Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

急性膵炎の総説

2016年11月30日 | 消化器・血液
REVIEW ARTICLE
Acute Pancreatitis
Chris E. Forsmark, M.D., Santhi Swaroop Vege, M.D., and C. Mel Wilcox, M.D.
N Engl J Med 2016; 375:1972-1981November 17, 2016


普通のレビューなんですけど。
ちょっと昔を思い出した。

十数年前、急性膵炎で補液されて、呼吸が悪いってことでICUにやってきた患者さん。フロセミドの持続をしていたら、急性膵炎なんだから補液しないとダメだろと周りから言われ、困った。クレアチニンも上がらないし呼吸不全は改善傾向になったのに。
同じようなことが数年前にもあって、消化器内科医と議論になり、こちらが根拠を示した後で、「でも当科としては補液をするべきだと考える」と言われて困った。

このレビューの、Management of Acute Pancreatitisの最初のところに、Fluid Resuscitationについての記載がある。その中に、
”Vigorous fluid therapy is most important during the first 12 to 24 hours after the onset of symptoms and is of little value after 24 hours.”
という記載がある。

もう困らないでいい。NEJM読んでないの?と言えばいい。よかったよかった。
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SSI予防のWHOガイドライン

2016年11月29日 | 感染
Allegranzi B, Zayed B, Bischoff P, et al.; WHO Guidelines Development Group.
New WHO recommendations on intraoperative and postoperative measures for surgical site infection prevention: an evidence-based global perspective.
Lancet Infect Dis. 2016 Nov 1. PMID: 27816414.


Allegranzi B, Bischoff P, de Jonge S, et al.; WHO Guidelines Development Group.
New WHO recommendations on preoperative measures for surgical site infection prevention: an evidence-based global perspective.
Lancet Infect Dis. 2016 Nov 1. PMID: 27816413.


WHOがどんな推奨しているんだろーなーとという興味と、
この雑誌は麻酔科医や外科医はあまり読んでいなさそうだ、というのと。
紹介理由はその二つ。
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Rowとcolumn

2016年11月28日 | ひとりごと
どうも覚えられない。
ちょいちょい、調べる。

そしたらこんな絵を見つけた。

ひと目でわかる行列(Row ・ Column)の方向の覚え方


よし。
これで覚えたぞ。
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何故ARDSは集中治療にとってそんなに重要なのか

2016年11月22日 | 呼吸
今度はタイトル直訳。

Gattinoni L, Quintel M.
Fifty Years of Research in ARDS
Why Is Acute Respiratory Distress Syndrome So Important for Critical Care?
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Nov 1;194(9):1051-1052. PMID: 27797616.


Gattinoni先生のお言葉。
その理由は5つ。
・集中治療のトレードマーク的疾患だから
・集中治療のどんな教科書にも書いてある疾患だから
・もっとも間違った対応をしてきた疾患だから(一回換気量、ステロイド)
・もっとも革新的な治療を刺激してきた疾患だから(ECMO)
・集中治療で最初のRCTが行われ、かつ有用性が認められた疾患だから(low tidal, prone)

最後が、
"ARDS, in our opinion, is in essence the mother of intensive care. It has not just been important; it is still and will be in future."
で終わっている。

実は、皮肉な内容かと思って期待して読んでいたのだが、違ったよ。著者は後で気がついたし。
でも面白かったからいいや。
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慈恵ICU勉強会 161115

2016年11月21日 | ICU勉強会
15日 ICUにおける肝硬変の合併症対策

どれも基本的な話なのだけど、とてもよくまとまっている。
復習に、良いのでは?
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Going Home, Dying

2016年11月20日 | 終末期医療
あえて、和訳せず。

Mukaigawara M.
Going Home, Dying.
JAMA Intern Med. 2016 Nov 1;176(11):1603. PMID: 27668403.


治癒の見込がないと判断された、90台女性の敗血症性ショック。最大量の昇圧剤投与でSBP 70程度、発語もほとんどない状態。数日の入院後、家族の希望で自宅で看取ることになり、緩和医療チームにより自宅に運ばれた。昇圧剤は中止されており、自宅到着時には脈が触知できない状態だったが、孫が来ると血圧が上昇し、少し話せるほどに回復、1週間後に永眠された。

1ページのperspective。
素敵な話だ、こんなこと日本でもできたらいいな、と思ったら、沖縄の話でびっくり。
そっか、そうだよね。できるできないではなく、やるやらないの問題だ。
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次のRCTが不要なくらい大きな効果

2016年11月19日 | EBM関連
Nagendran M, Pereira TV, Kiew G, et al.
Very large treatment effects in randomised trials as an empirical marker to indicate whether subsequent trials are necessary: meta-epidemiological assessment.
BMJ. 2016 Oct 27;355:i5432. PMID: 27789483.


コクランのデータベースを用い、
・RCT
・結果がbinaryで、p<0.05
・効果が大きい(relative riskが5以上もしくは0.2以下)
・その後でより大きなRCTが行われた(イベント数が200以上)
の条件を満たす、44のRCTを抽出した。サンプル数の中央値は99だった。ほぼ全ての研究において、その後の大きなRCTでは効果が小さく、43%では有意差を認めなかった。P値が0.001以下だった21研究のうち、19研究でその後の大きな研究でも有意な効果を認めた。

100例くらいのRCTだと、すごーく効果が大きい(relative riskが5以上でかつP値が0.001以下)場合はその結果の信憑性は高いけど、そうでない場合は大きなRCTを待つ必要がある。

基本といえば基本だけど、数字で示されると、なるほどと思う。
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慈恵ICU勉強会 161108

2016年11月18日 | ICU勉強会
8日 乳酸についてのオモシロ文献集

ちょっとふざけたタイトルにしてみた。
どれくらいオモシロイかは読む人によって違うだろうけど、例えば頭部外傷に乳酸を投与するとICPが下がるとか、知ってる?
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PPIと肝硬変

2016年11月17日 | 消化器・血液
もうシリーズ化している、PPIなんか嫌いだ、という話。

Dam G, Vilstrup H, Watson H, et al.
Proton pump inhibitors as a risk factor for hepatic encephalopathy and spontaneous bacterial peritonitis in patients with cirrhosis with ascites.
Hepatology. 2016 Oct;64(4):1265-72. PMID: 27474889.


肝硬変のsatavaptan(知らん薬だが、vaptanだからあれだな)による腹水コントロールについての三つの研究のデータベースを使用。865例中、39%でPPIが投与されていた。1年の観察期間中、189例に肝性脳症が発生、PPIのハザード比は1.36だった。同様に、86例にSBPが発生、PPIのハザード比は1.36だった。

まあ、慢性期の話ですけどね。
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外科術後のトロポニン上昇

2016年11月16日 | 感染
Ekeloef S, Alamili M, Devereaux PJ, et al.
Troponin elevations after non-cardiac, non-vascular surgery are predictive of major adverse cardiac events and mortality: a systematic review and meta-analysis.
Br J Anaesth. 2016 Nov;117(5):559-568. Review. PMID: 27799170.


外科術後(ただし心臓外科および血管外科は除く)4日以内にトロポニンが測定され、予後の関連が検討された11研究が対象のメタ解析(N=2193)。術後トロポニンの上昇は、30日死亡(OR 3.52)、1年死亡(OR 2.53)、30日以内の心合併症(OR 5.92)、1年以内の心合併症(OR 3.00)の有意な予測因子だった。

よーく分かった。
術後にトロポニンが上がると、急性期及び長期にわたり予後が不良になり、心臓の病気が起こる。

この話題、もう15年くらい前から言われている。
で、どうすればいい?
そろそろ教えてくれ。
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