明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



帽子はまだ決まらないが、小津安二郎の着衣は三つ揃いに決まる。ワイシャツ姿より、こちらをやりそうだな、と薄々感じてはいたのだが。 作家シリーズに転向する前、長らく架空の黒人ジャズマンを作っていた。一番影響を受けたのはブルーノートレーベルのレコードジャケットである。フランシス・ウルフの写真にリード・マイルスのデザイン。おでこでカットしてしまうようなトリミングに、二人はよくケンカしたそうである。リード・マイルスはジャズ好きでもなんでもなかった、というのも後にびっくりしたが。 細いネクタイにスーツ姿。5、60年代の禁欲的にも見えるジャズマンの姿には痺れた。リラックスしてネクタイを緩めている人物を作ろう、と何度かトライしたが、そのダラしなさに耐えられず、きちっとさせてしまって私の記憶では一度も作れなかったと思う。 演出中の小津も、ネクタイ緩めてシャツのボタンをはずして、が我慢出来ず、ということが起きやしないか。若干思わなくもなかったがジャズマンではないし問題はないだろう。 それにしてもこれは作者は作者、作る作品は作る作品、あまり関係がない、という話しである。

開廊55周年記念「眼展2016Part1〜妄想キャバレー〜」銀座青木画廊
2016.11/05(土)~2016.11/18(金)

アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』


HP

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