酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

ステレオフォニックス、モグワイetc~読書の供に新譜あれこれ

2017-11-06 23:11:01 | 音楽
 犯罪者(安倍首相)と道化師(トランプ大統領)のツーショットに辟易したが、トランプはいつ失脚しても不思議ではない。大統領選時の選対幹部に続き、ロス商務長官にもロシア疑惑が「パラダイス文書」で発覚した。ロス長官はプーチン大統領の親族が経営する企業から莫大な利益を得ていたという。

 <トランプ=右派>の看板を信じている人は、「なぜロシアと親密なのか」という疑問を抱くかもしれない。陰謀史観に与するつもりはないが、<安倍-トランプ-金正恩>を兵器産業の掌で踊るパペットトリオと見る識者もいる。ちなみに、平和主義者の仮面を被ったオバマ前大統領は兵器産業幹部を引き連れて外遊し、<死の商人の頭目>として名を馳せた。

 冬の気配が忍び寄ってきたものの読書の秋、老眼で文字を追うのに難儀しながらページを繰っている。読書の供として重宝しているアルバムの感想を記す前に、ロック界のゴシップあれこれ……。

 「ロッキング・オン」のHPを毎日チェックしているが、最も登場頻度が高いのはノエル&リアムのギャラガー兄弟だ。解散して8年が経っても、英国でのオアシス人気は不動で、兄弟のバトルが格好のネタになっている。巻き込まれたのが両者と交遊のあるポール・ウェラーだ。「歌詞面については標準以下」と新作を評された〝喧嘩屋〟リアムはすぐさまツイッターで反撃する。ちなみにポールはノエルのソロアルバムに参加していた。

 上記の「パラダイス文書」で租税回避を暴露された著名人の中に、ボノの名があった。アフリカなど途上国のNGOから〝上から目線の慈善は無意味〟と批判されているボノは、親族が経営する化粧品会社(原料はアフリカ産)で富を得ている。今回の件で限界が露呈した。

 ようやく本題……。4枚の新作を紹介する。まずは、グリズリー・ベア(GB)の5年ぶりの新作「ペインテッド・ルインズ」から。メランコリックなメロディーに彩られ、聴き込んでいくうち、脳裏のスクリーンに幾つもの水彩画が浮かんでくる。かといって淡色ではなく、曲ごとにカラフルな表情を見せている。

 2010年前後、俺はGB、ダーティー・プロジェクターズ(DP)、ローカル・ネイティヴズ(LN)の3バンドに多大な期待を寄せていた。その後、彼らはどうなったか。GBは活動停止を経て復活したが、DPは個人プロジェクトに回帰し、史上最高のライブバンドになる可能性を感じたLNは失速した。俺の見る目がなかったといえばそれまでだが、インディーズの壁を越えられなかった。

 一方で、〝インディーズの雄〟というべきザ・ナショナルは着実に地歩を築いてきた。新作「スリープ・ウエル・ビースト」はバンドの不変の姿勢を感じさせるアルバムだ。「アリゲーター」(05年)以降、本作を含め5枚のアルバムを聴いているが、いずれもハイクオリティーで抑揚が効いている。静謐さを増した本作は熟練の職人芸といっていい。長身のフロントマン、マット・バーニンガーのボーカルスタイルはモリッシーを彷彿させる。

 モグワイといえばダウナーな音の塊にぶちのめされる感があったが、9th「エブリ・カントリーズ・サン」に、万華鏡を覗き込んだ時の燦めきと奥行きを覚えた。柔らかく優しくなった世界に吸い込まれていくような気分を味わった。以前のライブでは、壁に遮られて立ち尽くすような感覚に陥ったが、本作を聴いて次の機会が楽しみになった。

 最後に紹介するのは俺にとって今年のベストアルバムだ。といっても還暦を過ぎてアンテナが錆び付いた今、お馴染みのアーティストの新作を聴くにとどまっているから、サンプルは少ないけれど……。

 3日に世界同時発売されたステレオフォニックスの10th「スクリーム・アバヴ・ザ・サウンズ」はロックの普遍性を体現している。骨太なビートと心地良いメロディーがいい案配にブレンドされ、シャープなグルーヴに高揚感を覚えた。成熟の裏返しでもある喪失も歌詞にちりばめられていた。

 ザ・フーの「ババ・オライリィ」に歌われているように、ロックファンは「十代の荒野」を彷徨っている。還暦過ぎの俺も迷い人のひとりだ。ステレオフォニックスのケリー・ジョーンズは〝フーの息子〟のひとりで、ロジャー・ダルトリーに「普通にやっていけばいい」とアドバイスされたことがあるという。ケリーが実践していることを本作が示している。
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