Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

痰から分離されたカンジダと抗真菌療法

2014年09月04日 | 感染
Albert M, Williamson D, Muscedere J, et al.
Candida in the respiratory tract secretions of critically ill patients and the impact of antifungal treatment: a randomized placebo controlled pilot trial (CANTREAT study).
Intensive Care Med. 2014 Sep;40(9):1313-22. PMID: 24981955.


臨床的にVAPが疑われ、痰培からカンジダが生えた症例を対象に、無作為に抗真菌剤(anidulafungin)もしくはプラセボを投与。他の部位からカンジダが分離された場合は除外。Primary outcomeは、こういうRCTがちゃんと行えるか(症例が集まるか)で、それ以外にもCRPやプロカルシトニンやIL-6の変化も比較。その結果、120例を予定していたけど、症例の集まりが遅くて60例で中止。予後や炎症マーカーには差を認めず。

肺から分離されたカンジダに病原性は無い、というのが教科書的記載だけれども、最近は、
・ベータグルカンが炎症を惹起する
・緑膿菌の感染を増やす
・カンジダが分離された症例の予後は悪い
など、もしかしたら悪者かも、という可能性が出てきた。
カンジダを治療することにより予後がよくなるかもしれないけど、そんなRCTができるかどうか分からないので、とりあえずパイロット研究をやってみたら、症例は集まらないし差は無さそうだしで、やーめた、という話。

・”古い言い伝え”に捕われず、可能性があれば追求する
・関連性は因果関係を保証しない
勉強になります。あざっす。
コメント
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