Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ICU用に調整された薬剤の組み合わせアラートの効果

2024年01月25日 | ICU・システム
Bakker T, Klopotowska JE, Dongelmans DA, et al.; SIMPLIFY study group.
The effect of computerised decision support alerts tailored to intensive care on the administration of high-risk drug combinations, and their monitoring: a cluster randomised stepped-wedge trial.
Lancet. 2024 Jan 19: Epub ahead of print. PMID: 38262430.


無駄なアラートは、単に無駄なだけでなく、患者さんに有害。
逆に、無駄を省くと人はちゃんとアラートに反応にするようになる。

電子カルテなどのDXが導入されて医療者の仕事量が逆に増えたという話があるが、それはコンピュータがいけないのではなく、導入方法を考えた人間が悪い。コンピュータによる正しい仕組みの構築はきっと有益。

「そう、まさしくその通り!」という結果を示した研究がLancetに載っていて、ちょっとゾクゾクしました。
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Septic AKIに対する遺伝子組換えALPの第3相試験

2024年01月24日 | 腎臓
Pickkers P, Angus DC, Bass K, et al.; REVIVAL investigators.
Phase-3 trial of recombinant human alkaline phosphatase for patients with sepsis-associated acute kidney injury (REVIVAL).
Intensive Care Med. 2024 Jan 3. Epub ahead of print. PMID: 38172296.


とても大事なRCTなので、きっといろいろなところで勉強会が開かれるでしょうから、ここでは個人的な感想を徒然に。

・執筆者のメンツがアベンジャーズ。日本のエースもいるし。
・結果がポジティブなPhase IIはJAMA、ネガティブなPhase IIIはICM。Early stoppingだし、仕方ないけど。
・腎臓には良いことが死亡を改善するとは限らない、がここでも。
・とはいえ、もともと血圧が高い人は血圧高めの方がいいかもとか、重炭酸を投与するとRRTが減るかもとか、だんだんAKIに対する介入が増えてきたのは喜ばしい。

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心停止後の重症患者管理

2024年01月22日 | 循環
Hirsch KG, Abella BS, Amorim E, et al.; American Heart Association, Neurocritical Care Society.
Critical Care Management of Patients After Cardiac Arrest: A Scientific Statement from the American Heart Association and Neurocritical Care Society. Neurocrit Care. 2023 Dec 1. Epub ahead of print. PMID: 38040992.


同じものがCirculationからも出ている。

こういうのはざっと眺めて、自分と違うところを探すのが鉄板なので、「これはしてなかったな」と思ったところを抜粋してみた。

Brain Oxygenation, Perfusion, Edema, and ICP Statements
4. 高度な脳モニタリングが日常的に使用されていないICUでは、臨床的な懸念や有害な結果の証拠がない限り、MAP>80mmHgを目標とする。

EEG Monitoring and Seizures Statements
3. 間欠的脳波モニタリングを受けている患者において、意識が回復しない患者ではCA後72時間から120時間の間、毎日脳波を測定する。

Sedation and Analgesia Statements
4. NMBは持続点滴としてではなく、体温調節中に必要に応じて使用する。

Pulmonary Statements
2. ROSC後に信頼できる動脈酸素飽和度が得られたら、酸素飽和度(Spo2)が92%~98%になるようにFio2を滴定する。

Digestive System Statements
1. ICU入室後できるだけ早くENを開始する。

ステートメントだけならすぐ読めるので、皆さんもやってみては。
そして、自分のプラクティスと違うなと思った点については、鵜呑みにせず、かと言って無視もせず、みんなでエビデンスレビューをして相談しましょう。
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重症患者におけるビデオ喉頭鏡と直接喉頭鏡の比較

2024年01月21日 | 呼吸
Araújo B, Rivera A, Martins S, et al.
Video versus direct laryngoscopy in critically ill patients: an updated systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.
Crit Care. 2024 Jan 2;28(1):1. PMID: 38167459.


知らんかった。14もRCTがあるのだそうだ。
掲載された雑誌を確認すると、メジャーどころはJAMACCMの2つくらいなので、まあ仕方ない。

それともう一つ。
自治さいたまでは基本的に挿管時には筋弛緩を使わない。僕は使う派だったので、ルーチンで使用しないというのは少し驚いていた。なので、どっちがメジャーなのかなーとずっと思っていたのだけど、表1に14研究の筋弛緩の使用についての記載があることに気がついた。9つがほぼ全例、必要に応じてが1つ、無しが2つ、情報なしが2つ。

どちらが良いかという話ではなく、とりあえず使う方がメジャーである、ということは分かった。
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MOVER:公開手術室データベース

2024年01月19日 | その他
今年初の投稿。
気がついたら20日経っていた。英語では"20 days into the year"と言うのだそうだ。知らんかった。

Samad M, Angel M, Rinehart J, et al.
Medical Informatics Operating Room Vitals and Events Repository (MOVER): a public-access operating room database.
JAMIA Open. 2023 Oct 17;6(4):ooad084. PMID: 37860605.


ICUには6つくらいあるけれど、OP室のデータとしては初の、フリーに利用可能なデータベース、だそうだ。
83,468例の手術。少なくとも一部は波形データ(心電図、A-line、SpO2)もあるらしい。

これはいろいろできそうじゃないかな?
興味のある方、利用してみては?
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