかった。

この話題、20年近く聞いている気がする。一番最初に見たのはCCMかなんかの文献で、1時間の遅れで予後が変わることを示した綺麗な図があった。
その後、敗血症バンドルというものが考え出されて、その中に含まれて、国によっては医療の質の指標になって、でもあまり関係ないんじゃないかという文献が散見されるようになって、耐性菌の問題もあって、などなど、現在までずっと続いている。

結論は出ないのではないだろうか。
RCTをやるにも、敗血症と診断した患者さんを早期に抗菌薬を投与するか待つかに割り付けるなんて、できるわけないと思うし。
でも観察研究ではどうやったってバイアスは無くならないし。

もう、
具合の悪い患者さんがいて、感染が疑われたら、培養を採取してからとりあえず一発抗菌薬を投与する、それを継続するかどうかは後で考える。
で、いいんじゃないのかな。

あ、素人の意見なんで、お気になさらず。
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maltophiliaによる院内肺炎

2019年12月17日 | 感染
どういうわけか、”maltophiliaはICUに長期間いる具合の悪い患者さんでは痰からちょいちょい検出されるけど、血培から検出されない限り問題視する菌ではない”、とずっと思っていた。でもその根拠を提示できないことに、この文献を見て気がついた。ググってみると、maltophiliaによる肺炎の話がたくさん出てくることも気がついた。うわっ、勘違いしていたか。
なので読んで勉強することにした。

Guerci P, Bellut H, Mokhtari M, et al.; AZUREA research network.
Outcomes of Stenotrophomonas maltophilia hospital-acquired pneumonia in intensive care unit: a nationwide retrospective study.
Crit Care. 2019 Nov 21;23(1):371. PMID: 31752976.


フランスの25のICU。maltophiliaによる院内肺炎282例。
・挿管から診断まで11日
・院内死亡率は約50%
・エンピリックな抗菌薬使用では30%にしか感受性がない
・適切な抗菌薬使用の遅れは予後に関連しない
・抗菌薬の併用も投与期間も予後に関連しない
・肺炎の原因菌がmaltophiliaだけでも混合感染でも予後に差はない
ということがわかった。

おや?
つまり気にしないでいい、ということではないか?
maltophiliaによる肺炎という疾患概念がそもそもおかしいのではないか?

あ、素人の発言ですので、お気になさらず。
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透析カテとCVのカテ感染

2019年12月16日 | 感染
Buetti N, Ruckly S, Lucet JC, et al.
Short-term dialysis catheter versus central venous catheter infections in ICU patients: a post hoc analysis of individual data of 4 multi-centric randomized trials.
Intensive Care Med. 2019 Dec;45(12):1774-1782. PMID: 31624854.


感染はCVより透析カテの方が多い、という結果で、そりゃそうだろと思うけど。
その理由は、部位でもなく、留置期間でもなく、操作が多くてルーメンの中が汚れやすいからでもなく、刺入部から感染しやすいからだそうだ。
今更カテ感染の話なんてと思ったけど、面白かった。
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