Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

アルブミンの投与速度

2019年06月30日 | 循環
Statkevicius S, Bonnevier J, Fisher J, et al.
Albumin infusion rate and plasma volume expansion: a randomized clinical trial in postoperative patients after major surgery.
Crit Care. 2019 May 28;23(1):191. PMID 31138247.


腹部術後で低灌流の可能性のある31例に、5%アルブミン10ml/kgを30分もしくは180分で投与。
180分後の血漿量に差はなく、グリコカリックス濃度(壊れ方)にも差はなし。

グリコカリックスが壊れるからゆっくり補液した方がよいなんて話を聞いてから、ちょっと補液のスピードを遅くしていたのだけど。
でも30分より短いとどうなのかは、これだと分からんか。晶質液もね。
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病棟のモニタリングの未来

2019年06月29日 | その他
早期発見、早期介入はきっと有効。
そのためにはモニタリングの進歩が重要。

Khanna AK, Hoppe P, Saugel B.
Automated continuous noninvasive ward monitoring: future directions and challenges.
Crit Care. 2019 May 30;23(1):194. PMID: 31146792.


ICU当直の携帯が鳴る。
わざと特徴的な呼び出し音にしてあるので、みんながこっちを見る。
〇〇科の△△医師からの電話。きっと急患の依頼だ、面倒だな。
しぶしぶ応答ボタンを押す。
”キンコーン、キンコーン”
あ、病棟からだ。マジなやつじゃん。ああ面倒だ。

心のつぶやきは気にしないでいただいて。
病棟って、アラーム鳴りっぱなしだから、すぐ分かるんだよね。

そういうのも含め、モニタの進歩は急務です。
メーカーの方、よろしくお願いいたします。
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慈恵ICU勉強会 190625

2019年06月28日 | ICU勉強会
6月25日 挿管時のバックマスク換気(JC-NEJM)

いろいろ不思議な文献である。

まず、非麻酔科医には全然ピンと来ない話題。
麻酔科医に聞いたら、苦笑いしていたし。

研究の目的だけでなく、primary outcomeも不思議。
SpO2の最低値って、そりゃ換気した方が高いから、やる前からわかっている。
ということは、この研究はphase IIと呼ぶべきものなんじゃないのか?
誤嚥の発生頻度とか、24時間後の呼吸状態とか、もっと重要なアウトカムはありそうなのに。

しかも患者背景にいろいろ差がある。
基礎疾患が異なるのは単なる偶然かもしれないけど、pre-oxygenationの差は、ランダム化された後なんだから、明らかにバイアスじゃん。

にも関わらず、NEJMに載っている。
これが最大の不思議。
研究者は、当然のことながらアメリカ人。
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ネイチャー誌が糾弾

2019年06月27日 | 勝手に紹介
ネイチャーとかサイエンスは全く守備範囲外なので存じ上げませんでした。
今回の話題の日本人は専門外なので、これまた存じ上げませんでした。

ネイチャー誌が糾弾~日本発最悪の研究不正が暴く日本の大学の「不備」

この記事に図が出てくるけど、トップのYS氏と2位のボルト氏はこのブログでも何度か取り上げた人たち。

やっぱり、悪いことはいけません。
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フェニトインとレベチラセタムの比較

2019年06月26日 | 神経
3つまとめて。

Lyttle MD, Rainford NEA, Gamble C, et al.; Paediatric Emergency Research in the United Kingdom & Ireland (PERUKI) collaborative.
Levetiracetam versus phenytoin for second-line treatment of paediatric convulsive status epilepticus (EcLiPSE): a multicentre, open-label, randomised trial.
Lancet. 2019 Apr 17. [Epub ahead of print] PMID: 31005385.

小児の痙攣重積、UKの30のER、N=286。痙攣を止める効果は同等。副作用はレベチラの方が軽いかも。

Dalziel SR, Borland ML, Furyk J, et al.; PREDICT research network.
Levetiracetam versus phenytoin for second-line treatment of convulsive status epilepticus in children (ConSEPT): an open-label, multicentre, randomised controlled trial.
Lancet. 2019 Apr 17. [Epub ahead of print] PMID: 31005386.

小児の痙攣重積、ANZの13のER、N=233。痙攣を止める効果は同等。

Lee CH, Koo HW, Han SR, et al.
Phenytoin versus levetiracetam as prophylaxis for postcraniotomy seizure in patients with no history of seizures: systematic review and meta-analysis.
J Neurosurg. 130: 2063–2070, 2019.

開頭術後の予防投与での2剤を比較した7研究、N=803。レベチラの方が予防効果が高く副作用が少ない。
7研究のうちRCTは2つだけで、そのうちの大きい方は日本で行われていた。ほお。

ついでに、レベチラ関連の過去ログ。
5年前から僕がこいつのことをあまり好きじゃないことが分かります。

レベチラセタムによる痙攣予防
SAH後の痙攣予防の期間
頭部外傷後のけいれん予防はフェニトインかレベチラセタムか
慈恵ICU勉強会 160315
フェニトイン対レベチラセタム
痙攣重積に対する静注麻酔薬
MRSAによる院内肺炎に対する抗菌薬
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尿カテ挿入時の消毒

2019年06月25日 | 感染
Fasugba O, Cheng AC, Gregory V, et al.
Chlorhexidine for meatal cleaning in reducing catheter-associated urinary tract infections: a multicentre stepped-wedge randomised controlled trial.
Lancet Infect Dis. 2019 Jun;19(6):611-619. PMID: 30987814.


尿道口をクロルヘキシジンで消毒した方が、生食で拭くよりもUTIが94%も減る。

うーん。
医者になって以来、ずっと普通に消毒していた。20年前のオーストラリアでもクロルヘキシジンを使っていた。
でも実際には根拠は乏しく、イギリスのガイドラインには生食で拭くと書いてあるらしい。

ただ、当院で使っている尿カテセットに入っているのはポピドンヨードな気はするが。。。
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アミノ酸による心外患者のAKI予防

2019年06月24日 | 腎臓
結果は結果で興味深いけれども。
それどころじゃない。

Pu H, Doig GS, Heighes PT, et al.
Intravenous amino acid therapy for kidney protection in cardiac surgery patients: A pilot randomized controlled trial.
J Thorac Cardiovasc Surg. 2018 Dec 15. PMID: 30685166.


な、な、なんとー!
我が師匠、Dr. Bellomoの写真が載っているじゃないですかー!

し、し、しかもー!
VIDEO 1. Prof Rinaldo Bellomo talks about the project.
Video available at: https://www.jtcvs.org/article/S0022-5223(18)33243-4/fulltext.
って書いてあるじゃないですかー!

正座して拝見いたしました(嘘)。
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便のESBLのスクリーニングは有効か

2019年06月23日 | 感染
Prevel R, Boyer A, M'Zali F, et al.
Is systematic fecal carriage screening of extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae still useful in intensive care unit: a systematic review.
Crit Care. 2019 May 14;23(1):170. PMID: 31088542.


25研究のメタ解析。ESBLのスクリーニングをしても他の患者への感染は減らず、カルバペネムの使用量が増える可能性がある、と。

Zahar JR, Blot S, Nordmann P, et al.
Screening for Intestinal Carriage of Extended-spectrum Beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae in Critically Ill Patients: Expected Benefits and Evidence-based Controversies.
Clin Infect Dis. 2019 May 30;68(12):2125-2130. PMID: 30312366.

こちらはVIEWPOINT。

どちらも、
・ESBLは院内感染だけでなく市中に広まっている。
・便にコロナイゼーションしていることが感染の原因になることを意味しない。
・除菌が困難。多剤耐性菌を増やすかも。
などの問題点が指摘されている(ただし両方ともフランスからで、著者が一人ダブっている)。

もう一つ思うのは、医療従事者にも少なくない数で保菌している人はいそうな気がするけど、除菌が難しいとなると、クビ?
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日本のRRT患者の死亡率

2019年06月22日 | 腎臓
Miyamoto Y, Iwagami M, Aso S, et al.
Temporal change in characteristics and outcomes of acute kidney injury on renal replacement therapy in intensive care units: analysis of a nationwide administrative database in Japan, 2007-2016.
Crit Care. 2019 May 15;23(1):172. PMID: 31092273.


非常に申し上げにくいのですが、基本的にDPCを使った集中治療関係の文献は全般的に好きではありません。
やはり最大の問題は患者重症度が加味されないことです。

それでもメッセージ性がある場合は良いのですが。
この研究は、ちょっと無理があると思います。
確かに死亡率は減っているけれど、それ以上にRRTで治療される症例数が増加しているので、死亡者数を数えると10年で増えてるんですよね。。。
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補液の反応性の持続時間

2019年06月21日 | 循環
Roger C, Zieleskiewicz L, Demattei C, et al.; AzuRea Group.
Time course of fluid responsiveness in sepsis: the fluid challenge revisiting (FCREV) study.
Crit Care. 2019 May 16;23(1):179. PMID: 31097012.


敗血症性ショックで500mlの晶質液のボーラス投与を必要とした143例。そのうち67例は補液に反応せず、37例は30分後には効果がなくなった。

つまり補液しようと思っても、30分後に効果が残っている人は4人に1人。
逆を言えば4回に3回はしてもしなくても同じ、かもしれない。

補液って、その程度のもの、かもしれない。
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