もろこ 3


D810 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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ホンモロコの入った袋を母親のマンションに持って行き、玄関でリュックから出した。
中でモロコが盛大に飛び跳ねた。
「あなた、分けないで全部持ってきたでしょう」
と母親に怒られた。
ばれたか・・・
あとは任せることにして、袋を母親に渡してさっさと退散した。

これ以降は、母親から聞いた話・・・

700匹以上いるホンモロコのうち、約3分の2を佃煮にして、残りをから揚げにすることにした。
まずは袋から出し、ボールに入れて水で軽く洗う。
ところが元気がよく、ピョンピョンと飛び跳ねて、ボールから飛び出してしまう。
慌てて手で掴むと、手の中でもピョコピョコと動く。
「ごめんなさいね、ごめんなさいね」と謝りながら、母親は全部ボールに戻した。

容器にお酒を入れ、そこにモロコを入れると、酔っ払ったのか急に静かになった。
それから醤油でしばらく煮て、一度火から降ろし、味りんを入れて再度煮る。
こうしてホンモロコの佃煮が出来上がった。

またから揚げのほうは、ビニール袋に小麦粉を入れ、その中に直接モロコを入れた。
粉の付いたモロコを1匹ずつ油に入れて揚げる。
数が数なので、相当手間のかかる作業だったらしい。

何とも残酷であるが、こうして700匹のモロコは一夜にして全部調理された。
その後母親は、1匹1匹きれいに並べてタッパーに入れた。
そこからまたきれいにお皿に盛り付けて、昼食に出てきた。

新鮮なだけに臭いも無く、とても美味しかった。
身もしっかりしており、時間をかけて煮ても形が崩れず頭から尻尾まで揃っている。
少し苦味のある品のいい味で、魚が好きではない人でも食べられるだろう。

子供の頃、川に釣りに行くと、よくモロコ(あれはタモロコだが)がかかった。
雑魚として、舌打ちして川に放り投げたが、ホンモロコのほうは、高級食材と言われるだけの事はある。
ただお皿の上できれいに並んでいるモロコを見ると、恨めしそうにこちらを睨んでいるように見えて、何とも気が引けた。
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